三連休の天気予報を見て、月火の1泊2日で紅葉の槍ガ岳に登ることに。
前々から一緒に山に行きましょうと約束していたTABさんをお誘いした所、1泊2日は無理だけど日帰りで途中まで一緒に歩きたいとのこと。
さらにTABさんがくりのすけさんとばしらさんをお誘いし、計4名のパーティーで上高地から歩くことになりました。
10月7日(日)
夜8時頃東京を出発。
渋滞する反対車線を尻目に快調に談合坂SAに到着したところで夕飯タイム。
車を降りてお尻のポケットに手を入れた所、入ってるはずのものがなぜか入ってません。
思わずシートに落ちてるんじゃないかと車に戻ってドアを開けて確認したのですが、よくよく考えてみたら登山用のズボンに財布を入れた記憶がまったくありま
せん。
顔から血の気が引いていくのを感じつつ、真っ白になりかけの頭で考え速攻で出した結論はTABさんにお金を借りてしまうこと。
(渋滞する中自宅まで戻って財布を取りに行くと、眠る時間がなくなってしまうので・・・)
早速携帯で電話をすると、TABさんは明日の早起き(2時起き)に備えて、すでに就寝中とのことでした。
事情を説明し、自宅まで受け取りに行くと申し出たのですが、優しいTABさんは夕飯すら食べられてない私に気を使って、今すぐ出発してみどり湖PAで待ち
合わせしましょうということにしてくれました。
申し訳ありません・・・・
「ぎんがめさんって本当に・・・・」
という言葉の続きを飲み込んだみたいですが、わかりますよ、その気持ち。
すみません、これまでの旅行記で書いてる数々の忘れ物の記録はすべて真実なのです。
こんな私です、お世話になります。
というわけで、みどり湖PAに向かうとTABさんはすでに到着して待っていてくれました。
右手にはお弁当とお茶や行動食用のパンを持ち(みどり湖PAはすでに営業終了していて売店すらやってなかったので、それを見越して買ってきてくれていまし
た)、左手には現金を、それはそれは天使の様なお姿でした。
そして、なんとTABさん、諸事情により登山には行けなくなってしまったとのこと。
事情が事情なだけに強くお引き止めするわけにもいかず、結局お金と差し入れの食事だけ頂いてPAで解散となってしまいました。
すみません、TABさんの分まで楽しんできます。
というわけで、コンビニに立ち寄り早速買い物を済ませて沢渡に向かいます。
午前0時過ぎに上高地の玄関口となる沢渡の駐車場に到着し、車中泊と相成りました。
10月8日(月)
午前3時半起床。
ぼちぼち準備をしているところにくりのすけさんから電話がかかってきて、無事に合流できました。(お会いするのは今回2回目、前回は数年前)
4時過ぎに準備を終え、タクシーに乗っていざ上高地へ。
上高地に入る道路のゲートが開くのが午前5時だということでタクシーの中で待っていると、見覚えのある紺色のZ4Mがタクシーの横をトロトロと追い抜いて
いきます。ナンバーを見てすぐに気が付きタクシーから飛び降りて手を降ったのですが間に合いませんでした。

四国修行ドライブ帰りのthreetroyさんです。(本人は修行なんだと主張しておりますが、普通四国(の柏島)からの帰りに安
房峠は通過しません。って、よくよく考えてみたら私も九州行く日に安房峠を超えることはよくあるのですが、まぁ私の場合は大阪からフェリー使ってますから常識の範
疇です)
threetroyさんとは青森の竜飛の先っちょで初めてお会いし、その次は岩手八幡平や青森の下北半島、そして今回早朝の安房峠の麓と、一度連絡を取り
合って東京で飲み会した以外はお互い東京人とは思えないような場所とタイミングでばかり出会います。
次はどんな最果ての地で出会うのでしょう?

というわけで、まだ暗いうちに河童橋を通過。(5:10)
(懐中電灯を持っていたのですが、電池がすぐに切れてしまい、月明かりが明るかったこともあったので電池交換せずに切れたまま行きました)

朝日を浴びる明神岳。(を拝むためにけっこう粘ってしまいました)(6:05)

2人は歩くペースが私より断然速かったので先に行ってもらいました。
今日は長丁場なのと、後半に行けば行くほど辛いコースなので無理はできません。
どのぐらいきついかと言うと、歩行距離20km(東京駅から川崎駅までぐらい)歩きながら累積標高差1600m(サンシャイン60を7回弱登る)と北岳登山より断然きついコース
で、前回チャレンジしたときはかなりヘバった強烈な印象が残っているコースです。

上高地から2時間半で横尾に到着。(7:45)
TABさんに頂いた黒糖パンを3人でいただき、くりのすけさんとばしらさんは涸沢の紅葉を見に行くということで、ここでお別れしました。
ここまでご一緒いただき、ありがとうございました!

私は一人で美しい槍沢沿いに黙々と歩いていきます。
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涸沢に向かう道と分かれると劇的に人が少なくなり、ほとんど誰とも会わなくなりました。(私はGPSログの赤い線上を、ばしらさんとくりのすけさんは左の横尾谷の方へ進んでいってます)
紅葉の槍ヶ岳ってそれほど人気がないんですかね?

槍沢ロッジに到着したところで、ロッジ前にバードウォッチングで使うようなスコープが三脚にセットされていたので覗いてみました。(9:20)

お〜、槍ヶ岳じゃないですか!(サブ望遠で撮影)
なるほど、そういう立地の場所に小屋が建てられていたんですね。

サブ望遠レンズをセットしたついでに山の端と早朝の暗い道を照らし続けてくれた半月のショットも撮影。

続いてTABさんがここまでは行きたいと言っていたババ平。
だんだん標高が上がってきて、紅葉が色づいて来ました。(標高2000mぐらいです)
でも、本番はここから先なんですよ。

正面に東鎌尾根が見えてきました。
圧巻の光景です。

向かいの山肌もまさに紅葉が始まったところです。

紅葉真っ盛りの槍沢に到着!(10:40)
中岳(左)に大喰岳(右)。
ブラボー!

今年は10年に1度の紅葉と言われていて、そりゃぁもう見事な光景です。

3連休最終日ということで、下っていく人も口々に「下山するのがもったいない!」とおっしゃられています。
(振り返ったところです)

ナナカマドのこんな綺麗な赤色、初めて見ました。

写真左上、飛んでるのはグライダーです。
パイロットの気分は最高でしょうね!
もちろん私の気分も最高です。
10時はとっくに過ぎているのですが、ご覧のとおり快晴が続いてましたよ、TABさん!

南岳に向かう分岐を別れてから少し歩いて振り返ると、ナナカマド越しに槍ガ岳を拝めます。
TABさんにこの光景を眺めて欲しかったんですよね〜。

さらにもう少し進んだところにある天狗原。(12:00)
正午を過ぎてようやくガスが昇り始めました。
間に合ってよかったです。もし間に合わないようなら槍ヶ岳の方に登り、明日下りで天狗原を通過するつもりでした。

この絶景を前に昼食タイムにしました。
う〜ん、最高!
そして、楽しかった山歩きはここまで。

ここから文字通り地獄の登りが始まります。
ここまでかなりの長距離を歩いてからの急登(しかも悪路)なので、かなり辛いのです。(なので、普通は途中の山小屋で一泊するのが一般的です)

振り返れば紅葉の槍沢は遥か彼方。

槍沢でさえ人が少なかったのに、南岳に向かうコースは人っ子ひとり居ません。
(一人だけおじさんが「酷い悪路だ!」って憤慨しながら下って行かれました)
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今回は前回みたいにシャリバテこそしませんでしたが、やはりヘバリました。
人間(というか私は)忘れっぽいらしく、偽ピーク(偽稜線)に落胆しつつ、こんなにきついコースだったかと再認識させられました。
ガスっていて眺望もへったくれも無かったので南岳の山頂は素通りしようと思ったのですが、山頂で記念撮影を頼んできた男性2名組が香港から来た方々で、少
しお話しました。(14:30)
そして15時前に南岳山荘に到着。

テン場の端っこの方にツェルトを張りました。
途中ですれ違った人に聞いた話によると、涸沢はテント1000張りだの2000張りだのという混雑っぷりらしいですが、こちらは5張りあるか無いかで閑散
としています。
今晩は静かな夜を堪能できそうです。

夕飯はモツ鍋。
秋の登山は冷蔵庫の中を歩くような気温でなま物を持ち込めるので、もうちょっと凝った料理をしたかったのですが、もろもろ準備が足りなすぎました。
でも、テン場で食べるモツ鍋はなかなかいけてました。

あとは定番の焼いたコモパンとハンバーグ。

これでガスがドカンと晴れれば言うこと無しだったんですけどね〜。(南岳の山頂方面)
夕日の時間もガスっていて何も見えなかったので、ツェルトの中で本(「迷惑な進化」という本、なかなかおもしろかったです。進化論って知らない間にえらい研究が進んでたんです
ね)を読んでから寝ました。
あ、そうそう、水筒をシュラフカバーの中に入れなきゃ・・・、
(凍っちゃうと明日の朝、料理で使えなくなっちゃうので)
おやすみなさい。(20:00)
10月9日(火)
なんか顔に水がかかるなぁと思って目が覚めたのですが、テントの外は雲の合間に星も見えてるぐらいで雨が降ってる気配はまったくありません。
このツェルトは大雨でも降らない限り漏って来ないはずなのですが、、、
変だなぁと思いながら懐中電灯でツェルトを照らして理由がわかりました。
ツェルト内で一度結露してから凍った霜が重みに負けてチラチラと降ってきているのでした。(そのぐらいツェルトの中は暖かいのです)
仕方がないのでカッパを広げて顔に被り、そのまま寝ました。
それが原因で呼吸が制限されたからか、軽い頭痛(軽い高山病)を感じながら5時過ぎに起床。

さて、朝日でも拝みますか!
(起きて歩いたら頭痛はすぐに消えました)

って、この雲・・・・
南アルプスの左奥に富士山まで見えているのにかなり曇ってます。
ちょうど頭上の北アルプスで雲が湧いてるらしく、北アルプスの西側は晴れているのですが、東側は全滅です。
昨日の朝もこんな感じだったらしく、それで明神岳のアルペングリューエンの時間が日の出よりも随分遅かったんだと思います。

30分近く遅れて朝日が雲の上に顔を出しました。

朝日を浴びる槍ヶ岳。

そして穂高の山々と大キレット。

私のツェルトも正面には笠ヶ岳が見えていたのでした。(改めて見るとテン場の空きっぷりもすごいです)
こんな景色を眺めながらゆったりと朝食の準備をしたいところですが、よくよく考えたら今日も昨日以上に長丁場なので、そろそろ出発しなければなりません。
朝食はパンで済ませ、調理の時間がもったいないので途中の食事は山小屋で注文することにしました。(という判断が出来たのはTABさんが気を利かせてお金
を余分に貸してくれたからです。ありがとうございます!)

早速ツェルトを畳み、一度大キレットを拝みに行ってから折り返して南岳に向かいます。
(7:00)

お〜、南岳の山頂から槍ヶ岳が拝めたんですね!(当たり前と言えば当たり前ですが)
槍ヶ岳へ続く3000m級の稜線が伸びています。
私はここで大いなる勘違いをしてしまいました。
まるで槍ヶ岳まで平らな道が続くような気がしてしまったのです。(そう見えません?)
というわけで、先が長いからと調理の時間さえ惜しんで出発したにもかかわらず、あまりに景色が良かったのでここでのんびりしてしまいました。
そんなところへ香港から来た2人組と再びここで出会い、長話モードに突入。
(なんでも香港にも槍ヶ岳によく似た形の山があるので(サイズは小さいらしいです)、案内してもらえるとのことでメアドを交換しました)

香港の二人組と別れた後も、せっかく持ってきたのでサブ望遠であちこち覗いてみます。(槍ヶ岳山頂)

先ほどまで一緒に山頂にいて、今は遥か先を行く登山者。

私が大好きな黒部五郎岳。

後立山連峰も綺麗に見えています。

昨日、ヒイコラヒイコラ言いながら登ってきた尾根道との分岐地点です。
本日ここを下る人たちが多いみたいです。

さすがにゆっくりしすぎました。
では、ぼちぼち行きますか!(8:00)

とりあえず、この岩場を超えれば、あとは楽な道が続くんでしょう。

えっちらおっちら超えていきます。

ん? なんか上下してますね・・・
あっちゃ〜、南岳と中岳の間はけっこう上り下りがあるんだ・・・
(南アルプスのそれに比べればかわいいもんですが、平だと思い込んでいただけにショックが大きいです)

下ってから登り返します。(左の尾根上に小さく先行者が写ってます)

これがまた偽ピークなんですよね〜。

中岳の山頂は槍ヶ岳側から歩いてきた人たちで賑わってました。
(と、言ってもこのぐらいの人数ですが)
山頂はほぼ素通りです。

ん? まさか、また下って登るんですか?

ここも平らじゃや無かったんだ・・・・、あぁ勘違い。

再び登り返してようやく大喰岳(おおばみだけ)山頂に到着。
迷うような道じゃないということもあって昨日から一度も地図すら見ないで歩いているので、ここに大喰岳という山があることすら忘れてました。(ちなみに標高3101mと日本ベスト10の標高に入ってます)
ついでに山頂を迂回する道を歩いて通り過ぎてから山頂看板に気が付き、わざわざ戻ってきて証拠写真だけ撮りました。

うげ、まだあった。。。

一人で勝手に騙された気分満点で槍岳山荘に到着。(9:50)
10分後に食堂がオープンするとのことだったので少し待たせてもらい、、、

カレーライスをいただきました。
(パン1個でここまで一気に歩いてきたので、もうすでにシャリバテ状態でした)

カレーを食べたらすぐに槍ヶ岳によじ登ります。
槍ヶ岳は今回3回目ですが、こんなに空いてるのは初めてです。(毎回ペースの遅い人に前を塞がれ、すれ違う場所では待たされるのですが、今回は何事も無く
登れました)
小屋から山頂までたったの2人しか擦れ違いませんでした。
(酷い時は山頂まで1時間半かかるらしいです)

そして、なんと山頂は貸切状態!

白山、八ヶ岳、南アルプス、御嶽、乗鞍全部見えてます。(富士山はちょっと無理でした)
(180度ぐらいの超パノラマ写真)
贅沢すぎです。

10月だというのに風も無く穏やかな山頂です。(一昨日は雪が降ったそうですが)
Tシャツ一枚でも寒くないぐらいです。
いやぁ〜、来てよかった!
コンビニで買ってきた大福食べたりしながら10分ぐらいぼーっとしていたでしょうか・・・

突然北鎌尾根(超高難易度バリエーションルート)側からご年配の男性が登って来ました。
毎年単独で登っているらしく、山頂で祠の写真を1枚だけ撮ると、山頂で立ち止まることすらせず「ビールが楽しみだ!」と言いながら梯子を下って行かれまし
た。
渋すぎです。

その後も一人で山頂から秋の北アルプスの眺望を楽しみました。

東側(写真は後立山方面)はどんどんガスが湧いてきてます。
槍ヶ岳がガスに覆われるのも時間の問題かもしれません。(実際は昨日以上にガスらずに持ってました)
しばらくすると、梯子から男性が登って来たので山頂独り占め状態を譲って差し上げました。
というか、そろそろ出発しないとバスに間に合いません。(10:40)
TABさんから余分に貸してもらったお金があるので上高地から駐車場までタクシー(4000円)でも良いのですが、ここは気合でバスに間に合わせたいところ。
昨日上高地まで乗せてくれたタクシーの運転手は17時がラストって言ってましたが、事前に調べたときは18時に新島々行きのバスがあったはず・・・、でも
自信が無いので17時に上高地に戻る計算でスタートします。(11:00)

ちょっと欲を出して東鎌尾根を歩き始めたのですが、これが予想外に道が険しい感じでスピードが上がりません。

振り返ればかっこいい槍ヶ岳。
なるほど、東鎌尾根のラストはこんな感じで美しい形の槍ガ岳を見ながら歩くんですね〜。。。そりゃぁ、表銀座なんて命名される人気コースになるわけです。(北
アルプスはけっこう歩いてる方ですが、まだ表銀座を歩いたことが無いです)
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ちょっと後ろ髪を引かれる思いだったのですがどうにもスピードが上がらないので、途中で東鎌尾根を歩くのは諦めて殺生ヒュッテの方に下ってしまいました。

さよーなら〜!

さ〜て、一気に下りますよ〜!

って、昨日も十二分に堪能した紅葉ですが、あまりの素晴らしさについつい眺めてしまいます。

いや〜、駆け下るのがもったいない!

本当に今年の紅葉は素晴らしいです。

なんか記録写真を撮りまくっていて、ちっとも駆け下っていないような・・・・

まぁ、これは仕方がないですね、景色が素晴らしすぎます!
というわけで、内心の目標タイムより10分遅れで槍沢ヒュッテに到着。(13:25)
これはマズイと思いつつ壁に張り出されていたバスの時刻表を確認したところ、最終バスが18時だということと、今のペースなら1本前の17時25分発のバスに十分間に合いそうだというこ
とがわかったので、、、、

焼き鳥丼を頼みました。
しかし、バスに間に合うというのは「ペースを落とさなければ」という前提を自ら付けていたことを忘れておりました。

徳沢で(残念なことに昔と比べるとすっかりランクが落ちてしまった)ソフトクリームを頬張った以外は、ほとんど休憩らしい休憩を取ること無く時計とにらめっこしながら無心で歩き続
け、、、

目標通り17時に上高地に戻って来ました。(旺文社コースタイム7時間20分のところを6時間かけて)
いやぁ〜、わかってはいましたが長かった!!

17時25分発のバスで駐車場に戻り、沢渡温泉で汗を流し(疲れきった足に最高でした!)、諏訪SAで夕飯を食べ、22時半頃東京に戻って来ました。
予想通り翌日はこの年最悪の筋肉痛になりました・・・
TABさん、来年こそは一緒に山に行きましょうね!
今度はちゃんと財布持って行きますから。。。
以上です!