2014年お盆 カナダ西部ドライブ&ハイキング旅行記
春先頃の気象庁発表の長期予報によると今年の夏はエルニーニョとジェット気流の蛇行の影響で太平洋高気圧が張り出さないという予報だったので、お盆は海外で過ごすことに決めました。(実際はエルニーニョは発生しなかったのですが、太平洋高気圧は今年「も」張り出さなかったですね。本当に困ったもんです)
そんなタイミングで友人のN君がカナダのバンクーバーに春に引っ越したので、訪ねて行くのも兼ねてドライブ&ハイキング旅行をしてきました。
8月8日(金)
出発日が台風の日本直撃と重なったので心配したのですが、当初の予報から方向がずれたおかげで1時間ぐらいの遅れで無事に飛ぶことが出来ました。
今回も超格安航空券を使ったのでカナダに行くのに上海経由になりました。(中国東方航空)
上海便って一度日本を西へ縦断することになるんですよね。この遠回り感がなんとも言えませんが、お盆のチケットにしてはものすごく安かったもので・・・。
中国東方航空はネットでの評判は散々ですが、料理も美味しいし、CAの対応も悪くないし、言うほど遅れませんでしたし、コストパフォーマンスは悪く無いと思いますよ。

あと、中国人にお土産として日本製の炊飯ジャーが人気なのは知ってましたが、同じぐらい電気ポッドが人気なのははじめて知りました。

上海で順調に乗り換え。

カナダ上空では眼下の景色に大いに盛り上がりました。
さて、予定通りバンクーバーに到着し、レンタカーを受け取るわけですが、コンパクトカーと同じ値段でセール価格になっていた「intermediate(コンパクトとミドルの中間)」サイズのポンティアックの車を指定していて、実際に出てきたのは「トヨタカローラ」。
受付の若いアジア人のお姉さんに「カローラは日本の車だし、アメリカの車に乗りたいんだけどなぁ・・・」と、独り言をつぶやくように要望を出してみたところ、あれやこれやと方方に掛けあってくれ、、、

ダッジ・チャージャーに切り替えてくれました!(同じ値段ですよ、つまりコンパクトカーのプライスです)
グレードはSXT、V6 3.5リットルで300馬力のFR、車重1.9トンと私からすると目眩がするようなスペックで、ライトウェイトスポーツの真逆を突っ走るアメリカンマッチョスポーティカーです。
この車はほとんど新品同然で走行距離2000kmの個体でした。
ちなみにこの車の写真を日本の知人に見せたら皆が口をそろえて言うのが「燃費がリッター3とかなんでしょ?」という感想で、実際私もカロラーからこの車に切り替わった瞬間それを心配したんですが、満タン法で計測した結果、カナダの下道・高速メインでリッター12.6kmでした。つまり私のロードスター(NA)より少し悪いぐらいです。
たまたまかと思って、日本で(も発売してました)の記録を漁ってみたら、このグレードの燃費はこんなもんのようです。
さらに上のハイパワーのグレードだとリッター10を少し切るみたいですが、走っているとメーターパネルに「ECO」という文字の緑ランプが点灯したりして、一昔前のアメ車とは隔世の感があるなぁと思った次第です。
それにしても夏の稼ぎ時に予約なしで11日間も気前よく貸してくれたので、きっと不人気車なんだと思います。(カナダではけっこう走ってるのを見かけましたが、レンタカーとしては人気が無いんだろうという意味です)
特別仕様車なのかシートは革張りで乗り心地は高級車そのもの、真っ直ぐ走る分には至極快適でした。
逆に見た目に反してスポーティーな走りはめっぽう苦手で、とてもハイペースでワインディングを走ろうなんて気にもなりませんでした。
すべての挙動が2テンポ遅く、ハンドルを切る動きを止めてから車の回転半径が収束するまでにロードスターよりもコンマ何秒遅れるイメージですし、車からのフィードバックもほとんど無いので、フワフワと走ってる感が強くて、恐ろしいったらありゃしない感じです。
スリップアシスト機能はオフにできるので、パワースライドなんかは気軽に楽しめるとは思います。(やりませんでしたが)
レースで活躍している車両は各種強化をなされた見た目だけ一緒で中身は別物の車なんでしょう。
さて、レンタカーを借りる手続きを終えてから、スマホナビをセットしてすぐにN君の家に向かい、この日は奥様の手料理でもてなしてもらい、ご自宅に泊めてもらいました。(今回、日本で1日1000円もするモバイルルーターを借りて持っていったのですが、結果的にはこれが大正解でした。空港に着いてすぐに使える状態になりましたし、今回の旅で人の住んでないような場所でもそれなりに電波は入ったので至極快適でした)
最初の予定では翌日からN君とは別れて一人で行動するつもりだったのですが、計画段階でカナディアンロッキーに行くよと伝えたら「せっかくカナダに赴任したので、ぜひ連れて行って欲しい」と頼まれていたので、明日から3日間N君ファミリー(奥さんと三歳の娘さん)と行動を共にすることになります。<br>
そういう意味ではカローラじゃなくてダッジチャージャーで良かったです。
8月9日(土)
朝バンクーバーを出発し、カナディアンロッキー山脈近郊の街、マクブライド(Mcbride)へ移動。

走行距離750km。(100km〜120km制限の道路が続くので楽勝)
N君に予約してもらったホテルで宿泊。
(本当はカナディアン・ロッキー山脈ど真ん中のジャスパーとかバンフの宿を取りたかったみたいだったんですが、すでに全て満室でここしかなかった次第)
8月10日(日)

朝6時に朝食を食べてからホテルを出発していざカナディアンロッキーへ。

早速道路脇に居たエルク。
角のサイズが立派なのに感動しました。

ハイキングをしましょうということでジャスパーのハンバーガーショップで昼食用のハンバーガーを買ってから、近くのエディスキャベル山方面へ。
氷河が創りだしたさすがの景色が目の前に広がります。

私とN君が「すげーーーーー!」と言いながら写真を撮りまくっているのを、奥様が「男の人って不思議ねぇ」と言いながら眺めております。
(湖とかの綺麗さは理解できるみたいですが、山がすごいってのは共感できないみたいでした)

今回は3歳児も居るので軽いハイキングコースをチョイス。
(キャベルメドウコース、往復4時間。もちろんおんぶ紐装備)

最初の頃は珍しいと思って、出会えてラッキーと思っていたナキウサギ。(現地名、ピカ)

越冬に備えて草を咥えて巣に駆け足で持ち帰る姿がとてもキュート。

北海道の大雪山系等にも生息しているのですが、これまで生で見たことがなかったので、この時は純粋に嬉しかったです。
(今回の旅行記では省きますが、この後何度も何度も出会ってます)

翼を広げた天使に見えることからエンジェル氷河と名付けられた氷河とエメラルドグリーンの氷河湖。
氷河が削りとった岩石のミネラル成分のおかげで湖が神秘的な色合いになってます。

スイスでは森林限界上の草原をアルプと呼んでましたが、こちらでは「メドウ」と呼ぶみたいです。
(キャベル・メドウ)
ジャスパーの街で購入したA&Wバーガーをメドウでパクつき、全コースは歩けなかったのですが、4時間ほどかけて1往復しました。

いったんジャスパーの街でアイスクリーム(アメリカ仕様で甘い!)を食べて休憩してから、まだ時間があったのでロープウェイでウィスラー・マウンテンへ。
(ジャスパー・トラムウェイ、夕方だったのになんと1時間待ちでした)

山頂まで歩いて一往復してみましたが、皆さんロープウェイ駅で満足するからかそこまで歩く人は多くなく、静かな山頂からの360度の眺望も素晴らしく、ここは予想外に満足度が高かったです。

N君と2ショット。
登ったのが遅い時間だったこともあり、ほぼ最終便のロープウェイで下山しました。
ジャスパーの街で夕食を食べ、170km離れたマクブライドのホテルに到着したのは夜の22時過ぎでした。
道中N夫妻が帰路で時差ボケ気味のドライバーの私が眠くならないように気を遣って「古今東西ゲーム」を開催してくれたのですが、ドン臭い私ばかりがお手つ きを繰り返し、一人で罰ゲームの「アカペラで歌を披露する」を繰り返させられていたので、確かに眠くならずに運転出来たのでした。

そうそう、この日はスーパームーンの満月が明るく輝いておりました!
8月11日(月)
快晴の下、カナディアンロッキー最大の観光都市バンフへ移動開始。

カナディアンロッキー最高峰のマウントロブソン。(3954m)
山頂が拝める確率が低いという事前情報で、実際昨日も山頂だけガスってましたが、本日は綺麗に拝めました。
ラッキー! (って、ビジターセンターで山頂見えたかの星取表見たら、今シーズンは50%以上の確率で見えていたみたいです)

昨日はジャスパー近郊でハイキングしてから折り返しましたが、本日はカナディアンロッキー山脈を貫いて走る国道93号線、通称アイスフィールド・パークウェイを走っていきます。
ある意味カナディアン・ロッキー観光のハイライトです。

いやぁ、素晴らしい眺めですね!
超広角で写しているのでU字谷の底から見上げた山の高さが表現できていないですが、実際は左右に切り立った壁が連なっています。
(とは言え、去年訪問したスイスに比べると高さ感は足りない気がします。立て続けに行くんなら、カナディアン・ロッキーに行ってからスイスに行くのがお勧めですが、湖主体のカナディアン・ロッキー、峠と絶壁感のスイスと方向性は違うので、お好みでどうぞという感じでもあります)

素晴らしい眺めが続くので、たまに車を停めて周囲の景色を眺めたりしながらのんびり行きます。
(90km制限なのと、遅いスピードで走ってるバスや車が多いので、それほど快走は出来ませんし、する必要も無いエリアです)

Alexandra Riverの畔にて。

Sunwapta峠越え。

峠を越えると正面に氷河が見えてきます。(コロンビア大氷原とアサバスカ氷河)

氷河手前の空き地にて。

氷河の裾のまで歩いていけるみたいだったので、チャレンジしてみました。
(普通は専用の観光バスに乗って行くのですが、なんとなく歩いちゃいました)

アサバスカ氷河です。

なんとか末端までたどり着きましたが、ここまで歩くだけでもけっこう時間がかかったので引き返しました。

その後も氷河が削りとったU字谷の道が続きます。

いやぁ、すごいですね!

ヤッホー!

思いの外ペースが上がらず時間が押し気味だったので車を停めて立ち寄らなかったのですが、ボウレイクです。

けっこう楽しみにしていたモレーンレイク立ち寄り。
夕方遅くで逆光だったからか思っていた湖の色と全然違いました。(もっと水色の写真が多いんですよ)
季節や時間、天気によって湖の色はいろいろ変わるみたいです。
ここにもピカ(ナキウサギ)が居たことから、実は珍しくないのだと判明しました。
ところで、今日の夜にN君ファミリーと別れて、その後は単独行動になるわけですが、残念ながら明日から天気はどんどん悪化していく予報になってしまっています。
というわけで、本当はこの旅の最後のハイライトとして取っておきたかったレイクオハラをいの一番に訪問する計画に切り替えました。
レイクオハラはカナディアン・ロッキーで随一の人気を誇るエリアで、11kmの道のりを専用のバスで行くか、歩いて登る、そしてその先にあるロッジが一箇所に小屋が一軒、キャンプ場が一箇所と、そのいずれかの予約が取れてないと宿泊して楽しむことは無理という、訪問難易度の高い場所なのです。<br>
バスの予約は3ヶ月前の開始と同時に埋まってなくなるということはネットに散々書かれて知っていたので、歩いて登る代わりにキャンプ場で宿泊すれば問題なく巡れるだろうと考え(もしくは、宿泊客用に遅い時間に出発するバスがあるのでそれに乗ればOKかと高を括ってました)ヨーホー国立公園のビジターセンターに少し遠回りして立ち寄らせてもらってレイク・オハラのキャンプ場の予約を取ろうとしたのですが、、、
「今シーズンはまったく空きがないよ。来シーズンは3ヶ月前から予約開始だからチャレンジしてみてね」
という、衝撃的な回答を爽やかな笑顔で言い放たれました。
宿泊に関する旅行記は全てロッジ泊やツアー泊(つまりロッジ泊)でキャンプ場がここまで人気だということはまったく予想しておりませんでした。
まぁ、一番人気+人数制限の組み合わせから想像すればすぐに分かる話ではあるのですが。
この時はキャンプ場が小さくてキャパシティが小さいからかと思ったのですが、後で実際に行ってみたら30張り以上、50〜100名ぐらいは収容できそうな規模でしたから、やはりものすごい人気なんだと思います。
バスに乗れなくて宿泊も無理だと、手のうちようがありません。
途方に暮れてしょんぼりしていたら、ビジターセンターのお兄さんが、
「バスも満席でキャンセルも出てないけど、歩いて登れば? 2〜3時間で着くよ。帰りのバスは予約必要ないし」
と、声をかけてくれたので、
「それって、何時に登っても良いんですか?」
と、質問してみたところ、
「大丈夫だよ」
との返事。
つまり、これは「早朝に一人で登っても良い」という確認です。
(カナディアン・ロッキーではクマの生息域で単独行動禁止だったりすることがあります)
「じゃぁ、1日でレイクオエサとマッカーサーレイクに行くことは可能ですかね?」
と、質問してみたら、
「たぶん行けると思うよ」
と、答えてくれたので心が決まりました。
内心で距離とコースタイムを足してみたのですが、帰りのバスに間に合えば距離25km、コースタイム9時間といったところです。
標高差も南アルプスのそれと比べれば大したこと無いし、これなら問題ないはず。
キャンプ場で2泊ぐらいしてのんびり楽しもうと思っていたレイクオエサとレイクマッカーサーを両方共日帰りで一気に巡って最終の18時半までのバスに乗って帰ってくるプランにしました。
のんびりと巡るつもりが、初っ端から強行軍になりそうです。
さて、その前にまずはN君夫妻をバンフに送り届けなければなりません。

山肌をゆっくり進む貨物列車。
どの貨物列車も異様に長いのでしょっちゅうみかるのですが、一度も機関車を見ることは出来ませんでした。
バンフの街に到着してネットが使えるようになり、よくよく調べてみたら彼らの本日の宿はとなり町のキャンモアだと判明。
とりあえず私が明日から使うガスバーナーのカートリッジを購入してからキャンモアのホテルへ移動。
N君ファミリーとはここでお別れ。
再びバンフに戻って適当なレストランでカレーライスを食べ(値段は高かった(コーラとセットでチップ込み3500円ぐらい。観光地なのでどこもこんなもんです)ですが美味しかったです)、スーパーで明日の朝食や行動食を買い込んでから再びヨーホー国立公園のレイクオハラ登山口の駐車場まで移動して駐車場で車中泊することにしました。
ダッジチャージャーは無駄にでかいだけあって実に車中泊に向いていて、椅子は革張りで座り心地が良いし、電動12アクションとかいう椅子はフルフラットに近い状態まで好き勝手に動かせるし、早朝に気温が10度を下回るので寝袋が必要なこと以外は至極快適に眠ることが出来ました。
そして、この快適に寝られたという経験がこの後の行動予定に大きな影響を与えたのでした。
8月12日(火)
朝4時に起床。(時差ボケが少し残ってるので余裕)
昨日バンフのセーフウェイ(大手スーパー)で購入したカルフォルニアロールを朝食として食べたのですが、これがマズイのなんの(笑)。
とりあえず無理やり腹に放り込み、パッキングを済ませてから5時前に出発しました。
この時期の日の出時間はだいたい6時半。(バンクーバーと1時間の時差がある上にサマータイムなので遅いです。逆に緯度が高いので日の入りは21時過ぎです)

登山口(トレイルヘッド)に天気予報が張り出されていましたが、やはり今日(火曜日)が晴天のラストで、明日からは悪化しそうです。

幸い、この林道は熊の生息域とは重なっていないようです。

ヘッデンを点けて出発したのですが、幸いスーパームーン状態のほぼ満月の月が林道を明るくてらしてくれていたので、すぐに消して月明かりだけで歩いて行きました。
ちなみに、こんな時間に林道を歩いてるのは当然私一人です。

周囲の雪山を月明かりが照らし、静寂が支配する林道を気分よく登って行きました。
林道の距離は11km、標高差400m。アップダウンが意外に多いので累計だと600mほどありそうです。

1kmごとに道路脇の木に標識が貼り付けてあるので、自分がほぼ時速5km/hで歩いてることがわかりました。
(バスや関係車両がすれ違うときに無線で自車の現在地を正確に伝えるためのようです)
感覚としては上高地から横尾に歩くのに似てます。あちらはほぼフラットですが、こちらはだらだらと登っていくのと、たまに稼いだ標高を下ってしまうのが玉に瑕ですが、ほぼおなじ感覚でスタスタ歩けます。
なので、上高地を朝にスタートして涸沢を元気よく通過し、その日のうちに奥穂まで登れる人なら私と同じコースを日帰りで歩くことは十分可能だと思います。
バスの予約が取れそうもなくて諦めてる人は参考にしてください。(予約取って雨の日にぶち当たるより、晴れそうな日を狙って日帰りで行くのも手ですよ)
というわけで、駐車場から2時間15分でレイクオハラのキャンプ場に到着。(7:10)
始発のバスに乗ってもここに到着するのは9時頃ですから、ずいぶん早く来ることが出来、これなら歩いて登ったかいがあるというものです。
レイクオハラ湖畔で買ってきたサンドイッチをパクツいて休憩を少し取ってから、すぐにレイクマッカーサーに向かって歩き始めました。
ここまで登って来てしまえば後は楽勝かと想像していたのですが、さにあらず、案外ここからも登るもんなんですね・・・
既に11kmのゆるい上りを全速力で歩いてしまったので、最初の急登がけっこうきつかったです。

あ、マーモット!(Hoary marmot、Marmota caligata)
カナディアン・ロッキーではたくさん見られると聞いてましたが、実際に出会ったのはここが最初でした。

というわけで、1時間半ほどでレイクマッカーサーに到着。
早朝か夕方は綺麗に見られるとガイドブックに書いてあったのですが、到着した時間(9時)だとすでに逆光気味になっていて、狙っていた湖の色にはならないのでした。
(写真は太陽光線待ちをしている様子。12秒タイマーであそこまで走って行ってブレーキかけて座るのは少しだけ勇気が必要です)
ちなみに、こんな時間にレイクマッカーサーに来ているのは私一人ぐらいなもんで、この景色を独り占めできている気分は最高でした。

確かに順光方向だとこんな色になってるので、うまくハマれば綺麗な色になるんでしょうけどね〜。

しばらくしたら、一人だけハイカーが来ましたが、二言三言話した後にすぐに立ち去ってしまいました。
ゆっくりしていけばいいのに。

どれだけ粘っても理想の色合いになりそうもないし、空がどんどんガスってきてしまったので、1時間ほどで切り上げることにしました。

帰りはBig Larches(大きなカラマツ)コースを歩いてみたのですが、ここから見るレイクオハラがすごく綺麗でびっくりしました。
遠くから見るとこんな色なんですね〜。
レイクオハラまで戻るとハイカー用のインフォメーションセンターがオープンしていたので立ち寄ってみました。
地図が置いてあったので、無料かと思って手にとったらスタッフが$5紙幣を手に持ちながらできれば寄付が欲しいと言ったので$5支払いました。
もうすでに本日の行程の3分の2を歩ききってしまったのと案内看板がしっかりしているので、いまさら地図は必要なかったのですが、記念にもなりますしね。
さて、お次はレイクオエサです。

名前が似ていてややこしいですが、レイクオエサの前にレイクオハラを上から見下ろしたところです。
なるほど、こんな色なんですね〜。
早朝に見たレイクオハラはそこまで綺麗だと思ってなかったので、これは嬉しい誤算でした。

一旦曇ってしまったので今日はもう駄目かと思っていたのですが、途中から晴れてきて気分が盛り上がってきました。

再びマーモットです。
やはりあちらこちらに生息していて、ナキウサギに比べるとどうどうとしているので目立ちます。
ちなみにマーモットが居るようなところには、大抵ナキウサギも居て、「ピーーー!」という警戒する鳴き声だけが聞こえてきます。

すごく楽しみにしていたレイクオエサに到着。
ガイドブックの情報通り、なかなか神秘的な色合いです。
そして、ここで確信しました。

このガイドブックの写真、どれもこれも魅力的なんですが、それを鵜呑みにしちゃダメだということを。
要はすべて選りすぐりのベストショットになっていて、実物はものすごく運が良くて同等の見栄え、大抵は写真以下の状況で拝むことになるので、「期待はずれ」になる 確率が高過ぎるのです。(ここまでだとモレーンレイク、マッカーサーレイク、レイクオエサと3回連続ガッカリ)
ネットでハイカーの皆さんが写した実物写真を見て「もしや」と思っていたのですが、ここで確信に至りました。
とは言え、レイクオエサもガイドブックの写真ほどではないにせよ美しいことは美しいので、気を取り直してここで1時間ほどのんびりと時間を過ごしました。
レイクマッカーサーではほぼ独り占めの時間を過ごしていたのですが、真っ昼間ということもあってかここは次から次へとハイカーが訪れ、残念ながらそれほど静かに過ごせる場所ではありませんでした。
ここまで特にこの旅行記に書いていませんでしたが、カナディアン・ロッキーはあらゆるところにリスが居て(3種類ぐらい)、特にレイクオエサのリスは平気でハイカーのザックに近寄ってきます。
気がついたら私のザックに付けられていた水筒ケースをリスがぺろぺろ舐めてました。どうやらミネラル補給をしてるみたいです。
齧られたり病原菌が移ったら嫌だったので早々に追い払ってしまいましたが、記録写真の一枚でも撮っておけばよかったです。
昼寝してる時も靴を脱いでいたので足を齧られるんじゃないかとヒヤヒヤしました。
(ヒヤヒヤしつつも寝てたわけですが)
さて、最終の1本前、16時半のバスに間に合うようにそろそろ戻りますか、、、と、歩き始めたところで、年配の女性が熱心に岩壁を眺めているので、なんだろうと同じ方向を向いて目を凝らしてみると、、、、

あ、マウンテンゴートだ! (Oreamnos americanus)
これはレアな動物らしいので出会えたのはラッキーでした。

なんて思っていたらこちらに歩いてきました。

日本のカモシカと近縁種だと思うのですが、同じように人間のことを気にすること無く、目の前で草を食んでいます。

そして、太い足で堂々と歩いて目の前を通り過ぎて行きました。

目の前を通り過ぎていったといえば、こちらはナキウサギ。
駆け抜けていくシーンを偶然写すことが出来ました。

ジャーンプ!

さらに長距離ジャーーーーーンプ!。
かわいいですね〜。

帰りはバリエーションルートっぽい道を少し歩いてから(バリエーションルートと言ってもちゃんとケルンやマーキング、分岐の看板があったので、問題なく歩くことが出来ます)、レイクオハラに向かいました。

相変わらず美しいレイクオハラ。
足元右側の登山道にハイカーが数人写っております。

本日、なんだかんだで25kmぐらい歩きましたが、南アルプス級の標高差だったら絶対に無理な距離でした。
レイクオハラのインフォメーションセンター(バス停)に戻ると、30〜40名ほどの人がバス待ちをしており、その中に15人ぐらいの日本人(ガイドツアーらしく3グループぐらい)が居たのが驚きでした。
道中まったく日本人に会わなかったのですが、いったいどこに居たのでしょう?
(基本私から日本人に声掛けをすることは無いので、結局どんな人達かわからないまま下山しました)

子どもたちの夏休み期間中を利用してハイカー向けに使われるスクールバス。
帰りのバスの車内で運転手さんに$10払って乗ったのですが、彼らも(と言っても女性比率が圧倒的に高かったです)バスチケットを持っていなかったので、たぶん彼らも11kmの林道歩きをしてここまで来たんだと思います。(行きもバスなら往復チケットを持ってるはずなので)
そして、レイクオハラ周辺を巡って今日の行程を終えたのではないかと想像します。
というわけで、バスで楽ちん下山をし、フロントカントリーのキャンプ場(車で行けるキャンプ場)の予約でも取ろうかとビジターセンターに顔をだすと、なんとこちらも満杯で入れないとのことでした。(そういうとき用のオーバーフロウというそのまんまの名前の空き地もあります)
天気予報を見ると明日は曇り時々雨になっていたのですっかり意気消沈してしまい、もうカナディアン・ロッキーから離れて別の場所へ観光に行こうかと一瞬思ったのですが、冷静に考えると明後日の天気予報がここ数日間では唯一曇り時々晴れになっていて、この日を逃すと晴れる日は他になさそうだったので、せっかくカナディアン・ロッキーに居るんだし、天候関係なくバックカントリー(歩いて行かないと行けない場所)キャンプを一回ぐらいはしておこうかと、レイクルイーズのビジターセンターに顔を出し直しました。
計画段階から狙っていたスコーキーバレイのマーリンメドウキャンプ場の予約はあっさり取れ(カナディアン・ロッキーのバックカントリーキャンプ場はすべて予約制の料金前払い制です。この辺は日本の登山事情と大分違います)、前払いで$10ほど支払いました。

レイクルイーズのビジターセンター横にはそれなりの規模のショッピングモールがあってスーパーやらおみやげ屋さんやアウトドア用品店、レストランなんかがあって、バンフまで出向かなくてもひと通りの用事は済ませられるようになっています。
後で知ったのはここにシャワーやコインランドリーもあるそうです。どおりでカナディアン・ロッキーエリアの半分以上のキャンプ場にシャワーが付いてないわけです。

その中に地学関連のマニアックなおみやげ屋さんがあって各種の鉱物や化石を売ってるんですが、三葉虫の化石(不完全体)を300円とか400円で石ころのように売っていたので店員さんにどこで取ったのか尋ねてみたところ、クランブルックで採れるんだとのこと。

ということで、天気が芳しく無ければクランブルックに化石取りに行くのもいいなと内心で思いつつ、「Canadian Rockies Geology Road Tours」というマニアックな本をついつい衝動買いしてしまいました。
これはカナディアン・ロッキーで見られる地質学的特徴を詳しく解説してる本で、掲載されている写真の緯度経度も記録されていて、そこに行けばどういう地層なのか解説とともに実物を見られるという本です。日本だとこういう気の利いた本って無いんですよね〜。もし、天気が悪くてドライブぐらいしかすることがなくなったら、地学ツアーなんてのもオツかと思って購入しました。
スーパーで軽く買い物を済ませ、レストランに入ると中華系の店だったので「チャーハン」を注文しました。
これが案外美味しい上に量が多かったので、半分残して発泡ケースに入れてもらって翌朝の朝食にすることにしました。
というわけで、ひと通り用事も済ませたので、この日も昨日に引き続き、登山口で車中泊することにしました。
観光地であるレイクルイーズに近いということでネットに繋がる状況ではあったのですが、回線の太さに比べて使ってる人の人数が多すぎるらしく、天気予報を確認するのが精一杯の状況ではありました。(回線はRogers Communications)
まぁ、それでも繋がらないよりはマシですし、実はダッチチャージャーが1台あればホテルに泊まらなくてもいいんじゃないかと、この時から思い始めました。
(私にとってホテルはネットが使えて充電ができれば十分なわけで、車があれば両方できますしね。唯一の不満はシャワーが無いことぐらい)
8月13日(水)

朝起きてすぐに冷えても美味しいチャーハンを頂きます。
天気予報通り朝から曇天だったのですが、雨が降ったら(雷が来たら)マズイので早めに出発しました。(7:35)
そして、本日も林道歩きからスタートです。(スコーキーロッジという人気の宿の予約がある人は送迎サービスがあるそうです)

昨日と違って距離は短いものの傾斜がキツイので思ったほどペースは上がりません。
(道路脇の標識の数字はマンホール関連のようです)

林道脇にもマーモットが居ました。

リスの写真をほとんど撮ってなかったので、ジリスの写真を撮っておきました。
もう、いたるところにうじゃうじゃ居ます。

どこもかしこも花満開です。
晴れていたらもっと綺麗だったんでしょうね〜。

デセプションパス(峠)が見えてきました。
この辺りで下山してくる人とすれ違い始めました。
とは言え、人数はそれほどでもなく、立ち止まると蚊に囲まれる以外は終始静かな山歩きです。

スコーキーロッジで乗馬をする人が居るのか、馬の隊列が追い抜いて行きました。
というわけで、駐車場から5時間ちょいでマーリンメドウキャンプ場に到着。
50張りぐらいいけそうな大きなキャンプサイトですが、私以外に誰も居ません。
まぁ、まだ13時前ですしね。

ここはおもいっきり熊の生息エリアです。

食料などはこうやって高いところに吊るして熊にキャンプサイトに行けば食べ物にありつけるということを学習させないようにしています。
(キャンプサイトから少し離れた場所にあるので、このフードロッカーを見つけるのに苦労しました)
テントを張ろうとしたらいきなりポールを折ってしまい(ちゃんとポールを通さないままテンションかけたらポキっといってしまいました)、予備のポールと交換しようとしたら、予備ポールの中にバリが残ってて紐が通せず、30分ぐらい四苦八苦してしまいました。(最後は針金をうまいこと使って事なきを得ましたが)

あれ? 晴れてきた?(これ幸いと干しているのは寝袋とダウン)
しまった、あのサイトの天気予報(Weatherunderground)が出していた予報を信じてよかったんだ!
もっと、遅い時間に出発すればよかったです。
(このサイトの降水確率のグラフはかなり信用度が高いです)

というわけで、周辺散策を開始。
歩いて1時間ぐらいの距離のマーリンレイク目指して歩いていったんですが、キャンプ場から直接行けるコースは途中の湿地地帯でコースが完全に水没していて諦めました。
(スコーキーというのはインディオの言葉で湿地帯という意味だそうです)

マーリンレイクは拝めませんでしたが、周囲に花咲くメドウが広がっているので十分楽しめました。

キャンプサイトでボーっとしてる時に突然シカ(たぶんミュールジカ)が顔を出した時は、てっきりクマが来たのかと思いました。
キャンプ場ですることがなくて暇だろうと思って本を持って行ってたんですが、私は山中で「ボー」っとしているのが得意らしく、13時から18時まで5時間ほどボーっとしていても、まったく退屈せずに時間を過ごすことが出来ました。
人生にはこんな時間も必要なんだと思います。
近くの水汲み用の川(氷河が溶けた水なので0度近い)でタオルを濡らして体を拭いたり、集ってくる蚊と格闘したりもしましたが、ほとんど空を流れる雲や周囲の山々を眺めて過ごしました。
これはいよいよ本日はここで一人っきりでキャンプかと思っていたら、17時過ぎに地元の白人男性2人組が到着して少しガッカリです。
ただ、彼らもわかってるみたいで、私のとは離れた場所にテントを張ってくれ、互いに視界にはいらない静かな夜を過ごすことが出来ました。
昨日のレイクオハラキャンプ場が今シーズン空きが無いという人気っぷりに対して、ここの人気の無さ、そこまでコースに優劣があるとは思えないのですが、びっくりするぐらいの違いです。

夕飯は私の海外旅行では定番のフリーズドライのカレー。
(あとはココアに赤出汁味噌汁)
アルコール入手で苦労したくなかったので、今回は珍しくガスバーナーを使用しましたが、やはり楽ちんです。
あとは暗くなるまでに歯磨きなどを済ませ、22時頃に暗くなると同時にテントに潜り込んで眠りにつきました。
8月14日(木)
夜中は満天の星空でした。
やはり真横になって寝られるのは楽ちんです。
熟睡出来ました。

川で顔を洗い(ついでに掬っちゃったサケ科の魚の稚魚)、スパゲティを作ってテントを畳んでから出発です。
Weartherundergroudの予報はばっちり当たりそうなので、そうすると今日晴れているのは午前中だけということになりそうです。

あ! 雷鳥だ!(たぶんLagopus mutarupestris)
日本の雷鳥とは亜種のレベルで違うみたいですが(交尾をすれば生殖能力を持つ子供は作れる)、カラーリングは全然違います。
あと、普段から追い掛け回されているからかかなり臆病でまったく近寄ることが出来ませんでした。
その辺は日本の雷鳥と違います。

天気予報通り良い天気!
やはり晴天だと気分が晴れ晴れとして歩いていて気分爽快です。

ミオソティスレイクに登る岩壁にて。
セルフタイマーですごい所に立ってる写真なんですが、あとで確認してみたらまったくわからないのが残念。

ミオソティスレイクです。Myosotis Lake
やっとガイドブックに匹敵する光景に出会うことが出来ました!
いやぁ、素晴らしい。
誰も居ないのを良いことに、ここで1時間ほど佇んでいたら、スコーキーロッジ泊の人たちが次々とやってきてしまったので、慌てて出発。
このコースを歩く人はほとんど居ないっていう前情報だったんですけどね〜。

振り返って見下ろしたところです。

続いてジガディナスレイク。(Zigadenus Lake)
先ほどの湖と2つ足して「スコーキーレイクス」と呼ばれているようです。
こちらも綺麗で眺めていたかったのですが、後続にどんどん追いつかれたのと案外早い時間にガスり始めてしまったので早めに出発しました。

花とのコラボレーションがブラボーです。

赤い花はインディアンペイントブラシ、カナディアンロッキーを代表する花です。

パッカーズパス(峠)に登る道から振り返ったところです。
古い旅行記なんかを読んでいると、このルートは歩く人も少なくて踏み分け後もしっかりおしておらずルートファインディングが必要とか書かれていたりしますが、実際にはけっこう人気があって道もしっかりついており、まず迷うことは無い道になってます。

山の上に鹿の群れを見かけました。
周辺にたくさんのハイカーが居ましたが、このシカに気がついていたのは私一人だったようです。

あぁ〜、ガスっちゃった!!間に合わなかったかぁ!
この辺(昨日も通過したターミガンレイク)の花畑、晴天の下で眺めたかったなぁ。
もう1時間ほど早くキャンプ場を出発してここまで到着していればよかったです。

花の最盛期は7月頃だと思うのですが、お盆のこの時期でもすごいたくさん咲いていました。

ターミガンレイク脇の分岐地点です。(写真は合流してから振り返ったところです)
ここを見つけるのは難しいと思いますが、一応ケルンが有ります。
左に行けばパッカーズパス、まっすぐ行けばデセプションパスです。
というわけで、最後は昨日登った林道を黙々と歩いて駐車場まで下り、ネットが繋がっタイミングで天気予報に変化がないことを確認してカナディアン・ロッキーから離れることを決意しました。
つづく