その12
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12月31日(日) (4日目)
目が覚めたので腕時計のバックライトを点けると、時間は朝5時過ぎ。
まだ真っ暗です。
ゲートは6時に開くらしいので、5時50分ぐらいまで寝て、スマホの目覚ましで起きます。
そのままエンジンをかけて出発。
昨日走った道を逆走してゲートに向かいます。
今度は中型のレイヨウが駆け抜けて行きました。
(突然だったので写真にはまったく写せず)
ゲートに到着すると、レンジャーさんが残してくれたメッセージでお釣りの件はすでに状況が伝わっており、すぐに返してもらえました。
SIMカードが落ちてないか辺りを探したのですが、見当たりませんでした。
そこでスマホを使ってネット経由でSIMカードの無効化手続きをしようとしたのですが、これがまたMyDocomoのログインIDとパスワードが無いとダメだったり(そんなの覚えてません)、
Docomo回線契約中の携帯じゃないと先に進めなかったりと不便なことこの上なし。
さらにIDEOSという超低性能スマホにケニアAirtelの遅い回線のコンビネーションなので、日本のウェブサイト表示の遅いこと遅いこと・・・
仕方なしに電話で直接申し込もうと思ったのですが、カスタマーサポートは0120から始まる番号しか見つけられず、ほとほと困ってしまいました。
そこで、サポート宛のメールフォームを利用して「SIMカードの利用を止めてください」とメッセージを投げてみることにしました。
これでまずは返信待ちです。
※今、PCのブラウザーで見ると「海外で紛失した場合」のページをすぐに見つけられるんですが、その時はスマホ専用のページか何かでさっぱり見つけられません
でした。(というか、ブログを書いてる今になって判明したんですが、海外に行くと最初にdocomoから飛んでくる注意喚起のSMSに連絡先の電話番号が
書かれてました・・・。まぁ、焦っている時はそんなもんです。はい。)
気がついたら太陽が昇ったらしくすっかり明るくなってました。(6:50)
再び事務所に顔を出し、保護区内の地図がもらえないか確認すると有料のものを売ってるということで、それをひとつ購入しました。(450KSh)
コスタ・リカでの経験からガイドツアーを頼もうと思い申し込もうとすると、それはガイドさんに直接申し込むらしく9時半スタートなので、その時間に来てくださいとのことでした。
なので、一旦キャンプサイトに戻ります。
朝日が昇ったらしく、樹冠から日光が差し込んできました。
こんな森林だったんですね〜。
テントサイトに戻ると、食事用の釜戸とテーブルが置かれた東屋で黒人のスタッフさんが朝食の準備をしていました。
釜戸の横には私がスーパーで買ったのと同じ5リットルのペットボトルがたくさん並んでいて、ひとつひとつにマジックで漢字の名前が書かれていて、それが日本
人ツアー客のものだとすぐにわかります。
朝食を準備中のスタッフさんに「おはようございます」と、挨拶すると、
「おはよう。朝食は7時半からね」
といわれたので一瞬きょとんとしてしまったのですが、すぐに理由がわかったので、
「わたしは加藤さんのグループメンバーじゃないですよ」
と、答えたのですが、英語が下手くそで通じなかったのか、
「そうなんだ。じゃぁ、7時半にここに来てね」
と、返されました。
まぁ、いいや(笑)
こちらはこちらで朝食を作って食べることにします。
今日から10日間ぐらい、毎日朝はスパゲティ+ビタミン剤
+プロテイン、夜はフリーズドライカレー+プロ
テインという生活が始まります。
今回、スパゲティは2分で煮えるということで生スパゲティを持って来ました。
スパゲティの茹で汁でココアを作るのは登山してるときに身についた癖です。(お湯を捨てるのが面倒なので)
なぜかはよくわからないのですが、朝のスパゲティって美味しく作れないんですよね。。。
写真の左に写ってるのが先ほど購入した地図。
ちゃんと保護区内のトレイルが細かく表記されていてなかなか使えそうな地図です。
テントサイトの周りには現地で「バブーン」と呼ばれているアヌビスヒヒがたくさん居て、ちょっかいを出してこないか心配したのですが、今のところ大丈夫なみたいです。
(olive baboon (Papio anubis))
その後、明らかに日本人とわかる顔立ちの女性が2名東屋にやってきたので声をかけると、加藤さんグループの参加者さん達でした。
他のメンバーは朝日見物ツアーに出かけているらしく、二人は参加せずにテントの中に残っていたとのこと。
どうやってここまで来たのか尋ねられたので、レンタカーで一人で走ってきたことを話すと、
「アフリカってそんな旅ができるんですか!」
と、驚かれました。
まぁ、自転車で走りまくってる人やバックパッカーで旅してる人は山ほど居るので一人自力旅自体は珍しいとは思わないのですが、レンタカーで旅してる人は珍しいと思いま
す。
あと、昨日走った感じからすると運転マナーは決して良いとは言えず道路状況が悪いところもあって外国人がレンタカーで走るにはかなり難易度が高い感じだったので、ツアーサファリカーに乗せられてここまで走ってきてそのように感じるのは無理もないかと思います。
そう言えばこのお二人、私が高校生の時まで住んでいた街のすぐそばに住んでおり、こんなところでえらいローカルな地名満載の話題で盛り上がってしまいました。
そうこうしているうちに加藤さん達10名ぐらいが戻ってきて、賑やかな朝食タイムになりました。
加藤さんグループのスタッフがテーブルクロスを敷いた上に料理を並べ、皆で楽しげに食事をされているのをちょっとだけ羨ましく思いつつ、今晩もここに宿泊するのでテントを張ったりその辺を軽く散策して時
間を潰しました。
加藤さんグループは今からマサイ・マラに向かうということでテントの撤収を開始しました。
なんでもスタッフにお任せというわけではなく、メンバー全員で撤収作業を行うという手作り感満点のアットホームなツ
アーのようでした。
ツアーのガイドさん(つまり加藤さん、写真中央の方)に参加者でもない私から声をかけるのもどうかと思って遠巻きに見ていたのですが、「テントを張るならこちらのほうがよいですよ。今場所を空けますから。」と加藤さんの方から声をかけてくれたのをきっかけにいろいろ話を聞かせてもらいました。
このツアーは道祖神というマニアックなラインナップを揃えるツアー会社が催行している
「ナチュラリスト加藤直邦さんと行くケニア
10日間」という旅なのだとか。
そう言えばアフリカについての情報を調べている時に、この会社のホームページに辿り着いた記憶があります。ツアーに参加するつもりがなかったので中身はほとんど見てないのですが、「ナチュラリスト」という単語や個人名を前面に出している所で記憶に残ってました。そのツアー日程に「カカメガフォレスト」が入っていて、この方はオススメしてるんだと思ったのもかすかに記憶があります。(カカメガフォレストに来る決め手はロンプラの蝶の写真とマサイマラから近くて立ち寄りに便利という2点でしたが)
まさか、実際にツアーと鉢合わせてお会いすることになるとは思いませんでした。
加藤さんは青年海外協力隊員としてケニアのカカメガに2年ほど滞在していたり(ゆえにここでは有名人)、マサイマラでガイドとして5年間働いていたということもあって、えらい有益な情報を
たくさんいただけました。
しかし、マサイマラの今日の道路状況は行ってみないとわからないとのこと。まぁ、彼らのサファリカーは四駆ですしシュノーケル装備だし、屈強な男性がたくさん乗ってるからなんとかなりますよね。
その後の彼らの旅の様子はブログやホームページにもアップされてるんですが、さすがプロガイド、良いシーンをたくさん参加者の方に見せていること
がよくわかります。(調べてみたら加藤さんはテレビ東京の「TVチャンピオン--野生動物発見王選手権(2006年3月30日放送)」で優勝した経歴もあるんだそうな)
ブログによるとマサイマラは案の定「湖のようだった」とか。
到着した翌日に近づかなくて正解でした。
逆に加藤さんは日本では知名度の低いこの保護区に一人でふらっとやって来た私をナイロビ在住だと思ったみたい
で、はじめてのケニア旅行でレンタカーで旅していると話したら少し驚かれていました。(それを聞いていた他の参加者の方はすごく驚かれていました)
その後、テントの撤収を終えた彼らがマサイ・マラに向けて出発したので、私もそれにくっついて出発して一度ゲートまで戻ります。
ゲート付近で携帯の受信箱を確認すると先ほどdocomoのサポートに送ったメッセージへの返信がまだ来てません。
しかたがないのでdocomoの公式ページを今一度丁寧に探してなんとか03から始まる連絡先を見つけました。
この旅で唯一「地球の歩き方」が活躍したのはこの瞬間だけかもしれないという、ケニアから海外への電話の書け方のページを読んでからdocomoに電話をかけ、よくある要件を番
号で入れる手順を踏んでオペレーターにつないでもらいます。
数十秒待たされた後にようやく出てくれたオペレーターさんが、
「お客様、有料の番号にかけておられますよね。海外からですと料金が高くなりますがよろしいですか?」
と、尋ねてきたので
「わかってます。プリペイド分しか話せないので無駄な会話をせずに手早く進めてください」
と、早口で答えました。
1000KShのプリペイドチャージでデータ通信がそれなりにできることはわかってますが、国際通話が何分できるかさっぱりわから
ないのでこちらもかなり焦ってます。
「では、ご本人確認をさせてください。お名前をフルネ・・・」
「ぎんがめです」
「ご住し・・・」
「東京都◯◯〜」
「ご生ね・・・」
「昭和44年・・・」
と、相手の質門が終わらないうちにどんどん重ねて答えていきます。
そんなこんなで、ようやくSIMカードの失効手続きが完了し、新たにSIMカードを発行する場合の料金の支払方法と見つかった場合の有効化方法について丁寧に説明しようとしたので、「大丈夫です。わ
かってます!」と答えて電話を切りました。
さて、これでAirtelのSIMカードはどのぐらい使用してしまったんでしょうか。
とりあえず無くしたdocomoのSIMカードについては何も心配しなくてよくなったので一安心ではあります。
その後ガイドさん専用の事務所に顔を出し、事務員らしき女性にガイドを頼みたいことを伝えると、実は彼女は事務員ではなくガイドさんなのでした。
どんなコースがあるのか尋ねると、紙を見せられいくつかのコースの説明をしてくれました。
1時間もかからないようなショートコースから半日〜丸1日かかるようなコースまでいろいろあるみたいです。
とりあえず蝶を見に来たことを伝えるとショートコースをひとつ紹介されました。
しかし、それだけだとすぐに終わってしまいそうなので、ショートコース3つ(写真のabc)を組み合わせて半日ぐらいのコースをオーダーしてみました。
それぞれ400KShなので合計で1200KShです。
ガイドツアーはキャンプサイトからスタートするということらしいので、彼女にRAV4に乗ってもらいキャンプサイトまで移動します。
昨晩レンジャーさんに乗ってもらった時と同じ体臭が車内に漂い、これがネグロイド特有の匂いなんだなぁと思います。
(モンゴロイド(我々)、コーカソイ
ド(白人)、オーストラロイド(アボリジニの人とか)とは違う、独特の体臭です)
キャンプサイトに車を停め、荷物を簡易ザックに入れて背負ってから出発です。(9:45)
ガイドのライチュウさんです。
ガイド歴は6年。この辺に多いと聞いている(オバマ大統領の祖先もそうであった)ルオ族の人かと思ったらルイヤ族の方だそうな。最初、ルオをルイヤと発言
するのかと思っていたのですが、後で調べたら全然別の種族でした。
彼女も長袖を着ていますが、私も蚊除けのためにスコーロンのジャンバーを着ており、似たような色なのでまるでペアルックです。
着ている服から履いてる靴までどう見ても事務員の女性が熱帯雨林に入ろうとしてるようにしか見えないのですが、れっきとしたガイドさんです。
トレイルに入りましたがペースを落とさずにズンズンと進んでいきます。
というか、想像していたよりも歩くペースは速いです。
そして、大きな木を前にしてこの保護区の成り立ちや意味合い、生態系から周囲の木々の特徴を一気に説明してくれ、こんな格好してますがちゃんとしたガイドさんなんだなぁと感心すると同時
に(失礼!)、去年のコスタ・リカ旅行を思い出しながら話を聞いてました。
カカメガフォレストについてものすごく端折って説明すると、数百万年前(地球の歴史を考えればごく最近)にグレートリフトバレー(大地溝帯)によってアフリカ大陸が東西に別れはじめたあとの気象変化でサバンナ地帯が出現し、それが人
類の発生と進化と深く関係してるわけですが、グレートリフトバレーの西側一帯はコンゴやギニアまでサバンナ化はせず熱帯雨林のまま残ってました。カカメガフォレストはその
東端に位置し、ケニアの熱帯雨林が焼き畑や間伐によりほとんど消え去る中、唯一ここだけが残っていたということで保護区に指定されて今に至ります。(私が入ったのは北と南にそれぞれ1つずつある保護区の北の方。南の保護区はさらにマイナーらしくどこに入口があるのかすらわかりませんでした)
私は単純に鳥と蝶がたくさんいるよとロンプラでオススメされていたのと、マサイマラから次の目的地(ケニア山)に向かう途中のキャンプサイト付きの中間宿泊地点としてここを立ち寄り地の一つにしていたぐらいでほとんど何も知らずに来てしまったのですが、今回思いがけず昨日の夜中に到着できてしまったので、今日はゆっくり探検できそうで楽しみです。
立派な木々が育っていて見上げる高さです。
屋久島やコスタ・リカと変わらない規模の森林です。
ライチュウさんは
こんな倒木もなんのそのと越えていきます。
とはいえ、普通のズックを履いているからか、基本は泥濘を避けるように足を運んでくれるので助かります。
ちなみに私は泥濘を警戒してスパッツまで履いてたのですが、今のところそこまでは必要無さそうです。
苔むした見事な熱帯雨林です。
ライチュウさんはこのコースでは主に植物を中心に紹介しながら歩いてくれました。
樹齢300年の大木や黄色(こちらの言葉で黄色は「テア」と言うそうな)の花を咲かす絞め殺しの木やら、それらが胃腸薬に利用されているなどなど。
ちなみに、ライチュウさんいわく危険な動物としてはここは蛇とかハチが多いんだそうです。
後でハチを見せてくれたんですが、なかなか立派なサイズのハチでした。確かにこれに刺されたらヤバそうです。
こちらが絞め殺しの木。
屋久島やコスタ・リカでもよく見かけました。
現場では英名を教えてくれていたのですが、ボイスメモと写真対応ができなかったので、写真だけ掲載。
こちらもそうです。
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