北斗星で行く北海道の旅




3月13日(木)


 

てっちゃんだった小学生の頃からいつか絶対に乗ろうと決めていたブルートレインに乗るために北海道まで北斗星で行くことにしました。


ブルートレイン全廃の噂が聞こえてきたので、人生最初で最後かもしれないと思い切りました。
(去年サンライズ出雲に乗りましたが、あれはブルートレインじゃないですからね)


まず、金曜日の予約をとるのが大変で、2週間連続で取りそこねて、予約を木曜日に切り替えて3週間目でようやく切符を手配出来ました。(A寝台ロイヤルとグランシャリオの予約をセットで取るのが難しかったです)








というわけで苦労して切符を入手したにもかかわらず、ちょうど出発の日に低気圧が発達しながら関東付近から北海道に向かって移動して暴風が吹き荒れ、運休になるんじゃないかとヒヤヒヤしました。
(関東の在来線はあちらこちらで運休になってました)










ちなみに翌日が「寝台あけぼの」のラストランの日だったので、この日もカメラマンの人がたくさん上野駅に押しかけていました。
(上に掲載した写真を撮るのも一苦労でした)







どうせ乗るならということで奮発してA寝台ロイヤルです。


ちょーっと煙草臭いのと全体的に設備が古くて傷んでるのが難点ですが、そこはさすがのA寝台。








シャワーや洗面台、トイレがうまいこと収納されてたり、ベッドに寝そべって窓の外の景色を眺められるのは快適至極です。




列車が動き始めてすぐに切符拝見に来た車掌さんが電子キーの使い方を教えてくれたのですが、これがまた壊れかかっていてカードキーを抜き差しするのにコツが要るのには笑ってしまいました。







乗っていきなり、こんなものが出てきます。



というわけで、調子に乗って膝を組んでウイスキー飲んで車窓の景色を眺めていたら・・・









ラッシュアワーの大宮駅でさらし者になるのでした。


カーテンを開けっ放しにしてると、ホームから北斗星を眺めていた人にとっては「お部屋大公開ビジネスホテル」が宿泊者ごとホームに滑りこんでくるってかんじです。



露骨にちら見しながら笑ってるカップルまで居ましたが、ここで慌ててカーテン閉めると、いろいろな意味で負けが確定するので、「どうだ、参ったか」という視線を返しながら、そのまま優雅にウイスキーを飲み続けて対抗しました。









楽しみにしていたグランシャリオ(食堂車)での食事の時間になりました。









なるほど、相席なんですね〜。

まぁ、予約が取りづらいぐらいですから、これは致し方なしです。


車窓の景色を眺めながらフレンチに舌鼓を打つという妄想は一瞬にして吹き飛びました。



周囲を見渡すと、夫婦やグループで食事を囲んでる方がほとんどで、どうやら独り者だけがこのテーブルに4人集まったみたいです。


ラッキーな人が一人だけ小さなテーブルを独占していました。(申し込んだ順ですかね?)



というか、相席の皆さんの風貌からして十中八九「鉄ちゃん席」です、ここは。



そして誰も一言も喋らないのですが・・・



周囲のテーブルはそれなりに賑やかです。


我々のテーブルだけ、誰も一言も口をきかないのです。









赤ワインを頼んだつもりなのですが、白が出てきました。


でも、カルパッチョとか魚料理が出たので、白で良かったです。


(ちなみにてっちゃん席は運ばれる順番が常に最後でした。差別だ!(笑)←料理したてを出してるので先頭のテーブルが配膳されてから自分たちの席の順番が来るまでにすごい時間がかかるんですよ、これが)




無言で食事をし続けるのは気まずすぎるので誰かに話しかけたいのですが、話しかけた瞬間に「クハキハモハ!」とか、専門的な話が始まったら結局自分だけついていけないのが目に見えていたので、しばらく黙って食べてました。



しかし、せっかくの食堂車での相席だし、無言のまま食事が終わるのはもったいないと考えなおし、試しに隣の若い子に軽く「切符は簡単に取れました?」と、話しかけてみました。



「はい、自宅近くの駅で朝4時に並びましたから」



と、若い男性が答えるやいなや、向かいの若い男性も「キャンセル待ちのチケットが取れたんですよ。けっこう簡単に取れますよ」


と、話しかけてきました。


これをきっかけに一気に話が始まりました。


皆さんに聞いてみてわかったのは、人気の切符はみどりの窓口に早朝に行って申し込むのが良いとのことでした。

私はJRが運営している「びゅうトラベル」経由でチケットを取ろうとしていたのですが、これだとホテルの予約が必須になるのと(切符だけの購入はやってくれませんでした)、みどりの窓口から申し込んでくる方々との早取り競争で負けるので、まったくもって便利じゃないのでした。
(唯一良いのは朝早く並ばなくて良いことぐらいです)


そして、一番驚いたのは、横の若い男性はなんと中学生だったということでした。
(残りの二人も私よりも年下で、結果として私が一番おっさんでした)


隣の子はちょうど中学を卒業したばかりで、高校に入学する前の春休みに北海道に住むおばあちゃんの家に遊びに行くところだとか。(その前に木古内周辺で明後日のダイヤ改正で廃止になる駅があるとかで函館で降りて見に行くんだとか)


行きは北斗星、帰りは新幹線だそうで、若いのにしっかりしていて、何より渡しを除く3人の中で一番鉄道の知識が豊富なのには舌を巻きました。(しかも、水泳大会で1位(どのレベルかは忘れましたが)とのことで、文武両道のようです)


中学生にしてすでに、あちらこちらを鉄道で旅をしてるというのもすごかったです。
(私も小学生の時は名古屋から鳥羽や奈良まで自力で旅してたのが自慢だったんですけどね〜(笑))


さらに動体視力がよく、駅を通過する度に「◯◯駅ですね」と、看板を読み取るのにはびっくりしました。(コツが有るのと、東北本線ぐらいだとある程度駅名は頭に入ってるんだとか)


おっちゃん(私)はスマホを取り出し、GPSで現在地を表示させながら、「郡山の手前だね」なんて中学生の男の子に見せつけて溜飲を下げていたのでした。




案の定というか何というか「257系っていいですよね!」「時刻表を見ているだけで楽しい!」なんていう鉄道話に花が咲いたのですが、「私はてっちゃんじゃないので手加減してください!」って、早い段階で宣言したおかげもあって、皆さん私に気を遣ってか初歩的な話にとどめてくれて助かりました。


それでも、「こないだ、「特急はくたか」が1時間50分遅れで到着してね〜」というフリに「惜しかったですね〜」と、二人が笑顔で返していたりすると、私一人だけ「?」って顔になってしまうのでした。

(2時間遅延すると特急料金が払い戻しになる)



ふと気が付くと、隣の中学生の男の子だけ飲み物を頼んでいなかったので、「おっちゃんがおごってあげよう」と言いながら紅茶を頼んであげました。
(真面目な子なので、ものすごく恐縮してました)







デザートはレベル高かったです。


皆さんに挨拶してから精算を済ませ(飲み物代だけ)、自分用のお土産として「北斗星」とデザインされたコースターを買ってから部屋に戻りました。

(車内で売っている北斗星グッズは朝早くにすべて売り切れてました)







A寝台はこんな化粧セットももらえるので、これも大事に家に保管してあります。




部屋に戻ってからはノートパソコンでブラジルの旅行記でも書こうかと思ったら、電源ケーブルのアダプターから先のコードを家に忘れてきた上にパソコンが充電されてなかったので、2kgちょいの重しにしかなってなかったのでした。



というわけで、シャワーを浴びてから軽く睡眠。





3月14日(金)








2時頃に目が覚めたらすっかり雪景色に変わってました。








5時前に青森駅に到着です。


熱心な方々は列車から降りて機関車の付け替え作業を見学したり写真を撮ったりしていました。











青函トンネル超えた後に日の出を拝みます。


事前に調べていた青函トンネルの入り出時刻と比較すると、大分列車が遅れているようです。


(その後の車内放送によると、前を走っていた在来線の列車が遅れたせいだそうです)







朝食時には窓に太平洋が視界いっぱい広がります。

これはすごい!









1600円の朝飯。

食堂車は大人気なので調理場も配膳係も常に鉄火場です。


親子連れ(鉄道ファンのお父さんと旭山動物園に連れてってくれるならとついてきた大学生ぐらいの娘さんの二人組)と相席させてもらい、少しお話しながら朝食を楽しみました。








北斗星は海沿いを走っていくので、すばらしい車窓の景色が楽しめます。

至福のひとときでした。








これが1年後には無くなってしまうのは本当にもったいない話です。









千歳南駅で下車。


さむーーーーーい!









ホンダレンタリースにて。

金曜から月曜まで3泊借りて保険込みで9000円。

レンタカーも価格競争で安くなりましたね〜。



レンタカー屋のおじさんに、「なんで黒ばっかりなんですか?」と、尋ねたら、「白、黒、シルバーは塗装コストが低いから、値段が抑えられるんですよ」とのこと。

なるほど。







天気予報で晴れてそうな帯広方面へ高速で一気に移動です。


北斗星のチケットを取るときに宿もセットだと言われて旭川のビジネスホテルをセットで予約したのですが、キャンセルしてしまいました。








道の駅で昼食&ソフトクリーム。

ここは富良野MTGの時に立ち寄って、まずまず美味しいのを覚えていたので立ち寄りました。









誰かがトンネル内で事故を起こして肝心の狩勝峠を高速で超えられなかったので、下道で通過するハメになりました。


でも、狩勝峠越えはなんか懐かしくて楽しかったです。

昔は北海道に高速道路なんてなかったですし。




しっかし、このフィット、走りに関してはコメントしづらい車ですね〜。(ここ最近のレンタカー歴だとルノーメガーヌ、ポルシェ991、フォルクスワーゲンボヤージュの次ですから)


でも、これが日本で一番売れてた車なわけですから、求められてるのはこういう車ってことですもんね。移動の手段としては正しい選択なのでしょう。


あと、四駆でスタッドレスということも有りますが、「エコマーク」点灯させっぱなしで巡航させていたにも関わらず、91年式のユーノスロードスターと燃費が大差ないってのにも驚きました。







十勝平野にて。








釧路のビジネスホテルに宿を取り、近所の専門店でスープカレーを食べてから寝ました。








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本日の走行経路

(北斗星は宮城から)





3月15日(土)






スーパーホテルは朝飯もスーパー。


なんと、朝っぱらからスープカレーがいただけます。









天気予報を見ながらまずは釧路湿原方面へ。









この時期はタンチョウが空を舞います。











鶴居村の給餌場の風景です。

(こんな距離なので、かなりの望遠レンズを持ってこないと、アップの写真は撮れません)


おじさんが一人だけ三脚を立てて椅子に腰掛けていたので、軽く挨拶して話を聞かせてもらいました。


この時に遠くから聞こえてきた交尾の時の鳴き声についてレクチャーを受けたのが、後で役に立ちました。


ここともう一箇所給餌場があるのですが、先ほど軽く見た感じだと、あちらのほうが鶴までの距離が近かったので、戻ることにしました。







到着するとすぐに、独特の鳴き声が聞こえてきて交尾の儀式が始まりました。










交尾です。









交尾が終わると夫婦でポーズを取ります。


他にも交尾シーンを見たのですが、これはどの番いでも必ずそうします。




また、先ほどの給餌場に戻りました。


いつの間にやら、カメラマンが20人ぐらいに増えていて三脚が並んで立っていました。







大合唱大会。









恋の舞。




うむ、満足です!








そして道東ドライブへ。


昨日まで暴風雪であちらこちらの道路が通行止めになっていたので、行ける場所は限られています。










帯広ではなく摩周の豚丼

美味しかったです。









摩周湖道路が吹雪による通行止めから復旧したので、早速行ってみました。









冬の摩周湖、ほぼ貸し切りです。












ここまで快晴の摩周湖は初めて見ました。(スマホのNexus5でパノラマ撮影)


(何度チャレンジしても霧が出るんですよね〜)









さすがに色が綺麗です









雲が西から広がってきたので東へ逃げます。(右にあるのが広がってきた雲です)









道路に「シカ注意」って書いてあるのは初めて見ました。

(何度も何度も注意書きが登場します。よっぽど事故が多いのでしょう)









本当に居ました。








根室半島にて、流氷です。

(北海道に7年も住んでたのに、初めて見ました)









流氷の向こうには知床連山と北方四島。

流氷の上に乗ってる黒い小さな物体が見えますでしょうか?









なんだろうと思って望遠レンズで覗いたらオオワシでした。











さらに東へ。









この辺りもさっきまで吹雪で通行止めになってました。

吹き溜まりを除雪してくれてあって助かりました。










東に逃げて日本最東端、納沙布岬まで来てしまいました。









流氷の上にオジロワシが乗ってます。









こちらはラッコ。


ちょっと遠かったので、これが限界です。









国後島、爺爺岳(ちゃちゃだけ)

いつか登れる日が来るのでしょうか?








こちらの灯台が本当の最東端のはずです









日が傾いてきたので、宿を探しながら西へ戻ります









スマホを使って中標津に安宿を取り、夕日を眺めながら向かいました。









根室に本店がある回転寿司屋さん。


地元の人に人気があるだけあってコストパフォーマンス最高でした。









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本日の走行経路





3月16日(日)









日曜日の朝、ホテルの窓から。


しまった、もっと早起きすればよかった!










慌てて開陽台へ









日本で唯一、視界いっぱいに地平線が拝める場所です。








宿から20分で着ける場所なので、ここで日の出を拝めばよかったです。
(スマホのNexus5でパノラマ撮影)


ちなみに気温マイナス10度でした。

当然誰もいなくて貸切状態です。









夏は大混雑の養老牛温泉(無料)も完全貸切状態。


給餌台が置いてあるおかげでたくさん飛び交う野鳥たちを眺めながら温泉を楽しみます。








裏摩周のあたりは道が良いんですよね〜。

大好きです。








マイナーな道道をのんびり流していきます。









3月の北海道はそれほど雪に悩まされることなく、観光客も少なくてこんな景色を拝めるのでお勧めです。









スノーシェッド(右の板、風を道路に当てて雪を吹き飛ばします)が見事に機能してますね。









北海道らしい景色が続きます。









のんびりと西へ。









気が向いたので川湯方面へ。









お〜、硫黄山、久しぶりです。









ちゃんと間近で拝んでおきました。

温泉卵も買って食べました。

ここも、ほぼ貸し切りでした。










屈斜路湖にて。











日本一おいしいソフト?


それは食べねば。



売ってたおじさんに「私はソフトクリームマニアです」と自己紹介したら、「日本一は言い過ぎかも・・・」って、急にトーンが変わったのが微笑ましたかったです。










うむ、合格。

ただ、冬はそれほど数が出ないので、硬くなっちゃってたのが残念。

(おじさんにそれは言いませんでした、良い人だったので)


おじさんからソフトクリームビジネスの話をいろいろ聞かせてもらい、大変興味深かったです。









本日2湯目の和琴温泉(無料で湯船から屈斜路湖が眺められる)も貸し切りでした。

夏なら考えられない話です。









美幌峠へ。



美幌峠に到着してからカメラのレンズをソフトクリーム屋さんに忘れたことに気が付き、一度取りに戻って、これが2回めの峠登りです。










左にパラグライダーが飛んでます。









美幌峠から屈斜路湖を眺める定番の景色です。(かなりのパノラマ撮影)



さて、曇って来ちゃったのでそろそろ千歳空港方面に戻りますか。








この季節は野鳥が観察しやすくて良いですね。(ミヤマカケス)











雌阿寒岳にて。









阿寒湖は凍ってたのでパス。









昼飯です。


手作りソフトが美味しかったです。








足寄在住で明日70歳になるおじさんに食べている間中、「君は北海道に来てお嫁さんもらいなさいよ、職は俺がいくらでも紹介するから」と薦められ続けました。









千歳空港近郊の支笏湖温泉に宿泊。(本日3湯目、国民休暇村なのでコストパフォーマンス最高)



急な申し込みにもかかわらず、夕食を手配してくれました。


近くの食堂が全部閉まってたので、一時はどうなることかと思いました。










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本日の走行経路




3月17日(月)








翌朝、早朝支笏湖畔ドライブへ。









ホテル周辺が一番雪が残ってましたかね。

でもレンタカーは四駆なので、坂道でも問題なく走れるのでした。









朝食も美味しく、量を抑えるのに一苦労です。










レンタカーを返してから千歳空港に向かうと、美味しそうなものがたくさん売ってました。


昔とえらい違いです。


今度は腹すかして空港に行くことにします。


(写真は四つ葉のミルクフロート、牛乳に氷を3つ浮かして、その上にソフトクリームを乗せたものです)

味はさっぱり系が好きな人なら気にいると思います。

ソフトクリームの元も売ってます。(写真左のオレンジのパック)









下北半島上空。









あっという間の成田空港。

バニラエアで9000円なり。


北斗星の旅と比べると味気ないこと、味気ないこと。


春休み東京目当ての若い女の子がたくさん乗ってました。

(夜行バスと一緒ですね)







スカイライナーで日暮里へ









昼飯はドトール、そのまま職場に向かって日常生活が始まりました。





以上です!