その27
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T字をナニュキとは反対の左に曲がり、B6号線をケニア山の裾野に沿って時計回りに周回していきます。
お〜、こちらも快走路!
標高が上がってきて冷涼なエリアに入ったこともあり、周囲は様々な作物の畑が広がっています。
こりゃまた、気分の良いドライブコースです。
見慣れましたが、ついつい写真を撮ってしまうロバ車。
エンジニアリングワークスとか書かれてるので、これは自動車修理工場ですかね?
デビッドさんの娘さんが専門学校に通っているというメルの街に入りました。(10:00)
メルが本日最後の大きな街なので、食料(昼食と行動食)を調達するためにスーパーに立ち寄りました。
しかし、ここでは持ち帰って食べられるようなものは売ってなかったので、店員さんにどこかで手に入らないか尋ねてみたところ、向かいに飯屋さんがあるよ、とのこと。
言われたとおり向かいの辺りを探してみたんですが、それっぽい店がありません。
これかなと思って入った肉屋さんは、常温で生肉を捌きながら売っていて、なんとも言えない臭いが充満していました。
ここはホテルと書かれていますが、中にはテーブルが並んでいてお客さんがご飯を食べてます。
ホテル併設のレストランでしょうか?
試しに中に入ってみると普通のレストランだったので、レジの若いお兄さんにテイクアウトが可能か確認すると、厨房(写真で男性が顔を突っ込んでる小窓)の中に居たおばさんに確認してくれ、何やら少し揉めてましたが最終的にOKとのこと。
早速メニューを見せてもらいます。
注文したのはチャパティ、卵トースト、あとは店員さんがおすすめだという牛丼というか「焼肉ご飯」。
しめて370kshなり。
なんかホテルと言う割には見た感じ宿泊部屋があるように見えないのですが、別棟にあるんでしょうか?
10分ほどして料理が出来上がって来ました。
ご丁寧にすべて個別にビニール袋に入れられています。
たぶんテイクアウトは普段はやってないんだと思いました。
ビニールが破れて焼肉の汁なんかがこぼれないか不安はありますが、丁寧な対応がありがたいです。
外に出ると、先程から入口付近でウロウロしていた子どもたちが「チャイ! チャイ!」と少し小馬鹿にした様な口調で叫びながら周りに集ってきます。(チャイは中国人への蔑称)
最初は人数も多いしスリに変身されたら敵わんと無視して歩いていたんですが、道路を渡って車のところに戻ってきたところまで執拗についてきたので、一旦荷持を車の中に入れてから彼らの方を振り返り、
「中国人じゃないよ、日本人だよ」
と、説明するときょとんとした表情になります。
日本人だと認識できたみたいだったので、車の中から(すっかり溶けたであろう)キットカットやチョコレートを取り出し、それぞれの子に1つずつプレゼントすると、彼らは
その場ですぐに食べた後に態度が急変し、礼儀正しくお礼を言うのでした。
日本人の評判が少しは良くなっていることを期待しております。
さて、ガイドさんも待ってるみたいですし、行きますか!
あ、ナクマットがあった!
しまった、こっちにすればもっと簡単に食料調達できたかも。
メルは専門学校やらナクマットがあるだけあって、なかなかの規模の街ですね。
(人口24万人でケニアで6番目に大きな街だそうです)
1900年代初頭には人喰いのヒョウが出たこともあったようですが、今はその面影はありません。
わお!ロードスターじゃないですか!
ついに発見しました。
というか、まさかケニアで会えるとは思ってませんでした。
うーむ、やけに暑いと思ったら標高1500mぐらいしか無いんですね、ここ。
大きな街だけあって、なんともまぁカオスな雰囲気が漂ってます。
ようやくメルの街を抜けました。
引き続きケニア山から伸びる尾根をいくつも跨ぎながら南下していきます。
メル以外にも小さな村をいくつか通過して行きます。
賑わってるのは市場だと思います。
ケニア山はガスの中。
どうやら日本の北アルプスとかと一緒で山頂が晴れ渡るのは朝だけのような気がします。
けっこうアップダウンが多いです。
(写真は下り坂、反対車線に登坂車線があります)
確かにここをロードスターで走ったら気持ち良いでしょうね〜。
先ほどのオーナー、羨ましいなぁ。
待ち合わせ場所のチョゴリア手前の登り坂、なぜか途中にハンプがあって、遅いバスを抜こうと加速してたら出鼻をくじかれました。
しかも、たくさんありました。
なんでハンプなんか設置したんでしょう?
チョゴリア手前ではガンガン登っていきます。
登坂車線でミーティングするライダー達。
さて、チョゴリアの街に入りました。(中心街はB6号線から離れた場所にあるのですが)
ガイドさんとの待ち合わせ場所に指定されたチョゴリアトランジットモーテルは道路沿いにあるって聞いていたので、注意深く建物を探しながら走っていきます。
ん? このままじゃ街を出てしまいそうです。
ちょどたくさん人がたむろしている場所があったので、そこで車を停めてトランジットモーテルの場所を尋ねてみました。
すると、このまま数キロ南に行ったところに看板があるよとのこと。
なるほど、まだこの先なんですね。
というわけで、言われたとおり車を走らせてたんですが、いよいよ周囲に建物がなくなって心細くなりかけた所で、、、
お! ありました、看板です。
早速看板の指示に従って右折したのですが、モーテルは見えて来ません。
しかも、これがけっこうな悪路。
前のトラックは空荷のFRなので、急な登り坂で2回ほどスタックしかかってました。
この悪路を走り続けながら「実は見逃したんじゃないか」と心配になり、家の前でのんびりしていたおじいさんに「トランジットモーテルはこの先にありますか?」
と尋ねてみたところ、この道であってるとのこと。
さらに、案内看板の無いT字路に出てしまったので、そこを歩いていたお兄さんに道を尋ねたら「左に曲がってすぐのところにあるよ」と親切に教えてくれまし
た。
というわけで、いろいろな人に尋ねまくってようやく到着。(11:25)
早速中に入り、中に居たモーテルのスタッフに「ガイドのエリックと待ち合わせしてるんですが」と伝えると、「エリック?知らないなぁ」という予想外の返事が
返ってきました。
入る建物を間違えたかと思って、ここがチョゴリアトランジットモーテルか確認してみると、それはあってるとのこと。
「ガイドなら3階に居るかもしれない」と言われたのでそちらも探してみたのですが、エリックなるガイドは見当たりません。
「今日ここにガイドは僕しか居ないんだけど」と話しかけてきたのは30代なかばぐらいのトニーというガイドさん。
トニーにこれまでのメールでのやり取りを見せて、今日ここで待ち合わせしてることを伝えます。
トニーが「だったらエリックに電話かけてみたら?」とアドバイスしてくれ、それはもっともなことだと思ったのですが、実はケニアに来てから一度も電話をこちらからかけられたこと
が無いのです。(国際ナンバーでリダイアルしていたからですが)
それを伝えると、トニーがメールに書かれた番号を見ながら自分の電話で連絡をとってくれました。
二人の会話が始まりちゃんと連絡がついたみたいで、とりあえず一安心。
で、どこで待ってるのかと思いきや、実はまだこちらに向かってる途中で「今エンブーの街まで来ていてバイクを探している」とのこと。トニーいわくここ
に来るまでにあと2時間はかかるそうな。
どうやら、朝電話で話した時に「もう着いてる」と聞こえたんですが、「もう出発した」の間違いだったみたいです。
たしかにエリックを紹介してくれた代理店にはこちらから14時に到着するよと伝えてあったので、あと2時間で着くんならまったく問題ありません。
しかし、そんなことならメルの街でゆっくり昼食を食べてから来ればよかったと思いつつ、とりあえずのんびりと登山の準備でもすることにしました。
荷物をすべて展開してからパッキングしなおし、トニーに今日まで一番気になっていたことを質問してみます。
「この車(RAV4)で登山口まで行けると思いますか?」
この質問にニヤッと笑ったトニーは、
「うちの送迎用の車を見てみる?」
と、言いつつ私をモーテル脇の駐車場に案内してくれました。
そして、そこに停まっていたのは、、、
傷だらけの四駆。(ランドローバーでしょうか?)
これに脱出用のジャッキを積んで登山口まで行くんだそうな。
「車高が高いトヨタのランクルでぎりぎり、君のコンパクトSUVは無理だと思うよ。それにたぶん車が傷だらけになるよ。それでもいいの?」
とのこと。
ここにマサイ・マラの悪路の写真が出てますが、こんな感じってことでしょう。
さて、ここで今更こんなことを確認していた事情を簡単に書いておきます。
ケニア山には大小7つの登頂ルートが有り、その中でもメジャーなのが「ナロモル(左)」「シリモン(上)」「チョゴリア(右)」の3つのルートです。
山頂まで2泊3日で往復できるナロモルルートが一番人気なのですが、景色が今ひとつらしいということと、たくさんの人が歩いているということも私にとってはマイナ
ス条件でしかなく、高山病のリスクを考えると2泊3日が必ずしも良いわけではないので、このルートは早々にパスしました。
その次に優しいと言われているのがシリモンルートなのですが、これが3泊4日必要だとのこと。
そして、途中見られる景色が一番良いと言われているのがチョゴリアルートなのですが、日程的に4泊5日必要で、しかも登山口までの長い悪路を抜ける足(送迎用四駆、もしくは1日かけて歩く)が必要ということで、ここが一番不人気なルートです。
そういうわけで、悪路とは知ってまし
たが雨さえ降らなければRAV4でなんとかなるんじゃないかと勝手に判断して人の少なさと一番良いと言われている景色を求めて、登山口まで行ける確証も無いままここまでやって来てしまったのでした。
ちなみに、日程とお金に余裕のある観光客に人気なのはシリモンから登ってチョゴリアに下る良いとこどりのルートで、辛くて長いチョゴリアを下りで使
いつつチョゴリア最後の悪路区間(22km、標高差1400m)は四駆をチャーターして駆け抜けるという作戦だそうです。
さて、コンパクトSUVじゃ無理と言われてしまった以上、この四駆をチャーターしなければなりません。
トニーに値段を聞いてみると、なんと驚き「10000KSh」とのこと。
思わず「高い!、安くならないの?」と答えたところ、「無理!それに高くないよ。ガソリン代に4000KSh(リッター1km?)、運転手の日当で1500KSh、さらに運転手の国
立公園入園料も必要で、それに我々の利益を載せればそんなもんだよ」
とのこと・・・・(内心で暗算したら、それでも4000KSh近く乗せてて儲け過ぎって思ったんですが、それは言いませんでした)
うーむ、日本で登山するときも仕方なしにタクシーを利用することはありますが、今までで最高値が剱岳の早月登山口まで7000円ぐらい、それを余裕で突破して
ます。物価を考えれば高すぎると思うのですが、仕方がないのですかね?
乗合に出来れば割り勘出来るんですが、トニーに確認すると今日は他に登る人の予約は入っておらず、確実を期すなら明日の朝まで待たなければならないとか。
それなら、明日の朝ここを一緒にその人達と出発して、2日分の行程を一気に歩いてミントスハット(4300m)まで行くことは可能か尋ねてみると、「君
はこれまでどのぐらいの高さの山に登ったことがあるの?」と逆に問い返され、「日本で一番高い富士山です。標高は3700mぐらいです」と答えると、「だったら無理はしないほうがいいと思う
よ。一気に登ると高山病になるから」とのこと。
まぁ、そうですよね。
それなら歩いて行くのはどうかと思い、登山口までどのぐらい時間がかかるか尋ねてみたところ、「ここから22kmあるから6〜7時間ぐらいかな。しかも登りだよ」、とのこと。
うーむ、ガイドのエリックが到着するのが14時ぐらいなので、余裕で日没過ぎてしまいます。
そして、ここは確か象とかバファローが生息しているエリアのはず・・・
でも、10000KShかぁ・・・・
往復で使ったら20000KShです。
気軽に頼める金額ではなく、これについてはすぐに結論は出さず、エリックが到着してから相談することにしました。
さて、今のうちに昼飯でも食べておきますか。
昼飯を食べている最中もトニーが横に座ってくれていたので、あれこれ話を聞かせてもらいます。
ちなみにトニーはメルー族の人なのだとか。
写真は財布の中から名刺を出そうとしている所で、「ついこないだも日本人を連れて釣りも兼ねて登って来たんだよ」とJICA(国際協力機構)の方
の名刺をチラッと見せてくれました。
チョゴリアルート(特に登り)に関しては日本語の情報がほとんど手にはいらなかったので、日本人はめったに来てないのかと思ってましたがそうでも無いみたいです。
(まぁ居たとしても自分の車で登る人はそうそう居ないと思いますが)
あと、トニーの話にも出て来ましたが、このエリアでの釣りはけっこう人気があるみたいです。(大きなトラウトが釣れるんだとか)
「なんで事前にエージェントでガイドの予約をしてきたの?高かったんじゃないの?」
と、尋ねられたんですが、ロンプラには「ハイシーズンのチョゴリアルートはガイドが少ないので事前の予約がおすすめ」って書いてあったんだと答えると、トニー曰く
ガイドの人数はそこまで少なくはなく、予約無しでここに来てもまず大丈夫なんだそうです。(もちろん保証はできませんよ)
あと、トニーが言うとおり値段は倍とは言いませんが、それに近いぐらいの金額設定になってました。
まぁ、これは事前にはわからないことですし安心代みたいなもんなのでしょうがないですね。
他にトニーから聞いた話としては、天気は晴れるのは朝(午前中)だけだということ。やはり北アルプスと一緒ですね。
午後は今日みたいに曇ることが多く、曇ったとしても乾季であれば雨がふることは少ないそうです。
ちなみに昨日までは天気が今一つ、逆に明日からはさらに良くなる傾向でそれがしばらく続くので君はラッキーだと言われました。
あと、エージェント会社のスタッフからテントは必要ないと聞いていたのですが、あったほうが良いということで、急遽荷物に詰め込みました。
4泊5日分の食料に水、防寒着、テントを突っ込んだらザックがパンパンになってしまい、重さも(たぶん)
15kg近くになりました。
ウルトラライトウェイト装備が半分ぐらい混ざってこのぐらいですから、普通の装備だったら20kg超えてたと思います。
予定外にザックがパンパンなので出発の時に慌てて縫いつけた糸が解けるんじゃないかと内心ヒヤヒヤです。
ちなみに、ケニア山は世界遺産に登録されている観光地ということもあって、日本の富士山やタンザニアのキリマンジャロのように登山慣れしてない観光客が登ることが多く、ガイドに加えてポーターやコックを雇うのが一般的な登山スタイルなのですが、私は
「エベレストならともかく、このぐらいの山は自力で登るべし」と決めて、普段から20kg近い荷物を背負って生活し、箱根や房総の山にも登って今日に備え、ガイドのみを雇って登る
ことにしておりました。
なお、ケニア山にはガイドなしでも入山はできますが単独登山は禁止のため、いずれにしろもう一人誰かが居ないと登れない状況ではありました。
なので、正月のパンクのときに手伝ってくれたポーターくんとペアを組んでも良かったわけです。
(ただし、その場合は夜中出発の山頂ご来光アタックは危険になると思います)
どこぞのグループが下山途中にここに立ち寄ったようです。
これから登るのなら乗せてもらう交渉をするところですが。。。
しばらくした後、トニーから「君が運転して登山口の途中まで行ってそこから先は歩いて登り、車は僕が運転してここまで戻す。下山時
も僕が途中まで君の車を運転して迎えに行ってあげるから、そこ
から君が運転してここまで戻る。これなら歩く距離は半分の11kmぐらいで済むよ」という提案を受けました。
もう、一も二もなくその案に飛びつきました。
トニー、ありがとうございます! (ちなみに料金は2往復で3000KShなり。一瞬ちょっと高い気もしましたが、彼の通常のガイド代や私のために5日
間ガイドが出来ないことを考えると、妥当かなと思いました)
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