前編に戻る






ふむ、ちゃんと整理整頓されてますね。吊るしてあるBC(ダイバー用浮き袋)も真新しくて好印象です。


今日は水中メガネ(度付き)と水中カメラ以外フルレンタル(屋久島で味を占めました)なので、ちゃんとした道具を貸してくれるサービスかどうかは気になっていたところでした。


若い白人のスタッフさんが声をかけてきてくれ、申込用紙の記入と免責同意書(死んでも自己責任、訴えません)にサインをするように言われます。


書類の記入が終わると、お次はレンタルするギアのチェックです。


ウエットスーツはその場で着てみたのですが、ちょっとブカブカかなぁと思いつつ、まぁいいやとそれを使うことにしました。






その後、スタッフさんに図鑑を貸してもらい、カタリナ島で何が見られるかページを開きながら質問してみたのですが、お目当てのカウノーズレイ(ウシバナトビエイの群れ、英語では群れのことをschoolって言います。メダカの学校の世界です)を始め、イーグルレイ、マンタやらホワイトチップシャーク、そして何と「ギンガメアジの群れ」まで見られるんだとか!


みんカラで「ぎんがめ」と名乗って早うん年。(まる5年ぐらいですかね) ようやくギンガメアジの群れを旅行記で紹介する日が来ました。


と、散々盛り上がったところでスタッフさんが最後の最後に「Maybe(たぶんね)」と付け足した所で、内心ずっこけつつ、そりゃそうだ、というより、「期待してはいけない!」と自己暗示をかけようと思ったのですが、図鑑を見せて確認している時の「イエス!」という返事があまりにも自信満々でこちらも興奮してしまい、もう今更期待するなと言われても無理な状態ではあります。


ちなみに、この若い白人のスタッフさん、イギリス出身のベンさんという方で、ここで働く前はオーストラリアでガイドをされていたそうな。


「海も仕事も暖かい所に限るよね」とのこと。


たしかにイギリスの海でダイビングって、あまり聞かないですもんね。



まだ私一人しかサービスに顔を出していませんが、今日のお客さんは総勢11名で、5人と6人のチームに別れ、私はベンさんのチームだとか。


ついでに本日(タンク)3本分潜れそうかどうか確認してみると、「どうだろう、人が集まらなかったら3本目は開催しないから今日は無理なんじゃないかな?」とのこと。


まぁ、1本目、2本目が大当たりしたら参加者も盛り上がって「三本目おかわり!」って言うかもしれませんし、大外しでも悔しくて「もういっちょ!」って言い出すかもしれないので、こればっかりはその時になってみないとわかりませんね。


日本の常連さんが集まるダイビングサービスなんかだと、常連さんが当たり前のように3本目をリクエストすることが多いので高確率で3本潜れるんですが、このリゾート地ではどうなんでしょう?


う〜む、先ほどの「maybe」含めて大外し&2本で終了という嫌な予感がしてきました。。。







まぁ、それはともかく、どんな海なのかとても楽しみです。(壁に貼ってあったポイントマップ)


集合時間の7時半頃になって、次々と参加者の方々が集まってきてサービス内が賑やかになりました。


皆さん西洋人の方です。


車で来ている人は少ない(下手したら私一人)みたいなので、皆さんこのホテルに宿泊されているのかもしれません。






8時ちょっと前に移動開始しました。船着場まで歩いて行けるみたいです。









あの沖合に見えている船でしょうか?









なるほど、小舟で船まで移動するんですね。


当然のことながら、小舟に乗る時点でひざ下ぐらいまで余裕で海水に浸かります。
大事なものはすべて防水袋に入れてあるので、転んでも波をかぶっても問題ないのですが、慎重に船に乗り込みました。






そしてダイビング用の船に移動しました。









出航前にまずは機材セッティングです。
(ということは、外海は多少波が高いのでしょう)








では、出発!









いや〜、楽しみです!









ん? あれがカタリナ島?

と、思ったら、そうでは無いみたいです。カップケーキ(ベンさんの発音だとカップケイク(CupCake)というポイントで、1本目はあの岩の周囲を潜るのだとか。



先に6人チームが海に飛び込んだ所で、船に残されたメンツを見て、誰が私と同じベンさんチームかようやくわかりました。


向かいに座っていたご年配の夫婦と横に座っていた長身(身長190cmぐらいあったんじゃないでしょうか)のイケメンイタリア人男性。持参のウエットスーツもイタリア製(マレス)です。私もマレスが好きでけっこうマレス比率が高いので親近感を持ってしまいました。



ベンさんから簡単なブリーフィングを受け、我々もいよいよ海に飛び込みます。







では、張り切って行ってみましょう!







って、冷てぇ!







ダイビングコンピューター(腕時計)で水温24度表示ですが、ウェットスーツが薄くて(3mmあるか無いか)ブカブカだったので、そっちが原因だと思います。



しかも、水中はなんにも見えません!!!(透明度2〜3mあるか無いか)



これで潜るの!?



と、思っていた所でベンさんから潜行開始のサイン。



OKサインを返しつつ、ベンさんを絶対に見失わないように注意しながらBC(浮き袋)のエアを抜きます。


重りは(ウェットスーツはプラス浮力なので、わざわざ重りを付けて潜れるように相殺します)、適当に10ポンド(4kg前後)って申告したけど大丈夫かな、、、と、思ってましたが、肺の空気を吐ききったところで水面が頭上に来たので一安心。



あとは味噌汁みたいな透明度の中、ベンさんを常に視界に入れながら沈んでいきます。



ベンさんはご年配の夫婦のBCを手で掴んで、二人が離れて行かないようにしています。どうやら、二人は初心者のようです。



えーっとベンさんの水中メガネとフィンは、、、(水中での見た目を覚えておかないと、髪型も顔も全然変わるので誰が誰だかわらなくなります)


と、思った瞬間、先に潜っていた別グループの誰かが吐いた泡が下から大量に上がってきて、視界がゼロになってしまいました。



泡が去るのをじっと待って、泡がなくなった次の瞬間、



「しまった、見失った!!」



おいおい、勘弁してくれよ、こんなところで、、、、



泡に包まれる前、ベンさん達の方が気持ち下に居たので、慌ててヘッドファースト(頭を下にして)フィン蹴って追いかけようとしたら、足が水中でスカっと手応えなく動きます。フィンが脱げたのかと足を見ると、別に脱げてはいません。


要はフィンが柔らかく小さすぎて(言ってみればおもちゃのフィン)、まったく期待通りに前に進まないのです。


これで半分パニックになりつつ、とにかく全力で蹴って下に進みます。(というか、進みません) 何も見えないので進んでいるのかどうかもわかりません。


途中、目の前に数名のダイバーが現れたのですがベンさんだという確証が持てず(というか、それが誰だか確認する前に濁りの中に消えて行ってしまいます)、こりゃ探すだけ無駄だと諦め、はぐれたときは1分ぐらいは水中で探すものなのですが、早々に浮上の決断をしました。



あ〜、ダイビング歴15年、経験本数244本にして、はじめて自分が原因で水面集合をやらかしてしまいましたよ・・・・、とほほ。(これまでにも撮影に夢中になっていてあわやということは過去に数回ありましたが、ぎりぎり事なきを得てきたのですが)


水上に顔を出すと、まず遠くに居たボート上のスタッフに大声で近くにベンさんが上がってないか確認します。
(潮の流れがかなり速いからか、ほんの少しの間にけっこう流されてました)


まぁ、当然上がってないわけですが、一応状況を知らせておかないと、緊急事態と勘違いされても困るので、状況報告も兼ねての声かけです。



そして、上がってきてくれるのを待つこと10秒。


10mほど離れたところに3人ぐらいが浮上してきました。


私を探すためだとすると、意外に早かったなと思いつつよく見ると、水面に浮かんだ頭は4つあります。


マスクを外した顔を見て、一人がベンさんであることがわかりました。


こんなに早く全員上がってきてどうしたんだろう?、と内心で思いながら、ちっとも進まないフィンを蹴りながら近づいていくと、ご年配夫婦の男性がパンパンに膨らませたBCにもたれかかるように仰向けに水面に浮かび、マスクとレギュレーターは外され、荒い息をしながら目を見開いて空を睨んでいるのが見えてきました。


どうやら、私を探しに来てくれたわけではなく、ご年配の男性が透視度が悪いせいで閉所恐怖症か水中恐怖症でパニックを起こして、水中に居られなくなってしまったのでしょう。


結局しばらく待っても男性の状態は改善せず、一人だけ船に戻ってもらい我々だけで潜ることになりました。


この時、船が迎えに来てくれるのかと思ったら、船まで水面移動を全員でせねばならず、(下にダイバーが居るので船のスクリュー動かせなかったのでしょう)えらい大変でした。
シュノーケルは借りてなかったので、タンクのエアを使わないように仰向けになって超全速力でおもちゃのフィンでバタ足してました。(BCとかタンクをつけてるしウエットスーツも抵抗になるので、全然進まないんですよ、これが)


まぁ、ぐったりして動かなくなった年配の男性を曳航していたベンさんも大変だったとは思いますが。





男性を船の上に送り届けてから、再び潜行開始。







今度はブイの下に伸びるロープを使って潜行。

(最初からそうしてくれれば良いのに・・・・)









潜っていくと、水深10mぐらいのところにサーモクライン(温度の違う海水が混ざらないまま上下に分割されている境界線)があって、そこから先は少し透明度が良くて(3〜5mぐらい)嬉しかったのですが、、、この層はめちゃくちゃ寒い!!(水温22度ぐらい)



そして、上に濁った潮が覆いかぶさっているので水中は暗いです。



水の色も黄土色で「トロピカル!」とは程遠い世界です。
(この色は愛知在住時に三重の尾鷲で潜った時に一度だけ体験したことがあります。藻類のプランクトンが大量発生してるんだと思います)


まぁ、それはともかく、ウシバナトビエイの群れでもギンガメアジの群れでもマンタでも出てくれれば、まったく問題ないわけですが、、、、



まずもって魚影が少ないです!



いや、こんなにプランクトンが発生しているんだから、もっと魚が居てもいいんじゃない?って思うのですが、種類も数も全然居ません。(最初に掲載した写真はたまたまスズメダイの仲間が群れていた場所です)



加えて透視度も悪いので、たとえ遠くに群れていたとしてもさっぱり見えそうにありません。
(潮の流れの関係で、魚たちが一箇所にゴチャっと居ることはよくあります。そこを透視度が悪くても引き当てるのがガイドの腕なのですが)


いやぁ〜、伊豆半島のビーチポイントでももうちょっと魚が居るんですけど・・・・(いや、伊豆半島は世界有数の漁場ですし、黒潮の恵みもあって世界でも一線級のダイビングポイントなのですが)


そんなことを思いながら、必死にフィンキックして(必死さは醸し出さないようにしてましたが)、ベンさんが何かを見つけて指さすのを待ちます。(自分でも一応周囲を探してましたが)







イシガキフグみたいな可愛いフグやら、、、







モヨウフグの仲間ですかね?








ガンガゼにゴシキイセエビなんかが居るあたり、南方系の海なんだなぁとは思います。



んが、しかし、寒い!










改めて残りの二人を見てみると、イタリア人のイケメン男性は手と足を使ってバランスを取っており、彼は明らかに初心者さん。


ご年配の女性のかたも中性浮力(水中で肺の空気とBCのコンビネーションで深度をキープする技術)ができていないみたいで、常に手足をばたつかせてます。



う〜む、皆さん初心者さんでしたか。(その中で、真っ先にはぐれて水面に向かったのが私だったということが恥ずかしい限りなのですが)




これは嫌な予感が3倍増しです。



潮に逆らうように岩壁伝いに進んでいったのですが(エアや体力の関係で、船をアンカリングして潜るときは大抵最初に潮の流れに逆らって進み、後半は潮の流れに乗って帰ってきます。今回フィンがあれだったので、行きの行程はえらい大変でした)、流れに対してカップケーキ岩の最上流に出たからか突然潮の流れが速くなりました。


普通なら「いよいよ来たか!」(潮の流れの速いところに魚は群れてます)というシーンなのですが、その潮を頬に感じた途端にベンさんが方向転換の指示を出して、引き返しにかかります。



あ〜、やっぱりね〜。そうなのね〜。



というわけで、るるる〜と内心で歌いながら、すでに魚が居ないのがわかっているコースを引き返していきます。
(中性浮力すらままならない初心者満載のチームで透視度が悪く潮の流れが複雑で速いところに飛び込むのはとても危険ですからしかたがないのです)



いや、帰りに突然ウシバナトビエイの群れが目の前に現れるかもしれません!



という期待をしてはいけないのだと水中で反省する間もなく、無情にも浮上のサインが出されます。


こりゃ、今日は全然ダメかもしれません。。。



とりあえず船に上がり、タンクを交換するように指示されたのでタンクを交換します。
ということは、陸上には戻らずに続けて2本潜ることになります。








船が移動を開始した所でスイカとスナック、ジュースが配られました。
体が冷え切っていたので、できれば温かい紅茶とかが飲みたかったですが、気温自体はそこそこ高いので、このチョイスなんでしょう。


隣りに座ったイケメンのイタリア人男性とも少し話したのですが、私のヒアリング能力では、何を言っているのかちゃんと理解できず、たぶん「魚少なかったね〜」みたいなことを言っているんだろうと推測して適当にうなづいてしまいました。(良い人そうだったので、もうちょっとお話ししたかったのですが)




船の縁に何気なく手をついたところ、ぬるっと滑った感じがしたのでそこを見てみると、なんとそこにゲ○が付着していました。


おじさん、、、吐くんなら自分の座る所で吐くか、万が一船を汚しても水で洗い流しておいてよ・・・・、って、あの様子じゃ無理か。




船は沖のカタリナ島に近づいていくどころか、逆にプラヤフラミンゴの方に戻るように進んでいます。







大きな地図で見る
あ〜、こりゃぁ、カタリナ島近辺で潜るのは透視度と潮の関係で今日は諦めたんだなぁと、がっくり来ます。




もう、どうにでもなれ! です。









10分ぐらいで港の横に位置するサマイウォール(SamaiWall?)というポイントに着いてしまったのですが、ここで水面休息を取るのかとおもいきや、そのまますぐに潜るみたいです。
(まぁ、一本目も最大水深18m、平均11mで35分ですから、たいして窒素は溜まってないはずです)



「ここで何か魚は見られそうですか?」


と、一応ベンさんに質問をしてみると、


「マンタとかウシバナトビエイとか」


と、真顔で答えるので、よせばいいのに再び期待モードに入ってしまいました。



普段ダイビング中にムービーや写真を撮りまくっているときは1本潜るだけでもバッテリーが危うい状態になってしまうのですが、今回はまったくといって良いほど使ってないので、まだ全然大丈夫なのが悲しいところです。






さて、行きますか。



って、2本目はおじさん参加するんですね。





そして、潜行開始から3分後、おじさんはベンさんに付き添われて水面へと消えて行きました。




ベンさんから「ここで待っててね」というサインが出ていたので、適当に魚を眺めながら戻ってくるのをしばらく待ちます。








2本目のポイント、陸に近づいちゃったのでどんなもんかと思ってましたが、少なくとも1本目よりは魚が多かったです。スズメダイとか美味しいそう系の魚とかサバ科の魚が群れてました。






群れ好きの私としては、それで喜んでしまうのですが、群れのサイズ(濁ってるので頭からお尻まで全部が見えていたわけではないのですが、推測で)伊豆の一線級のポイントで見られる群れよりもまだ少ない感じでした。







改めて、日本って(群れの観点から)恵まれてるんだなぁと、こんなところで感心してしまいました。


まぁ、ここも「当たれば」マンタとかウシバナトビエイとかギンガメアジの群れなんかも出るみたいなので、本来の実力は相当なもんなんでしょうけど、それを見ようと思ったら、数日間滞在して粘るぐらいの予定で来ないとダメなんでしょう。



あと、初心者が少ない、もしくはレベル分けしてくれるサービスに行くのも重要だと思います。







ベンさんが唯一指さしたのがこのウミガメくん。









2本目はそれなりに魚も見られたので、個人的には納得しつつ浮上しました。
(大物狙いの人だったら、大外しって感じでしょう)








ムービーだとこんな感じになります。






イタリア人の男性はさっそくログブックを付けていて(いかにもCカード取得時にもらったばかりの真新しいPADIの小さいノート)、それが大柄で濃い顔イケメン系の彼とあまりにも不釣り合いで(失礼)、ちょっと微笑ましく見てしまいました。(ちゃんと、ベンさんに確認のガイドラインももらってました。初々しい!)


ちなみに、私も今回突然「ログブック見せて下さい」って言われた時の対策として、過去のダイビングすべてのデータをエクセルに入力して持ってきていたのですが(要はデジタルログです。そのおかげで今回が244本目だとようやくわかりました)、ついぞそんなことは言われることもなく船は砂浜に戻りました。
(サービスよってはログブックを見てダイバーの実力を推し量られることもあります)



とても「三本目に行きましょう!」と、言う気にもなれなかったのと、誰一人そんなことを言い出しそうもなかったので、皆と一緒にサービス施設に歩いて戻ります。



帰りも小舟の乗り降りで足が海水で濡れてしまっていたのですが、皆さんホテルに宿泊しているからか、誰も着替えたりシャワーを使ったりすること無くそのまま三々五々解散してしまったので、私もシャワーや着替える場所の確認をすることもせずにTシャツと短パンに車の中で着替えてしまいました。(イタリア人の男性とだけはちゃんと挨拶して別れました。彼は最後までナイスガイでした)


幸い船上で乾燥した風に吹かれて体はすっかり乾いていたので、髪の毛だけがゴワゴワになってますが(あと、たぶん塩を吹いていると思います)、まぁ、問題ないでしょう。


出発する前にベンさんに一声かけます。
(チップはあえて払いませんでした。チップ用の調度良い小銭がなかったのと、安全管理優先とはいえ、ただ先導しただけで何の魚も紹介してくれなかったのに大銭は払えなかったので)


「3本潜るつもりで居たので、これからどうするか考えてないんですよ」と、半分独り言のつもりでつぶやいたら、



「昼ご飯をその辺で食べて、ドライブでも楽しんだらどうですか?」



と、言われたので、そうすることにしました。(11:50)







では、ちょっとその辺を走ってみることにしますか!






つづく