ケニアドライブ旅行記
その37
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へぇ〜、時速100km制限なんですね。

初めてちゃんとした速度制限看板を見た気がします。(本来は小型車は120kmらしいので、ここは100km区間ってことでしょうか)









ケニア中心街の10kmほど手前、左手に住宅街が見えた所でエリックが「ここで降ろして」と言うので、車を路肩に寄せて停めます。


エリックにこれまでのお礼を言いつつチップとガイド料金をまとめて払い、さらに予め用意しておいた余った全食料を入れた袋をプレゼントし(喜んでくれまし た)、固く握手をして別れました。

エリックからは帰国後もフェイスブック経由でたまにメッセージをくれたりして付き合いが続いております。またケニアに来ることがあったら、山関連はエリック に頼もうと思っております。


そして、本当はエリックと一緒にジェロームさん達も一緒に降りてもらう約束だったのですが、「温泉に向かう道の途中に姉の家があるので、そこまで乗せて行っ てほしい」とのこと だったので、引き続き二人を乗せたまま出発します。








ナイロビの南側にあるマガディ湖(温泉)には元々最終日(日曜日)に行くつもりだったので渋滞のことは気にせずナビゲーションルートを作っていたのです が、そのルートに乗るためには、どうしてもナイロビの中心街を抜けなければなりません。


ナイロビの南側にはカージャックが頻発する道路があって、それを避けるようにルートを事前に作ってあったので、どうしてもそれ優先で走りたかったというの もあります。








しかし、エリックの言葉とは裏腹にちょっとずつ道が混雑してきて嫌な予感満点です。








あっちゃーーー、やっぱり渋滞ですか・・・・

どうやらジェロームのお姉さんのアドバイスが正解だったようです。









我々の渋滞とエリックの渋滞はレベルが違うんだと思います。
(朝晩の交通ラッシュ時はもっと酷いのかもしれません)



と、ここで助手席に乗ったジェロームさんが私のスマホを台から取り外して食い入るように見始めました。


それで彼が抜け道をガイドしてくれるんなら嬉しいんですが、どうやらただ現在地を見てるだけのようです。








渋滞の中では歩行者もマタツも他の車も超アナーキーな感じで道路を走るので、一瞬たりとも気が抜けず、私もスマホを見ながら抜け道探しどころじゃありません。

(そうじゃなかったらスマホを取り返してました)








前の車が進んでもアクセル踏んじゃダメです。









横のマタツとの車幅は5cm無いんじゃないかって状況で、次々に飛び出してくる歩行者と闘いながら車を前に進めていきます。


ナディアさんも「クレイジー!」を連呼してます。



それでも、なんとか前へ車を進められるのは、普段から東京近郊(特に首都高の渋滞)を走っているからです。


北海道の経験オンリーだったら無理だっただろうなぁ(笑)








だんだんナイロビの感覚にも慣れて来ました。









次々に 写真を掲載すると、渋滞なりにどんどん進んでるように見えますが、実際にはちっとも進んでません。

もう、すでに13時をまわり、軽く1時間はロスしてます。


前向きに考えるならナイロビ名物の渋滞を経験できたとも言えますが、今日は温泉に入る予定があるのと、あともう一つ見ておきたい場所があったので、このロスは痛い。。。


「土日にナイロビを走ったときはこんなに混んでなかったんですけどね〜」と二人に話すと、ナディアさんが「アメリカも平日の渋滞が酷くて、私の友 達は第一子は日曜日に生まれたから問題なかったんだけど、第二子の時が平日で、運悪く渋滞に巻き込まれて病院に行くのが間に合わずに車の中で産んじゃった のよ」 というエピソードを聞かせてもらいました。

こんなに動かないならさもありなんって感じではあります。東京の渋滞が酷いと言っても救急車は皆さん優先して行かせて上げますから、日本は恵ま れてるなぁと思った次第です。








私のスマホとにらめっこしていたジェロームさんいわく、ここはモイアベニューらしいです。(ナイロビ有数の大通り、先日爆弾テロが発生したという治 安問題の件で名前だけは知ってました)
モイというのはケニア第2代大統領の名前で、ケニアシリング紙幣にも印刷されております。








大きな地図で見る
現在地と走ってる方向がさっぱりわからなくなったので、たまにジェロームさんからスマホを返してもらって進むべき方向とおおよその現在地だけは頭に入れておきま す。









空いてそうな道を見つけて飛び込みますが、すぐに渋滞に捕まります。








ちなみに信号は青になってますが、なかなか歩行者の列が途絶えなかったシーンです。








特にランナバウトは皆が我先に突っ込んできて詰まるのでどうにもならないです。


場所によっ ては警察官が交通整理してましたが、そういうところは通行可能になるまで10分ぐらい待たされるので、ランナバウトから離れた場所に居ると先がどうなってる かわからず、 10分間も渋滞の列が進まないと事故か故障車のせいで動かなくなったのかと心配になり ます。










ふぅ、ようやくナイロビ中心街の南側に抜けました。


ここからは街から外れる方向に走るので渋滞に巻き込まれることは無いでしょう。


と、思いましたが、そんなことはありませんでした。



そして、片側2車線道路で右側車線が流れていたのでそちらを走り続け、交差点を超えた所で右側車線が左車線に合流するようになっていたので戻ろうとしたところ、同じように前を走っていた車ともども歩道に立っていた警察官に止められました。


前の車の運転手が免許証の提出を求められていたので嫌な予感はしたんですが、別に交通違反というほどのことをした自覚も無かったので、単なる検問だろうと 思って前の二人の様子を眺めていると、警察官が私の顔を見るなり手に持っていた免許証を地面に捨ててこちらに歩いて来ました。


そして、私も免許証の提示を求められたので車の中から取り出して渡すと、それを一瞥しから「ここは右折専用車線だ。君は交通ルール違反をしたから 手続きをしなければならない。今すぐ署に行こう」と言って、免許証は取り上げたまま問答無用でRAV4の後部座席に乗り込んでしまいます。


あっけにとられたまま、私も運転席に乗り込み、警察官が指差す方向に車を走らせます。

ジェロームさん達も頭を抱えていて、こうなってしまったてはどうにもなりません。


参ったなぁ、こんな時にと思いながらしばらく走っていると「君はこれから署に行って10万KShの罰金を払わなければならない」と警察官が言い始めた所でやっぱりそういうことかと判断し、本物の警 察官か偽物の警察官かはわかりませんが(偽物だった場合は強盗と一緒ですから揉めるとかえって危ないですからね)、とりあえずケニアルールで対応しまし た。(この時ナディアさんは必死に私の無実を訴えていてくれましたが、それを聞き入れるぐらいならそもそも現地人の免許証をポイっと捨ててまで私の車に乗り込 んだりはしないですからね)

いやはや、外務省のページにも書かれてましたし、これまで何人もの旅行記で経験談を読んではいましたし、事前の知識で世界有数の腐敗度と知ってはいましたが、ここまで何事もなかったのでまったくもって油断してました。


エリックが検問では止まらないほうが良いって言ってたのを改めて思い出しました。(今回は検問と言うよりも交通ルール違反(言わば鴨)を捕まえるために一人だけぽつんと 立ってたので知ってないと避けようがないですが、地元の車の後ろをついて走ってれば安全ということは無いんだと思いました)



その後はこの話で車内は大盛り上がりです。







というわけで、ナイロビの南側の街外れまで行った所で2人を下ろしました。(14:30)

連絡先を聞いたので、後で写真を送りました。一緒に登山から渋滞まで経験し、いろいろ話して仲良くなったことも有り、ロンドンに遊びに来たときは連絡頂 戴と言っていたので、機会があったら本当に訪ねてみようかと思っております。(先方からも2014年に日本行きを計画してみようかなというメールが来ました)



そして、5日ぶりに一人きりになりました。


窓を開けてエアコンを切ります。(ジェロームさんがエアコンフルパワーにしてたので暑いのかなぁってここまでそのままにしてました)



渋滞抜けるのにかれこれ2時間のロス。


温泉+アルファのアルファの部分は完全にダメになりました。


というか、今日は温泉の近く(プラスアルファの場所)で一泊して、明日ツァボ国立公園に向けて移動しようと思っていたのですが、そうすると明日の日中に再 びナイロビを通過することになってしまい、また渋滞+取締警察官の恐怖と格闘しなければなりません。


もう、それだけは勘弁願いたいので、本日中に温泉に浸かった後、一気にツァボ国立公園まで移動してしまうことに決めました。


かかる時間を指折り数えるとツァボへの到着は午前0時前後になりそうですが、特に治安の問題が出ている区間でも無いですし、もし、ナイロビを抜けてから良いホテルが見つかればそこで泊まっても良いですし、最 悪の時には例のゲート前車中泊作戦を決行すればOKだろうと判断しました。










というわけで、温泉のあるマガディ湖に向けて走りはじめたのですが、これがまた交通量が多くてちっともペースが上がりません。

反対車線は完全に渋滞しているので、こちらはまだマシなんですが。


その渋滞中の対向車線を強引に追い抜かしながら走ってきたパジェロが走行車線に戻れないまま突っ込んできて、前のピックアップトラックが路肩に避 けたので、そのまますれ違うのかとおもいきや、ぎりぎりの所で積んでる荷物のせいですれ違えないと判断したからか急ブレーキを踏みました。
しかし、この車、ブレーキランプが壊れているらしく、まさか止まると思っていなかったのもあってこちらも気づくのが遅れ、あわや突っ込むところでした。


やぁ、久しぶりにABSの感触を味わいましたよ。心臓が口から飛び出すかと思いました。


間一髪間に合って、さらに私の車が後ろからオカマを掘られなくてよかったです。









ナイロビ郊外を離れる前にガソリンスタンドで給油しつつ昼食を購入。

若い男性の店員さんが「これ、温めます?」と尋ねてくれたのでお願いしたところ、動いていた電子レンジを途中で止め て中から他のお客さん(常連さんっぽい人)が温めていたミルクを取り出し、私の分を先に温めてくれました。

なんとまぁ、気の利いた親切な対応。









ハンバーガーに揚げたソーセージ、三角形のサモサにコーラで280KShなり。









このサモサがえらい美味しくて気に入りました。
(ケニアのどこでも売ってますが、元はインド料理なんですよね)


逆に期待していたハンバーガーは肉の味がまったくせずに今ひとつでした。









キセリアン(Kiserian)の街に入りました。

というか、ここまで民家が絶えたことが無かったので、歩いている人の数と店の密度が増えたのでスマホで現在地を確認して街に入ったんだと気がついたわけです が。


標高はいつの間にやら1900m近くになってますが、相変わらず26度を超えていて暑いです。








へぇ〜、ハチロク(ハチゴー?)なんかも走ってるんですね〜。









人口が多くてそれなりの需要があるからか、タクシーバイクもたくさん停まってます。









これまで通過した街とはちょっと違う雰囲気を感じる街です。









写真屋さんにサイバーカフェにドライビングスクール、、、いろいろあるもんですね〜。









渋谷によく停まっているような大音量のダンス・ミュージックを流すトラックが街の中心部に停まってました。


このトラックが流す音楽のせいで違う雰囲気を感じたのかもしれません。


レコードでも宣伝してるのかと思いきや、ナイロビ知事選の選挙運動でした。







キセリアンを抜けると一気に雰囲気が変わります。









お〜、なかなか良い景色じゃないですか!









こんな景色が続くんであれば、かなりドライブが楽しめそうです。









緩やかな坂を登っていきます。

たぶん、この先にはグレートリフトバレーが広がっているのだろうと想像して期待に胸が膨らみます。









そして期待通りの光景が!

やっと快晴の元でグレートリフトバレーを拝めました。

感無量です。


すごいなぁ〜。

ここ、人類の故郷ですよ!(現生人類って意味ではお隣のエチオピア説が有力らしいですが)









道はグレートリフトバレーの底へと続いているので、絶景を眺めながら下っていきます。









底に降りて来ましたが、引き続き素晴らしい景観が続いてます。











道の状態もギリギリセーフ。

これなら快調に走れそうです。









って、ことはありませんでした。。。


ここまで酷いと避けようが無いのでパンクしないことを祈りつつ走っていきます。










10kmほど進んだ所で道の状態は元に戻りました。

ご丁寧にスロウダウンなんて看板が出てますが、こういう看板が見えたら、ちゃんとスロウダウンした方が良いです。

丘を超えたら道路のど真ん中を対向車のトラックが登ってくる最中だったなんてことがありました。(片輪を路肩に落としてすれ違いましたが、むちゃくちゃびっくりし ました)


さらに、これまた書くのも憚られる出来事なのですが、急に飛び出してきたジリスが駆け抜ける寸前でUターンしてタイヤの下へ・・・・


申し訳ありません・・・









この辺りはマサイ族が暮らすエリアなので、特徴的な衣装を着て棒(ルング)を持った人たちがたくさん歩いています。








というわけで、何度も彼らが牛追いをしているところに出会います。



とある場所で牛の通過待ちをしていたところ、牛飼いのマサイのお兄さんが口元に手を持ってきて微笑んだので、てっきりマサイ流の挨拶かと思ったんですがジェ スチャーの様子からして、もしかしたら「水をくれ」って意味だったのかもしれないと後で気が付きました。








そして、たまにバブーン(サバンナヒヒ)なんかも登場。








ひたすら絶景が続きます。

いや〜、すごい、すごい!










正面に見えている低い台地が本当の谷底でしょうか。



走っているうちに標高が徐々に下がっていき、1000mを切った所で気温は34度。


窓を開けて走っている状態でギリギリ、これから温泉に入るってのが我ながら信じられない暑さです。









ブラボー!


すさまじく広大な平らなエリアが視界いっぱいに広がっています。










延々と続く直線道路。


海外ドライブの醍醐味ですね〜。



脳内ではエリックが最後に一回だけ歌ってくれた「ジャンボブワナ」の歌が無限ループで流れてます。

どこかでチャンスがあったらCDでも買って帰ることに決めました。








なるほど、この道は80km制限でしたか。


でも、実際に80kmで走るには勇気が必要な区間が多いですよ。

日本だったら間違いなく40km制限になるレベルです。








あ〜、ここだったか。(オロゲサイリ先史遺跡博物館 Olorgesailie pre-historic site museum)


本日のプラスアルファとして経由目的地に指定していた場所です。


かつては、かのリーキー博士も発掘にあたった10〜120万年前という先史時代の人類の遺跡です。主に狩りに使った斧とか狩られ た動物の骨がたくさん発掘され、2003年にはホモエレクトスの骨も出土した場所なのです。現在は発掘品や発掘現場を眺められるちょっとした博物館があってキャンプサイトもあるので宿泊場所としても目をつけておりました。(博物館があるのは 10〜20万年前に存在した湖の畔の屠殺場らしいです)

私のライフワークは「人間ってどういう生き物なんだろう?」というテーマを調べ続けることなんですが、そういう意味ではここはグレートリフトバレーの中でも特に聖地みたいな場所になります。

しかし、ここの存在を知ったのがケニア山でロンプラ開いてマガディ湖について調べている時に片隅に小さな記事で紹介されているのを読んだ時だったの で、宿泊ついでに時間に余裕があったら寄ってみようというプライオリティのままここまで来てしまったのでした。(逆にトゥルカナ・ボーイなんかは事前に知っててトゥルカナ湖に行きたいとは思ってたんですが、こちらは治安の問題 で断念せざるを得なかったんですよね)


それでも、道路脇に博物館があったらダッシュで見て回ろうと思っていたのですが、脇にすごい荒れた道が続いていて、看板には「2km」の文字。
どのぐらいかかるか読めなかったので泣く泣く諦めました。


帰国後にいろいろ調べてみて、やっぱり行っておけばよかったなぁと思ったのですが、後の祭りです。

いつかタンザニアのオルドヴァイ渓谷含めてリベンジですね。



さて、ここまでしていろいろ犠牲にしておきながら、温泉のクローズ時間なんかが設定されていて入れなかったら洒落になりませんから急いで行きますか。








って、バスに前を塞がれて全然前に行かせてくれません。(他のトラックは割りと気を使って路肩に寄せて抜かさせてくれたんですが、このバスだけはまったく抜かせてくれま せんでした)



路肩に車輪落とせば抜けますが、その決心ができないまま10分ほど延々と後ろを付いて走り、途中で意を決してなんとか抜きました。(当然、路肩に片輪落と してです)








スマホのGPSマップ上ではそろそろマガディ湖が見えても良い頃なので、たぶんこの右側の丘が途切れたら見えるんだと思います。





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