ケニアドライブ旅行記
その28
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で、あとはエリックが到着すればすぐにでも出発できるわけですが・・・



待つこと1時間ほど・・・







ガイドのエリック、ようやく到着。(13:25)


なるほど、バイクをタクシー代わりに雇ってここまで来たわけですね。


エリックは到着して軽く挨拶するなり、「ちょっと買い物に行ってくる」と言い残して、向かいにある民家(に見えたんですが売店だったみたいです)に行ってしまい ました。


なかなかマイペースなガイドさんのようです。

あと、電話で話した印象では年上かと思ってたんですが30歳そこそこの若いガイドだったのが意外でした。


エリックが戻ってきた所でトニーと話した案をエリックに伝え、トニーには助手席に乗ってもらい早速チョゴリアトランジットモーテルを出発しました。







村の中を走ってる分には道の状態も悪くはなかったのですが、、、









村を外れて登山口に向かう林道区間に入ると途端に状況が一変します。


道路が線路みたいな逆轍みたいな形になっていて、タイヤの踏み跡から落下すると即深い泥の中に落ちるような状態になってます。

RAV4の車高を考えると絶対に踏み外せないので四輪の位置を常に意識しながら慎重に走っていきます。


そういうわけで私はトニーに話しかけられない限りは黙って運転していたわけですが、トニーとエリックもガイド同士で初対面。

商売仲間というよりは商売敵と いう感じでふたりともぜんぜん喋りません。

いろんな緊張感が車内を支配しており、なんとも言えないドライブになります。


そんな中、トニーが


「この車って四駆だよね?」


という質問をしてきたので


「いえ、FFです・・・」


と、答えると


「え!!!、これ、四駆じゃないんだって!」


と、トニーはエリックに笑いながら振ったのですが、エリックは軽く笑顔は示したものの基本は無反応。



これでこの会話は終了し、その後も緊張感漂う無言のドライブが続きます。








下ってきた四駆とすれ違い。

あと、途中で悪路で難儀していたバイクを2台追い抜きました。



走っていると突然トニーが、


「そこ、右」


と、指示を出したので道路から外れて右上の芝に前輪を滑らせながら無理やり乗り上げたわけですが、、、







こんなの知らなかったら絶対に突っ込んで泥にはまってました。(左の茶色部分が激しく泥濘んだ道路)


まぁ、芝の方もすごい状態だったのですが。








途中、何度も前輪が滑って轍の底に落ちそうになり、冷や汗をかきながら通過していきます。









ちなみに、これでもぜんぜんマシな状況なんだそうです。

雨が長いこと続くと先ほど見せてもらった傷だらけの四駆でもスタックして動けなくなるとか。









自分の緊張と疲労度を考え、こりゃぁ確かに3000KShの価値はあるかなと感じました。

(トヨタランクルとかスズキジムニーだったら乾季は楽勝だと思いますし、むしろアトラクションとして楽しいんじゃないでしょうか)




チョゴリアゲートを出発してから1時間ちょい、ちょうどオドメーターで11kmほど走った所で、トニーが「ここで止めて」と指示を出します。








歩いてその先の状況を確認すると、なるほどかなりの泥沼状態です。









泥が乾いてある程度固まっているところでも、万が一轍に落ちたらRAV4の車高だと亀の子になりそうです。

ちなみにエリックは「これだったらまだ行けるんじゃない?」という意見でしたが、私は正直もうコリゴリだったので、ここから歩くことにしました。


トニーに車の鍵を渡し、5日後に我々が登山ゲートまで下ってきたら連絡を入れるという約束をしました。

荷物の最終チェックをしているとエリックが「水、もらうね〜」と言いながら、トランクに積んであった私の水(もちろんお金を出して買ったもの)を持参のペットボトルに移してました。

いやはや、本当にマイペースなガイドさんです(笑)







走り去っていくRAV4を見送りつつ、荷物を背負っていよいよ出発です。(この写真でも轍の深さがわかるかと思います)


エリックが持ってるテントが妙に大きかったので、「それ、2人用ですか?」と尋ねたら「そうだよ」とのこと。

エリックいわくチョゴリアルートでは基本的にテントは必要無いけど万が一小屋が満杯だった時に二人で泊まれるように2人用のテントを持ち歩いてるんだとか。

なんだ、持ってくる必要なかったんだ!
(って、エージェント会社からテントは必要ないって連絡をもらってたんですが、トニーに言われて勝手に準備しちゃったんでした)



もう、RAV4は走り去ってしまったので抱えていくしかありません。


なんてことを考えていたら、エリックが「マンダズィ、食べる?」と、突然インドのナンのような食べ物を差し出します。
(カタカナでは「マンダジ」らしいのですが、マンダズィと聞こえたのでそう書いてます)







先ほどお昼を食べましたし、それほど腹が減っていたわけではないのですがありがたくいただき出発前の燃料補給にします。

これは元旦にナクルのナクマットで買った「ダズィ」と名前を勘違いしていたケニア版の揚げパンですね。









では、行きますか! (15:00)










エリックのペースに合わせて林道を歩いていきます。

歩きやすくほぼフラットな道ということもあって、けっこうなペースです。

たまに「♪フフフーン」とハミングを歌いながら余裕綽々で歩いてるみたいですが、私はほぼ全速力です。



象の足跡や糞に加えて肉食と思われる動物の足跡もあったので何の足跡か尋ねてみたら「ハイエナだよ」とのこと。

他の場所で見つけた草食動物の小さな足跡はディクディクだそうです。


バファローや象が居るのか確認してみたところ、エリックは「何度も見たことがあるよ」とのことだったので、数は少なくないみたいです。

こうして歩いている時には出会いたくないですね〜。







車を降りてからそれなりに歩いたなというところで「残り10kmの標識だよ」と言われて、けっこうがっかり(笑)









お〜、これはすごい!









サファリアントだそうです。

写真中央に写ってる顎のデカイのが兵隊アリでしょう。(攻撃的な性格で噛まれるとかなり痛いとか)









巣を持たないアリで延々と行軍を繰り返し、両脇の黒い帯のところに居るアリが道を形作ってます。

アリ同士で橋を作って渡らせることもあるとか。




車で駆け抜けたら見られなかったと思うので、歩いていてよかったと思った瞬間でした。








その後もRAV4じゃぁ厳しいだろうなぁという道が続きます。



微妙な登り坂が続きエリックが「ポレポレ〜(ゆっくり)」と言う割にはペースが早いこともありけっこう疲れて来ました。

(後で知ったんですが、11km地点の標高は2400m無いので、なんだかんだと標高差600mも登っていたのでした)



気温は20度ほどあり、Tシャツ1枚で暑くも寒くもありません。

たくさん飲むかもと思って水を大量に持ってきたのですが、今のところそれほど飲んでません。

ただの重しになってます。







先ほど車で追い抜かしたバイクが抜き返していきます。


エリックいわく登山口まで人を乗せて運んでるんだとか。


エリックがバイクの後ろに乗ってきたことと、ここで改めて解説を受けたことでバイクの機動力や便利さがだんだん理解できてきました。それで2人乗り、3人乗りしてたわけなんですね。(バイクと書いてますが、現地での呼び名はMotorcycleです)

マタツで長距離を移動し、最後はバイクを使うという組み合わせだそうです。


ちなみに我々も登山口までバイクに乗れたのかと尋ねてみたところ「もちろん」とのこと。

一人2000KShぐらい(交渉)らしいので、それならバイクにすればよかったなぁ。


トニーは10000KShの四駆に乗せたいみたいでバイクについては何も教えてくれなかったので、この手段があることは知りませんでした。

ついでにエリックに四駆チャーターの値段を尋ねてみたら「8000KSh」とのこと。

やっぱりボラれてたか(笑)

トニーの「いい人」評価はこれで一気に下がりました。

まぁ、ケニアですしね。



というか、やはり慌てず急がずエリックが到着した時にいろいろ相談すればよかったのでした。









再びサファリアントの行進。









2時間ほど歩いた所で植生が変わって竹林になりました。

道路はかなりの泥濘です。RAV4で無理せず歩きで良かった〜。


しかし、出発前は「林道歩きだから11kmぐらい楽勝!」と思ってましたが、これが意外に辛い。

ペースの速さと微かな登り坂、普段よりも重たい荷物が徐々に効いてきました。
(この時はまだ意識してませんでしたが、すでに標高2700mを超えているので空気も薄いのです)



それを察してかエリックが「休憩を取ろう」と提案してきたので、喜んで足を止めます。






再びマンダズィを頂きました。

私も食料はたくさん持ってきていて、それを食べないことには減らないのでそちらを優先したいのですが、差し出されるとついつい受け取ってしまうんですよ ね、これが。



そういえばエリックの荷物が4泊5日分にしてはえらい小さいと思い、持ってきた食料を尋ねてみたところ、ヌードルとチャパティがメインなんだそうです。

エリックは出発前にTシャツを速乾性のものに着替えてたんですが、その時に脂肪一つ無い体だったのを思い出し、いつもぎりぎりの食料で山を歩いてるんだと思いました。


ちなみにザックが小さいので軽いのかと思って持たせてもらったら、そんなことは無かったです。
(トータルで20kg弱ぐらいでしょうか)








きつい登り坂がたまに登場します。


「もう少しで到着するよ〜」と言われたので真に受けていたのですが、全然そんなことはありませんでした。


確かに思い返してみれば私も初心者を山に案内するとき気楽に「もう少しだよ、頑張って」と言って恨まれてたんでした。




そして、この辺りから少しずつエリックと世間話をするようになりました。

ガイド歴8年(ポーター、コック、ガイドとキャリアアップしてきているので、トータルで8年なのかガイドが8年なのかは確認しませんでした が)、ケニア山の南にあるムランガという小さな村で生まれ育ち、山を愛してガイドをするようになり、今はナイロビ暮らし、マラリアには年に1回ぐらいか かるなどなど・・・
(ちなみに、ケニア山登山中はマラリアの心配は無いそうです)








ようやく登山口近くの標識が見えてきて、ほっと一安心。









登山口ゲートの管理事務所が見えて来ました。(Chogoria Gate) (17:50)


ここが本日の目的地でもあります。

11km歩くのに3時間弱かかりました。(600m登ったんだからけっこうなペースだったと思います)










事務所の中に入って入山名簿を記入し(エリックが書いてくれました、えらい横長のノートで書く事たくさんあるようです)、入園料を支払います。


4泊5日分ということでUS$270、ここもえらい高いです。


そういうのもあって、日数に比例して入園料やガイド・ポーター・コックの支払い全てが安く済むナロモルルートが人気になるのかもしれませんね。

帰国後に値段がどんなもんなのか気になって軽く調べてみたんですがナロモル2泊3日で探せばUS$250(らしい、口コミ情報)、私が見つけたのは一人で参加するとUS$1000、シリモンルート4日間でUS$890、シリモンからチョゴリアに抜けるルートはUS$1220なので、ケニア山はツアーで申し込むと簡単にいける場所じゃないなぁって思いました。
(ナイロビからの往復、入園料、ガイド・ポーター・コック付きで食事も含めておまかせで登る場合です。あと人数次第で割引があるので、たくさんの人数で申し込んだほうが有利です。ロンプラの掲示板ではよく相乗りの募集がかかってます)


私の場合は個人かつレンタカー使用、ガイドのみだったので計算してみると1/3ぐらいの費用で済んでる計算にはなります。(にしても、日本での登山に比べると高い!)
まぁ、貴重な環境を守るために必要な経費ですから納得はできてるんですが。









ゲート脇がキャンプサイトだということで早速テントを張りました。

奥に写ってるのは他のパーティのテントで、私はエリックとは離れた景色の良い場所に張ったので彼のテントは写ってません。


エリックは到着してすぐに汗をかいた登山用の速乾性Tシャツから普通のTシャツに着替えていました。

なかなか基本を抑えた対応です。

私はあまり汗をかかない体質なので、普段登山で宿泊場所に到着して着替えることはめったに無いんですが、このときはエリックにつられて着替えました。


エリックが「僕はバンダ(近くの小屋)で夕飯食べてくるね」と言い残して行ってしまいそうになったので、先にトイレの場所を教えてもらい、明日の予定を確認すると、「明日は 歩く距離もたったの7kmと短いから朝9時出発で大丈夫だよ」とのこと。高山病対策で行程を刻むようです。

バンダ(有人小屋)はここから5分ぐらいのところにあって、調理場があるけど自炊だそうです。(と、ロンプラには書かれてますが、この時エリックから簡単な食事を売ってるって聞いた気もします。ここまで道路が繋がってるのでスナック類を売ってても不思議じゃないんですが)



あと、煮沸しないで飲める水がゲート脇の蛇口から得られるので、こんなに気合を入れて水をもって来なくてもよかったかもしれません。









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本日の走行&歩行ログです。








正面に見えているのがケニア山。


ちょっとずつ晴れてきたんですが、夕方なのにまだガスを被っていて山頂を拝むことはできませんでした。

しかし、キャンプサイトからの眺めはスケール感たっぷりで素晴らしいものがありました。


ところが、この景色を静かに眺めているかと言うとそうではなく、ゲート事務所脇の小さな小屋のところにスタッフらしき男性が5名ほど居てラジオを大音量で流し ながら大声で話して騒いでおり、かなり騒々しかったりします。


すぐ近くのテントの中からは男女の流暢な英語の会話が漏れ聞こえてくるので、中に居るのは白人旅行者だと思います。



暗くなる前に夕飯の準備を進めます。







これはメルの街で購入したチャパティ。

今日は細々と食べてきたので、それほどお腹が空いてませんが、少しでも荷物を減らしたいのでカレーを作ります。


風が強くて寒いので(ここの標高は約3000m、北岳肩の小屋ぐらいあります)テントの中でカレーを食べていたら、食事から戻ってきたエリックが テントの中を覗きこんで「具合大丈夫?」と声をかけてきました。「大丈夫、全然問題ないよ」と答えたら、「ちょっとシュラフ見せてくれる?」と言われたの で、ザッ クの中からシュラフを出して見せます。

私のシュラフはオールシーズン用の薄っぺらいもの(モンベル#5)で「これじゃ寒いかも」とエリックに心配されたのですが、そもそも羽毛で暖か いのと、ダウンジャケット上下&ダウンソックスという重装備を重ねるので大丈夫だと説明しておきました。
(#5のメーカー公称スペック【快適睡眠温度域】6℃以上、【使用可能限界温度】-2℃まで)


マイペースなガイドだと思ってましたが、ちゃんとチェックしに来てくれたみたいです。


「それから、靴が冷えると朝に履くときに冷たいから中に入れておいたほうがいいよ」って靴を中に入れてもくれました。

なかなか気が利くじゃないですか(笑)

(もちろん、私も普段山に登っているので言われなくても靴は中にしまう予定でしたが)


エリックが料理に使っていたアルコールバーナーに興味を示したのでアルコール入手の逸話も含めて説明したところ、「じゃぁ、これ飲める の?」と言いながら蓋に95%アルコールを入れて飲もうとしたので、「保証はできないよ、メチルアルコールが混ざってるかもしれないから止めたほうがいい かも」と伝えたら、「スコンク?」と言いつつ、飲む寸でのところで止めてました。

こんなメチルアルコールで50人以上死んだなんて事故もたまにありますしね。




どうやらエリックはかなりの酒好きなようです。



エリックが自分のテントに戻って一人っきりになったあとは、近くのテントから聞こえてくる英語の会話や小屋付近に屯しているスタッフ達の会話やラジオから流れる音楽を聞きながら本を読 みました。


今日はチョゴリアモーテルからの1時間の悪路の運転と3時間のハイペーストレッキングでなんだかんだ疲れました。


本を読んでるうちにすぐに眠たくなってきたので、そのまま眠りにつきました。




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