k6木曜日(6日目)2時に目が覚めたので、顔を外に出してみましたが、やはりガスの中で何も見えません。
一回眠ってから3時過ぎに起き、やはりガスっているのを確認してから、懐中電灯の明かりでインスタントラーメンを作ります。

昨日の夜に電池を交換したので、えらい明るいです。
ちなみに、懐中電灯はヘッデンと言っておでこに着いてます。ゆえに手前の黒い部分はカメラの影です。
これをつけたまま低山の夜道を歩くと顔に蛾が当たりまくります(笑)
その時は手に持てば良いということに気付かず、律儀に頭につけたまま歩いていたなぁ。
しかし、山に食べた実績の無いインスタントラーメンを持ってきちゃ駄目ですね。
セブンイレブンで見つけた「旭川ラーメン」とかいうのを買ったのですが、これが大失敗。
新製法の麺が低い沸点のお湯で全然ほぐれず、デロデロ状態に出来上がりました。
朝っぱらから、無理矢理腹に押し込みます。

口直しに今日まで大事に持ち歩いていたフルーツ缶を食べます。
そう言えばこれは、どこか景色の良い場所、例えば黒部カールで食べようと、ずーっと持ち歩いていたのでした。
あと、スパゲティセットも手つかずでした。

今までとは全然違う、ほとんど空の見えない朝です。
早速テントを仕舞います。

山小屋でバスの時間を調べたところ、早めに下れば、温泉に浸かってから、始発のバスに乗れる計算です。まだ、他の方がテントを片付けていないうちに、出発しました。(山小屋とテントサイトの人数考えれば下山渋滞必至ですからね)

初めて縦走にチャレンジした2年前、ここを不安な気持ちで、そして花の美しさに感動しながら登ってきたのを思い出しながら下っていきます。

こんな道だったかなぁという場所や

そうそう、この景色、見覚えがある!
という場所など、ガスっているながらも楽しく下っていきます。

一応、稜線歩きですが、何も見えません。
たしか、この辺りから槍ヶ岳方面が見えていたと思うのですが。

でも、これはこれで幻想的で綺麗ですね!

ちょうど同じぐらいのペースで歩く女性においついたので、お話をしながら一緒に下りていきます。
私と同じように首からデジイチをぶら下げていたので、見せてもらったら、なんと私のやつの上位機種でした。でかくて重いという理由で購入を躊躇していた機種です。
しかもリミテッド(高級)単焦点マクロレンズがくっついてます。聞いてみると、持っているレンズは私がいつか買いたいなぁと思っているモノばかり、、、
いやぁ、世の中、いろんな人がいるもんです。

2年前に宿泊した鏡平小屋に到着。
太郎平小屋から本日の行動食にて大事に持ってきた「チマキ」を取り出して食べます。(これはおいしかった!)
例によってアミノサプリがサプライズとしてついていたのですが、これは飲みませんでした。
(下るだけですからね)
ここで、その女性の方のお話をいろいろ聞かせてもらったのですが、なんと私と同じ歳で、今回初単独登山ということでした。(普段は友人と登っているとのこと)
登山歴は子どもの頃から登っているから何年かわからないそうです。(大先輩)
ネパール含め、世界中を旅行しているそうです。兵庫県在住とのことですので、Nさんも兵庫、おばさんも関西(たしか兵庫)、この女性も兵庫ですから、今回出会った人は関西ずくしです。
そして、ここで話していて黒部五郎小屋裏で出会った若い女性の秘密がわかりました。
この辺りの小屋は
双六小屋グループに属しているのだそうです。そこに夏休みのバイトに申し込んだ子達がたくさん働いており、ローテーションの隙間を縫って休みをもらい、小屋の主の勧めで他の小屋に散策に出かけるのだとか。彼女が出会った子も信じられないような格好で、この先にあるわさび小屋から黒部五郎小屋まで1日で歩いて来ていたとのことなので、私が会った子も、そして昨日中年のおじさんが出会った「双六最高」と言い張った子も、皆休みをもらって北アルプスの稜線を駆け抜けたバイトの子達なのでしょう。
一度も山に登ったことが無い子が、いきなり黒部五郎岳まで行くのだからたいしたもんですし、うらやましい話です。
そこで、一つ気付いたのですが、実は同じ日、同じ時間に私と彼女は黒部五郎岳の山頂に居たようです。
(お互いまったく気付いていませんでしたが、彼女も7時から2時間ほど山頂に居たと言っていたので、間違いなく山頂で会ってます)
そして、さらに衝撃の事実が判明。
黒部五郎岳に太郎平小屋方面から最初に登ったのは、スーパーおばさんを一瞬だけ追い抜いた私だとばっかり思い込んでいましたが、実は私より早い方(おじいさん)が居たらしく、その方はほぼ徹夜で歩き続けていたそうです。たしか折立をスタートして夜中の1時だか2時ぐらいに太郎平小屋を通過して、早朝6時、7時には黒部五郎岳にたどり着いていたとかいないとか。(私は8時前です)
「毎年コレをやらないと気が済まないんだよねぇ」
と言いながら、徹夜で折立→太郎平→黒部五郎→双六(?)を歩くおじいさん。いやはや驚きです。

その後も退屈な下山道をいろいろお話させてもらいながら下っていきます。
ペースもちょうど同じぐらい(正確には彼女の方が5%ぐらい速い)なので助かります。
(なんでも彼女は
六甲全山縦走大会という56kmを駆け抜ける山岳マラソンにチャレンジして、最初は21時にゴール、今では19時台にゴールするのだとかなんとか。なんだか想像もつきませんがスゴイ世界があるもんです)

下からはこれから天気が下り坂だと言うのにガンガン人が上がってきます。
たぶん、皆さんお盆の計画をずいぶん前から立てていて、天気が悪化しても引くに引けない状況なのでしょう。
御年配の方が口をそろえて言うのが
「山は逃げないが、体力を維持できる時間は逃げて行く・・・」
それで、悪天候の山に突き進んで、事故を起こしてしまったら元も子も無いわけですが。
さて、この女性、感心するのは、登り優先をきっちりと守っており、下から人が登ってくると、かなり早いタイミングで必ず道の脇に避け、登りの人達がちゃんと過ぎ去るまで待ちます。私なんかだと、気付かずに下ってしまい、登りの人の足を止めてしまったり、強引にすれ違ったりするようなシーンでも彼女はきっちりと止まります。
なので、歩くペースはえらい速いのですが、これだけ登りの人が多いと、結果として標準コースタイムよりちょいと早いぐらいのペースになります。

いよいよ標高1000m台の下界に下ってきました。
しかし、太平洋高気圧の張り出しが弱いせいか、えらい涼しいです。
(汗だくで下ることを想定していたので助かりました)

ついに舗装路なんかも登場しはじめました。

ゴール直前にある、わさび平小屋に到着しました。
彼女は一昨日黒部五郎小屋で一緒だったという店のアルバイトの子と再会を喜んでいます。

自動車で荷揚げできる小屋は、売っている物も充実しています

2年前も買った冷えたトマトをかじります

こんな、なんてこと無い道ではありましたが、話し相手が居たので楽しく下ってくることが出来ました。

久しぶりの下界です。
いよいよ、この縦走が終わろうとしています。

あとは温泉に入って東京に戻るのみです。

新穂高はバス停に「新穂高温泉アルペン浴場」という無料温泉がくっついています。
写真に写っている浴場に入り、写真に写っているバスに乗って松本駅に向かうわけです。
(バス停が温泉とは、なんと便利な)
ここで、女性にお礼を言って別れました。(彼女は女性風呂に入って(当たり前(笑))、高山方面に向かいます)
白馬とかに行くのなら東京からの方が楽なのですが、富山、岐阜から北アルプスに入るのなら関西の方が全然アクセスが良いんですよね。どうりで関西の方が多いわけです。

数日ぶりのお風呂です。
すっかり汗を流し、さっぱりしました。
あと10分でバスが出発するので、風呂から上がると、例の中年のおじさんがあわてて飛び込んで来ました。どうやら、私同様、汗を流してバスに間に合わせたいようです。
おじさん、相当慌てているのか、私に気付かずに風呂に飛び込んでいきました。
風呂上がりに冷たいお茶を自販機で買ったのですが、おじさん買う暇ないだろうなぁと思って2本買っておきます。
(断られたら自分で飲めば良いわけですし)
バスに乗ってしばらくすると、おじさんが乗りこんできたので手を振って合図をします。
冷たいお茶を差し出すと
「なんでわかったの!?」
と驚くおじさん。でも手にはすでにお茶が握られています。
「買う時間無いかなぁと思って買っておきましたよ。でも、すでに買われたんですよね?」
「いやぁ、それがさぁ、慌てて買ったら温いお茶を買っちゃってさぁ。それが最後の100円で、しかもチケット売り場で両替え出来ないって言うから泣く泣く諦めて、これを飲もうと思ってたんだよぉ」
とのこと。やはり買っておいて正解です(笑)

バスが走り始めるとすぐに雨が降り出してきました。 ↑
おじさんのおでこ
早めに下山してよかったです。(今回は歩いている最中に一回も降られませんでした)
おじさんから、
山祝いについての話しを聞きながらバスは松本を目指して走って行きます。
そして、岐阜県と長野県をつなぐ安房トンネルを抜けると思いがけず晴天が広がります。

あれ、もしかして慌てて下山しちゃいけなかったかな?

天気予報を確認すると、なんと新穂高が雨で、松本方面が晴れ、残りは曇天という状況が見事に再現されていました。
うむ、下山して正解だったようです。
おじさんは、別席で荷物を整理するからと言いながら席を立ち、
「ありがとう、すごい助かったよ」
と力強い握手をして
「これ飲んでよ」
と、温いお茶を席に残して、前方の席に戻っていきました。
(温いお茶は家に持って帰り、冷蔵庫で冷してからありがたく頂きました)

ロードスターは写っていませんが、いつものショットのつもりです。

下界、むちゃくちゃ暑い〜!
すぐに列車が出発するようだったので、モスバーガーでハンバーガーを購入し(下山後最初の食事です、モスは出てくるのが遅いのを計算に入れておらず、ちょいと焦りました)、配られていた号外を受け取り、特急あずさが待つプラットフォームに急ぎます。

2冠だったんですね。
おめでとうございます。

山梨県で雲行きが怪しくなってきました

お風呂の奥入瀬ポスター(右下)、欲しい!
(買うほどではありませんが(笑))

八王子でバケツをひっくり返したような大雨が降ってきて焦ったのですが

どうやら、小さな積乱雲があちこちで沸いて、ゲリラ雷雨を降らせているようです。

都内では登山の格好をした私は完全に浮きまくってます

あちらこちらに真っ黒な雲が浮いていたのですが、なんとか雨にふられることなく家にたどり着くことが出来ました。
距離 12447m 登り 243m 下り 1691m
以上です!
さて、えらい長文でロードスターどころか車にまったく関係ないブログにお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
せっかくなので、ちょいと今回の行程をまとめてみたいと思います。

今回のコース断面図、こんな感じになっています。
累計走破距離約70km、累計登り7500m、下り7200m。
初日 距離 5295m 登り 1480m 下り 35m
2日目距離 11920m 登り 1745m 下り 1587m
3日目距離 14985m 登り 1611m 下り 1709m
4日目距離 8971m 登り 862m 下り 810m
5日目距離 18556m 登り 1638m 下り 1417m
6日目距離 12447m 登り 243m 下り 1691m
初日、馬場島から剱岳の登りはやはりスゴイですね。2日に分けて正解です。
2日目の別山超えて真砂岳直下からの大走りの下りがけっこう目立ちます。Nさんはここで足を痛めてしまいました・・・
3日目の室堂雷鳥荘から浄土山への登り、意外に高低差がありますね。そしてスゴ乗越までの上り下り、これを見てもあの辛い道が思い出されます。今回最大の試練でした。
(普通は2日間に分けて歩くコースなので、無理しなければ大丈夫ですよ。あと、スゴ側から歩いた方が楽な気がします)
4日目は楽してますが、これがガイドブックに載る標準的な一日です。そして、あの下りは一生もんです。
そして、5日目は山足が出来ていたのと、十分知っているコースなので、見た目と距離の割りと楽に歩くことが出来ました。61歳のおばさんはこのコースを余裕で走破してますし、中年のおじさんは、さらに遠回りして夕方双六小屋に到着しました。本人も「まだ10時間以上の歩きが出来るってわかって良かったよ」と笑っていました。
6日目の下り、2年前は登りで使ったのですが、双六小屋に着く頃にはすっかりバテてたよなぁと懐かしく思い出しております。

真上から見るとこんな感じです。(Aが馬場島、下の上高地の左横が新穂高です。馬場島の右に前回下山に使った唐松岳が見えていますので、その上が白馬岳ですね)
こうやって見ると、富山県から岐阜県まで歩いたことになります。
次に長距離縦走するとしたら、南アルプス主稜線か、北アルプスなら烏帽子岳から唐松岳までの超マニアックコースを歩いてみたいです。
いやぁ、今年も楽しい縦走でした!
おしまい