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1月3日(火)
6時に起床。
周りの人はまだ熟睡しているみたいだったので、本日必要となる荷物を持って一旦談話室に出ます。
外は昨日に引き続き暴風雨。
本日訪問する公園内は森林なので風雨が激しくならないでしょうし傘ぐらいで十分だと思います。そして写真撮影もするなら傘が有利だということは屋久島で体験済み、かつ事前の情報でサンタエレナでは傘が必要だとわかっていたのですが、2回も紛失してしまった結果、結局傘無しで歩くことになりそうです。。。とほほ。。。
コモパンを焼いて軽く朝食を済ませていたらナインさんが起きてきたので挨拶をします。
雲の合間から太陽が顔を出しそうですが、先程から常に沸き上がっている雲がこのあと突然無くなることもなさそうに思えますし、本日はいったいどんな天気になるんでしょうか?
サンタエレナ自然保護区のオープン時間が迫ってきたので、ぼちぼち出かけることにしました。
うわ、すっげ〜〜〜雲!
カリブ海から吹きつける風が背骨のように伸びるコスタリカの中央山脈地帯にぶつかって、日本で言うところの北アルプスみたいな気象条件になってるんですね。
まるで3000m級の稜線を歩きながら目の前をカッ飛んでいくガスを眺めているみたいです。
東南アジアでよく見かける小さな車が停まっていたのが珍しくて記念撮影。
そして、雨が舞い飛び太陽光線が差し込むという気象条件が整えば・・・・
こんな立派な虹が現れるわけです。
(サンタエレナ名物だそうです。でも宿に居たら見られなかったと思います)
ここまでくっきりはっきりした虹は久しぶりに見ました。(人生でも数えるぐらいしか見たことが無い気がします)
さて、サンタエレナ自然保護区に向かいますか。
って、早速雨雲の下に入ってしまいましたね。
キャノピーウォーク(林間を抜ける有料の吊り橋)でしょうか?
なんか、エコツーリズムという言葉とはちょっと違うイメージの看板が登場し始めました。
予想通りです。
またまたヒュンダイグレース。
サンタエレナ自然保護区に到着しました。(8:00)
雨が降っているのでひとまずカッパを着ます。
受付で昨日宿で購入したチケットを出し、ノートに名前と住所を記入し(私が本日5組目でした)、「ガイドツアーに参加したい」旨を伝えると、次のガイドツアーは3時間後の11時からとのことで、それを申し込んでお金を払います。(7500コロン、1150円)
まだ、時間があるなぁと思っていると突然スタッフさんが、、、
「ちょっとついてきて」と言うので、わけも分からず着いて行きます。
まさか、この人がガイドさんってわけじゃないよな〜。
なんてことを思いながらついていくと、そのまま先ほど開始したばかりだという7時半からのガイドツアーに合流させてくれました。
なるほど、そういうことでしたか。
双眼鏡をぶら下げて大声で解説をしているのがガイドのマルセラさん。(右側)
合流した途端にスコープを覗くよう勧められたので覗いてみたら、鳥(たしかヒメコンドル)が見られました。
写真左のコロンビアから来たおじさんはアジア人の私に興味を持ったのか、「君は何処から来たの?」 「今回の旅でどこ行ったの?」「どのぐらい周るの?」「何日間旅するの?」「今までにどの国行ったことあるの?」と、質問攻めにあいました。
この赤い小さな動物はダニの仲間でしょうか?
サンタエレナを含むこの辺の標高1500〜2000mの地帯は「
熱帯雲霧林
」と呼ばれるエリアになります。
先程も書きましたがカリブ海から吹く湿った空気が山肌にぶつかって上昇し、常に雲が発生して雨が降り、木を覆う苔は多量の水分を含んでいます。(と、説明しながらマルセラさんが剥ぎとった苔から水を絞っているシーンです)
説明が終わると少し移動し、、、
再びマルセラさんの解説を受けます。
見事な着生植物に覆われた木々が生い茂ってます。
この景色、見覚えがあります・・・・・
そう、雲霧林と言えば屋久島もそうなんですよね。(あちらは温帯雲霧林)
11月に屋久島行って、1月にコスタリカのサンタエレナ(モンテベルデ)はタイミングが悪すぎました。
熱帯と温帯、アジアと中米ということで生えている植物の種は違えども、やはり雰囲気は似てるんですよね〜。
マルセラさんが「これは何でしょう?」と、質問したときに、まっさきに「アボカドの実!」って答えようかと思いましたが、それはズルすぎるので自重しました。
というわけで、運が良ければここでもケツァールにも会えるみたいです。
トレイルはよく整備されているので雨が降っていても歩きやすいです。
(ちなみにマルセラさん、歩き慣れているのかかなりペースが速いので、いつも列が縦にすごい伸びてました)
(写真には写ってませんが)倒木を前にして、「雨が多いこの地域の木々は根が発達していないので、シロアリなんかに狙われ、大雨が降るとたとえ立派な木でもあっという間に倒れてしまいます。そしてそれが森林更新に必要な作用なのです」みたいな解説をしているところです。
これはフルーツのように見えて、花(花序)なんです。絞め殺しの木(
Ficus
(イ チジク属))のものなのですが、特定のハチだけが産卵のために中に入れるのだとか。入ったら出られないので、そのまま息絶えるのだそうです。卵がかえって幼虫がフルーツを食べながら穴を開けて外に出るんですが、オスには羽がないので、ここから外に出ることな一生をこの中で過ごすんだそうです。(説明が込み入っていたのではっきりとはわかりませんでした)
と、思っていたら、
西田さんのページに詳しい解説が上がってました!
フルーツ(正確には花序)の部分のほとんどはタンパク質なので人間も食べても大丈夫なんだそうです。
このエリアでいちばん大きく育つ木。(ガンバスという名前だと聞こえたのですが、帰国後に調べても正式名称などがわかりませんでした)
屋久杉とかと一緒で、人間と一緒に写さないと大きさがわかりにくいですね。
と、こんな感じで森林の植物の解説がメインだったのですが、さすがにガイドさんだけあって良い目をお持ちで、遠くにいる
Northern Tufted Flycatcher
(
Mitrephanes phaeocercus
)なんかをスコープで見せてくれたりもしました。
初めて他のグループに会いました。
ガイドさん同士で情報交換してます。(スペイン語なのでさっぱりわかりません)
Kiss Lips Flower(地域によっていろんな呼び名があるみたいです)。(
Psychotria poeppigiana
)
ちょうど「むちゅ〜」っと、キスをするときの唇そっくりの真っ赤な花です。
ターザンでお馴染みのジャングルの蔓ですが、「これは下から伸びるんですよ」と説明されて、そういえばどうやって伸びるんだろうと不思議に思いました。(超早回しカメラで伸びる様を見てみたいですね。たぶん枝を伝って伸びて行って、最後に自重でブランと垂れ下がるんだと思いますが)
この蔓植物のことを言ったのか、それともその他の植物について説明したのかはわかりませんでしたが、植物に含まれる成分を研究して、ガンとかパーキンソン病ほか、いろいろな病気に対する薬を研究しているのだそうです。
それに関係有りそうなページをいくつか
キャッツクロー
NaturalProductsDrug Discovery
Salacia(genus)
RainForest-- National Geographic
そこからしばらく歩いたところで、突然マルセラさんが、「私がもっとも好きな生物がここに居ます」
と、言いながら地面を指さします。
何かと思って見てみたら、ナナフシが居ました。
「これ、昆虫なのに足が四本しか無いのはなぜだかわかりますか?」と、質問を投げかけられて、お恥ずかしながら2本の腕をバンザイしているとは気が付きませんでした。
絞め殺しの木
ですね。屋久島でもたくさん見ました。
雨が土に溶け込む比率が高いからか、雨量に比べて川が少なかった気がします。この辺は花崗岩でできていた屋久島と違うところです。
道路整備をしているボランティアの方々。
モンキーコーブ(Monkey Comb (
Sloanea ampla
)
直訳すると猿の櫛。
猿って野生でも櫛を使うんですかね?
(ちなみに、本当に櫛のような手触りです)
マルセラさんの歩くペースが速く、説明をするタイミングで皆が揃うまでちょっと時間がかかりそうだったので、先程から気になっていた質問をしてみることにしました。
「すみません、ちょっと質問して良いですか?」
と、声をかけると、
「ちょっと待ってくれる? 後で答えるから」
と、返されてしまい、質問できずにそのまま待つことになりました。
皆が揃った所でマルセラさんの解説が始まります。
モンテベルデを代表するヘイコニヤスの花。(
Heliconia monteverdensis
) 学名もモンテベルデンシスになってますね。
Heliconia monteverdensis≪ BOSQUETERNO S.A.
風通しの良い場所に生える固有種なのだそうです。
という説明が終わった所で、
「で、あなた、質問って何?」
と、振られてしまい、皆の前でこのタイミングでこれを切り出すのもどうかと思ったのですが、、、
「すみません、ここにヤドクガエルって居ないんですか?」
と、話題ぶった斬りの質問をしてみたところ、
「ヤドクガエルはカリブ海側にしか居ないわよ。だから、ここには居ないですよ」
と、即答されてしまいました。
実はツノゼミとセットで探しながら歩いていたんですけどね〜。
(帰国後に調べてみたら、ヤドクガエルはコルコバードを擁するオサ半島にも居るみたいなので、カリブ海側だけってわけでもないみたいですが、少なくともここには居ないのでしょう)
最後は受付近くの視界の抜けたエリアで少しだけバードウオッチングの時間を取り、受付に戻って解散となりました。(11:00)
熱帯雲霧林の植物の生態をディープに説明してくれてなかなか楽しかったです。
つづく