11日目
ミルフォード・サウンド → クライストチャーチ 760km
ついに、この旅の事実上最後の日がやってきました。
日の出前の5時45分に起きます。当然甲板一番乗りです。

天気予報通り雨が降っていて、すごい霧が出ています。
写真に写っているのはもう一隻のオーバーナイトクルーズをやっている船です。

徐々に明るさが増しているのか、目が慣れてきたのか、ミルフォードサウンドの違う顔が徐々に明らかになってきます。
船がゆっくりと進み始めました。

噂通り、凄い数の滝が岩肌を伝って落ちています。写真は広角側で写しているので白い線にしか見えないと思いますが、実際には1本1本が落差数100mの立派な滝です。
起床時間が来たようです。スタッフがラジカセにCDを入れて何やら再生をはじめます。スピーカーにマイクを近づけて館内放送をしようという事らしいです。
「起きろ〜、起きろ〜、殺すぞ〜、プシュ〜」
みたいなホラー映画のセリフが艦内に轟きます(笑)。
さらにCDを交換し、「起きてよ、ダーリン♪」みたいな陽気な音楽を1分ぐらい同じように流してから
「おはよう皆さん! 朝食の準備が出来ましたよ〜」
と挨拶をしていました。これを目覚めに聞いてみたかったですね(笑)

朝食です。二人は昨日と同じようにおかわりをしておりました。
さて2日目の航海に出港です。
雨が降っているので、撮影が大変なのですが、景色はさすがです。

本当にたくさんの滝が落ちて来ています。晴れと雨、両方のミルフォードサウンドが見れて良かったです。

カイコウラで一緒に泳いだダスキードルフィンです。

船の舳先で一緒に泳いでおりました。
昨日は途中でUターンしてしまったのですが、今日は外海に出るみたいです。
ミルフォードサウンドの入り口に到達すると、冷たかった風が突然生暖かくなります。いきなり5度ぐらい上がったイメージです。これが暖流が暖めた空気と山が冷やした空気の違いなのでしょう。
そして、突然波の高さが2m〜3mぐらいに変わりました。後ろの方に居たら波を被ると思い、船の先端に出ます。ほかの人は早々にキャビンに逃げております。
来ました、でかい波です。船がブレーキを掛けます。
波を越えると体が浮き上がるぐらい船が落下し、ザバーンと着水します。そして、後ろに飛ぶかと思っていた波しぶきは、なぜかそのまま私に降り注ぎました(笑)
デジカメもろとも全身ずぶ濡れです。
一旦寝室に戻り、頭をタオルで拭きます。
今回デジイチ君はさんざんな目にあわせてしまいました。
出発の時のタクシー置き去り、あちこちのトランピングルートでぶつけまくり、さらにフランツジョセフで落としてフィルターを粉砕し、あげくにミルフォードサウンドでずぶ濡れです。
すまぬ、最後までよく戦ってくれた。
もうちょい一緒に頼む。(と言いながらタオルで拭きます)

そして、ふたたび撮影のために根性で甲板に戻ります。
(さすがにちょいと後ろのポジションです(笑))

外海からミルフォードサウンドの入り口を見ます。
クック船長もこの先にでかい入り江が続いているとは気付かなかった狭い入り口です。たしかに、こうやって見ると手前の山裾越えて左側にあんなにでかい海路が続いているようには見えません。
ミルフォードサウンドの「サウンド」は入り江という意味ですが、本来は川が作った入り江の事を指しており、氷河が作った跡地(モレーン)に海水が入り込んで出来た入り江は「フィヨルド」と読んで区別しております。ですので、ミルフォードフィヨルドと呼ぶのが地学的に正しいのですが、ミルフォードサウンドのほうが一般名詞化してしまったみたいですね。
隣のダウトフルサウンドは、クック船長がこの砂浜に行ったらあまりの風で帰って来れるかどうか「疑わしい」のでダウトフルハーバーとでもしておこうと名付けたのが由来だとか。
と、船内の「日本語」のパンフレットやロンリープラネットのガイドブックに書いてありました。
入り江に戻り、再び気温は下がって寒くなりましたが、波は収まりました。
あと向かい風です。さっき波を被ったのは追い風で、波が前に飛んで来たからのようでした。とほほ。
しばらくすると甲板に人が戻ってきました。

この滝、途中の強風で下から上に吹き飛ばされているのがわかりますでしょうか?

本当に幻想的な光景です。滝が途中で消えているように見えます。

そして幻想的な光景ばかりじゃなく、昨日他の船がやっていた、滝突っ込みです。

ほとんどの人が滝が作り出す水しぶきと風にビックリして、逃げていきました。
(フードがめくれ上がってます)

私は(すでにずぶ濡れだったので)逃げないで撮影しておりました。
いやぁ、水のエネルギーは凄い。
なぜ、皆逃げたのかと思ったら、水しぶきだけではなく、反対側にバンドウイルカが遊びに来ていたからでした。(写真を撮る前に、どこかへ行ってしまいました)
さて、ここで夜を過ごした入り江に入ります。

昨日も書きましたが、オプションで海中展望台ツアーがあり、私は申し込んでいたので、ここで下船ということになります。チェさんは見学をしないということなので、カメラを返してもらい、荷物を寝室からあわてて取り出し、船を降りました。
降りたのは10名ほどでしょうか。残りの人は港へ向けてミルフォードワンダラー号で行ってしまいました。

ここではガイドの女の子が丁寧に解説してくれます。日本語でだいたい知識は得ていたのでよかったのですが、やはり英語で質問してみたかったですねぇ。
ちなみに再び船に置かれていたパンフの受け売りなのですが、ミルフォードサウンドは雨が多いことで有名で、あの屋久島の年間降水量が平地部分で4600mmなのに対して、ここは6000mmです。雨は森の中を駆け巡り、タンニンを多く含んだ水が大挙して流れ込みます。
水深3mぐらいは淡水層、それ以深は海水層になっているのだとか。(あまりに流れ込む量が多すぎて混ざらないそうです。すっげ〜)
ゆえに先ほど私が頭から被ったのはたぶん淡水です。
タンニンを含んだ表面の淡水層の透明度は悪く、境界の屈折率の違いもあって、結果浅いのに光の届かない部分がフィヨルド内に出来、深海に棲む生物を浅い水深で見ることが出来ます。
で、それをお見せしましょうというのがここの趣旨です。

螺旋階段でちょいと下ると展望所に到着します。
ここでも一生懸命説明してくれているのですが、やはりさっぱりわかりません。

説明が終わると、よく見えるように中の電気を消し、外に向けてライトを照らしてくれます。

ブラックコーラル(黒珊瑚)です。思いっ切り白っぽく見えますが、本来は50mという暗いところに生息するサンゴなので、黒っぽく見えるのだそうです。
思っていたよりは生物がたくさん居ました。
水族館みたいです。

30分ぐらいすると船が迎えにやってきました。
双胴船の立派な奴です。我々10名のために来たのだとすればご苦労なことです。
(我々以外誰も乗ってません)
そして、双胴船えらいスムーズで乗り心地がいいんです(笑)。ミルフォードワンダラー号はなんだったんだという感じです。

こうやって船が立てた波を見ると、タンニンを含んだ緑茶色の水なんだということがよくわかります。
雨足がどんどん強くなり、バケツをひっくり返したような雨になります。

そんな中をカヤック漕いでます。(昨日晴れていてよかったぁ)
しばらくして港に到着しました。
さて、あとはいよいよクライストチャーチまで760kmの道のりを走るのみとなりました。
現在10時で、25時までに空港のサービスに返せばいいので、まぁ時間的には大丈夫です。

幸い傘を持ってきてはいましたが、すごい雨です。
駐車場に戻り、いよいよラストドライブに出発です。

ワイパーを超高速で動かしていないと、まったく前が見えません。

そしてフィヨルドランドは昨日とは全然違う景色になってました。

これは一見の価値アリですよ!

川の色が昨日と全然違います。こうやって、フィヨルドの水の色が出来上がって行くのですね。

いやぁ、幻想的な光景でした。
車の泥もけっこう落ちました(笑)

フィヨルドランドを出ると雨は止みました。

テ・アナウでいつものやつを買います。
そして空が晴れてきました!

そういえば今まで紹介していなかったんですが、これ、すごいスケールですよね。タイヤ付スプリンクラーです。

天気の神様は最後にちょっとだけサービスをしてくれたみたいです。

福岡県の春日市からやってきたラブワゴンです。男女ふれあいの旅を続けております(笑)

行きも感動したリンディスパスです。

行きにカードローナのホーストレッキングサービスに電話したあたりでしょうか。

空と地平線がつながるあたりにマウントクックがあるはずなのですが、残念ながら見ることは出来ません。
ここでいよいよ、世界遺産登録地域のテ・ワヒポウナムから出ることになります。
そう思ったら急に寂しい思いに駆られました。

どこまでも続くストレートと地平線。

何度も感動を与えてくれたサザンアルプスの山々。
また、いつか見に来たいです。

小腹が減ったので、サーモンバーガーを買いました。
サーモンの脂が乗っていて、予想外に美味しかったです。
天気の神様のちょっとしたプレゼントもここで終了したようです。
最後まで晴天をありがとうございました。
時間に余裕が少しあることがわかったので、幹線道路以外の道を軽く探検してみます。

大量の牛

大量の羊
誰ですか? なんかウジ虫みたいで気持ち悪いって言っているのは?
私です。毛を駆られた羊の群れなんですよ。

大量の鳥(豚のえさに群がっていたレッドビルドガル。カラスや鳩のポジションに居る鳥で、よく轢かれた動物の死体のところに居ます)

ラベンダー畑
(写真を撮っていたらスプリンクラーの水がかかりました)

何キロも延々続く直線道路

ガススタンドに専門店があったので、ついつい買ってしまった例のモノ。
食事の回数が1回多い気がしますが、
♪そんなの関係ねぇ、そんなの関係ねぇ♪
え、そのブームは終わった?
そうでしたか。
こんな感じでマイナーロードを走ってクライストチャーチに戻ってきました。

久しぶりの信号です。

そしてニュージーランドではそもそも珍しい踏切で捕まるということを体験出来ました。
これはラッキー!!

そしてホテルに到着しました。
明日は朝5時40分の飛行機に乗らなければならないので、早朝に移動手段の確保が可能な空港側の送迎付ホテルを押さえていたのでした。

信じられないぐらい立派な部屋です。(感覚がすっかりユースホステルになじんでしまいました)
とりあえず落ち着いたので、車を返しに空港に向かいます。

さすがに3000km以上走ったので愛着も沸きます。

お疲れさん! いい車でした。
ちなみに北島でも900km以上走っていたので。今回の旅で合計4000km走ったことになりますね。
AVISのカウンターに行くと営業時間のはずなのですが誰も居ません。
用があるなら電話をここにかけろと書いてあるので、かけてみると
「鍵と書類をポストに居れておいてください。なにかあったら後で連絡します」
とのこと。なんとアバウトな。
ホテルに歩いて帰ると30分ぐらいなので、クライストチャーチのダウンタウン行きのバスの運転手にホテルの側に停まるかどうか尋ねると、あっちのバスなら停まるかもと、運転手が降りてきてわざわざ別のバスに案内してくれました。なんて親切な。
ただ、残念ながらそのバスもホテルの側には行かないとのこと。
なんとなくホテルの送迎サービスっぽいバンが停まっていたので、運転手さんに声をかけると
「そのホテルなら、、、こっちに来な」
と、看板案内所のところに連れていってくれ、そこに置いてあるホットラインでホテルを直接呼び出してくれ、電話がかかったところで
「ほら」
と受話器を渡してくれました。(英語で話すのは苦手なので、代わりに呼んでくれたらうれしかったのに、とわがままなことを思いつつ) ホテルの送迎サービスをお願いすると、すぐに迎えをよこしてくれるとのこと。

赤く染まった空を眺めながら待つこと10分、バンが到着し、無事にホテルに戻ることが出来ました。
モーニングコールと早朝の送迎をお願いし、ロビーに置いてある2$インターネット端末で会社と実家に無事に旅が終了とメールを打ち、恒例のノートPCで作業をしてから布団に潜り込みました。
そろそろ社会復帰モードに入らねば。
では、おやすみなさい。
つづく
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