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駐車場管理をしているおじさんに、オサガメツアーのピックアップが来てないか確認したころ、まだだと言うので、もし来たら、参加申し込みをしているので引き止めておいてくれと頼んでから一度部屋に戻って必要な荷物を回収してから、再び駐車場入口のところに移動しました。
しばらくすると、中年の現地人風のおじさんが、「君、カメの人?」と、声をかけてきたので、
「そうです、オサガメツアーに申し込んでます」
と、答えると、
「じゃぁ、あそこのバンに乗って」
と、言われたので、ちゃんとピックアップが来てくれたことに安堵しつつ、指定されたバンに向かっておじさんと一緒に歩いて行きます。
「あと2人居るんだけど、これがまたフランス人で英語が通じなくて困ったもんなんだよなぁ」
と、突然独り言なのか同意を求められたのかわからないようなことを言われ、おなじお客さんにそういうことを言ってしまうのはサービス業としてどうなんだろうと思いつつ、はっきりとした返事はせずにバンに乗り込みました。
バンは残念ながらヒュンダイグレースではなく、ヒュンダイ・スタレックス。(ヒュンダイ版エルグランドという感じの車です) でも、海外製のバンに乗れて満足です。
運転席にはスタッフらしきおじさん、後部座席には40代ぐらいの白人カップルが座っていて、一瞬この二人がそのフランス人なのかと思ったのですが、女性から流暢な英語で挨拶をされたので、そうでは無いみたいです。
(二人で会話をするときはスペイン語で会話をしてました)
ちなみに女性の方がスイス出身、男性は現地の方のようでした。
どおりで、英語でもスペイン語でもどちらでも行けるわけです。(女性はさらにドイツ語も話せるわけですよね。大したもんです)
その後、小さなホテルに立ち寄ったので、例のフランス人をピックアップに行ったんだなと思って待っていたのですが、結局ガイドのおじさんだけが戻って来ました。
そして、そのまま車を出発させてしまったので、どうやらフランス人の二人組はキャンセルしたか、待ち合わせ時間に居なかったかで不参加のようです。
車が郊外の森の中に入った所で、助手席に座ったおじさんが振り返ってこちらを向きつつ、英語でツアーの説明をしはじめます。
ちょいと聞き取りにくい英語で理解できなかったところがいろいろあったのですが、おじさん、なぜかオサガメ(Leatherback seaturtle)ではなくて、クロウミガメ(Pacific black sea turtles、アオウミガメの亜種(Chelonia mydas agassizii)の説明を一生懸命してます。
オサガメの産卵ツアーなのになんか変だなぁと思いつつも、オサガメだけじゃなくてクロウミガメも居るんだろうと思いつつ話を聞いていました。
その後、ガタガタ道の林道をしばらく走り、(さすが韓国版エルグランド、ジムニーより乗り心地は遙かに良かったです)、、、
真っ暗なビーチに到着しました。(18:50)
ここで、赤いセロファンを貼られた懐中電灯を一人ずつ渡され、必要ないときは使わないようにとの指示を受けました。
あと、カメが居たとしてもこちらの指示があるまで絶対に近寄らないことと、懐中電灯も産卵中のカメに向かって必要以上に使わないようにと注意を受けました。
って、向こうで誰かがバーベキューを楽しんでいるわけですが・・・
他にもビーチに2グループぐらい来ているらしく、暗くてよくわからないのですが、20人以上はオサガメの産卵観察目的でここに居る感じです。
記憶が確かなら、オサガメ産卵ポイントまで船に乗って移動するはずなのですが、ここでそのまま観察するんでしょうか?
オサガメ観察する前に、まずはクロウミガメでも見るんですかね?
う〜ん、よく状況がわからないなぁ。
ガイドのおじさんは我々を車の近くに残して遥か彼方遠くまで探しに行ったらしく、全然帰ってきません。
そして、しばらくしてガイドのおじさんが戻ってきて、
「このビーチにはまだ1匹も産卵に上がってきていないので、場所を移します」
と、言ってバンに向かって歩き始めたので、我々もそれに従います。
他の2グループも同じツアーなのか一緒に移動するみたいです。
停まっていた車のうち一台は我々と同じ色のヒュンダイ・スタレックスで、ガイドさん同士が親しげにしゃべっていたので同じツアーグループなのだと思いますが、もう一台のピックアップトラックは明らかに個人所有の車で、どうやらツアーにコバンザメのようにひっついてまわって、一緒に産卵シーンを見ようとしているみたいです。
バンは海岸線をさらに奥へと入っていきます。
しばらくして、ヘアピンコーナーのちょっとした膨らみのところに車を停めようとしたのですが、ピックアップトラックがついてきてしまったことでバン2台が停められず、ガイドさんがピックアップトラックの運転手さんと交渉して、その方は別の場所へと移動して行きました。
車を停めたところから登山道のような小道を懐中電灯で足元を照らしながら全員で下って行くと、再び波の音が聞こえてきました。
ビーチに到着するちょっと前に、前方から「カメがビーチに来ているので、静かに歩いてきてください」と伝言が伝えられたので、それを後方に伝えつつ、とりあえず「坊主」はなくなったなと安心すると同時に期待で胸が高まってきます。
ビーチに到着すると、先に到着していた人たちが砂浜でカメらしき生き物を囲んで赤いライトで照らしています。
産卵するカメにあんなに近づいて良いんだろうか? と、思いながら近づいていくと、ライトに照らされたカメは一生懸命海に向かって歩いているところでした。
後で聞いたのですが、ガイドさんが静止する間もなく先行グループがカメに近づいてしまい、驚いたカメは産卵前に引き返して海に戻りはじめた所に我々が到着したという次第です。
一応写真を撮ったのですが、なんか20人ぐらいの人間に見つめられて写真を撮られつつ、産卵を諦め必死に海に戻ろうとするカメが不憫に思えてきました。
さらには至近距離からピント合わせ用のLEDの事前照射を浴びせたりフラッシュ使って写真を撮影する人まで登場し、(本人は「ノーフラッシュのやり方がわからなかったんだ!」と言ってましたが)、ますますカメがかわいそうになって来ました。
というか、オサガメの産卵ツアーって、こんなんで良いんでしょうか?
ガイドさんが、
「まぁ、これでも今日は7時台に一匹目が見られてラッキーだよ。昨日は最初に上がってきたのが9時だったからね」
と、声をかけてきたので、
「ところで、ここでオサガメって見られるんですか?」
と、前から気になっていたことを質問すると、
「オサガメ? ムリムリ。見たかったら専門のツアーに参加しないと」
と、微かに感じていた悪い予感通りの答えが返ってきてしまいました。
「これ、オサガメ産卵見学ツアーじゃないんですか?」
「違うよ。あっちは国立公園まで移動しなきゃならないし、産卵を見られる確率が低いから、こっちに参加して正解だと思うけどね」
「そ、、、、そうなんですか・・・・」
って、やっちまったーーーーー!!
昨日、ホテルの受付のお兄さんに「オサガメ産卵ツアー」って頼んだはずだったのですが、、、、
そして、今日はコスタリカ最後の夜。
もう、リカバリーは無理です。
あ〜あ、、、、オサガメ見たかったなぁ。。。(オサガメはダイビングでもまず見られないですからね〜。大きなタイマイなら高知で一度だけ見たことありますけど)
まぁ、近縁種のアオウミガメは水中で何度も観たことありますが、クロウミガメ(ほとんど見分けはつかないらしい、同種という説もあるぐらい。今日、ダイビング中に見たのがそうかもしれません)は今まで見たことなかったですし、産卵シーンを実際に見るなんて人生初ですから、今日はそれが見られればいいかと、気を取り直して再びカメ発見の一報が入るのを待ちます。
と、いきなりガイドさんが波打ち際を指差して、しゃがめの指示を出したので、しゃがみながら波打ち際を凝視すると、今まさに一匹のウミガメが波を被りながらこちらに上がって来ようとしているところでした。
しかし、カメが上がろうとした場所はちょうど我々20人が立っている場所の正面。
案の定、砂浜に上がることすらせずにカメは180度Uターンして海の中へと消えて行きました。
ガイドさんが、「皆さん、木陰に隠れてください」と、指示を出したので、最初っからそうしておけばよかったのに、と思いつつ、木陰に移動します。
そのまま30分ぐらい、じーっと待っていたのですが、カメが上がってくる気配が無かったので、再び最初のビーチに移動することになりました。(この時に、少しだけ同乗の40代カップルの方とお話しました)
まぁ、クロウミガメの産卵は見られる確率が高いって言っていたので、坊主ってことは無いと思うのですが、自分の宿命に思いを馳せ、なんか嫌な予感がしてきました。
と、そんなタイミングで再び1匹のカメが上陸開始。
間の悪いことに、多くの人がまだ砂浜の上を歩いていたので(私はすでに車を停めたところへ続く小路の入り口まで来ていましたが)、「頼む〜、皆しゃがんでくれ〜、カメよ引き返さないでくれ〜」という心の叫びも届かず、カメは再び海の中へと消えていったのでした。
再び車まで戻り、最初のビーチに移動しました。
我々を車の中に残したまま、ガイドさんだけが砂浜を確認に行き、結局居なかったということで、本日のツアーは終了となりました。
って、見られる確率高いんじゃないの!?
信じられない気持ちで懐中電灯をおじさんに手渡します。
なんだよ〜、オサガメどころかクロウミガメの産卵まで外しちゃうのかよ〜!
はぁ・・・・・、そういう星の下に生まれたのね〜、
るるる〜。(21:00)
と、車の中でため息をつきつつ、帰る途中でふと思うところがあってポケットからスマホを取り出して電源を入れ、とあるアプリを立ち上げました。
30分ほどでタマリンドの街に戻ると、先にカップルの方が泊まっているホテルに立ち寄り、続いて私が宿泊しているホテルの近くまで送ってもらいました。
車を降りてからホテルのゲートをくぐるまでのわずか10数メートルの間に2人のガラの悪そうな男性から別々に声をかけられ、やはり治安が悪いなぁと思いながら足早にホテルに駆け込みました。(治安は良くない、旅行者が強盗殺人にあったとロンプラに書かれてました)
受付に顔を出すと、「楽しめましたか?」と、にこやかに声をかけてきたお兄さんに、「いや、見られませんでした」と、渋い顔で答えつつ、「私はオサガメ産卵ツアーを申し込んだんですが」と、一言付け加えたのですが、「オサガメはなかなか見られないと思いますよ」と、自分の伝えたかったことと違う返事が返ってきたので、「いや、そうではなくて、オサガメ専門のツアーがあるんですよね? それに申し込んだつもりだったのですが」と、補足説明をすると、「そうでしたか。確かにオサガメ専門のツアーはありますので、明日にでも改めて行かれてはどうですか?」と、笑顔で切り返されたので、「明日は日本に帰るんです。私はオサガメが見たかったんです。だから昨日オサガメのツアーを申し込んだんです。」と、もう一度自分の主張を繰り返した所、やっと意思が通じたらしく、「そうでしたか、それは申し訳ありませんでした」と、申し訳なさそうな顔で謝ってくれたので、この話は以上終了にしました。
ふと、気になってカウンターの上に乗っていたいろいろなオプションツアーの案内を見てみると、、、
あ〜、これでしたか、、、これに申し込んじゃったんですね、私は。
一応オサガメも確率は低いながらも見られることになってるんで、そういう意味ではお兄さんは悪くないのですが、、、こんなツアーがあるというのは気が付かなったなぁ・・・
さて、気を取り直して受付のお兄さんにモーニングコールをお願いします。
起こしてもらう時間は午前0時半。あと3時間後。
聞き間違いだと思ったらしく、お兄さんは二三度確認してくれましたが、指をOの字にしてから三本指を立てて0時半であることを強調します。
お兄さん自身はその時間には寝てしまっているそうなのですが、駐車場のおじさんが間違いなく起こしてくれるとのこと。
それを確認すると部屋に戻り、1分でも長く寝るために最終パッキングを済ませてから速攻で布団に潜り込みました。
1月7日(土)
何か騒々しい物音が聞こえてくる夢を見ていました。
違う、夢じゃない!
誰かがドアをノックしてるんだ!
「起きました!!」
と、とにかく大声で叫んで返事をしてから慌てて布団から飛び出し、ドアを開けておじさんにお礼を言います。
時間を確認すると午前1時半。
あ”ーーーー、1時間も寝過ごした!
もしかして、おじさん、1時間ずーっとノックしてくれてたんですかね。
いや、それはないか。
すぐに荷物を抱えて車に移動します。
ジムニーに荷物を放り込んでエンジンをかけます。
手首に付けられていた宿泊者用テープをちぎろうとしたのですが、これまでダイビングをしようがシャワーを浴びようがプールで泳ごうがびくともしなかったこのテープ、紙のように見えて実は薄いプラスチック製のようでテープより先に私の手首が切れてしまいそうです。
まぁ、いいや。(普通はチェックアウトするときにフロントで切ってくれるんでしょう)
車を発進させ、ゲートのところに立っていたおじさんに再びお礼を言ってから部屋の鍵を渡してホテルを出ます。
う〜む、深夜のタマリンドはさらに雰囲気が変わってますね〜。
警察のパトカーもかなりの台数が巡回してます。
さて、本日の予定ですが出国時の計画から旅の途中で随分変更しました。
当初の予定では午前中はホテルでのんびりと過ごし、夕方出発する飛行機に間に合うようにサンタ・ロサ方面含めてドライブしながらサンホセを目指す予定でした。
しかし、パロベルデを早めに出発した日にサンタ・ロサ見物をしてしまったので、どうしようかとあれこれ考えた結果「ヤドクガエル観察」と「ツノゼミ探し」をリベンジすることに決めました。
最初に宿泊したサラピキのラ・セルバの対抗で、高確率でヤドクガエルが見られるとゴジツアーズさんに教えてもらっていたセルバベルデロッジに立ち寄る計画を立ててみたところ、行程的にはなんとかなりそうです。
ネットでセルバベルデロッジについて詳細を調べてみると、セルフガイドコースは歩ける場所がかなり限定的で、そこでヤドクガエルが見られるかどうかの情報が一切なかったので、保険の意味も込めて普通のガイドツアーを頼むことに決めました。(ガイドが居るいないで楽しさが全然変わるってことは骨身に染みてわかってましたし)
そして、残った時間でツノゼミ探しにチャレンジという計画です。
セルバベルデロッジのガイドツアーは8時半スタートなので、まずはタマリンドを午前3時には出発しようと決めました。
ところが、昨日クロウミガメの産卵が見られなかったこともあって、帰り道にリベンジしてやろうと密かに決心して0時半出発(3時間睡眠)に前倒ししたのでした。
実際には4時間たっぷり寝てしまって慌てて出発したわけですが、こうしてプール付きのホテルで優雅に朝を過ごすというスイートな計画は自ら消し去ってしまい、いつもの旅モードになりました。
例のクロウミガメが産卵に上がるビーチへの行き方ですが、ダラスでマスタングを運転している時にチャイパッドが不調で仕方なしに使ったスマホのGPSアプリで間違えてログ取り機能ボタンを押したのが空港に戻るのにとても役に立ったことをウミガメ産卵ツアーの帰り道失意の中でふと思い出し、「ヘンゼルとグレーテル」よろしくスマホでGPSログを取りながら帰ってきたのでした。
というわけで、表示されているGPSログを逆にたどればあのビーチにたどり着けるはずです。
さ〜て、クロウミガメよ、待ってろよ〜!
(って、産卵する彼女たちにとっては迷惑な話でしょうが)
バシン!
ん? 今、窓ガラスに当たったの、モルフォ蝶(正確にはフクロウチョウ)じゃないよね、違うよね、違いますように・・・・
最初のいくつかの交差点は見覚えがあって、スマホのGPSログに頼らずとも走っていけたのですが、未舗装路への入り方はさすがにGPSログが無いと迷わずに行くのは無理でした。
ん? 道路の上に転がってる小さな黒い物体、あれ、なんだろう・・・
あ、タランチュラだ。
手のひらと比較してこのサイズ。
ちょいと小さいのでオスですかね。
こんなところで、思いがけない生物と出会えました。ラッキー!
その後、GPSログに従って走っていたのですが、ログを取り始めたのが帰路について少し走ってからだったので、後半の行程がわからず交差点でどちらに行くか悩んでしまいました。
なんせ、ライトに照らされた林道を後部座席からぼーっと見ていただけだったので、周囲の景色がまったく見覚え無いんですよね。
別荘とかコテージが出現すると、「こんなのあったっけ?」って不安な気持ちになります。
その後ビーチに出たのですが、見覚えが無いのでたぶんここでは無いです。
もしかして、さっきの交差点、進む方向間違えたかな〜。
とりあえず、もう少し先に進んで見ることにします。
ん〜、こんなホテル、あったっけ?
あ!
ここだ!
というわけで、最後は山勘でなんとかビーチに戻ってくることが出来ました。
早速海岸線を歩いてみることにします。
もし、カメが上がってきていればキャタピラーの走った跡のような痕跡が砂浜に残っているはずなので、懐中電灯は使わずに(万が一産卵中だった時に照らしてしまうことになるので)、痕跡を探しながら波打ち際に近いところを歩いて行きます。
5分ほど歩いた所で砂浜が終わって岩場に到着してしまいました。
さすがに、夜中の岩場を越えていくわけに行かないので、ここで引き返すことにします。
夜中に一人で来れば案外簡単に出会えるかと思っていたんですが甘かったです。
居ないものは仕方有りません・・・
帰りは探すのを諦めて林に近い方を歩いて行きます。
2分ほど歩いた所で、林の中から波の音に紛れて物音が聞こえた気がして立ち止まりました。
足元を見たところ、カメが50cmほどある砂の段差を越えて林の中に歩いていった痕跡は無いので、猫かハナグマか何かのような気がします。
まぁ、一応念のためと思って林の中に入っていきます。
「ザッ! ザッ!」、と、数秒に一回のペースで何かが砂を蹴り飛ばして笹にぶつけているような音が聞こえてきます。
この音、もしかして、、、、
あ!
クロウミガメが産卵用の穴を掘ってる!!
あまり近づかないようにして、後方に回りこみ、ウミガメが穴を掘るのを観察します。
やった〜!
来てみるもんです!