kk1プロローグ今年のお盆は北海道の山(日高大雪、利尻等)に登りたかったのですが、お盆付近の予定がいろいろはっきりしないままフェリーの予約を取り損ね、結局毎年恒例の(と言っても3年目です
が)、北アルプス縦走に出かけることにしました。天気予報では金曜日までは晴天続きになりそうなので、6泊7日の予定を組みます。(土曜から金曜まで)
金曜の夜に家に寄らず職場からそのまま出発できるように、木曜日中に登山道具のほとんどを会社に運び入れておきます。
ちょうど8月から自転車通勤に切り替えたので、

まるで、日本一周自転車旅行をやっている途中で東京に立ち寄ったおっさんにしか見えません。
(ガラスに写る自分のあまりの姿に記念写真)
職場では
「なんだ、今日(木曜)から君は夏休みか?」
「何? この、こ汚いザック!」
と、さんざんな言われようで2日間を過ごし、いよいよ金曜日の夜を迎えます。
そして、夜22時30分、ザックを担いで出発。
近所のコンビニで水と朝食、昼食を調達して、お盆前の宴会帰りサラリーマンでごった返す電車に飛び乗ります。

雑誌を読みながら、目指すは上野駅。

上野駅です。
なんだろう、この(特急用)プラットフォームだけ古くさくて、まるで昭和のような感じがします。
まさに、
♪上野発の夜行列〜車、降りたときぃから〜♪
↑
(こぶし)
の世界です。

おぉぉ、こんな古い電車、まだ走ってたんだ! (まさに昭和時代!)
というわけで、今回お世話になる急行能登、金沢行きです。

そして、もう私は「大人」なので、グリーン車に乗ります!
(実はもろもろの予定の整理やら天気予報を見ながらギリギリに目的地を決めたので、寝台列車の切符が取れなかったのです。そして急行のグリーン車の方が寝台よりも安いと知り、こちらに決めたのでした。小田原行きの快速を除けば、人生初グリーン車です)
そして、さすがグリーン車、多少足を伸ばして寝れます。ホテルロドスタよりは全然快適です(あたりまえ)
なんでも富山駅までの途中停車駅では車内アナウンスが一切流れないらしいので、自力で起きないと駄目なようです。
腕時計の目覚ましを5時にセットして(5時29分到着)、目を瞑ります。
おやすみなさい
土曜日(初日)目覚ましが鳴る前に起きました

すでに外が明るくなっています。(4:30ぐらい)

窓の外には日本海!

反対側の車窓では、黒部の山の端から太陽が昇ってきます

指定時間ちょうどに滑川到着。(5:29)
他にも登山者と思わしき方はたくさん乗っていたのですが、ここで降りたのは私含めたったの2人です。
これはマズイ!
なぜかというと、ここから富山電鉄に乗り継ぎ、その先は登山口までタクシーに乗らなければならないからです。
(複数居れば皆で割勘できます)
一緒に降りた方に話しかけると、ちょうど私が富山電鉄に乗ろうと思っていた区間をタクシーで移動して、その先は広島からやってくる友人と一緒に車で登山口に行くとのこと。
その車に乗せてもらえないか頼み込んでみるものの
「もう一杯一杯だからなぁ」
という返事・・・
「なら、富山電鉄区間はボクがタクシー代出して上げるから、とりあえずタクシーに乗る?」
と誘われたので、そのままタクシーに一緒に乗り込みます。

というわけでタクシーで移動開始。
そして、登山口に一番近い富山電鉄上市駅に到着するも、他の登山者は皆無。
「じゃぁ、ボクはここで降りるね」
と、その登山者の方がお金を払おうとするので、
「ここまでは割勘で」
とお金を出そうとすると
「いいよ、ここから登山口までけっこうかかるよ。どうせ一人で乗るつもりだったし」

ついつい、優しいお言葉に甘えてしまいました。その方は北方稜線という上級者向きのルートを使って剱岳を目指すのだそうです。
(写真は上市駅で降りる優しい登山者の方)
では、一人で登山口まで行きますかね。。。
「まぁ、新聞でも読みなさいよ」
と、タクシーの運転手が言うので、どれどれと手に取ります

そっか、北京オリンピックがスタートするのか
まぁ、どんな結果になっているかは、下山の時のお楽しみですな。
街をすぐに抜け、タクシーは険しい山岳道路に入っていきます。大変良い雰囲気です。
「すみません、写真を撮りたいのでどこか景色の良いところで車を停めてもらえますか?」
と、お願いしておきます。
昨日の夜にコンビニで朝食用におにぎりを二つ買っておいてあるので、それをパクつきます。
しばらく走っていると、運転手さんが
「ここからの眺めがすばらしいんだよ」

と、橋の上で車を停めてくれました

川の上流には剱岳です。(写真中央、かなりうっすらとシルエットが写ってます)

左側のギザギザの稜線が北方稜線でしょうか?
↑
後で他の登山者から教えてもらった話から推測すると小窓尾根
さすが運転手さん良いポイントを押えています。
今日は霞がかかっていて、はっきり見えないなぁと運転手さんがぼやいてますが、私にとっては大満足の景色です。

そして、狭い山道を走ること30分、剱岳が眼前に迫り、それに比例してタクシーメーターはガンガン上がります。
そして、ようやく馬場島の登山口に到着しました。(上市駅から7500円なり。とほほ・・・)
剱岳に登る道はいくつかあるのですが、この登山口の標高は750mしかなく、室堂の2450mと比べると圧倒的に低いところからのスタートとなります。
人気が無い登山口だとは知っていたのですが、お盆なのにここまで誰も居ないとは思いませんでした。
ただ、(地元の)車がそれなりに停まってはいるようです。
ちょうど福井ナンバーの自家用軽自動車で来ていたおじいさんが登る準備が出来たところらしく
「では、お先に〜」
と、笑顔で登山口に入っていきました。

というわけで、標高750mの馬場島から早月尾根を登って剱岳(2998m)を目指します。

むやみにかっこいい言葉です。
後ろの木と比較して頂ければおわかりの通り、けっこう大きな石碑です。

脅し文句もあります。
気を引き締めて靴紐を縛り直し、ザックを担ぎ、いよいよスタートです。(7:00)
そして、のっけから急登。
(北アルプス三大急登だということは後で知りました)

すぐに前を歩いていたおじいさんに追いつきました。

立派な杉の木(立山杉)があったので、おじいさんと一緒に写しておきます。
(お願いしたら、ちゃんと樹のところに立ってくれました。優しいお方です)

かなり登ったところで、ようやく標高1200m。こりゃぁ、人気出ないわ(笑)

↑
サンドイッチ
タクシーの中で食べたおにぎり二つはあっと言う間に消化し、早速燃料切れを起こしたので、さらにサンドイッチを投入。
サンドイッチって、軽くてコンパクトでカロリーが高いので、こういうときにこそ役立ちます。
(元もと外で食べる用の行動食なのでしょうか)
横で休憩していた(先ほどとは別の)おじさんが
「あんたはどこから来たの?」
と聞いてきたので
「東京からです」
と答えると
「あぁ、旅の人か」
との返事。
よその土地の人を「旅の人」と呼ぶことを知っていたのですぐに理解しましたが、知らない人がこれを言われたらビックリするだろうなぁ。(家を持っていないアパート暮らしの人も、旅の人って呼ぶって聞いたことがあります)
そう言えば、大学生の時に初めて北海道で一人暮らしを初めた時、アパートの管理人さんに
「どちらからいらっしゃったの?」
と聞かれて
「春日井市からです」
と答えたら
「あぁ、内地の方」
と言われたのを、「愛知の方」と言われたのかと勘違いして、よく知ってるなぁとびっくりしたのを思い出しました。
話を戻します。

まだ、初日なので体も軽く、予定より1時間早いペースで小屋に到着できそうです。

スタート地点も遥か下に見下ろす感じです。

ようやく灌木(低木)地帯に入ったところで

剱岳の頂きが見えてきました。

もうちょっとで小屋に到着します

本日の宿、早月小屋に到着! (11:00)
剱岳は手前の尾根山の向こうにあって、頂上付近と左の小窓尾根しか見えません。
激空きかと思って小屋に行くと
「今日はすっごい混雑だよ。布団1枚一人なんて無理無理(笑)」
と予想外の返事。
室堂方面から下ってくる人や、私よりもはるか先に登った地元の人がたくさん居るのでしょうか。
それとも小屋のキャパが小さいのでしょうか。

仕方がないのでテント泊に切り替えます。
おまけに小屋には牛丼などの軽食メニューや水も無いので

カップラーメンをすすり(夕食)、水2リットルを800円で購入します。
私以外でテントを張っているのは、この時点で1名。
その方は、来週障害をお持ちの方と一緒に剱岳を登るとかで、途中でビバークするための物資を事前に担ぎ上げてきたのだとか。
「なんだ、テント泊だったのかい」
と、先ほど追い抜かした優しいおじいさんが笑顔で歩いてきます
二人で話をしながら明日の行程を確認するために地図を取り出すと

持ってきたカルピスの原液がウェストポーチの中でこぼれ出し、地図が大変なことに!!
たぶん、その時の私の顔があまりに悲惨だったのか
「私は小屋に戻りますね・・・」
と、おじいさんは歩いて行ってしまいました。
いや、そこまで深刻では無いのですが(笑)
その後、他にテントを張っている人達と仲良くお話をさせていただき、夕方まで時間をつぶします。
テントは最終的に7張りぐらいだったでしょうか。小屋の混雑っぷりから考えれば、嘘みたいな少なさです。

あの、ギザギザの尾根、小窓尾根と言ってルートは無いのですが、ロープ無しで登れるらしいです。
帰宅してから調べてみたら、ゴールデンウィーク前後の残雪期に登っている人が多いみたいです

その後も沸き上がる雲を楽しんだり、持ってきた本を読みながら、時間を過ごします

積乱雲があちらこちらから沸き上がっています。
室堂方面で雷が鳴っているみたいですが、こちらは全然大丈夫で助かりました

夕日が雲海に沈んでいきます。
雲海がなければ富山の街並みや日本海が見えるのだそうです。
他のテント組の方々は夕飯の準備をしていますが、私はすでに昼頃食べてしまったので、行動食として持ってきた「ばかうけ」をいくつかつまみながら空腹を紛らわせます。
では、寝るとしますかね! (19:30)
距離 5295m 登り 1480m 下り 35m