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どこからか鳴き声が聞こえてくるので、まだ遠くに飛び去ったわけではないみたいです。
敷地内でマスの養殖をしているらしく、ご主人らしきおじさんが餌をやる度にすごい勢いでバシャバシャとマスが跳ねてます。
おじさんが大声でガイドさんに声をかけて楽しげに会話しているのを眺めながら、こんなに騒々しかったらケツァールもどこかに飛んでいってしまうんだろうなぁと考えてしまいました。
そして、アボカドの木の前に立ってしばらくすると、突然旦那さんが
「ケツァール!」
と、言いながらアボカドの木を指さし、ガイドさんではなく旦那さんが見つけたので、まさかと思いつつ指さす方向を眺めます。
ん〜〜、目の前の木なのにどこに居るかわかりません・・・
何度か旦那さんの方を振り返り、指差す方向を慎重に確認しながら目を凝らして探していると、突然緑色の尾の長い鳥がアボカドの木から飛び立ち、斜面の上の方向に向かって飛び去って行きました。
やったーーー、ケツァールのオス、飛び去るところを見ました!
というか、この旦那さん、さっきからガイドさんより先に見つけてるし、何者なんだろうと思いつつ、気分も軽やかにスキップしたい気持ちで坂を登っていきます。
他のパーティーはすでにケツァールの居場所を把握しているらしく、すでに観察体制に入ってました。
オスは最初にメスを発見した斜面中央に生えているアボカドの木に停まっていて、尾が長いのと比較的枝葉の少ないところに居たので、今回は私でもすぐに見つけることが出来ました。(8:15)
ガイドさんがこれ以上前に進まないでとジェスチャーで合図をし、スコープの三脚をセットしました。
ご夫妻に先に覗いてもらい、私も観察させてもらいました。(その前に自分の双眼鏡で覗いてましたが)
お〜、なるほど、こんな鳥だったんですか! (出会った時に感動できるように、実物を見るまで他の人が写した写真等をあまり見ないようにしてました。というか鮮明な写真がそれほど無かったというのもあるのですが)
手塚治虫の「火の鳥」のモデルとも言われているみたいですが、納得の出で立ちと顔の表情です。
しかし、今回も木陰のど真ん中。ピントを合わせるのも手ブレを抑えるのも非常に難しいです。
(三脚ぐらい使えばよかったんでしょうが)
なんとか数カット撮影し、動画でもと思って普通の望遠レンズに交換をしてから静止画を先に撮影していたら、突然飛び立ちました。
飛んで行く姿を流し撮り!(トリミングしてます)
って、全然ちゃんと写ってませんね・・・
いや、でも本当に飛び姿も美しい鳥です。
我々も追いかけるように飛び去った方向に歩いて行って探してはみたものの、そう簡単には見つからないので、先ほど一瞬だけケツァールが停まっていた川の上流のアボカドの木に移動しました。
しばらくすると、我々の予想通り再び飛んできて、この時は私も旦那さんとほぼ同時に見つけることが出来ました。
(旦那さんがすごい良い目をもっているんだということは確信に変わり、一方、ガイドさんが役に立ってる感がまったく無いわけですが、もしかしたら見つけても驚かさないように騒がなかっただけかもしれません)
今回は写真を撮る間も無く飛び立ち、その後は見かけることができませんでした。
ガイドさんが
「そろそろ朝食に戻りますか?」
と、尋ねてきたので、個人的には大満足だったので賛同し、ご夫妻も問題ない様子だったので駐車場に戻りました。
途中で畑主の家に立ち寄り、対応に出てきた若い白人の娘さんに一人5ドルずつ支払いました。
再びジムニーに乗り込むと、ケツァールを見た興奮からかガイドさん放ったらかしで日本語でご夫妻と会話しつつホテルに移動しました。
ホテルの受付前で解散ということになり、チップを払う段になったのですが、個人的には「オスのケツァール探しで役に立ってる感が少なかった」「ヘイナ君ほどではない」ということからゼロでは無いにせよ個人的な基準より若干少なめに払いました。(サービス業のチップってそういうもんですからね)(8:45)
ホテルの朝食提供時間はすでに終了していたのですが、ガイドさんが交渉してくれ、我々のためだけに朝食を提供してもらえることになりました。(ビュッフェスタイルでした)
せっかくなので、仲良くなったご夫妻とテーブルを一緒にさせてもらい、ここで私が疑問に思っていたことをいろいろ尋ねてみました。
そして、Nさん(という名前でした)ご夫妻についてわかったこと・・・
・今回は結婚1年目にしてようやく実現した新婚旅行だったということ
・私と同じようにカセさんが経営するゴジツアーズさんにすべて手配をお願いしていたということ(宿などもすべておまかせで選んでもらったみたいです)
・仕事の関係で旦那さんは滋賀県、奥様は東京都と結婚後も離れ離れで暮らしていること
・旦那さんは植物の特に生態学の研究員をされているということ、奥様はとある動物園のボランティアガイドをされているということ(どおりで旦那さんはアボカドに興味を示されていたわけです。私が大学でちょろっと囓ったぐらいの話とはレベルが違います)
・旦那さんの趣味はバードウォッチングであるということ(自分基準で「良い目をしてる」なんて思ってましたが、考えてみればケツァール見るために(2人分の往復航空券まで含めれば)すごいお金を出して来ているわけですから、鳥好きに決まってるんですよね)
・旦那さんが首からぶら下げていたニコンの渋い双眼鏡は植物生態調査で使う「商売道具(本人談)」だったということ。
・今回は最初にサンヘラルドデドータ(ここ)でバードウォッチを3日間(!)ほどしてから、ラ・セルバに向かい(ヘイナ君を紹介しておきました)、最終的にはモンテベルデ生物保護区(私が本日これから向かう場所の近く)の3箇所を巡ってから帰国するとのこと。ひたすら植物と鳥を観察するのだとか。(旦那さんの趣味全開ですね)
・奥様はコルコバードなどで動物もたくさん見たかったらしいのですが、「場所を絞ってじっくり見たほうが良い」という旦那さんの旅行哲学とご本人の「植物・鳥」好きというところから今回のコース取りになっており、奥様はほんのちょっとそれが不満だったみたいですが、非常に明るい性格でいらっしゃるので、「旦那が一人で決めちゃったのよ〜」と笑いながら明るい調子で仰ってました。
逆に、これまで私が行った場所について(コスタリカ以外でも)おすすめの場所を尋ねられたので、普通に話すとトラブル日記になってしまうところを、なるべく絶景や鳥、動物、植物が見られる場所をテーマにお話しして紹介しました。
そういう意味では個人的にはカラハリトランスファーナショナルパークなので、そこをイチオシにしておきました。
理系男子そのままの真面目な旦那様と、明るい性格でムードメーカーの奥様、本当に素敵なご夫妻でした。正直海外の旅先で日本人と交流すると日本人の中でコミュニケーションが閉じてしまいそうで避けたいと思っているのですが、今回はきっかけはともかくこんなお二人と知り合えて本当によかったと思いました。(ケツァールも真っ先に見つけてくれましたし(笑))
そんな感じで二人と大盛り上がりしているうちにすっかり時間が過ぎ去ってしまったので、そろそろ私も次の目的地に向けて出発することにしました。
私のメアドをお二人にお伝えし、いつかどこかでの再会を期待しつつお別れしました。
せっかくなので、ハチドリがホバリングしてるところの写真でもと思ったのですが、これが意外に難しい!