9月10日(土)




甲信越は晴天の天気予報。



南アルプス縦走の興奮冷めやらぬうちにもう一度「がっつり登って、がっつり稜線歩き」をしたくなり、笠ヶ岳のクリヤ谷コースをチョイスしました。

登山口から頂上までの標高差1900mを誇る北アルプスの南の入り口にしてとても不人気(静かな)コースです。


数年前に登ったことがあるのですが、とにかく道の状態が悪く、「悪路の総合デパートやぁ!」と言いたくなるような歩きにくい道でした。
(そのぶん、頂上についた時の感動が大きいのも体験済み)



銀紙号で岐阜県の新穂高温泉で初車中泊。
レカロでまったく問題なく寝ることが出来ました。(駐車場到着と登山出発時間の関係で睡眠2時間ですが)




腕時計の目覚まし音を合図に気合で起きてすぐに登り始めます。(5:50)




今回は南アルプスに引き続きウルトラライトウェイト装備にしている上に食料はたったの一泊分なので、ザックは水食料込みでも軽く10kgを切っています。
苔むした岩で足が滑ることを除けば順調に登って行けます。


途中で錫杖岳(しゃくじょうだけ)狙いのカップルや、バカっ速な男性に追い抜かされたりしつつもマイペースで登って行きます。




すると、笠ヶ岳から下ってきた年配の方からすれ違いざまに、



「今すぐ引き返したほうが良い」



と、話しかけられてびっくりしたのですが、登山道が崩落でもしているのかと理由を尋ねてみると、


「夜露でズボンがびしょ濡れになるし、道の状態が悪いからだ」


とのこと。

夜露で濡れてうんざりするのはものすごく共感できますが、クリヤ谷コースが悪路なのは十分承知の上で来ているので、笑顔で「大丈夫ですよ」と答えました。
(頂上でバカっ速なスピードで追い抜いていった男性と話をしたら、この方も同じ事を言われたそうな。たぶんすれ違う人全員に「引き返したほうが良い」と言 いながら降りていかれたのだと思います)



その後、恒例の「景色が良いところまで食事を我慢してシャリバテ」を起こしつつも、根性で登って行きます。



穂高を見晴らす景色の良い所でサンドイッチを食べます。

最高!!






写真は気分を和ませてくれたホシガラス。ハイマツの実を食事中でした。



なんて気分良く歩いていたら、ついに足がすごい勢いで滑って尻餅をつきました。


まぁ、とにかくこの道は石はグ ラグラ動く し、苔や泥で滑 るし、急登に岩場に倒木、ザレた斜面とおおよそ悪路と言われるシチュエーションはすべて揃った上で標高差1900mにコースタイム8時間ですから、そ りゃぁ不人気になるってもんです。

ゆえに、人とほとんど会わない、私はそれが良いのです。





山頂手前にハイマツ帯があって、たぶんこのあたりで「帰りなさいおじさん」は濡れたと思うのですが、すでに一帯は直射日光を浴びた後だったのですっかり乾 いていました。


そして、登り始めてから7時間かけて山頂に到着しました。(12:50)

山頂に到達する寸前にガスり始めてしまったのですが、、明日の朝まで山頂付近に滞在するのでこれは問題ないです。


先ほど追い 抜いていった男性が、


「2時間でしたね」


と、挨拶がてら声をかけてきたのですが、何が2時間なのかわからずきょとんとしていたら、


「あ、あなた、最初に抜かした人ですね。途 中で若い男性を1 人追い抜きませんでした?」


と、質問してきたのですが、そんな記憶はありません。

(その2番目に抜かした方と、「山頂まであとどのぐらいかかるか」の話をしたそうで、「2時間でしたね」と声をかけてきたみたいです)


下りの人と何人かすれ違いましたが、「帰りなさいおじいさん」含めて、お互いの記憶を重ねてみると、私の前に歩いていたはずの若い男性1人が忽然と消えて いる計算になります。

その後、かなりの時間山頂で滞在していましたが、後ろから登ってくる気配もありませんでした。(たぶんクリヤ谷を登ったのは私とバカっ速の彼の二人だけだ と思います)

結局その男性は翌日まで登場しなかったらしいので、どうやら「帰りなさいおじいさん」の呪文に従って引き返したみたいです。(残り時間の話をしたとき相当 バテていたらしいですし)

たぶん、私はその人がどこかで休憩している最中にでも追い抜いてしまったか、すれ違った記憶が無かったのでしょう。
(念のため岐阜県警のHPなんかも確認しましたが行方不明者のニュースは出ていませんでした)



ちなみに、 バカっ速な彼は私より少し若くて(37歳)、登山歴はたったの2年目。
(登山ブームの関係で「今年2年目」という人がやたらと多い)

それであのペース(私よりさらに1時間早い6時間で到着)はすごいなと思ったら、Iターンの求人を利用して去年東京から茅野市に移り住み、週末は年がら年 中登山三昧なのだとか。

そりゃぁ、鍛えられるわけです。

(ただ、 ペース配分はまだできないみたいで、最初にがーーーっと登って後半バテちゃうみたいです。一度視界か らいなくなった後、山頂寸前では私がすぐ後ろまで追いついていました)



山頂にはNTTドコモの方が3人ほど来ていて(若い子は作業服にスニーカールックで)、山間部の携帯の電波の入りについていろいろ教えてくれました。(と いうか私が質問しました)

最後に「電波の関係でソフトバンクから乗り換えたんですよ」と伝えたら、「そう言ってもらえると整備したかいがあります」と喜んでくれました。




茅野の男性が先にテン場に移動してしまったので、私はなんとなく横になったら、そのまま眠りこけてしまい、気がついたら山頂の人がすべて入れ替わってまし た。(30分ほど寝ていたらしい)



さて、ぼちぼちテン場に行ってツェルトを張りますか!



山頂から5分ほど下ったところにある笠ヶ岳山荘で受付を済ませ、そこからさらに5分下ったところにあるテン場に移動します。


そして、槍穂高を見渡す絶好のロケーションを確保。


早速ツェルトを張りはじめます。






うげ〜、風強い!!




茅野の彼が興味深そうに設営するところを見ていたので、颯爽とインナーポールを入れようとしたら、ポールをしならせすぎてパキンと1本折ってしまい、少し だけ気マズイ雰囲気に・・・・


幸いと言うかなんと言うか風が強くてツェルトが膨らみっぱなしになっていたので、それほど窮屈ではありませんでした。(ツェルトは本来インナーポールみた いな「快適装備系無し」が標準なのですが)



そ う言えば、テン場にまったく同じメーカーのツェルトを使っている人(関西から来た私と同じ年ぐらいの人)が居たので話しかけたのですが、彼は泊まるつもり がなかったのでこれしか持ってきておらず、それこそ緊急装備としての人生初ツェルト泊なのだとか。(全然大丈夫ですよとお伝えしておきました)



しばらくしたら、茅 野の彼が 缶ビール片手に 私のツェルトの側に やってきて、ささっとバーナーをセットしてウインナーを焼き始めます。



「1本、いかがです?」



と、気を使って声をかけてくれたのですが、



「いえ、今回はちゃんと食料を持ってきていますので。なんせ、登山は自己責任、自己完結の世界ですから」



と、答えるより先にツェルトにマイ箸を素早く取りに行き、



「では、1本だけ・・・・」(本当は2本欲しい)



と、ありがたく頂いてしまったのでした・・・





決めた! 次回は絶対に山でウインナー焼いてやる!!





で、、、






私はレトルトカレーとレンジでご飯のセットです。

缶詰の焼き鳥が入っていたり(仙丈小屋で出会った彼の影響)、軽さにこだわっていないところが自分なりの「ゴージャスさ」だったのですが、もっと、何かメ ニューに工夫すればよかったと思いました。

登山では当たり前となったアルファ米ではなく、重たい「レンジでご飯」を山で使うメリットと方法は中岳避難小屋のYさんに教えてもらったのですが、まさに その通りで目からウロコでした。(メリット:水を持ちこむような山なら重量に差は無い、燃料が少なくて済む 、料理完了までの時 間が短い、なによりも味が良い)


これはたしかに準備も手軽で美味しかったです。



仙丈小屋の彼もそうだったのですが、せっかく山に寝泊まりしているのに夕日や朝日をベストポジションで眺めるという習慣が無いみたいなので、(ウインナー 1本のお返しに)お誘いしました。

最初は「ビール飲んじゃったし」と乗り気じゃなかった彼ですが、私が山荘で歯を磨いたりトイレを借りているときに、「じゃ、先に山頂行ってますね!」と軽 やかに山頂に登って行ってしまいました。



ふと山荘裏の高山側(西側)を見ると、ガスや 雲の位置が思いの 外高く、もうあと数分で沈んでしまいそうだったので、あわてて私も山頂に向かいます。








危うく誘っ た私が日没を見逃すところでした。










結局、山頂は彼と私の二人だけです。


山荘とテン場にトータル100人近い人が居ると思うのですが、本当にもったいないなぁって思います。

山頂に居たにも関わらず、日没寸前に下山した人も3人ぐらい居ましたし・・・










たとえガス りぎみでも、夕日や朝日の時は美しいものなんですけどね〜。










茅野の彼も(私以上に)喜んでいました。









槍穂高の眺めは明日の朝に期待するとしましょう。










では、テン場に戻りますか!





寝る準備はすでにできていたので、暗くなると同時に眠りました。



おやすみなさい。






9月11日(日)





朝の準備をボチボチ始めつつ、日の出ショーを楽しみます。


朝食はコンビニで買っておいたコッペパン(カロリーが高いので登山向き)です。








薄っすらとですが、本日も槍ヶ岳の後ろから後光が射しました。







本日も幸先 が良いスタートです。









穂高方面。

ツェルトは骨が無い分強風でも写真のようにしなるので、風には強いんだと改めて実感しました。
(このテン場も整地の関係で風に対して横向きに張らされるんですよね)









槍と南岳の真ん中辺りから太陽が昇って来ました。

(この辺は東側が抜けてる山が有利ですね。笠ヶ岳は夕日を楽しむ山だと思います)

茅野の彼は日の出直後にテントをたたんで出発して行きました。



私はなんとなく気が向いたので、 再び笠ヶ岳山頂へ。
(テン場から山頂まで15分ぐらいかけて登るので、少しだけ決心が必要です)









ちょうどTABさんがバスで山頂に上がり、「カップルサイコー」と望遠レンズで激写しまくりつつ、「で、笠ヶ岳ってどこ?」と曰わっていた頃(少し端折っ て書きました)、私は乗鞍岳に向かって仁王立ちしておりました。


TABさんが居ることなぞまったく知りませんでしたが。









昨日登って きたクリヤ谷コースです。

下山でクリ ヤ谷コースをチョイスする方が多いみたいですが、滑って転びやすい道なので、 笠ヶ岳のみを縦走す るなら登りで通過することを私はお勧めします。

(笠新道に比べてすごい大変ってことも無いでしょうし)








今日は本当に周囲の山が全部見えますね〜。









本当に気分爽快な山頂でした。


出発前にもう一度登っておいてよかったです。







ようやく太陽の高さが上がり、稜線に陽が刺し始めた所で出発です。(7:30)

(ここからの写真はカメラ内現像モードを知らないうちに「女性・赤ちゃん撮影モード」にしてしまったので、フォトショップで無理やり補正)








笠ヶ岳を振り返ったところです。

今日も絶景をありがと〜!









北アルプスの「楽チン稜線歩き」と言っても、そりゃぁアップダウンはあります。

しかし、南アルプスに比べればかわいいもんです。







それよりも景色が素晴らしく、「これぞ稜線歩き!」気分を堪能できます。

がっつり歩けて大満足です。







槍ヶ岳に登った時に下山で使う尾根です。
あれ、長いんですよね〜。
私の中で「ウンザリ度」ナンバーワンの下りです。






稜線の登山道から少し外れて抜戸岳(ぬけどだけ)の山頂に立ち寄りました。


左手前が焼岳、奥が乗鞍岳です。









右奥は御嶽山ですかね。

つい先日okazakiさんが登ったんですよね。








正面に聳えるは双六岳。

稜線を気分良く歩いているとちょうど正面にあるので久しぶりに登りたくなってきましたが、地図でコースタイムを確認すると、ちょっと(晴天の時間に到達す るには)厳しそうです。









この区間は延々とゆるやかな稜線歩きが続くのかと思っていましたが、けっこう景観の変化があって、こちらも楽しめました。









抜戸岳を振り返ったところです。

なかなかダイナミックな景観です。







北アルプス仕様のかわいらしいアップダウン。

南アルプスに行くまでは、私にとってこれが普通の「辛いアップダウン」でした。










あ〜、ついにガスって来ました。(11:10)


タイムアップです。




ちょうど鏡平方面に下る道との分岐に出たので、ここで稜線を外れます。









鏡平です。

ここは逆さ槍(逆さ穂高?)が見られる場所で、私が人生で初めて北アルプスの山中に泊まった場所でもあります。
あの時は人生初の長期縦走(とは言っても3泊4日)の装備抱えてここまで登るぐらいでかなりヘバってたんだよな〜。

ここに来るたびにその時のことを思い出します。








デッキに腰掛けてカレー(with鳥の缶詰)パート2をいただきます。


しかし、我ながらメニューを工夫するとか何かアイデアはなかったんですかね?

(これはこれで美味しかったですけど)




さて、すっかりガスっちゃいましたし、後はダッシュで下りますか!(12:20)








昨日山荘で買ったのに飲まなかったコーラを(持ち帰ってもしょうがないので)途中で飲み干します。





鏡平から2時間半で新穂高まで駆け下ったのですが、目の前でバスが発車してしまいました・・・
(叫びながら走ったら待ってくれそうな距離だったのですが、それで転んだら無様すぎるのでやめておきました)





ならば、先に温泉に浸かるのみ!




売店のおばちゃんに温泉の場所を尋ねたら、、、、







バス停隣の温泉の割引券をくれました。
(現像モードを元に戻しました)





温泉でさっぱりしてから、バスで駐車場まで移動し(若い一人旅の女の子と仲良くなりましたが、あっという間に駐車場に到着、彼女は高山方面へ)、帰宅の準 備を整えます。











旧安房峠のドライブを楽しみつつ、、、









いつもの(遅い時間まで営業している)蕎麦屋に向かったところ、今日に限って蕎麦切れで閉店中。。。









仕方無しに、立地の良い普通の蕎麦屋に入ったら、やはり普通の蕎麦なのでした。









中央道で「渋滞3時間以上」表示が出てしまったので、富士山の脇を抜けて御殿場に移動したところ、東名も20km渋滞表示。
そのまま箱根を越えて、小田原経由で帰宅しました。



銀紙号での箱根超えは楽しかったです。




以上です