旅のきっかけ
JALマイレージの有効期限が今年の12月で切れそうになっていたので、何かに使おうと思い立ち、前々から行きたいと思っていた屋久島往復のチケットを取
りました。申し込み可能日ピッタシに手続きをしたつもりでしたが、連休を絡めた日程だったこともあって、帰りの屋久島→鹿児島間のエアチケットだけはすで
に満席で取れませんでした。(普通に早割価格で購入)
ちなみに、今年は節電の関係で職場の祭日がお盆にすべてシフトしていた関係で、思いがけず土日以外は全日程「有給休暇使用」で行くことになりました。
まぁ、私の場合、病気や体調不良が原因の有給休暇使用は社会人人生で2回しか経験が無く(1回が食中毒、もう一回がインフルエンザ)、毎年こうして旅行で
もしないと有給休暇を使い切れないので、このぐらいどうってことないはずですが、遊ぶ目的ばかりで有給休暇を申請するので周囲の目は痛く、かなり呆れられ
ているとは思います。つい先日も有給休暇使って九州に行きましたし・・・
屋久島旅行は早期に決まっていたので、先日行われた「ブログの長い方々」と南東北にドライブに行く計画を立てる時もこの日程だけは最初から外して調整して
いたのですが、なんと決まった日程は屋久島に行く寸前(しつこいようですが私の誕生日)、結果的にお誕生日ドライブから帰ってきて3日後には屋久島に飛び
立つという流れになってしまいました。
おかげで「南東北ドライブ」、「屋久島」、「年末大ジャンプ」と3つの企画準備が同時並行で走ることになってしまい、家では調べ物ばかりする日々が続いて
おりました。(これはこれで楽しいわけですが)
雨が多いことで有名な屋久島ですが、例年ですと11月あたりは晴天の確率も高く、現地で5泊もすれば2〜3日は快晴を引けるだろうとこの時は思っておりま
した。

実際、事前の天気予報では快晴予報とまでは行かないものの、「曇り時々晴れ」のマークが3日ほど出ていて、一応読み通りの状況です。
出発寸前の週間天気予報を参考に、雨の確率が一番高そうな土曜日にダイビングの予約を入れます。(ダイビングは天気の影響が登山より少ないので)
飛行機の重量制限の関係で登山ギアとダイビングギアの両方を持って行くわけにもいかず、ダイビングギアについては「度付きの水中メガネ」を除いてフルレン
タルを申し込みました。ギアのレンタルなんてライセンスを取った最初の講習以来です。
そんなこんなでぎりぎりまで準備を行い、当日の朝を迎えました。
11月2日(水)
トラブル(私の場合は忘れ物)に備えて、多少を余裕を持って家を出発します。
ところが、予定通りというか何というか、早速忘れ物に気が付き、一旦家に戻ります。。。(登山時に持ち歩く島内すべてのバスの時刻表をコピーしたもの)
駅に向かう途中でセブンイレブンに立ち寄って昨晩まで調べ物をしていたものとeチケットをネットプリントする予定だったのですが、これでその時間が無く
なってしまいました。
時刻表の紙をカバンに入れて再度家を出発し、しばらく歩いた所で、ネットプリントをしないならJALのマイレージカードが必要なことを思い出しました。
(クレジットカード機能もあるので、無駄に持ち歩かなくていいように家に置いておいたのでした)
自分の馬鹿さ加減に呆れつつ半分走って家に戻り、今度はタクシーを拾うつもりで大通りに向かいます。
普段は渋滞気味の大通りもさすがに早朝ということもあって閑散としています。
タクシーが拾えるかどうか不安になりつつ大通りを駅まで半分ぐらい歩いた所でようやく流しのタクシーが来てくれたので呼び止めて飛び乗ります。(こういう
点は都内は有利です)
コンビニ立ち寄りを止めて、タクシーまで使ってなんとか当初の計画通りの列車に乗り込み、無事に羽田空港に到着しました。(午前6時)
すぐに登場手続きを済ませて荷物を預けようとすると、なんと20kgの重量制限に引っかかってしまいました。慌てて登山用ザックを手荷物扱いにしてもらい
事なきを得ましたが、国内便でもけっこう厳格にやられるんですね〜。
そして、定刻通りにアナウンスが入り飛行機に乗り込みます。(6:15)
前を歩いていた中年夫婦の奥さんが歓声を上げながら飛行機の写真を撮っていたので、てっきり女性にしては珍しい飛行機マニアな方でボーイング787でも駐
機しているのかと思って搭乗デッキの小窓から覗いてみたところ、、、

こんなんが停まってました。
昔、姉貴が「タノキントリオ」のトシちゃんに熱を上げていたのを不思議な思いで眺めていた小学生時代のことを思い出しました。
飛行機は定刻通り6時半に出発し、一路鹿児島を目指します。

おおお! 富士山じゃないですか!
そういえば、昼間に飛ぶ鹿児島航路って初めて乗った気がします。
本州のすぐ南側を飛んでいくんですね〜。これは楽しい!

というわけで、感慨深く南アルプスを眺めます。
今年の夏はたくさん歩いたなぁ〜〜!
その後、無情にも地上が雲に覆われてしまったので、屋久島のガイドブックや自分が調べてノートパソコンに入れておいた情報を眺め
ながら、本日の行動計画を考えます。
(この時点でまだ決めきれていませんでした)
鹿児島空港では30分ほどのトランジット待ちだったので、トイレを済ませて弁当を買ったぐらいで搭乗アナウンスが流れ、すぐに屋久島行きの飛行機に乗り換
えます。この辺は鹿児島から船を使うより非常に効率が良い感じです。
搭乗ゲートを通過したときに急遽羽田で手荷物扱いにした登山用ザックが原因で呼び止められました。
サイズオーバーということで、ザックは機内預かりとなりました。(重要オーバーの料金請求も無く、手荷物も減ったのでラッキー)

鹿児島-屋久島線はさすがにプロペラ機なんですね〜。

最後尾の窓の無い座席に座っていたので、弁当をパクつきつつ、引き続き本日の行動計画を考えます。
キャビンアテンダントの機内アナウンスで屋久島空港の現在の天気が雨だと知らされ、落胆すると同時に行動計画についてはかなり悩みました。
最終的に本日中に一気に宮之浦岳近くの避難小屋まで駆け登り、明日の稜線歩きに晴天を期待することに決めました。(天気予報では今日も「曇り時々晴れ」
だったんですけどね〜、さすが屋久島!)
離陸してから30分、あっという間に屋久島空港に到着。(9:30)

アナウンスで通知されていた通り雨が降っているので、タラップ降りてすぐに職員さんから傘を貸してもらって空港ロビーに移動します。
預けた荷物を受取り、出口のところで私の名前を書いた看板を持って立っているレンタカー会社の女性スタッフに声をかけます。
ちなみに、今回はネットで盛大な割引セールをやっていたマツダレンタカーで「デミオクラス」を申し込んでいたので、てっきりデミオそのもの(もしかしたら
スカイアクティブ?)が運転できることを期待していたわけですが、、、

なぜか引き渡されたのは日産ノート。
マツダファンとしては、かなりがっかりです。
しかし、なんで借りた車が最初から空港の駐車場に停めてあるのか最初は不思議に思っていたのですが、どうやら自分が借りる予定の車にその場で荷物を積み込
ん
で自らマツダレンタカーのオフィス(空港のすぐ向かい)運転して移動するというスタイルでした。
なんとまぁ、合理的なやり方。
私と同時に空港に到着された方も、いきなりデミオを渡されてました。
レンタカーオフィスで保険や料金の支払い含めて最終的な手続きを行い、屋久島独自のレンタカーに関するルールを聞かされます。
最後に「今からどこに行くの?」と、質問されたので、「これから山に3日間ほど篭るつもり」と答えたら、「え?だったら、なんでレンタカー借りたの?」
と、至極もっともな質問をされました。
それは単純に「いつ山に登って、いつ下山するか寸前まで決めていなかった」ので、荷物置き場としても使えるレンタカーをとりあえず借りっぱなしにしておく
作戦だっただけなのですが、まさか借りてすぐに車を放ったらかして山に入る行程になるということは私も実は想像しておりませんでした。
(今から2日分キャンセルしても良いですか?という言葉が喉まで出かかりましたが、本当に3日間篭もるかどうかわからないので、これは飲み込みました)
ちなみに、屋久島行きの飛行機の中で決めた計画では晴天の可能性の高い日時に稜線を「縦走すること」を最優先に考えていたので、せっかくレンタカーがある
のに、公共交通機関(登山口近辺を走るバス)の制限をもろに受けていました。
しかも、本日は避難小屋に日没後に知らない道を歩くことにならないように1分でも早く到着するという条件まで付け加えたので、最終的な結果として、宮之浦
港にレンタカーを乗り捨ててからバスの出発の時間まで待てないので、タクシーで登山口に向かうという、本当になんのためにレンタカーを借りたのかさっぱり
わからない状態になってました。
それはともかく、一刻も早く登山口に到着しなければならないので、さっそく出発です。

まずは空港近くの薬局で燃料用アルコールを購入。
これは、出発前にアルコールの入手で嫌な予感がしたので、あらかじめネットで屋久島の薬局を調べてから電話連絡を入れて、在庫を取りおいてもらったもので
す。(電話した時点で最後の1個でした。我ながら素晴らしい段取り)
ちなみに、アルコールストーブなんか使わずに素直に一般的なガスストーブにしておけば、カートリッジは(あの小さな)屋久島空港内でもいろいろな銘柄のが
売ってます。

いやぁ、しっかし、本当に天気予報を覆してまで雨が降るんですね〜。
これまで登山口からカッパ着て山に登るなんて罰ゲームに等しいぐらいに考えていたので、人生初の屋久島ドライブなのにまったくテンションが上がって来ませ
ん。
宮之浦港に到着してからすぐに最終準備を済ませ、タクシー乗り場に向かいます。(10:30)
先頭のタクシーの横に立ったのにドアが開かないので中を覗いてみると、他のタクシーの運転手さんが後部座席に座って運転手さんと世間話に花を咲かせている
様子。
私の存在に気がついてくれないので、東京の殺気立ったタクシー乗り場と比べてなんともまぁのんびりしてるなぁと思いながら窓を軽くノックして小さく手を振
ります。
私に気がついた二人が慌ててタクシーから飛び降りてきたので、白谷雲水峡に行きたいことを告げつつ、念のため料金を確認すると「2600円かなぁ」とのこ
と。(ちなみに、後ろの座席に座っていた他のタクシーの運転手さんは、「3000円ぐらいだよ」って言っていたので、たぶん実際には2600円で収まらな
いのでしょう)
時間を金で買うのだから仕方がないとひとまず納得して、すぐにザックをトランクに積み込み、タクシーに乗り込みました。
運転手さんは気の優しい感じの方で、屋久島についてあれこれ教えてくれつつ、タクシーは次第に山の奥地へと入って行きます。

最初は景観の素晴らしい片側一車線道路だったのですが、最終的には林道っぽい道になって来ました。
(ここまで道路の整備が進んだのは最近のことだそうです)
そう言えば、本日2回目のタクシーだなぁと思った所で「あ!」と声を上げてしまいました。
なんと、家にわざわざ取りに戻った登山に持ち歩く用のバスの時刻表をレンタカーの中に忘れてきたのでした!
運転手さんが「どうしたの?」という感じでルームミラー越しにこちらの気配を伺っていましたが、さすがに今から取りに戻るわけにもいかず、そのまま何事も
なかったかのように平然と座ってました。
まぁ、バスの時刻ぐらい誰かに聞けばわかるでしょう。。。
(って、朝に思えていればタクシーを使わずに済んだということは考えないようにしました)
運転手さんと天気の話になったときに「面白い天気」という単語が何回か出てきたので意味を尋ねてみると、「屋久島は小さな島だけど、場所によって天気が
まったく異なることがある」のだとか。例えば島の西半分が大雨で東半分が快晴のような感じで。
実際、昨日も「面白い天気」で西半分だけ快晴だったそうな。
ちなみに、運転手さん曰く、本日は雨だからか鹿の数が少ないんだとか。
そりゃ残念。
逆に11月にしては今年は雨がやたらと多いので、白谷雲水峡の苔が全体的に活き活きとしているんだそうです。
この話を聞いた時に「屋久島に来た意味」を再認識させられました。
確かに晴れている方が気分が良いのは間違いないのですが、屋久島の景観は雨の多さが造りだしたもの。
そのことに思いを馳せつつ屋久島にいるときぐらいは「雨を楽しむ」ぐらいの気持ちで居ないとダメだなぁと思い直した次第。
とはいえ、稜線や山頂で雨に降り込まれてガスって何も見えない状況は楽しめそうもないので、明日ぐらいは晴れて欲しいなぁとは思っております。
ふと、タクシーメーターを見るとちょうど2600円になるところでした。
やっぱり越えるんだなぁと思っていたら、突然運転手さんが「じゃ、メーター止めますね」と、いきなり精算モードにするではないですか。たしかに乗るときに
値段を質問しましたが、2600円で行ってくれと言ったつもりではなかったので、ちょっとびっくりしつつ、なんか気の良い感じの運転手さんなので、少し申
し訳ない気持ちになってしまいました。
メーターを止めてからもけっこう走ったので、やはりもう一人の運転手さんが言っていた通り3000円というのが妥当な運賃なんだろうなぁと思いました。

というわけで白谷雲水峡に到着。
運転手さんにお礼を言ってから、出発の準備に取り掛かります。
周囲では修学旅行か何かで来たらしい女子高生の集団が若い男性ガイドのブリーフィングに耳を傾けたり、他の団体さんはストレッチをしたりしています。

入り口で協力金の300円を支払い、ついでに受付のおばさんに水汲み場所を尋ねると蛇口用のカプセル型のフィルターを渡され、「受付裏で汲めますよ」との
こと。(フィルターは除菌ではなく落ち葉などを入り込まないようにするためのものだそうです)
渡されたフィルターを持って受付の裏にまわり、水道の蛇口にフィルターを取り付けて水筒に水を汲んで準備万端。
受付のおばさんにフィルターを返すときに、「今日はどこまで?」と尋ねられたので、「高塚小屋までです。時間に余裕があれば新高塚小屋まで行きます」と答
えたところ、ちらっと時計を見た後、「高塚小屋から1時間よ。無理しないでね」とアドバイスを受けました。
(内心では最初から宮之浦岳山頂に近い新高塚小屋が目的地で、余裕がなかった場合が高塚小屋の予定でしたが)

では、出発!(11:15)

白谷雲水峡は屋久島を代表する一大観光エリアなので、とにかくたくさんの人が来ています。
そして、多くのグループがガイドに連れられて歩いているのに驚きました。
北アルプスとかだと、ガイドが着くのは年配のグループ客ぐらいなんですけどね〜。
(写真は高校生の修学旅行らしきグループ。興味無さ気に聞いているのが態度にありありと出ています。まぁ、私も中学生の時の伊吹山登山はかなりつまらな
かったので気持ちはわかりますが)

あと、ブームだからか、とにかく山ガールだらけです。北アルプスの比じゃありません。
高尾山あたりに行くとこんな感じなのですかね?
(写真は小川の渡渉で歓声を上げる山ガール)
あ、山ボーイもたくさん居ましたよ。

よく整備の行き届いた登山道を登って行くと、立派な屋久杉が突如顔を出して感動させてくれます。

人が多すぎるのも困りものですが、木々のスケールを記録に残すためには、人が入ってくれたほうが良いですね。

スタジオジブリの方々が(もののけ姫か何かの)取材に来た場所だとか。
上の写真に写り込んでいる白いやつはどこぞのガイドさんがお客さんへのサービスとして一時的に置いたものです。

いやぁしっかし、すごい育ちっぷりですね〜。さすがでございます。

タクシーの運転手さんが言うとおり、苔類も活き活きとしていて良かったです。
(秋に晴天が続くとこの場所の名前の通り苔が白茶けて、白い谷になるんだとか)

峠を越えて白谷雲水峡のエリアを抜けると一気に観光客が減り、道の整備状況も普通の登山道っぽくなりました、

峠から登山口と同じぐらいの標高まで下った所で、縄文杉往復によく使われるトロッコ道に合流しました。(12:45)
縄文杉往復は最短でも丸一日必要で(20kmほどの距離)、その大半がトロッコ道になるということは屋久島について詳しく調べる前から知っており、これを
見た瞬間は「ついに自分も歩くときが来たか」と感慨深く感じておりました。

というわけで、私もトロッコ道を縄文杉に向けて進みます。
時間が時間なので、すでに縄文杉を見終えた人達とすれ違いながら進むことになります。

さすがに腹が減ってきたので、東京で買って持ってきたサンドイッチをパクつきます。

延々とトロッコ道を進みます。
勾配は無いに等しいので、ペースは若干上げ気味です。

道中見つけたカエル君。

戻ってくる人のピーク時間に近づいたからか、だんだんすれ違う人数が増えてきました。
登山を普段からしている人やガイドさんが先頭で歩いてくるときは、登り(というほどの傾斜は無いのですが)優先の原則で道を譲ってくれるので、結果的にか
なりの頻
度で譲ってもらう結果になりました。
おかげで、ペースを崩されることなくどんどん進めます。

人力でもかまわないので、トロッコで移動したい気分になる景色です。

仁王杉。
名前がついているだけあって、さすがにデカイです。

縄文杉へのメインの観光ルートだけあって、途中にこんな立派なトイレ付き避難小屋があります。(13:55)
(せっかくなので、トイレをお借りしました)
30人ぐらいの人がここで休憩していました。

ここからいよいよ「本当の登山道(大株歩道)」になります。
(避難小屋の手前で180度折り返す感じで登山道が始まるので、これを見つけるのに右往左往してしまいました)

登山道に入った瞬間、ついに下山の本当のピーク時間にぶちあたってしまいました。
ガイドが先頭で歩いて来る時は登り優先で道を譲ってくれたりもするのですが、場合によってはこちらが延々と待たねばならず、スムーズに登るには程遠い状況
がしばらく続きます。
(いったい本日縄文杉近辺に何人の人が押しかけていたのでしょう?)

ウイルソン株に到着。(写真右側)(14:15)
ここら辺でようやく下山ラッシュが終了しました。
(時間を逆算すると、今ここにいる人達が明るいうちに登山口まで戻るのは本当にギリギリだと思います)

登山道と言っても急坂には階段まで設けられているので、縄文杉ぐらいだったらスニーカーで行けるんじゃないかと思います。
これは初心者登山者のために歩きやすさに配慮したものではなく、直接土や根を踏まないことによる環境保全が目的だと後ほど知りました。
ちなみに、この写真はとあるものを見つけて撮影したものなのですが、何が写っているかわかりますでしょうか?

ヤクシカです。(さきほどの写真にも小さく写ってます)
登山道が静かになったからか、登山道脇ではヤクシカが草を食んでました。

ようやく静かな森の中を歩いている気分になって、ほっと一安心です。
ある程度水平になっても、縄文杉までの区間には木道が敷かれています。

大王杉。
縄文杉が発見されるまでは日本一と言われていた屋久杉なだけあってそりゃぁ、もう立派なもんです。
(逆にこれを含めて、延々とでかい屋久杉を見てから最後に縄文杉を見るので、大きさに対する感動は少し薄れてしまうかもしれません)

その後も巨木の森を一人静かに登って行きます。
この辺はピーク時間に多くの人でごった返すからか、すれ違い用(もしくは休憩用)のウッドデッキスペースがたくさん設けられていました。
逆に言うと、こうまでしないと森の中に多くの観光客が入り込んで地面が痛んでしまうんでしょうね。
というわけで、ついに縄文杉にご対面。(15:10)

縄文杉です。

ちょうどイギリス人の若者が居たので写真を撮り合いっこしました。
写真は広角レンズで撮っているのでなおさらそう写ってますが、現地でも縄文杉本体までは少し距離が離れているので、大きさを実感できないのが残念なとこ
ろ。
昔見た写真だと、普通に観光客が縄文杉に触っていた記憶があるのですが、それは無理な状況なんですね〜。
イギリス人の若者と少しお話しました。(彼は1ヶ月間日本を旅しているそうです)

その後、彼が避難小屋方面に出発して一人きりになったので、ここでもう少し休
憩することにしました。

やはり縄文杉は一人静かに見るに限りますね!
(避難小屋利用者の特権です)

う〜ん、改めて静かに眺めると、やはり迫力が他の屋久杉とは段違いです。

発見当初は大岩杉と呼ばれていたそうですが、まさに大岩のごとしです。
堪能しました。
さて、行きますか!

縄文杉から歩き始めてすぐに高塚避難小屋に到着しました。(15:30)
ここに泊まれば縄文杉は見たい放題だと思います。
時間的に当初の予定通り新高塚小屋に行けそうなので、ここはパスします。
近くを通過するときに避難小屋から人の気配を感じなかったのですが、誰も使用していなかったんですかね?

あ、紅葉した落ち葉だ。
ここだけ秋の山を登っている気分になりました。

登るに連れ巨木からだんだん背の低い木々へと切り替わってきました。

しばらくして、新高塚避難小屋に到着!(16:10)
白谷雲水峡から5時間弱でした。
大きな地図で見る
(GPSの電源を入れ忘れていたので、途中からの記録です)
今日は雨降りの平日なのでもしかしたら空いてるかもと期待していたのですが、なんと20名近い団体さんとかが入っていて超満員状態。(定員40名)
一応ツェルトも持ってきてはいるのですが、こんな冷たい雨の中でわざわざ雨漏り必至のツェルトで寝たいとも思えないので、ひとまず空いているスペースを探
そうと入り口入ってすぐの梯子を上がったスペースを確認すると、おじさんが余裕を持って二人分使っているような感じでだったので、声をかけて半分場所を空
けてもらいました。
(なので実際のところ、どのぐらい満員になっていたのかは実はわかっていません)

汗で濡れたTシャツを着替えて温かい服を着こみ(気温は10度を下回ってます)、濡れているカッパ類を備え付けのハンガーで干してほっと一息。
ちなみに、カッパは屋久島登山に向けて上着だけ新調しました。6年前に購入したものよりずいぶんと軽量コンパクトな上に着心地もかなり快適でしたが、最新
の高機能透湿素材でもかいた汗を完璧に逃がすところまでは無理でした。(カッパ着てなくてもTシャツが濡れるんですから当たり前ですね)

内部はこんな感じです。
私の後に数名到着したのですが、その人も奥のスペースで寝られたみたいなので、若干は余裕があったみたいです。
北アルプスの山小屋と違って無人の避難小屋なので、売店とか快適装備は一切ありません。
ひとまず落ち着いた所で場所を譲ってくれたおじさんといろいろお話ししました。
おじさんは学生時代から登山をしていたそうなのですが、子育て開始と共に一度登山から離れ、息子を「男にするために」富士山に連れていったのがきっかけで
再び登山の世界に戻ってきたのだそうです。(富士山は相当気に入ったらしく、2人の息子とそれぞれ登ったのでは飽きたらず、今では一人で毎年登ってるんだ
とか)
今年は嫌がる中学生の息子にお小遣いあげてまで引っ張り出して北海道まで登山に行ったそうな。そこまでして、息子と行きたいもんなんですかね〜?
まぁ、私もオヤジにトライアルバイクの世界に中学生の時に引きずり込まれたのがロードスター購入までつながっているので、そんなもんなのかなぁと思いなが
ら興味深く話を聞いてました。
ちなみに、今回は会社から5年に1度もらえる長期休暇を利用して鹿児島の実家に顔を出すついでに屋久島に立ち寄ったそうなのですが、行程を聞く限り屋久島
登山のついでに実家に顔を少し出しているようにしか思えませんでした。
実家が鹿児島ならいつでも屋久島に来れるんじゃないかと思って質問したら、法事や葬式ぐらいでしか実家には顔を出さないので、屋久島には行きづらい雰囲気
なのだとか。
なるほど。
そう言えばと思い出し、おじさんにバスの時刻表を持っていないか確認したところ、私が下山したい登山口のバスの時刻表はなかったのですが、別の登山口の時
刻表があったので転記させてもらいました。
この雨が明日も明後日も続くようなら、バスの時刻表が入手できた登山口に明日中に降りてしまうのも手だなと窓の外で振り続ける雨を眺めながら考えていまし
た。
小屋の中も薄暗くなってきたので晩御飯の準備を手早く済ませます。

レトルトカレーにレトルトの鹿児島豚の煮込み、そしてパックのご飯に味噌汁と、登山にしては重量級の食材ですが、そのぶん味はイケてました。
おじさんは持ってきた焼酎とおつまみでかなり出来上がっていて、「山ではこれが楽しみなんだよ〜」と、とても満足気でした。
21時頃までおじさんとあれこれお話をしたり、明日以降の行動計画を考えながら時間を過ごし、他の方々も寝入りはじめたところで我々もシュラフ(私は南ア
ルプス縦走の時と同じようにシュラフカバーのみ)に潜り込んで眠りにつきました。
って、冷た!
なんと、顔の上に雨漏りしてきました。
仕方なしに、少し横にずれて再び寝入りました。
おやすみなさい。
つづく