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日曜日
3:30
Nさんの計算通りキッチンタイマーが鳴り、起床
ヘッドランプの明かりですぐにお湯をわかし、まずは珈琲を一杯。
(これも一人だったら絶対にやらない習慣です)
さらに、お餅を焼いてからお湯を注ぎ、それに鮭茶漬けをふりそそいで簡単な雑煮をこさえます。
お餅三個食べれば、しばらくはシャリバテしないでしょう。(私の話し)
お餅はゆっくり焼かないと駄目ですね。

食べ終わってから外に出ると、朝焼けが始まっていました。
トイレに行くと、バイオ分解の洋式トイレで本当に快適にすませることができました。
かつての巨大な蝿が飛び交うボットントイレとは隔世の感があります。料金箱に100円を気分良く投入し、すっかり体調万全です。
テントをパッキングし、いよいよ、今回の登山のハイライト、大キレットに向かいます。

昨日の天気予報どおり、晴れてはいますが、早朝にしては雲がおおいこと、そして風上の飛騨側に分厚い雲がかかっているのが気になります。
多くの登山者は、ご来光狙いらしく、まったく歩き出す気配がありませんでした。

これから向かう大キレットです。足元はともかく、その先の北穂までどうやって登るのかここからの眺めだと検討もつきません。

冷たい稜線の風が吹く中、いよいよ出発です

まずはキレットまで降りていきます

こんなかんじに整備されているところが多いので、ガレ場でも浮き石に足を滑らせること無く、大変快適に降りていくことが出来ます。

太陽が顔を見せ始めました。
今下ってきた左の岩場の上では多くの登山者がシャッターを切っていることでしょう。
そして、スミマセン中学生が日の出直前に、皆の前に出てくるのでしょう。

お、富士山に南アルプスですね。

大キレットに太陽光が当たり始めました

いやぁ、美しいアルペングリューエン。(朝日があたった黄金色に輝く山)
ちなみに、空や雲が朝日で真っ赤に染まるのがモルゲンロートだそうです。

大キレットの核心部(難関箇所)をアップで写しています。
右の三角形のところが長谷川ピークと呼ばれる難関箇所、そこから下って、岩場をしばらく登った先(写真中央やや上)に飛騨泣きというもう一つの難関箇所があります。

最後は鎖場なんかもありましたが、テンポ良く下ってきました。

今下ってきた南岳を振り返ります。
獅子鼻と呼ばれる景観です。

正面手前に長谷川ピークと奥に北穂高。

意外に早く雲が広がってきました。
まさか、運ちゃん不幸のサル予報、あたるんじゃないでしょうね・・・・

えっちらおっちら登り、長谷川ピークに到着
難関箇所です。

後ろから追い抜いてきたおじさんがチャレンジしております。
進行方向は写真奥なのですが、両手で岩につかまって慎重に歩いています。
こうやって、写真で見るとどんな場所かよくわからないですよね。

というわけで、これは長谷川ピークを過ぎてから振り返って写した写真です。
頂上付近の登山者、わかりますでしょうか?

ちょいとアップ。
さきほどのHピークと書かれた場所が、一番高い場所になります。
両サイドが切れ落ちているので、スタスタと歩いて下るわけにはいかない場所なのです。

Nさんもカメラをザックに仕舞い、慎重に下っていきます。
で、私はと言うと、ちょっと進んだところで立ち止まって待ちます。
心配してNさんが振り返ると、私が腰に手をあててポーズを取って立っているというのをやろうと、こんなところで突っ立ちながら、Nさんが振り返るのを待ちます。
ついでに、ザックからカメラを出してもらって(出せるような場所じゃ無いですが)、一枚パシャリとやってもらうことも期待しております。

ところが、Nさん、そんな私に気付かずにどんどん先に行ってしまいます。
ここで、「Nさ〜ん!」 と呼んでしまうと、関係ないおじさんまで振り返ってしまい、その後の説明が苦しくなります。
というか、むしろ、心配して自主的に振り返ってくれないと意味がないのです。

Nさ〜ん、、、、

しかたなく、二人をおいかける私。
そして、長谷川ピークを降りきると、やや遅れて到着した私を心配してくれるNさん。

さて、気を取り直して北穂高に登りますか!

こちらも、すごいところに登山道がついてます。
写真右上に登山者が写っているのですが、どこにどう道があるのかさっぱりわかりません。

う〜ん、迫力満点の岩登り。

これは歯ごたえがありそうです。

その前に大キレットで一番標高が低いA沢のコルで一休み

その後、岩場を見上げて気分を引き締めます

こんな感じの登りですが、手がかり(ホールド)は十分にあり、不安な箇所にはボルトや鎖がありますので、慎重に行けば特に問題の無い登山道です。ただ雨の日には歩きたくないですね。

長谷川ピークを振り返ります。
きっとあそこに立っている人も、私が振り返って撮影するのを期待して、ポーズを取っていたのでしょう。

デジイチを豪快にあちらこちらにぶつけながら登っていきます。
レンズフィルターも大小様々なキズだらけになってしまいました。
(そのためのフィルターなわけですが。今シーズン終わったら買い換えますかね)

大キレットを振り返ります。
足元は急すぎて、下が見えません。登るより下る方が恐いでしょうね。
そして、もう1か所の難関箇所、飛騨泣きに到着しました。
ここで、何があっても大丈夫なように、自前のコンデジ(サブカメラ)をNさんに渡して、強制的に写真を撮ってもらうことにします。
(大丈夫 = 写真を撮ってもらえる)

私のコンデジを腰にぶら下げて(写っていませんが)飛騨泣きにアタックするNさん

というわけで、3年前に衝撃を受けた飛騨泣きでポーズを取る私の図。
(奥は笠ヶ岳、もしかしたら次回登るかもしれませんので名前だけ覚えておいてください)
髪の毛が立っているのは、けっして寝癖ではありません。

ちなみに、私が雑誌で見たのはこんな角度から写した飛騨泣きの写真でした。(もうちょっと、右から、もっと望遠レンズで)
当時はこの写真に写っている登山者が使っている立派なステップはついておらず、私が立っていたあたりを慎重に歩いていたはずです。
登山を初めて3年、ようやく憧れの場所に立つことができました。
(欲を言えば、雑誌と同じ角度で撮って欲しかったのですが、それだとNさんに望遠レンズ付のカメラを持ってもらって、100mほど先行してもらわないと駄目だったんですよね)

難関箇所を過ぎてしまったので、下界に目を移します。
紅葉がじつに見事です。
下の涸沢小屋から上がってきた人に聞くと、布団1枚3人体制だったとか。(絶対無理!)

北穂の山荘が見えてきました。
あと少しです。

歩いてきた道を振り返ります。
楽しかった大キレットもいよいよ終わりです。

北穂の小屋に到着すると、涸沢から上がってきたであろう団体さんですごい混雑です。

フルーツみつ缶でキレットに乾杯。
私はここでNさんと別れて下山する予定だったので、昼飯は涸沢で食べることにします。
すると、Nさんも、「天気が芳しくないし、一緒に下山しようかなぁ」
と予定変更。
じゃぁということで、二人で徳沢園に予約を入れて、今晩はそこに泊まることにします。
徳沢園は料理がおいしく、お風呂(檜風呂)付の山小屋なので、頭がそのことでいっぱいになります。
Nさんは主と女将さんと知り合いなので、日曜の夜ということもあり、相部屋なら予約が取れるのではと期待が膨らみます。

さっそく北穂高岳の山頂に立ち、付近から電話をいれて予約状況を確認します。
んが、あっさり断られました!!
(恐るべし、紅葉シーズンの上高地、、、当たり前か・・・)
すっかり、頭の中が料理と檜風呂でいっぱいになっていた私は、一人で勝手に落ち込みます。(たぶんNさんは、そこまで落ち込んだとは気付かなかったはず)
じゃぁ、「一緒に奥穂まで歩いてから涸沢まで下りましょうか」というNさんのお誘いに乗り、さらに山道を歩くことにしました。

再び急峻な岩場の道に突入します。
さすが穂高。

というかですね、大キレットよりこちらの方が難易度が若干高い気がするのは気のせいでしょうか?

涸沢から気軽に上がってきてしまった登山者も悪戦苦闘しています。
(混んでいるときだと大渋滞を起こすそうです。今日は天気が芳しくなくて良かったです)

延々と岩場が続きます。(上の方に写ってます)

かなり雲行きが怪しく、雨が降らないかちょいと心配です。

中央涸沢岳、奥が奥穂高岳です。
奥穂の右にジャンダルムが見えています。

涸沢のテントサイトが見えてきました。
ということは涸沢から見上げる稜線を今まさに歩いているということでしょう。

これが去年涸沢から見上げた山々。
右が北穂で中央が涸沢岳、左は奥穂です。(たぶん)
ですから、今ちょうど槍ヶ岳みたいに尖った部分(涸沢槍)にとりつくあたりだと思います。

あいかわらず岩場が続きます。

軽く渋滞していてゆっくり登っているので意識していなかったのですが、ついに餅三個を消化しきってしまったようです。

来た道を振り返ります。
けっこうな渋滞になってます。
シャリバテ気味な私としてはかなり助かります。

いったん涸沢槍から下ってきたところで、涸沢岳を見上げる場所で一休み。
持っている行動食を腹に放り込んで燃料補給。
ちょうど後ろから歩いてきた夫婦も一緒に休み始めたので、お話をします。
岡山から来たこの二人は、ご多分に漏れず大混雑の涸沢ヒュッテに宿泊し、本日登ってきたのだとか。
「仲間が呼んでる気がしてなぁ」
と言うので、話を聞いてみると、数年前に黒部川上流(わりと近所)で仲間が遭難死したという縁起でも無い話を聞かせてくれました。
「こんな標高の高い天国に近い場所で、そんな冗談言わないで!」
と奥様が怒ってらっしゃいますが、天国と標高は関係ないと思いますが、その通りだと思います。
我々の行程を聞いた二人は
「大キレット、いつか行ってみたいわぁ」
と、言うので
「ここを歩けるんだったら、大丈夫ですよ」
と教えて上げると、
「え、ヘルメットとか大キレット用の靴はいらないの!?」
と、えらい喜んでいました。
(どんなショップで買い物してるんだろう・・・)

さて、今回の岩場用にわざわざ東急ハンズで購入した運搬作業用手袋をはめ、涸沢岳に向けての最後の登りに取りかかります。
岡山から来た夫婦に自慢げに
「これ、滑らなくていいですよ!」
と見せつけると
「あぁ、農作業用軍手ね。そう言えばうちにも転がってたな」
と、がっくりくる返事
「これ、「運搬用」なんですけど、岩に吸い付いて滑らないんですよ」
と言いながら手袋を外して奥様に渡します。
それをはめて、岩を試しに掴んだ奥様は
「あら、農作業用軍手も意外にいいわね」
と、どうしても私を農作業登山者にしたい様子。
ちがいます、私は東京で働く農業とは縁もゆかりもないサラリーマンで、東急ハンズで「運搬作業用手袋」を購入したとです!!
と、わざわざ説明するほどの事でも無いので、軍手を帰してもらい、気を取り直して岩場に向かいます。

けっこうお腹が空いてきたのですが、これが最後の登りです。

この振返りの景色もこれが最後ですね。(右が北穂、左奥が槍ヶ岳)

涸沢岳の山頂が見えてきました

涸沢岳です。
ちなみに、涸沢岳が標高ランキングで日本第8位、北穂高岳が第9位、昨日登った南岳(3033m)が18位です。

ここからすこし下って奥穂の小屋です。
Nさんが
「このまま涸沢に下りますか?」
と聞いてきたので
「いや、まずは昼食にしましょう!」
と即答します。

下山分の燃料補給。
ここで、先ほどの岡山夫婦とさらにもう一人の女性単独登山者(百名山登山はじめて4年で達成だったかな?)と話し込んでいると、外に雪が舞い始めました。
こりゃ、まずいぞということになり、あわてて下山することにします。

この人、誰でしたっけ?
ちょうどカメラを回しているときに私が小屋から出たので、もしかしたら映っちゃってるかもしれません。
そして、恐るべしはタクシー運チャン不幸のサル予報。
ついに雨が降り出してきました。。。
山岳気象予報よりも、私の願望よりも、サルの方が正確とは・・・・

ザイテングラードと呼ばれるザレ場を足早に下ります。
しかし、雨足が強くなってきたので、私はカッパを着ることにします。
Nさんはカッパが大嫌いということもあり (逆に着替えを豊富にザックに詰めています)、先を急ぎたいとのこと。
私は逆に汗をかきたくなかったので、涸沢で落ち合う約束にしてそれぞれのペースで歩き始めます。
雨が降ってはいますが、そこは涸沢、、、

こんな景色で楽しませてくれます。
」
カメラが濡れるのもお構いなしで、撮影しまくっていました

う〜ん、すばらしい!!

涸沢槍ですね

紅葉と雨の組みあわせも良いですね!

テン場が見えてきました。
到着して一息入れると、すぐに先に着いていたNさんと合流し、テントを組み上げます。
今日は景色を楽しむどころじゃないので、すぐに夕飯の支度にとりかかります。
実は別れて一人で下山する予定だったので、それほど豪勢な材料は持ち合わせて居なかったのですが、それでもウインナーを茹でたり、タイカレーを食べてもらったりします。

で、私はレトルトの牛丼です。
次回は私もちゃんとしたご飯を食べるぞと固く心に誓ったのでした。
かなり雨足が強く、そろそろ寿命だというNさんのテントから雨漏りがしないか心配でしたが、そこは大丈夫でした。
逆に雨ざらしにしていたデジイチのボタンがいくつか効かなくなってしまったので、乾くまで使えなさそうです。
さて、明日は下山して会社に顔を出す日です。
おやすみなさい。。。(21:00)
月曜日
3:45起床。
すごい雨音です。
こんな雨の中歩くのは初めてかもしれません。
恐るべし、サル。
例によって朝食の準備を始めます。
本日はNさんにパク森カレーを食べてもらい、私は余った材料でシーチキンチャーハンを作って腹に放り込みます。

真っ暗で大雨が降る中でのテントのパッキング、Nさんの手際の良さが本当に勉強になります。(以降、コンデジで撮影)
なるほど、雨の時はこうすればいいのか、、、(必要な方にはお教えします)

さらに山小屋の入り口で態勢を立て直し、いよいよ下山開始
今日は私が急ぐ番なので、Nさんと握手をして別れ、別々のペースで下山します。
ところが、実はそれほどペースに差が無かったようで、横尾の小屋で菓子パンを購入していたら、Nさんに逆に追い抜かされてしまい、ウサギと亀状態です。
Nさんも急ぐ私がパンを購入するために小屋の中に入っているとは気付かずに先に行ってしまいました。
そして、横尾から上高地までの3時間弱の散歩道。

しまった、こんなことだったらNさんとおしゃべりしながらこの道を歩けばよかった・・・
(というよりも、急いで歩く私より、Nさんの本来のペースの方が速いということだったのですね)

雨とガスで何も見えません。

汗だくになりながら、上高地を目指します。
そして、約4時間でサルの呪いにかけられた雨天の上高地に下ってきました。

一生に一回の上高地がこんな天気だったらショックだろうなぁと心配しつつ、(それほど良い組み合わせではない)わさびコロッケをほおばりながら観光客を眺めます。
右下の写真は6月ぐらいの上高地でしょうか。
ここで、適当な温泉に入って汗を流そうと思ったのですが、ふと思いついたことがあり、そのままバス停に向かいます。

タイミング良くバスの出発時間だったので、あわてて乗ろうとすると
「カッパは脱いでください!」
と、当然のご指示が・・・
あわててカッパを脱ぎ、小脇に抱えてバスに飛び乗ります。
さて、思いつきとは何かと言うと、、、
まずは、沢渡駐車場の足湯に入って靴下を交換し、服は登山で持参した替え着に着替え、ロードスターに飛び乗ります。

目指すは近所の白骨温泉。(雨、止んでます ためしにデジイチで撮影)
というのも、宿泊客優先の宿は、昼ぐらいまでしか外来入浴が出来なくて、いつも敗退しているんですよね。

やってきたのは早朝から営業していた泡の湯。
(選択の余地、ありませんでした)

そしたら、なんと真上だけ晴れて来るじゃありませんか!!

こんな感じの露天風呂でございました。(旅行情報サイトより)
ついつい晴天の中、長湯を楽しんでしまいました。
ご覧の通り、湯船も大きく、それなりに人は入っていたのですが、気にならず一人っきりの時間を楽しめました。
そして、お湯に浸かって青空と流れる雲を眺めていたら、だんだん気分が変わってきてしまい、午前中だけならと言いながら、ついついロードスターでドライブへ・・・

緑の奥深い乗鞍の山道を湯冷まししながら走っていきます。
ここでデジイチに入り込んだ水分が蒸発を開始し、CCDそのものが雲って使えなくなってしまいました。
やはり、防滴仕様では無いので、濡らしては駄目なようでした。(最新のは水も砂も大丈夫なのですが)

見事な紅葉。
白神爺。さんの写真には程遠いわけですが、一応撮っておきました。

適当に県道を流します。何気に標高1600mを超えたようです。

ここから先は乗鞍山頂に向けてのマイカー規制。
Uターンします

晴れたりガスったりを繰り返していますが、なかなかすばらしいドライブです。

やはり長野県はいいですなぁ!
さらに別角度から撮影するために土手に上がると、、、

なんと、紅葉が綺麗だなぁと思っていた低木は育ち盛りのウルシでした。。。
そーっと、中に入って撮影するも、これ以上の立ち位置変更はムリ!!
大学生時代にツタウルシですさまじいかぶれになった記憶がよみがえります。

では、昼飯食べたら会社に行くとしますか!

ボリューム満点でおいしかったです!

コンデジにおもちゃのワイコンを装着して撮影(笑)

同様にワイコンで稲穂のアップ。
さて、東京に戻りますよ! (13:00)

雲が切れ上がっていく八ヶ岳や南アルプスの山々を堪能しながら、東京に向けてひた走ります。

お、この雲の感じ、今年の正月に見た記憶が・・・。

そう、ニュージーランドで。
ちょうどTABさんが長編をアップ中ですので、皆さんもよろしければ是非どうぞ。

というわけで、渋滞に巻き込まれることもなく、予定通り夕方前に東京に戻り無事に会社に顔を出しました。
おしまい!!
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