
というわけで、なんだかよくわからないうちに船に移動開始しました。(8:10)
ここまでブリーフィングは一切なしで、マルシオさんとは挨拶と料金支払いの時以外一切喋ってません。
途中でマルセロさんが少し声をかけてくれたぐらいです。

なるほど、この船ですか。
船尾にエントリー用の足場とラダーが着いている「ちゃんとしたダイビング専用の船」ですね。
早速船に乗り込み、マルシオさんからレンタルギアの件で声がかかるのを待っていたんですが、出港の準備に追われているみたいです。
どうしたもんかと思っていたら、私と一緒で「※ダイビングに関係ないシャツを着ていた」イケメンの男性が英語で声をかけてくれ、「何か困ったこと無い?」と言ってくれたので、これ幸いと「レンタルギアはどこにあるんですか?」と、尋ねてみたら、「こっちだよ」と船首に案内してくれました。
さらに、そこに置いてあったウエットスーツ(半袖半ズボン)とBCジャケット、フィンなんかを私の体を見ながらテキパキと用意してくれました。
ちなみに、この親切な男性もマルセロさんという名前だったので、とりあえずこの旅行記ではマルセロ(2)さんと書くことにします。
(※そのダイビングと関係ないシャツの下にはダイビング関係のTシャツをちゃんと着てらっしゃったのでした。唯一この人だけは仲間だと思ってたのに!(笑))
皆さん常連さんなので、レンタルギアを使っていたのは私一人でした。
とりあえずギアも揃い、ぼちぼち出港するというタイミングでマルシオさんがようやくブリーフィングを始めました。
するとマルセロ(2)さんが私の横に立ち、耳元で船の使い方から本日の大体の予定まで、話された内容を英語に同時通訳してくれます。
いやぁ、至れりつくせりです。
ガイドのマルシオさんはエキサイティング(?)で憎めないキャラクターなんですが、ちょっと大雑把なところもあるので、周りの常連さんたちが細やかにフォローしてくれる感じです。
ブリーフィングが終わると同時に船が出港しました。

海から眺めるサルバドールの街、かなり素敵です。
船上では常連さんたちが歌ったり踊ったり写真を取り合いっこしたりと、仲良く過ごしています。
日本だといつ波を被ってもいいように黙って下を向いて座っているダイバーが多かったりしますし、このあたりはブラジルだなぁという感じがします。

皆がタンクを付け始めたので私もそれに習ってレギュレーターにタンクを取り付けました。
そして残圧を確認しようとバルブを開けると「シューーーーー!」という音と共にファーストステージのところからエアが漏れて来ました。
どうしたもんかと思っていたら、私が困っているところを目ざとく見つけたマルセロ(2)さんがすぐに別のレギュレーターを持ってきてくれました。
お礼を言って受け取り、再び取り付けてみたのですが、これまたエア漏れ。
これは、どうやらタンクのOリングが原因っぽいです。
すると、今度は上の写真の右手前に写っている一番ガタイの良いお兄さんが自分の工具箱を持ってきて、その中から予備のOリングを取り出し、パパっとタンクのOリングを交換してくれました。
いやぁ、なんなんでしょう、ここの常連様達の活躍っぷり。
ちなみに、この男性(名前を聞いてませんでした)、見た目によらず手先が器用で、マルセロ(2)さんのフィンのゴムバンドを持参の結束バンドで手際よく直してあげていました。

いやぁ、すごい、すごい!
細長いビルばっかりです。

こちらの年配の男性は雰囲気からして私と同じ一見さんなんだと思うのですが、かなりの「ダイビングギアオタク」らしく、マスクにLEDライトがついてたり、手の甲には今流行りのアクションカメラ(GoPro、赤いレンズフィルター付き)を取り付けたりしてました。
さらにはウエットスーツの太もものところに大きなポケットがついていて(ウエットスーツに巨大なポケットがついてるタイプは初めて見ました)、そこにも何やら小物をたくさん詰め込んでました。
ダイブフロートもリール付きで2セットお持ちの様子。
いやはや、恐れ入りました。

奥に座ってるのが「ガタイが良くて手先が器用で優しい男性」、その手前がマルセロさん、そして一番手前がマルセロ(2)さん。
ちなみに「ガタイが良くて手先が器用で優しい男性」はネオ一眼(コンデジに高倍率レンズを付けたカメラ)にワンオフのアクリルハウジングの組わせというマニアックなカメラをお持ちでした。
というか、男性陣の皆さんは日本で見たこともないようなハーネスを使ってるんですが、これってまさかダブルタンクなんですかね?
えーっと、上級者向けのポイントを私も希望してはいますが、ダブルタンク必須というのは初耳でございますよ。
そう言えば、船に置いてあるタンクは12リットル※だったりナイトロックスだったりします。
いったい、どのぐらいの深度に何分潜るつもりなんでしょうか?
(※日本の普通のダイビングでは10リットルタンクを使用します。12リットルはエア消費の早い人用で、日本では滅多にお目にかかりません)
私の装備は当然のようにシングルタンクですし、ナイトロックスは必要ないだろうと勝手に判断して普通のエアにしてます。
なんか、ちょっと不安になってきました。
その不安な気持ちを察してか、ギアオタクのおじさんが自分が食べていたサンドイッチを半分分けてくれました。
いや、私がこんな顔をしてたのは腹が減ったからじゃないのですが、たしかに今日は朝からアンパン一個しか食べてないので、これはこれで助かりました。
ありがたく頂かせていただきます!

外海に出ると海がだんだん青くなってきて、気分が盛り上がってきました。
事前情報によるとサルバドールのダイビングポイントは生活排水やら工場排水が流れ込んでいるので透明度はそれほど期待できないんだとか。
透明度が本当に良いのはパウロさんが仰ってたとおり、もっと北の赤道付近の海なのでしょうが、なんかここでも十分な気がしてきました。
あと、陸地は曇ってましたが、外洋は晴れているのがナイスです。
あとは魚の多い良い海だといいなぁ。
サルバドールでのダイビングなんてほとんどまともな情報がありませんでしたから、実際に潜ってみないことには想像もつきません。ショップのホームページに書いてあるポイント紹介の美辞麗句なんてまったくアテになりませんからね。
そんなことを考えながら海を眺めていたら、突然マルセロさんが日本語で「ニホンゴ、ベンキョウシタイケド、ムズカシイデス、、、、アナタノオナマエハ?」と、話しかけてきました。
すごいじゃないですか!
私は同じ内容をポルトガル語で話せません。

さて、ダイビングポイントに近づいたからか皆さんが慌ただしくギアを装着し始めたので、私もそれに習います。
ポイントに到着して船が止まると、常連さんたちは当たり前のように手伝ってブイに船をつないでいました。
ガタイの良い男性とマルセロ(2)さんがマスクまで取り付けたので私も真似して機材を背負ってマスクを取り付けたら、「二人は先に潜るだけだから、まだそこまで準備しなくていいんだよ」とマルセロさんが教えてくれました。
マルシオさんが操舵室から出てきて1本目のポイントについてブリーフィングを開始しました。
それをマルセロさんが横に立って同時通訳してくれます。
1本目のポイント名は「Galeao Sacramento」。
17世紀に「Santo Antônio号」と衝突して沈んだ「ガレオンサクラメント号」の残骸なんだそうです。(サルバドールのダイビングは沈船目当てのダイビングが多いです)
ガレオンサクラメント号から引き上げられた中国製の陶磁器とか青銅の大砲なんかはバイーア州やリオ・デ・ジャネイロの博物館に行けば見られるんだとか。
さて、沈船はともかく、問題は魚がたくさん居るかどうかです。
先にガタイの良い男性とマルセロ(2)さんが潜っていき、続いて我々も海に入りました。

べたなぎの穏やかな海です。
透明度がどのぐらいなのかはわかりませんが、水底は全く見えません。
全員が海に入るのを待っていたら、けっこう船の後ろに流されちゃったんですが、潜行はブイにつないでいる船の前からするということで、バタバタとフィンキックして前に進みます。
ダイビングギアをつけてるし、フィンは例によっておもちゃみたいなフィンなので全然進まなくて苦労しました。
こんなことなら、流される前に船首の方にとっとと移動しておけばよかったです。

ふぅ、到着しました。
さて、いよいよ潜行です。
まずはBCのエアを抜いてっと。
。。。。
あれ?
まったく沈まない!
しまった、ウエイト(重り)が足りなかった!
スチールの12リットルタンクで半袖半ズボンのペラッペラのウエットスーツだったので、たかをくくって少なめにしてました。
潜行するタイミングでウエイトを足してもらうのもなんだと思ったので、ブイのロープを掴んで腕で手繰り寄せながら強引に潜行していきました。
透明度はそれほど良くなく底がまったく見えないので、どこが集合ポイントなのかさっぱりわかりません。
あと、髭のせいでマスクに海水が入りまくりで不快なことこの上なしです。
ヘッドファースト(頭を下にして潜ること)なので、鼻に海水が入って涙が出てきます。

それよりも、いったい何メートルまで行くんでしょう?
(同時通訳状態だったので、ちゃんと確認してませんでした)
途中からロープを掴まなくても自重で沈めるぐらいの深度まで来たのですが、それでも水底は現れず、さらに深く沈んでいきます。
ようやく底がうっすら見えてきたところで腕時計(ダイビングコンピューターではなく、震度計付きのカシオの潜水王というダイブウォッチ)を見たら、すでに深度30mに達していました。
わお!
そりゃぁ、白人男性だったらダブルタンクが必要ですね。
私も呼吸のスピードを落とし気味にしないとダメそうです。
シングルタンクの私のせいで早めに上がることになったら嫌ですし。

底に着いたあたりで、ブラジル流の「OK?」サイン※を出すマルシオさん。
そして、これがダブルタンクです。
タンクそれぞれに残圧計がついてます。
見るからに潜り辛そうです。
(※日本人が普通にやるOKサインはブラジルではまったく違う意味(中指立てるのとほぼ同じ)になるのだとか。普段はサムズアップ(親指を立てる)のがブラジル流です。ただし、ダイビングの国際ルールではいわゆるOKサインに指定されているので、この日はたまに普通のOKサインをしてる人も居ました)
水底に着いたところで深さを確認すると水深32m。
周囲はほぼ平らなので、水底に長い間とどまってるのはまずそうです。
さて、肝心のお魚さんたちですが。。。。

わお! 群れ群れじゃないですか!!!

透視度は深いところでは大分抜けてますし、これぐらいたくさん魚が群れていたら文句なしです。

いやぁ、すごいじゃん、サルバドール!
逆に沈船の方は、さすがに古い船なのでそれとわかるようなものはほとんど確認できず(というか、群れてる魚に夢中になりすぎて、沈船を意識して確認するのを忘れてました)、「沈船ポイント」というのは実は聞き間違いだったんじゃないかと思うぐらい、何も見てませんでした。
少し問題だったのはマスクに水が入りまくるのと(これは私が髭面だったからで、一度水中でマスク脱着もやってみましたがダメでした)、レンタルのスキューバプロのレギュが深場で渋くなったり下を向くと海水が入ってくることぐらいでしょうか。
それを除けば最高の海です。

いやぁ、サルバドールのダイビング、楽しいじゃないですか!

やはり大西洋だけあって、太平洋の魚とは微妙に種類が違うようで、見たことがない魚が多いです。

これもイシガキフグにしては大きいですし。
30分ぐらい経過したところでマルシオさんにタンクの残圧を確認されたのですが(さすが、大雑把なマルシオさんでもこのぐらいはしてくれました)、残圧110のサインを出したら驚いてました。
そう、アジア人は白人に比べて体格が小さい分、エアの消費が少ないのです。
それに今日はかなり意識して呼吸をセーブしてましたしね。

その後もいろいろな魚を見て楽しみます。

肉食魚なんかも来ていたのでハンティングシーンを期待したのですが、この時は残念ながら始まりませんでした。
さて、楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、浮上することになりました。
水深10mぐらいまで浮上すると、肺の空気を出しきっても中性浮力を保てないぐらい体が浮き始めたので、ブイのロープをギュッと掴んで吹き上げられないように耐えながら安全停止を行います。

すると、コバンザメの子どもがどこからかやって来ました。

他の皆さんはなぜか嫌がって追い払ってましたが、私はぜひくっついて欲しかったので、毛だらけですが足を提供してあげました。

コバンザメの子どもは何度も足やフィンにくっつくのをチャレンジしてくれ、その度に吸盤の感触がくすぐったかったのですが、やはり人間の肌だとうまくくっつけないみたいです。

でも、すぐにまとわりついてくるから、これがかわいいのなんの。
ネイチャー系の番組で撮影クルーがコバンザメにまとわりつかれているシーンを見て、「羨ましいなぁ」と思っていたのが、やっと実現できました。
1本目の動画編はこちらから。
動画の高画質版はこちらから。
船に上がるとすぐに次のポイントに向けて移動を開始し、船上ではリンゴやブドウが振る舞われました。
海外だとダイビングの合間にフルーツが出てくることが多い気がします。
その37へつづく