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12月30日(金)





熟睡は出来たのですが、結局5時過ぎに目が覚めました。



外が少しずつ明るくなってきたので車を降りて砂浜に出る下り坂のところに行くと、トヨタRAV4が一台停まっていて、もし運転手さんが居たら「そこは停めて良い場所なのですか?」と、質問しようと思ったのですが、車はもぬけの殻でした。(私が寝ている間に到着して、ドライバーはすでに出発した後のようです)

このRAV4の後ろに縦列駐車することも一瞬考えたのですが、止めておきました。


車まで戻り、周囲を散策してみます。


車を停めているインフォメーションセンターの横には植栽に囲まれた芝生の駐車場があって車が数台停めてありました。これが高級キャビンの駐車場なのかインフォメーションセンター付帯のトレッキング客用の駐車場なのかは判断つかないところですが、いずれにしろ入り口にチェーンがかけられているので中には入れません。


程無くファミリーが乗ったヒュンダイの大型四駆が走ってきて、私に気がついた母親らしき女性が助手席の窓を開けて声をかけてきました。


話してみたところ、どうやらこのファミリーも駐車場を探しているようです。


そして彼女の情報によると、付近の「とあるロッジ」で朝食か何かを食べれば敷地内に車を停めさせてもられるとのこと。


なるほど。



その宿がどこにあるか尋ねられたのですが、もちろん私が知るわけもなくその旨伝えると、内陸側の例のおじいさんが住んでるバラック小屋がある方へと走り去って行きました。


あの車のサイズじゃ苦労するだろうなぁと思っていたら、案の定10分もしないうちに戻って来ました。


この往復の間にどこかの宿で情報を仕入れてきたらしく、このインフォメーションセンターが朝7時にオープンして、ここの駐車場が使えるんだと教えてくれました。

内心で大喜びしつつ、情報をくれたことにお礼を言ってから早速トレッキングの準備を開始することにしました。









警官に治安が悪いよと言われたプエルトヒメネスの街から悪路を車で2時間近く走ったこんな場所ではありますが、念のため車上狙い対策としてPC含めて貴重品すべてをパッキングしてみたところ、ザックに収まりきらないぐらいの荷物の量になった上に、試しに持ちあげてみたらあり得ない重さだったので、「こんなところで車上狙いはきっと発生しない!」と、勝手に決めつけて、ある程度荷物を減らすことにしました。(とは言え、現地で必要な情報を全て紙にプリントアウトしていなかったのでノートPCとかは持っていくわけですが)



さて、本日はコルコバード(Corcovado)国立公園の中心部「シレーナ」まで歩いて移動し、そこで1泊するわけですが、ゴジツアーズの非公式HPに掲載されていた情報によると「シレーナに個人で行くのは不可能では無いが難しい」と前置きした上で、以下の3つの方法が紹介されていました。


1つ目は高いカネ($500以上)を払ってボートをチャーターする方法でこれが一般的だとのこと。

2つ目はカラテ(今いる場所)から8km歩くという方法。
注意点としては、シレーナ手前の川が「満潮になると渡れなくなる」ことと、「川には巨大なクロコダイル(ワニ)がいるので注意が必要」なんだとか。

3つ目はプエルトヒメネス付近からEl Pato まで移動して、そこからから19km歩く方法。
(別ページ(英語)の情報によると、この19kmウォークもかなりハードそうな雰囲気でした)


で、私が選択したのがワニだけ注意すれば良い2番目の方法というわけです。



ちなみに、事前に購入していたこちらの本の著者も取材時にカラテから2時間かけて歩いていたのが決め手でした。
(8kmを2時間ということは時速4kmだから道の状態も良さそうで、大したことはないと踏んだわけです)



しかし、昨晩ネットでカラテ(ここ)の駐車場情報は無いかと調べているときに日本人観光客で唯一といっていいであろうこの区間を歩いたという旅行記を発見し、その方はツアー用のマイクロバスでここまで来ていたので駐車場関連の情報は手に入らなかったのですが、朝にカラテを出発して夕方満潮時に例の川に差し掛かってしまい、川の水量が下がるまで待って夜にシレーナに這々の体で到着したと書かれていて、なんでそんなに時間がかかってしまったのかちょっと気になってはいました。その方が凄まじく歩くのが苦手だったのか、実は2時間では歩けないコースなのか、、、




パッキング作業があらかた終わったのでインフォメーションセンター付近を散策していたら、建物の壁に地図が貼り出されているのに気が付きました。





地図を見てみると国立公園の各区間ごとの距離が記載されていて、まずここからラ・レオナ(LALEONA)レンジャーステーション(国立公園の入り口)までが4km、そこからシレーナまで16kmと表示されていました。



「足して20km?またまた、ご冗談を」



と、笑いたいところですが、昨晩読んだ旅行記の件があったのと、さすがにこの地図が記載ミスしているわけがないので、実はシレーナまで熱帯の海岸線を20kmも歩くのだということがこんなところで判明して愕然とします。



このサイトの潮汐情報によると、コスタリカ近辺の本日の干潮時間は昼の12時40分前後、満潮は19時過ぎ、20km歩くとなると時速4kmで歩き続ければ理論上5時間ですから、朝7時にここがオープンしてすぐに車を停めさせてもらって出発できれば、干潮時間前後にシレーナ手前のワニの居る川を渡れる計算になります。


しかし、旅行記に書かれていた方のように何らかの理由でペースが遅れて夕方近くの到着となると、河口が満潮で渡れない上に、次の干潮は深夜1時過ぎという恐ろしい事態になってしまいます。


ちなみにこちらの英語のページによるとワニだけじゃなくて、濁った河口付近で無差別に襲いかかってくるオオメジロザメ(Bull Shark(現存のサメでもっとも気性が荒くて危険と言われている種類、特に濁った河口付近では無差別に襲うらしい・・・)が居るらしいのと、それよりもそもそも川の流れが速いので危険と書かれていました。そういえば最近起こった沖縄での漁船転覆事故の時もメジロザメの名前が出てきてました

(そして、今そのページを読むとシレーナまで19.5kmってちゃんと書かれてました・・・)

                                 

いずれにしろ、川の水位が上がる前に渡らないとマズイことだけは確かで、きっちりと昼前後に川に到着できなければなりません。



そして、7時を過ぎた頃、、、、





建物のほうで物音がしたのでそちらを見ると、白人のおじさんが作業をされているのが目に入りました。(写真左)


おじさんに声をかけて挨拶をし、早速駐車場の場所を質問してみました。



すると、予想通りインフォメーションセンター横の敷地が駐車場だとのこと。「料金は1泊$5だ」と、ぶっきらぼうな感じで(インフォメーションセンターのスタッフさんだと思っていたのですが、どちらかというと無愛想な山小屋の親父という雰囲気で)返事が返って来ました。



明日は何時にここに戻ってこれるか想像がつかなかったので、何時までおじさんが居るのか確認した所、「ここに寝泊まりしているからいつでも居る」とのこと。



もし、今晩宿泊するシレーナにキャンセルか何かで明日も空きがあったらもう一泊したいとも思っていたので、明日の夕方遅くか明後日には戻るとつもりだとおじさんに申しこみ、駐車場の入口にかかっていたチェーンを外してもらって、車を中に移動させました。









ヒュンダイ大型四駆ファミリーも後からすぐにやってきて車を停めていました。(私のジムニーが一番奥、その手前が大型四駆)



再び小屋に戻り、おじさんに「この区間の距離って16kmなんですか?」と質問してみると、「そうだ」と、そんなもん地図を見ればわかるだろうと言わんばかりの口調で返事が返ってきました。




その後、ファミリーが雇ったのであろうガイドさんらしき人が迎えに来たので、「後でシレーナで再会しましょう」と挨拶して見送りました。ガイドさん含めて皆さん20km歩くにしては軽装だなぁと思いながら自分も出発に向けて荷物の最終確認をしました。







びっしりとうろこ雲が湧いてますねぇ〜。


まぁ、炎天下を歩くよりはこのぐらいの天気のほうが良いんじゃないかと思いながら見上げていました。



その数分後、遠くの方からブォーーーンとエンジン音が聞こえてきて、その音色と音源の移動速度から、それが空港を滑走路を疾走するセスナであることと、実はファミリーが雇っていたのはガイドではなくパイロットで、今から10分後ぐらいには彼らは余裕綽々でシレーナに到着することが一気に理解できて、唖然としながら樹間から微かに見えたセスナを見送りました。




なるほど、その手があったか。。。




さて、私は歩いて向かいますか。(7:20)









海岸に出てみると、はるか遠くに先行して歩いているグループが見えました。


この辺の高級コテージの宿泊客が朝の散歩してるだけなのか、それともシレーナに向かう人なのか?



この海岸、何もなさそうですがそれなりに人気があるんですかね?









砂浜に出て最初に丸太を利用して小さな川を渡るのですが、この丸太がけっこう細くてバランス取るのがかなり難しいのです。


(落ちても膝ぐらいまで濡れるだけですが、トレッキングシューズを履いているので濡らしたくないところです)



重いザックを背負ったままなんとか無事に渡りきり、いよいよ砂浜歩きが始まりました。




って、容易に想像が付くことですが、砂浜は歩きにくい!


こりゃぁ、時速4kmペースで5時間歩き続けるなんてとてもじゃないですが無理です。







歩き始めてからふと横を見ると、番号のかかれた札が椰子の木にぶら下げてありました。


これが100mおきの表示なのかゴールまで1/10みたいな意味なのかはわかりませんが、何かしらのガイドのようです。









「けっこう波が上まで上がってくるなぁ〜」なんて思いながら歩いていたのですが、突然横から波が足元にすごい勢いで迫ってきて、靴を濡らすわけにもいかないので、じゃれあう青春カップルばりに重いザックを担いだまま砂浜を全力疾走してしまいました。。。




先行グループにだんだん追いついてきて、ようやくどんな人達かわかってきたのですが、皆さん手ぶら状態でどう見ても20kmの道のりを歩いてシレーナに向かう人達ではないようです。


どうやらこの周辺のコテージに宿泊していて、朝の散歩でビーチを歩いているだけみたいです。




追い越すときに、ガイドらしき格好をした現地人風の方に声をかけ、ラ・レオナ(国立公園の入口)までどのぐらいかかるか尋ねてみたところ、「あと2km、25分ぐらいで右側にサインが出るよ」とのことでした。



お礼を言いつつ先に行かせてもらいます。








追い越してからしばらくして、振り返ると後ろから馬に乗った人が追いついてきていました。









なるほど、そういう移動手段もあるんですね〜。



しかし、海と馬をセットで見ると、我々の世代の日本人は暴れん坊将軍のテーマソングが条件反射的に脳内で流れてしまうのは仕方が無いこととは言え、海外旅行では困ったものです。








あ、ヒメコンドルだ。









たかだか4kmの道のりでも、砂浜だと普段使っていない筋肉を使わされるので辛いものがあります。



地面が海に向かって傾斜しているからか、気を抜くと海の方へと徐々に降りていってしまい、波が迫ってくる所で慌てて青春カップル走りで(一人ですが)登り返すということを何回も繰り返しました。










いい加減砂歩きが辛くなってきた所で、ようやく国立公園の入り口に当たるラ・レオナに到着しました。


ここは事前情報にもあったレンジャーステーション手前のコテージだろうと判断してスルーします。



しばらく行くと、100mほど先のジャングルから先ほど追い抜いていった馬が出てきました。
行きは2人乗っていましたが、帰りは一人、ってことは馬タクシーなわけですね。


なるほど。








馬が出てきたところに入っていきます。








レセプションらしき建物に行き、若い白人男性スタッフに声をかけます。(7:55)


明日の宿が確保できていなかったので、キャンプできないか確認すると、ここはテント型のコテージしか無いとのこと。しかも、料金が90ドルぐらいだというので、何か変だと思って「ここってレンジャーステーションですよね?」と確認すると、「違うよ、レンジャーステーションはまだ500mほど先だよ」とのこと。(スルーしたつもりのLa Leona Lodgeのレセプションでした)


なんてこったい。







先程馬が降りてきた道まで戻るのが面倒で(と、言っても50mほどですが)、写真の土手を駆け下って最後の水溜りをジャンプで超えようとしたら飛距離が少し足りず、青春カップル走りで努力を重ねてきたのに、こんなところで靴下を濡らしてしまいました。。。とほほ。。。










そこからしばらく歩いたところで「トレイル」と書かれたサイン看板の出ている建物を発見。

500mと言っていた割には早く着いたなぁと思いつつ、建物の方に行こうとしたら、手前に巨大な水溜りがあって先に進めません。。。










どこから入るんだ?

と、思いつつ、一旦来た道を戻ります。








この木を伝って登るのでしょうか?


というわけで、落ちないように慎重に登り、木のところでバーベキュー中のファミリーに挨拶してから先ほど見えていた小屋まで行くと、そこは無人の、というか、そこもラ・レオナロッジの敷地内でした。

どうやら、トレイルというのはプライベートトレイルのことなんだとようやく気がついてガックリ来ます。

(どうやら値段ごとに全然デザインの違う3種類ぐらいのコテージゾーンがあって、最初の1つ目はスルーしたのですが、2つ目と3つ目に間違えて立ち寄ったみたいです)



再びバーベキュー中のファミリーに挨拶してから慎重に木を降ります。








先ほどのスタッフさんが言うとおりに素直に500m歩けばよかったと思いつつ、砂浜をえっちらおっちら歩いて行きます。









あ〜、ここですね! サイン看板もちゃんと出てました。(そういえば、最初に追い抜かしたグループのガイドさんが「右側にサインが出る」って言っていたことを今更思い出しました)
(8:10)




建物手前の階段を登って建物に入ると、白人のおばさんが中で掃除をしていたので声をかけました。

彼女がレンジャーステーションのスタッフだったので、事前にプリントアウトしておいたバウチャーを見せると、そこに印鑑を押してサインをしてくれました。たぶん入場許可手続きなんだと思います。


国立公園の地図がもらえないか確認すると、「地図は無いけど、一本道だから地図は必要ないわよ」とのこと。


ここからシレーナまでの到着時間を確認すると、なんとびっくり6時間。(つまりスタート地点から7時間)

本当にびっくりして驚いたリアクションをしたからか、彼女は一旦奥に消えて今コピー(もしくはプリントアウト)した地図を持ってきてくれ、途中渡らなければならない何本かの川に到着するまでに必要な時間をそれぞれ書いてから、その地図をくれました。

お礼を言ってありがたく受け取りました。



あと、明日ここでキャンプができないか確認すると、今は宿泊対応はしていないとのこと。(現地の旅行代理店が出しているホームページでは泊まれるみたいなことが書いてあったのですが、キッチンか水まわりの設備が故障したか何かで今は受け付けていないとのこと)


ここからまだ6時間も海岸線沿いを歩くとなると相当水を飲みそうだったので、飲めるかどうか確認してからシャワー(もちろん露天)のところにある蛇口から水を汲ませてもらいました。




つづく