8月12日(金)






3朝45分に起床。




ちなみに、宿泊客の中でこの時間に起きたのは私一人だけです。(他にも何人か居るだろうと予想していたのですが)


音を立てないように一階に降り、朝食は後回し、最低限の装備だけ持って悪沢岳に向かいます。(4:00)



他の人がご来光目的で悪沢岳に向かわなかった理由は、本日は中岳側からダイヤモンド悪沢岳が見られる日だったからでした。



逆に私がその案を採用しなかった理由は、早朝に悪沢岳を往復しておかないと本日の幕営地にまともな時間に辿りつけないからです。行動計画を立てているときにダイヤモンド悪沢岳のことを知っていたらかなり悩んだと思います。(実際、昨日のうちに往復することは十分可能でした)








というわけでダイヤモンド悪沢岳は潔く諦めて、ヘッドランプ(ヘッデン)つけて一人で出発です。



歩き始めていきなりトイレの先に道が無くて焦ったのですが、後でYさんに聞いたら、そういう人があまりに多いので、「トイレだけ(岳)」という看板を出して登山者が間違わないようにしているとのこと。そんな看板があることすら気がつかずに、のっけからトイレに向かってしまいました。(そういえば、中岳避難小屋を去るまでに看板を確認するのを忘れてました)
ちょうど悪沢岳の方向にトイレがあるので、(私は真っ暗なうちのスタートでしたし)まぁこれは仕方が無いかと。。。

正解ルートは悪沢岳に向かって90度直角に折れて下る道でした。






この日はとにかく風が強く、富士山の山頂付近もご覧のとおり。

山頂で日の出を待つ間、冷たい強風に曝されるのが心配になるレベルです。



荒川中岳から一度下ってから鞍部を水平にしばらく進み、悪沢岳に取り付いてからはちょっとした岩場を越えつつ登って行きます。







思っていたよりも早く45分で悪沢岳山頂に到着しました。(4:45)


Yさんが走れば20分と言ってましたが、たしかにそんな距離ではあります。(ここで始めて昨日往復できたんだと実感しました。地図のコースタイムだと、もっとかかる計算です)



もちろん山頂は貸切状態です。






日の出まではまだまだ時間があるので、大きな岩の影に隠れて日の出を待ちます。(大きな岩が転がっている山頂でよかったです)





すると突然、空の状態が劇的に変化しました!







うわぁぁぁぁ、これはスゴイ!!





広角レンズで写しているので画像としてはただの放射状に伸びる後光ですが、実際は足元から視界いっぱいに天球状に広がってるので、スゴイですよ、これ。思わず声が出ました。(水平線から少し伸びるのはこれまで何度も見たことありますが、そんなレベルではなかったです)


この現象が見られたのは5分間ぐらいでしょうか。


本当に心の底から感動しました。


(後でYさんに聞いたら、天気の良い日にたま〜に見られる現象とのこと。ラッキーだったねと言われました)








富士山も間近にみられるし、本当に良い山頂です。

さすが百名山!








山頂に到着してから待つこと15分、いよいよ太陽が昇り始めました。









本日も一日快晴でよろしくお願いいたします!









コモパン!ラブ!









これから進む方向に待ち構えている山々です。

左手前が塩見岳(百名山)、その奥が仙丈ケ岳(百名山)、右の最奥が甲斐駒ケ岳(百名山)、右が間ノ岳(あいのだけ、百名山)、その右が農鳥岳でしょうか。すごい顔ぶれです。









そして、荒川中岳を振り返ったところです。



空中に悪沢岳の影が見えていますが、あれが太陽が昇るのにあわせて下へ降りてきて荒川中岳の頂上と重なると、向こうから見たときちょうどダイアモンド悪沢岳になるわけですね。







こちらは赤石岳(百名山)方面。

今回の縦走ではガスっている最中に通過してしまった区間です。いつか、快晴の日に再訪するつもりです。





う〜ん、すっかり堪能しました!



さて、そろそろ戻りますか!








ちょうど2つの山の鞍部付近を歩いているときに悪沢岳の影が重なりました。



その瞬間の写真を同じ日に泊まった方から後でメールで送ってもらいました。







これです。

ほんのちょっとずれてますかね。2日前はばっちり山頂から太陽が登ったのだとYさんが後で教えてくれました。








ちなみに、私が荒川中岳を登り返しているときに見た景色がこれ。


広角レンズレベルでは「私もダイヤモンド悪沢岳を見た!」と言い張っても良いレベルでしょう!

えぇ、宿題で残りましたとも。

いつか、ばっちり重なる日に訪れたいです。
とは言え、ジャストの日に朝から快晴を引き当てないとダメなので、拝む難度は高いですね。(今年は2日前の天気も最高に良かったので、公共交通機関の問題を除けば良い年だったんだろうと思います)






ちょうど荒川中岳を登っているときに、3名の宿泊者が悪沢岳に向かって降りてきてすれ違いました。


1名は昨日のうちに往復していますので、残った2名の方は悪沢岳には足を延ばすこと無く、赤石岳方面に向かわれたようです。(労力と得られる感動を考えたらもったいないと思うのですが、考え方は人それぞれ)







Yさん以外もぬけの空になった避難小屋で朝食を作り、さらに昼食の準備をします。


Yさんは昨晩我々が寝たあとに丸太(数十kg、ベンチに加工する用)を高山裏周辺まで取りに行き、「2時間近くかかっちゃったよ、俺ももう歳だなぁ」とおっしゃられていたので、なんとなく速いんだろうなとは思ったのですが、実際それがどのぐらいのペースなのかこの時は想像できなかったので、「そうなんですか?」と、当り障りのない返事をしました。


朝食を食べ終えてから、出発の準備を開始します。
Yさんがたくさん麦茶を作ってくれ、それをペットボトルに入れさせてもらいました。

すでに読み終わった本があることにパッキングしているときにふと気が付き、Yさんに必要かどうか確認してみたところ、ぜひ読みたいとのことだったのでプレゼントしました。私はこれで荷物も軽くなるので願ったり叶ったりです。

逆にYさんから「これ、ちょっとお願いしたいんだけど・・・」と、高山裏避難小屋の管理人さん宛の手紙をを託されました。
手紙なので裏返して読もうと思えば読めちゃうのですが、受け取ってすぐにウエストポーチに仕舞い、Yさんに再訪を約束してから出発します。


Yさんとはメールアドレス交換させていただいて、後で直接予約を入れたり状況をメールでやり取りできる体制にさせてもらいました。



さて、行きますか!(7:20)







これこれ!
3000m級の稜線歩き!










今日は遙か遠く中央アルプスまで余裕で見渡せています。
それ以外にも周囲の山々は全部見えています。



最高の気分です。







避難小屋を出発してすぐに荒川前岳に到着しました。

これが昨日の夜話題になっていた「今すぐ谷底に落ちそうな山頂標識」ですね。(下がえぐれたのか、すでに半分ぐらい崖に飛び出してます。県の所有物なので勝手に補修工事もできないのだとか)








引き続き楽しい稜線歩き。









お、ここがYさんが「ちょっと危ないよ、気をつけて」と言っていたポイントですね。

長野側の崩落が進んでいるみたいなので、慎重に進みます。









その後も周囲の景色と足元を交互に見ながら稜線を気分良く歩いていきます。









とても楽しかった稜線歩きは残念ながらここまで。(けっこうあっという間)

この地点からカール(氷河によってスプーン状に削られた地形)を一気に(標高差600m近く)下ります。

南アルプス主稜線縦走で南下してきた人に立ちはだかる最大の難関と言われている場所ですが、私は下るだけなのでけっこう気楽です。








下っている途中に30代ぐらいの女性1名と、少し間を置いて同年代の男性が登って来たのですが、二人ともかなりしんどそうだったので挨拶がてらエールを送っておきました。









振り返って見上げたところです。

確かにこれは戦意を削ぐそびえ立ちっぷりです。

昼間の直射日光なんか重なった日には、たまったもんじゃないでしょうね。









というわけで、ここからは南アルプス恒例の樹林帯歩きが延々続きます。


樹林帯歩きは(稜線歩きに比べて)元々好きではなかったのですが、ここら辺一帯はしらびそ並木がとても美しく、かつ昼間でも涼しいので案外楽しく歩けることに気が付きました。





お! これが南岳避難小屋宿泊者全員が口をそろえて旨いと絶賛していた水場ですね!

う〜ん、たしかにこれは冷たくて美味しい!!

持っていた水をすべて入れ替えます。








水場のそばに生えていたきのこ。(特に意味はありません。気になったので)









喉を潤してから、再び木漏れ日が美しい樹林帯を進みます。


そう言えば、たしかYさんはこのあたりまで丸太を受け取りに来たはずなのですが、私は下りだけで1時間40分かかりました。

いったい、どんなペースで夜中に丸太抱えて一往復したのでしょう・・・








苔むした感じも相まって、とても美しいです。










高山裏避難小屋に到着しました。(9:20)
(この近くに「高山」という山がありますが主稜線から外れていて存在を知らなかったので、私は「なんで高山裏なんだろう」と思ってました)


入り口から中に向かって声をかけると、中の小部屋から管理人のおじさんが顔を覗かせ、「中にどうぞ」と招き入れてくれました。

私が手紙を持って訪れることは無線で連絡済みだったらしく、「ゆっくり昆布茶でも飲んでいきなさいよ」と誘われます。

ちなみに、昨日軽装で赤石岳ピストンしていたおじさんが「この歳になって怒られちゃったよ」と言っていた小屋の管理人さんご本人なので、ちょっとだけ緊張しながら中に入ります。



中に入ると、さっそくおじさんが沸騰したお湯を使って昆布茶を入れてくれました。







昆布茶、うま〜い!
体が塩分を欲しているのだと思います。


写真でも伝わるかと思いますが、ものすごく綺麗に整理・掃除された避難小屋です。


管理人室の中も自作の壁掛けに整然と道具が吊るされていました。
座りながらすべての物を手に取ることができるようになってるんだとか。

感心しながら「整理整頓されてますね〜」とコメントしたら、「もう、これは趣味だからな。トイレなんて毎日磨いてるから綺麗なもんだよ。ぜひ使ってってくれよ」と、トイレ利用を誘われたのですが、この時は尿意すらなかったので、丁重にお断りしてしまいました。
次回は貯めてから訪問したいと思います。

Yさんから託された手紙は、昨日の丸太を準備してもらったお礼だったようです。(自作で新作の木判も捺されていたとか)



その後も昆布茶をすすりながらおじさんとお話していたら、「今日、若い夫婦が早朝に来てさ、確認したらその辺でテント張ったらしいんだよ。たかだか数百円のテント代をケチることなんか無いのになぁ。」と、ぼやかれておりました。
さっきのカールの下りですれ違った30代の男女でしょうか?

南アルプスは国立公園ということで指定地以外の幕営は禁止されています。初日の私みたいに体力尽きたら仕方が無いですが、小屋の側で勝手に幕営というのはちょっとありえない話しです。そんなことをしそうな人たちには見えなかったのですが。


「あの二人、ゴミを残してるかもしれねぇなぁ。なぁ、あんたちょっと、気にしながら歩いてくれるかい? もし、ゴミがあったら小河内小屋の管理人に落ちてた場所を知らせてもらいたいんだよ。こっちから拾いに行くか、あちらに頼むか決めるんで。無かったらそのまま素通りしてくれていいからさ」


と、成り行きで再びミッションを引き受けることになりました。








というわけで、管理人のおじさんに挨拶してから高山裏避難小屋を出発です。(9:35)








引き続き樹林帯歩きです。



幕営適地と思われる場所ではペースを落として、ゴミが落ちていないか確認しながら進みます。







う〜ん、美しい!

奈良の大台ケ原の苔もこんな感じなのでしょうか?








たま〜に樹林帯が途切れると、これまた素晴らしい景色が広がります。









ほとんど誰ともすれ違うことが無い静かな区間ですが、私はけっこう気に入りました。









聖岳周辺でも見られたマルバダケブキがそこかしこで大群落を作っています。

野生の鹿にとっては「美味しくない」という理由で生き残った植物たちです。








Yさんが「絶景だよ〜」と言っていた、小日影山の眺めです。確かに素晴らしい眺め!









再びマルバダケブキ畑の中を進みます。









立ち枯れエリア。昆虫やウイルスによる被害を受けたのでしょうか?











ずっとしらびその樹林帯一辺倒かと思ってましたが、けっこうめまぐるしく景色が変わりますね〜。









お! ようやく小河内岳が見えてきました。あの山頂付近に小河内避難小屋があるわけですね。







涼しい風が吹く見通しの良い場所に到着したので、予め作ってあった「おこわ」でも食べながら休憩しようとザックを下ろします。すると、ちょうど反対側から若い男性が大きな荷物を担いで歩いてきて、やはり景色の良さと風の涼しさを感じたらしく、ここで休憩するようだったので話しかけます。

彼も北岳から光岳まで1週間ぐらいかけて縦走する途中らしく、お互い反対側から歩いてきたので情報交換で盛り上がります。公共交通機関の全滅に伴うYさんからのアドバイスをちゃんと聞いておいてよかったです。

ちなみに彼は現在27歳、現在転職活動中(無職)で、それを利用しての長期縦走なのだとか。そして9月に就職することが決まっているとのこと。

やはり下山後どうするかが気になっていたらしく、私が登りで使った池口岳のコースを教えると、最初は俄然興味を示していたのですが、タクシー代7500円のところで急に意気消沈してしまいました。なんでも、財布に残り9000円しか入っていないのだとか。(現在無職ですしね)愛知の自宅までは青春18切符で帰るという徹底ぶりで、私も大学生時代から20代後半ぐらいまではそんな感じだったなぁと懐かしく思い出しつつ、「だったら、お金貸そうか?」と気軽に申し出たところ、ものすごい勢いでお断りされつつ

「申し出、本当にありがとうございます!でも、お金が無いのも全部自分の責任なので、それも含めて自分の力で縦走をやりとげたいんです」

という返事が返ってきて、そりゃそうだ、大きなお世話だったと内心で反省しつつ、互いの完走を誓い合いました。


ちなみに私の財布には全行程山小屋に宿泊できる(1泊1万円前後の)大金が入っておりますが、今のところまだ数千円しか使ってませんし、今後も使う予定はほとんど無いです。
万が一、山で財布を落としたら大騒ぎすることになるわけで、想像するだけでゾッとします。つい先日もズボンのポケットに財布を入れそこねてそのまま地面に落ちましたし・・・







ちょうど私が「おこわ」を食べ終わったところで、彼は荒川岳に向けて出発して行きました。

本日は「値段の高い中岳避難小屋」はスルーして、荒川小屋で幕営の予定だそうです。



さて、私もそろそろ出発しますか!



という、タイミングで今度はご年配の男性が小河内岳の方から歩いてきて声をかけてきました。

この方も下山に悩んでいたらしく、再びフルコースで情報交換(というか、情報提供)をさせてもらってから、ようやく出発です。








ここなんかも幕営適地ですがゴミは落ちていないようです。









標高が上がるに連れ、木の高さがだんだん低くなってきました。









潅木の向こうに小河内岳山頂が見えてきました。









草が不自然に倒れているので、もしかしたらここで幕営したのかもしれませんね。

ここにもゴミは落ちていませんでした。








小河内岳への登りです。








もうひと踏ん張りと自分に言い聞かせて、登って行きます。








着いた〜! (12:50)









お〜、振り返れば荒川三山。

すばらしい!



頂上で30分ほどゆっくり休憩してから、登山道の分岐にザックを置いて小河内岳避難小屋に向かいます。






あれですね。
(富士山がぎりぎり頭を見せてくれています)


ゴミが落ちていなかったら素通りして良いと言われてはいましたが、一応連絡しておこうと思った次第です。
(あと、タンクに水分がすっかり溜まったのでトイレをお借りしたい状況でもありました)


ちなみに、小河内岳避難小屋の初代管理人はYさんだったようです。


これまでと同じように入り口から声をかけると、中から真っ黒に日焼けした女性(私と同じ年ぐらい)の方が出てきて対応してくれました。



例の件を伝えると、やはり無線で連絡が入っていたらしく、「素通りしてくれてよかったのに、わざわざありがとうございます。お茶でもいかがですか?」と、お誘いを受けたので、ここでも上がらせてもらいます。







さすがYさんが初代管理人さんを勤められていただけあって、素晴らしい状態が保たれている避難小屋です。(Yさんは現在中岳避難小屋をあれこれ自力で改築中です)


女性一人で切り盛りしているのかと思ったら、「旦那は外で昼寝してると思います」とのこと。

その昼寝ポイントの先が絶景ポイントらしいので、トイレ借りがてら、ちょっと立ち寄ってみることにします。



トイレをお借りし、小屋からちょっと下ると、それらしき人が昼寝していました。(かなり年配の方、歳の差婚?)

私がそばを通過するときにちょうど起きたみたいだったので、声をかけると、



「今日は本当に良い天気だね〜。僕は雲が好きでね〜、どれだけ見てても飽きないんだよ〜。」



と、言いながら仰向けになって雲を眺めてらっしゃいます。






私も雲は見飽きません、というか、雲を観るために山に登ってるようなもんなので、いつかここに宿泊したときには、管理人さんと雲話で大いに盛り上がれそうです。(写真は話をした後に一度先に下ってから振り返ったところ。上着を日除けにしながら空を見上げて寝転がっている管理人さんが写ってます)










おじさんが寝ていた場所からさらに5分ぐらい下ったところにある絶景ポイント。
荒川三山が間近に下から上まで全部見えるのでした。
(例によって広角レンズ写真、実際は巨大な山塊なので高度感含めてすごい迫力です。ここからの眺めは本当におすすめ! 登山道からは離れているので見逃し注意)



十分に絶景を堪能した後、おじさんと奥さんにそれぞれ挨拶をしてからザックを置いた場所まで戻ります。


ちなみに、ここから北には東海フォレスト管轄の山小屋は無いので、新たなミッションはありませんでした。


う〜ん、ちょっと残念。






さて、本日の目的地、三伏峠小屋を目指しますよ〜。(13:50)



今回のコース上に小河内岳以外に山らしい山は無いのかと思ってましたが、まだ2つほどピークが残っているのが視界に入ってきました。







う〜む、それぞれけっこう高い!









小河内岳と出発地点の荒川三山を振り返ったところです。









1つピークを越えて、次2つめ。

なんか、一般登山道なのにすごいハイマツ漕ぎをさせられるなぁと思いながら下っていたら、実は道を間違えていたのでした。
(途中で整備された登山道に合流したところで気が付きました)






本日は晴天続きでしたが、この時間になってようやくガスが湧き上がり始めました。(14:45)

なんて天気の良い一日なのでしょう!

やはり後光効果でしょうか?

いや、逆ですね、後光がさすような日だったから、これだけ晴れ続けているのでしょうね。







さて、今度こそ本日最後のピークです。

(当然のことながらすでにシャリバテを起こしており、行動食を食べ続けながらの登りが続いています)







到着!(烏帽子岳)


マイナー区間のピークにしては珍しく二人ほど先客が休んでいたので軽く挨拶したのですが、「頼むから二人きりの世界にさせてくれ」オーラを出しまくっていたので、その後は話しかけられませんでした。








ようやく三伏峠小屋が見えてきました。

本日から「当初の計画通りの行程」に乗ったのですが、いやぁ〜、長い!辛い!
我ながら深く考えずに気楽に計画を立てたもんです(笑)




さて、最後のひと踏ん張り、行きますか!







その後は針葉樹の中を抜けたり、、、








滑落防止のためでしょうが、握ったら引きちぎれそうなビニール紐付きの崩落地帯を抜けて、、、(近づくなサインでしょう)









鹿避けネットの張られたお花畑に到着しました。









お〜、マツムシソウの大群落です。

ポツポツ咲いてるのは見たことがありましたが、こりゃぁ、見事な群落!

たしかに鹿にやられないように保護しないとマズイですね。




ちょうどお花畑の端っこに水場のサインが出ていたのですが、汲みに行くより先にツェルトを張ってしまおうと思い、先に三伏峠小屋方面へと進みます。








分岐からすぐに三伏峠小屋に到着すると思いきや、これが(ヘバっている身には)案外遠い!


しまった、この距離なら先に水を汲んでからにすればよかった。。。







ふぅ、到着! (15:45)

って、なんだ、このテントの数!!


(実は明日がお盆最初の土曜日で、しかも三伏峠は公共交通機関やマイカーで気軽に百名山(塩見岳)を目指せる好立地の山小屋だということは、この時点では知りませんでした。これまですれ違った人達からも、三伏峠は空いていたと聞いていたもので・・・)



慌てて受付を済ませつつ、スタッフに小屋で水を入手できるかどうか確認すると、地図に示されている通り先ほどの水場まで行かないとダメだとのこと。(小屋泊の方は中でもらえるような・・・。あと、えらい高い値段出してペットボトルの水を買うという手もあります)


受付の後、テン場が埋まりつつあったのですぐにツェルトを張る場所だけ確保し、隣のテントのおじさんに挨拶してから水筒全部(フルに入れると6リットル分)持って水場に向かいます。

マツムシソウの花畑の分岐まで戻ると、先ほどのご年配のカップルがここでもいちゃいちゃしてました。山に来る人の中では、というより日本人には珍しいタイプの方々です。(南米のアルゼンチンでは山ほど見かけましたが)


花畑からさらに数分下ったところで小学生が水筒を手に持って登ってきたので、「水、美味しかった?」と尋ねたら、「う〜ん、いまいちかな」という正直な返事が返ってきました。




そうですか、イマイチですか・・・






子どもたちにイマイチだと評判の水場に到着しました。


たぶん小屋泊者用のために組み上げるポンプ設備なのでしょうが、我々テン泊者はここまで歩いて汲みに来なければならないわけです。


小屋の傍らに「クマ注意」の看板が設置されていたのですが、注意するも何も、ここに来ないと水が汲めないのだからどうしようもありません。




水場には若いカップル(まさに山ボーイ、山ガール)が先に来ていました。
山ボーイくんが洗髪の最中だったので、それが終わるのを待ちます。


私の存在に気がついたからか手早く済ませて場所を譲ってくれたので、お礼を言いつつ水を汲み始めます。明日はコース上に水場も山小屋もあるので、6リットル分の容器を持ってきたのですが今晩分と明日ちょっと歩くのに必要な分だけ汲みました。(3リットルほど。ここからテン場まで持って上がるのが億劫だったので)
ついでにその場でちょっと飲んでみたところ、たしかに冷え具合は「イマイチ」でした。(味は無味無臭、いわゆる天然水です)
ここ数日、あまりに美味しく冷えきった水ばかり飲んでいたので舌が肥えてしまったのですが、これで「イマイチだ」なんてつぶやいたら、初日に雨水飲んで天に感謝していた自分に怒られそうです。

サングラスが置きっぱなしになっていたので、カップル二人に訪ねてみたところ、彼らのものでは無いとのこと。

ついでに私も洗髪させてもらい、その場でゆっくり髪をタオルで拭きつつ振り返ると、先ほどのカップルが順番待ちをするかのように行儀正しく座って待ってます。


ありゃ! なんと、髪洗ってる途中で譲ってくれたのですか!
こりゃ、年配者として恥ずかしいことをしてしまいました・・・。すみません。。。


二人に謝りつつ水筒を手に持ち、逃げるようにして小屋に戻ります。


が、登り返している途中でデジイチを水場に置き忘れたことに気が付き、再び戻りました。

とほほ。。。



カップルに「カメラを忘れまして・・・」と、言い訳しつつカメラを回収し(彼らはドジで気の利かないおじさんに暖かく声をかけてくれました)、再び小屋に戻ります。


お花畑のいちゃいちゃ年配カップルの二人もさすがに三伏峠に向かった後のようでした。







ツェルトの設営もだいぶん慣れてきました。(インナーポール設置済みの状態)



一昨日、兎岳避難小屋でばっちり乾かしてあるので、かなり快適です。




隣のテントのおじさんとツェルト(ウルトラライトウェイトが流行り始めたとは言え、まだテン場では珍しいです)や初日の顛末、これからのコースについて、さらには山の植物の話しで盛り上がります。(おじさん、マルバダケブキの黄色くでかい見た目が「大嫌い」なのだとか。まぁ、気持ちは少しだけ理解できますが、そこまで嫌っちゃ、ちょっとマルバダケブキがかわいそうな気もします)

ここで、本日の三伏峠がなぜこんなに大人気なのかおじさんから聞かされて、ようやく理由がわかったという次第です。


さようなら〜、静かな南アルプス。
明日からは通常のお盆の山になりそうです。


というか、すでに近くの団体さんテントが相当騒々しく(若い学生ならまだわかるのですが、うるさいのはたいてい年配組というのがなんとも・・・)、山のテン場というよりは、宴会が行われているオートキャンプ場という雰囲気です。


おじさんは三伏峠や塩見岳に何度も来ているそうなので、地図に載っていた塩見岳のちょっと先にある水場について使えるかどうか尋ねたところ、「水場のサインを見たことが無いから、もしかしたら無いのかも」とのことで、それだと水調達計画が狂ってしまいます。途中の山小屋(塩見小屋)もペットボトルの馬鹿高い水を買わなきゃならないとか・・・

「あの水場までまた一往復か・・・」と、ぼやいていたところ、おじさんが明日は下山だけなので水を分けてくれるとのこと。

遠慮無く1リットルほど頂戴致しました。

有難うございます!



そうこうしているうちにどんどん暗くなってきたので、慌てて夕食の準備を開始します。


風ふく山中でのアルコールストーブの扱いにも大分慣れてきたので、手早くカレーを作り、寝る前の儀式(朝スムーズに出発するための準備から歯磨きまで)を済ませてからツェルトに潜り込みました。



幸い、騒々しかった団体さんたちも夜は早く寝るみたいで静かになりました。よかったです。



おやすみなさい。





登り累計 1545m
下り累計 2050m
移動距離 15km




つづく