k2日曜日(2日目)2時に目が覚めたので、テントから顔を出し空を見上げます。
満点の星空、そして天の川、流れ星の3点セットです。隣のテントからも
「流れ星だ」
という声が聞こえてきます。
その後、一眠りして3時半過ぎに目が冷めたので、

昨日に引き続きインスタントラーメンを食べ

4時40分、薄明かりの中、早月小屋テントサイトを出発。

懐中電灯は必要ないぐらいの明るさです
(写真では足元が写りませんが、これだけ空が明るいこともあり、ちゃんと見えています)

富山の街を背に、ガンガン登っていきます
登りはじめてすぐに
森林限界を超えました。

剱岳にかかっていたガスも次第に取れてきました。
う〜ん、かっこ良すぎます

早月尾根の様子も昨日の樹林帯とは大分変わって険しくなってきました

先行する登山者が小さく写っているの、わかりますでしょうか?
手を使わないと登れないシーンが増えてきました

太陽も顔を覗かせます

ちょっとした雪渓を超えて (ここがビバークポイントでしょう)

いよいよ、剱岳の本領発揮という感じになってきました

こちらもセブンイレブンで購入した寅壱ブランドの軍手を手にはめます。
(この軍手、見た目すごい使えそうなのですが、岩にはまったく無力で、途中で外してしまいました)

では、行きますよ〜

足元注意!
(という演出の写真です)

鎖やロープも完備されているので、実際には危ないことはまったく無いです。

ガシガシ登って行きます(写真中央に←→マークが見えるでしょうか? ここが登山道です)
今年のゴールデンウィークに行った室堂平が見えています。
その向こうの山が薬師岳、その左隣が黒部五郎岳、その左の尖っている山が双六岳だと思います。
すべて、今回の行程で通過する予定の山々です。

山頂へと続く尾根がはっきりと認識でき、がぜん盛り上がってきます。
(写真右端に登山者)

先ほど通過した雪渓付近を振り返ります。
その向こうに馬場島と思わしき川原が見えていますね。

朝食のインスタントラーメンでは持たないので、カロリーメイトとスナック菓子で軽く燃料補給。

頂上まで後わずか
(わかりにくいかも知れませんが、写真中央に登山者が6名ほどへばりついてます)

目を凝らせば、頂上と思われる場所(山の端左に見える社)に向かって登山者が歩いているのが見えます

写真中央、写ってます。あの辺りが登りのハイライトですね。

先ほど、カロリーメイトを食べていたところを振り返ります

ヘルメット被った彼、インドネシアから日本に移り住んで来たとのことです。彼のバディ(と言っても昨日テン場で知り合って意気投合)はアメリカ人で、英会話教室の先生をしているとか。

下から見上げていたあたりです。
たぶん、登りはたいしたこと無いのですが、下りは高所恐怖症の方は恐く見えるんじゃないでしょうかね?

まだ7時だというのにガスがあがりはじめています。

振り返ったところです。(中央、尾根の上に登山者が写っています)

同じく振り返ったところ。
通過した雪渓から登山口付近の川まで早月尾根が一直線に見えています。

剱小屋方面から上がってきた人達とすれ違いはじめました

早月小屋から標高差約800m、山頂直下の分岐点まで登ってきました。(7:30)
早月尾根から登ってくる道と室堂方面から上ってくる道がここで合流します。

室堂方面から登ってくる時は、標高差は少ないものの、こんなところを上がってこなければなりません。
右の平らな大きな岩に登山者がたくさん張り付いているのが見えますでしょうか?

山頂までもうすこしです

うわ、混んでるなぁ。(さすが日本百名山)
(あと、気のせいか若い人が多い。最近流行りのパワースポットかなんかでしょうか?)
つい最近新しくなった社。

恒例の横スクロール画像。

私も恒例のポーズをやっておきます。
写真では分かりにくいですが、一歩前もしくは左右に進むとおっこちます。

では、室堂方面に下りますよ〜

すごいところを下っていくように見えますが、見た目ほどは恐くは無いです。

恐くないのはいいのですが、渋滞が酷い!

あそこの一枚岩超え(平蔵ノ頭)、楽しそう!

登山者には有名な「カニのヨコバイ」の取り付き

よっぽど恐いのかと思ってドキドキしていたのですが(さんざん聞かされたもので)、基本通りに行けばまったく問題の無い場所です。
岩にへばり付いて左(写真では右)に進むのですが、最初の足場は右側に有ることに気づけばなんてことはないです。

こんな感じに横に進んで行くのでカニのヨコバイ!

あとはハシゴを下って終了。
ハシゴの下に緊急避難小屋があるなと思ったら、便所でした(笑)
まぁ、緊急事態ってこともありますしね。

こちらは室堂側から登るときに使用する、カニのタテバイ。50mの登りです。

楽しみにしていた平蔵ノ頭越え。
子どもの頃のアスレチックを思い出す楽しさです。

平蔵ノ頭から剱岳を振り返ります。
中央左上がタテバイ、左下にヨコバイから下る道と便所が写っています

こちらは本日登って来た早月尾根

おぉぉ、室堂を走るバスの道やホテルが見えてきましたよ!

昨日テン場で仲良くなった二人組の方と合流。(ちなみに、二人とも私とほぼ同じ歳です)
左がSさん、右がNさん。それぞれ1泊2日と3泊4日の予定なのですが、私よりはるかにでかいザックを背負っています。
逆に2人から
「ぎんがめさん、そのザックにテントと1週間分の装備が入っているんですか?」
と質問を受けます。
私のザックって、実は常識的に山小屋1〜2泊用のザックなのです。
どこかで書いたと思いますが、私は大学時代に助教授に連れられて高山に生える
スゲ属の植物を採集するために大雪(たいせつ)の山を歩いたことがあります。
その時は、助教授が大学のワンゲル時代に使っていた帆布製のサブザックを渡されて、パッキングの基礎を教えてもらったりしていたのですが、同時にその時に「持たない登山」を教わりました。

こんなザックです。布製のでかい筒って感じですね。
ちゃんとパッキングしないと、とんでも無いことになり、背負いにくいったらありゃしないわけです。
当時、すでにこんな歴史物のザックを背負っている人は大雪の山には居ませんでした。
普通山岳部とかワンゲル出身の人は、「
キスリングでどれだけ重い(40kgとかの)荷物を担ぎ上げられるか」というのが自慢だったりするのですが、この助教授はそれは馬鹿げていると思っていたのでしょう。
自身の装備もテント込みで20kgちょい、私の方も10kgちょいになるように調整してくれていました。ゆえに、山では不便な思いをすることもありましたが、登り降りはそれなりに楽だったんだと思います。(10kgちょいでも当時の私にはえらい重さでしたが)
さらに時代は進み、今はテント込みで10kgちょいで済むようになりました。(あと水やらなんやらで15kgぐらいですかね)
そして、今でも「持たない登山」は実践しています。(登山道具屋さんに行くとついついあれこれ買いたくなりますけど)
問題は食料です。
私はそれを山小屋に頼るという選択をすることで、荷物を小さく軽く済ませているのです。
普通、山小屋に泊まる人は軽量装備で山小屋のみを使用し、テント派は食料含めすべてを持って上がるのが美徳としているわけですが、わたしはそのハイブリッドタイプ、いいとこ取りを狙っているわけです。混んでいるのならテントで眠り、食事は自分で作るより山小屋に頼った方がはるかにおいしい料理にありつけるわけです。
こんなことが出来るのは山小屋が宿泊者以外に料理を出せる北アルプスの稜線を歩いているからで、他の山岳地帯を行くのなら、どちらかに特化するしかないです。実際は避難小屋ぐらいしか無い山岳地帯の方が多いんじゃないでしょうか。そんな場所を3泊以上テントで泊まり歩くのなら、もう一回り大きなザックを購入するしかないですね。
そんな話を二人にすると、
「へぇぇ、テント泊で山小屋に料理を頼るなんて、思いつきもしなかった」
と感心されます。
(実際、すべての小屋が対応できるわけでもなく、昨日の早月小屋では調達に失敗しているわけですが(笑))
ためしにNさんのザックを持たせてもらったのですが、重い重い。30kg弱あるんじゃないでしょうか?
逆に言えば、よくこんな荷物を背負ってここまで歩いてきたなぁと感心します。
さて、この2人の方としばらく一緒に歩くことにします

ガレた道を下っていきます

そして、前剱を登り返します。(左下から右上にかけて小さく登山者が写ってます)

前剱を超えると、後はひたすら下りです

まだまだ下る〜

どこまでも下る〜

剱岳は岩山というイメージがあったのですが、花もそれなりに咲いているのですね

というか、けっこう綺麗で楽しめます

9時をまわり、いよいよガスが上がってきました
2人組のSさんは
「明日から東京で仕事がありますので」
ということで、先に室堂に向かうことになりました。
ちなみに、本当のお盆休みは8月下旬に取って、北海道の山巡りをするのだとか。うらやましい限りです。
もう一人のNさんは
「ぎんがめさんと同じ行程で太郎平まで行くかなぁ」
ということで、しばらく一緒に歩くことになりました。

剣山荘に到着

完全に燃料切れを起こしていたので、Nさんと二人で牛丼を腹に放り込みます。(10:30)
ここの牛丼、普通のレトルトではなくお肉がしっかり入っていておいしかったです!!
さて、先を急がねばならない時間になってきました。(11:00)

剣小屋を後にして

もう一度登り返します

ガスをまとった剱岳、かっこいいですね!

ちょとした雪渓を歩き

そこからさらに、ひと登りしたところが別山乗越(のっこし)

別山乗越に到着しました。
足元に、本日宿泊予定の雷鳥荘が見えています。(混雑を予想して室堂平の宿だけは(温泉のあるところ優先で)予約してあり、相部屋をおさえてあります)
今晩は温泉に入れます!!
別山小屋でNさんとフルーツ缶を1つ購入し、半分ずついただきます

別山ってすっごいカール(氷河時代に氷河によってスプーンのように削り取られた地形)になってるんですね。
向こう側からも見えていましたが、こちら側からも大迫力です。

すでに大分歩いているのですが、ここから私の希望で立山三山縦走に出かけます
お盆には雪が残っていて、まったく登ることが出来なかったですしね。

剱岳を眺めながらの楽しい稜線歩きです。
しっかし、ほれぼれするぐらいかっちょいい山です。
前剣から牛丼を食べた剣山荘までの登山道がはっきりと見えていますね。

別山の山頂からガスをまとった剱岳を眺めます
いやぁ、大迫力!
さて、立山方面に向かいますか。

あらら、真砂岳や立山方面はおもいっきりガスってます。

室堂平方面はだいたい見えているのですが、

立山方面は晴れたり

ガスったりを繰り返しています。
ここで、Nさんが私の宿への到着時間を気にしてくれます。(今のペースで行くと17時半前後)
まぁ、たしかにガスった立山を無理に歩いても仕方が無いのと、これ以上(私より10kg以上重い荷物を背負っており、立山は2回目の)Nさんを付き合わせるわけ
にもいかないので、ちょいと戻って「大走り」というエスケープルートを使って、一気に室堂に降りることを提案します。

まだ登ったことの無い百名山の山を目の前(あと20分)にしてあっさりと下る決断をした私にNさんが
「ぎんがめさんって、山での食事のことと言い、えらい合理主義ですね。もしかしたら一般的な女性はその合理主義についていけないかも」
と、笑顔でするどいツッコミを入れてくれますが、まさにその通りかもしれません。
さて、エスケープルートの大走りですが、コースタイム1時間半の下り道です。北岳ほどでは無いにせよ、けっこうな下り坂です。

幸い景色がすばらしいので、楽しみながら下りましたが、なんせ距離が長い。
(ガスをまとった立山)

正面大日岳方面。
Nさんのペースにつられて下りましたが、危うく膝が笑うところでした。危ない危ない。
途中で子どもをたくさん連れたパーティーを追い抜かしたのですが(ゴールデンウィーク編でも書きましたが、富山県には立山に登らないと一人前として認められないという風習があり、小学生がけっこう山頂まで連れてこられるようです)、そのうちの一人歩けなくなったのか、下りの途中で半べそかいて座り込んでいました。
Nさんがやさしく声をかけていましたが、きっと彼は二度と山に近づかないのでしょう。

延々と下り、ようやく室堂平に到着しました。

そして、下山した場所が思いのほか美しくてびっくり!!
室堂平にこんなに観光客が少なくて素敵な場所があるとは思いませんでした。
ここは本当に良い場所です。ちょうど夕方に来ると空いていて雲も安定し、観光客も来ないと思うので(室堂平のホテルから一番離れた場所に位置します)おすすめです。これだけの規模の花畑は縦走しててもそうそうお目にかかれるもんじゃないです。
大走りを下ってきて良かった!
(立山はまた次の機会!!)
↑
合理的判断により日本で一番簡単に登れると言われる3000m百名山なのに未踏峰になっちゃいました

先に雷鳥テン場に着いたので、明日はスゴ乗越のテン場で再会しましょうとNさんと約束し、分かれます。
山のテン場にはあり得ないぐらいでかいテント(いわゆるホームセンターとかで売っているファミリーテント)がたくさん並んでいてびっくりします。
ここから写真で正面の丘の上にある雷鳥荘まで歩いていくのですが、すでにシャリバテ(燃料切れ)を起こしており、思うように登れません。
観光客の方々が軽装でスタスタ歩いている中、本格的な格好をした私が死にそうな感じで歩いているのはなんともみっともないのですが、宿に着いたらすぐに夕飯なので、ここで何かを食べるわけにもいかず、そのままヨタヨタと歩いていきます。

そして、やっとの思いで雷鳥荘に到着しました。(17時頃)
早発ち用の弁当を2つ(朝用、夜用)注文し、すぐに部屋に向かいます。

相部屋ですが、えらい空いていました。お盆なのにこんなもんなんですね。(ちょっと先にある「みくりが池山荘(日本で一番高所にある温泉)」は満員だったのですが)
夕飯までは少し時間があったので、先に温泉に入って汗を流します。
家族連れの子どもが風呂場で泳ぐので軽く注意するも、親は知らんぷり。困ったもんです。
せっかく少し落ち着いて入れるかと思いきや、次の家族連れが入ってきて、子どもの目が爛々と輝いているのを見て、早々に退却しました。夜中に入り直しです。
(私の背後で子どもが飛び込む音が聞こえましたが、こちらの親はすぐに注意してました)

そして待ちに待った夕食。(しかし、我ながら食事写真のピンボケぶりは酷いなぁと感心します。本当にただのメモ感覚なんですね。
とら。さんや
hirofooさんみたいな、食事に愛情を注ぐような写真は私には無理なようです(笑))
汗も流し、お腹も満腹、これでようやく完全復活しました。
普段は中高年のおじさん、おばさんに囲まれて食事を取るのですが、この時はなぜか若い女性3人(立山登山目的)と同じテーブルになり、登山についての質問攻めにあいつつ楽しい時間を過ごすことが出来ました。
この女性3人組、昨日は室堂で発生した積乱雲の大雨に見事にブチ当たって雷におののき、本日は本日で立山に挑戦するも、一ノ越(ゴールデンウィークの時に私が登った所)までハイペースで歩いてバテてしまい、周りの登山者から心配され、飴やらみかんをプレゼントされ、なんとか立山に登ったはいいものの、私たちと同じ大走りコースのきっつい下りの洗礼を浴び、ほうほうの体で下山してきたのだとか。
まぁ、それでも他の山に登ると張り切っているので、山の先輩としては良かったです(笑)。
部屋にもどると、私以外に3人の方(いずれも60歳前後の男性)が同室として入られていました。
3人の中に登山ではなく観光目的の方も混じっていたのですが、明日は4時には起きたい旨を伝え、21時に部屋の電気を消させてもらうことをお願いしました。

沈む夕日を眺めたりしながら時間をつぶし、21時に電気を消してもらい床に就きました。
距離 12km、登り1745m、下り1587m
昨日とは比べ物にならないぐらい、えらいコースを歩いていようでした。どうりで、行動時間が12時間を超え、シャリバテを起こしてヘトヘトなわけです。言ってみれば北岳を一日で往復したようなものです。(ガイドブックに掲載されている一般的なコースだと、途中の剣山荘で一泊することになってます。私とNさんは2日分の距離を歩き、さらに欲張って立山の途中までチャレンジしていたことになります)