その33
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1月7日(月) (11日目)
のんびりと6時に起床。
テント内の気温は4度もあります。
秋の北アルプスツェルト泊よりも断然温かくて快適です。
というか、やはりテントはツェルトに比べると良く出来てて快適ですね〜。重さが4倍以上あるんだから当たり前と云えば当たり前ですが、かなり見直しま
した。
(と、言いつつ日本で登るときは軽さ優先で今後もツェルトを持って行くと思いますが)
空が少しずつ明るくなってきたのでケニア山を見上げてみたら、少しずつ光が当たり始めていました。(6:15)
外気温はマイナス1度。
立派な霜柱がたくさん立ってます。
そんな中、どこかのパーティーのポーターたちが出発して行きました。
山頂アタック組はとっくの昔に出発したでしょうから、ショートカットルートで次の小屋を目指すのでしょう。(方向からしてナロモルルート方面でしょうか)
この時間に小屋の外で山を見上げているのは私だけのようです。
(北アルプスとかの山小屋だとものすごい数のカメラが並ぶんですが)
徐々に明るくなってきました。
今朝も快晴なので、結果論ですが本日アタックでも良かったですね。
なんて事を思っていたら急にガスが湧き始めて、それが赤く染まってすごいことになって来ました。
うわぁ〜、こりゃすごい!!
ジェロームさん達はまだテントの中で寝てるんだと思いますが、昨日の様子からして起こすのは良し悪しだと思って遠慮しておきました。
いやぁ〜、神秘的ですね〜。
今日、山頂付近の空の開けているところに立ってた人はラッキーだと思います。(パノラマ合成写真)
いやぁ、いいもの見せてもらいました。
続いて太陽光線を浴びて金色に輝くネリオンピークとバチアンピーク。
左のレナナピークはまだ当たってないので、この数分後ぐらいに日の出を拝むんでしょうね。
朝焼けショーを楽しんだ後はのんびりと朝食の準備です。
チームごとに固まって料理をしているコックさんの様子からすると、私以外に3パーティぐらいがまだここに残っているみたいです。
宿泊部屋には置いていったザックがたくさん転がっていたので、シリモンからチョゴリアやナロモルに抜ける人よりも、シリモン往復の人が多いのかもしれませ
ん。
上の写真で窓際に居るMoorland
Chat、元々ここの調理場は屋根のところに大きな隙間があって鳥が自由に出入りしている状態なのですが、どうやらこの鳥は窓から出ることに拘って
いるらしく、あちらこちらの窓から出ようとして失敗していて、見かねたコックさんが優しく窓を開けて出してあげていました。
なんかほのぼのするシーンでした。
ちなみに、この小屋の窓は1枚20cm幅のブラインドみたいな構造になってます。なので、きちっと締め切ることはできないルーズな窓です。
ケニア山を眺めながらスパゲティ。
相変わらず景色は最高!!
しかし、夜のカレーはともかく朝のスパゲティに関しては精神的に限界が近づいて来ました。
トイレに呼ばれて用を足していると、何の前触れもなくドアが開けられてしまい(鍵が壊れているのと、ノック無しでいきなり開けられました)、必
死に抵抗を試みたのですが全然間に合わずに全開にされました。
開けたのは昨日少し話した中国人女性の方、なんとまぁ、こんな再会の仕方もあるもんです。
まぁ、この歳になると開けられたからどうってことも無いのですが、むしろ必死に謝る彼女にちょっと申し訳ないぐらいでした。
そういえば、なんでこんな時間に小屋に居るんだろうと不思議に思ったのですが、後でエリックに聞いたところによると高度馴化で今日一日小屋付近の散策で時間を取って
るんじゃないかとのこと。
なるほど。
昨日、我々が到着した時に居た1名の登山者も高度馴化中だったのかもしれません。
というわけで、本日は8時に出発。
目的地までの距離は意外に長くて16km。
エリックいわく「僕らなら4時間で行けるでしょ」とのこと。
逆算すると平均時速4km、歩きやすい緩やかな下りが続くんだと予想しました。
シリモンルートはマッキンダーズバレーのど真ん中を歩いて行く道なのですが、ご覧のとおり素晴らしい景観です。
振り返ったところです。
登ってくる場合はこんな景色になるのでしょうが、実際には時間的には午後にこの辺を通過すると思うので、ガスっててケニア山は見られないんじゃないでしょうか?
個人的にはそういうこともあってチョゴリア→シリモン縦走も有りだと思いますよ。
そういえばエリックは写真右に写ってる我々日本人には槍ヶ岳に見える三角形のPoint Peterには登ったことがあるって言ってました。
あそこなら我々でもなんとか行けるそうです。
ちょっとした湿地帯になっている区間もあるので、泥や水たまりに足を突っ込まないように進んでいきます。
エリック曰く、レイクマイクロソンで釣りをする人を乗せたヘリコプターだそうな。
乗ってる人はお金持ちなんでしょうね〜。
お金持ちといえば、ケニア山にはメルの街から登るルートがあって、その途中で高級ホテルに泊まって四駆で山頂付近まで上がるという「金持ち専用コース」もあるんだそうです。
セネシオやロベリア並木に入りました。
これらの植物はアフリカ高峰の標高3900〜4500mに生えてるんだそうです。
もう、異世界感満点です。
ちょっとした崖みたいになってる場所に来ました。この右下のところが少し抉れて洞窟みたいになっていて、シプトンズケイブ(Shipton's Cave)と呼ばれているんだそうです。
急な坂を下っていきます。
出発した時の気温がマイナス2度でしたが、小さな小川だとそのまんま凍ってたりしますので、足元をよく見て歩きます。
ここからしばらく振り返ってもケニア山の山頂が見えなくなりました。
下りきったところから再びロベリア&セネシオ並木。
川だか登山道だかわからないような道です。
場所によってはバリバリに凍ってます。
足元にたくさん咲いてる白っぽい花はeverlastingsあたりですかね。 (Helichrysum
spp.),
このエリアだけでも100種類ぐらいの植物が生えているんだそうです。
セネシオの葉っぱが白くて、まるで花が咲いてるみたいです。(Cabbage
Groudsel)
花と言っても近くで見ると直径80cmぐらいの巨大なキャベツのような植物です。
Giant Groundsel並木。 人と一緒に写すと高さがわかります。
へぇ〜、ちゃんと橋が架けられてますね。感心、感心。
何もかもが巨大です。
この景色は本当に見ていて飽きないです。
チョゴリア往復じゃなく、シリモンに縦走に変更して本当によかったです。
迫力のチョゴリアルート、美しさのシリモンルートって感じです。
どちらも日本では見られない景色ってことに変わりはありませんが。
黄緑色でニョキニョキ生えているのがジャイアントロベリア。
背の高いのになると、「ここまで育つのに200年はかかるんだよ」とのこと。
セネシオとかロベリアの生態を事前に調べておけばよかったですね〜。
眺めてるだけでも楽しいですけど。
エリックの説明でわかったのは丸っこいキャベツみたいなのはフキノトウみたいなもんで(ロゼットみたいなもんでしょうか?)、あるタイミングで上に伸び始めるんだそうです。
花が一度咲いて生殖を済ませたら枯れるんだとか。
空にはちょっとずつガスが発生して来ました。
楽しい時間もあと少しのようです。
この不思議な景色を晴れている間に見られてよかったです。
写真を撮っていたら時速5km近いスピードで歩くエリックから引き離されたの図。
タイヨウチョウ。英名もそのままsunbirds。
花の蜜ではなくジャイアントロベリアに集まるハエを餌にしてるようです。
たぶんルビーオナガタイヨウチョウ Tacazze Sunbird(Nectarinia
tacazze)
植生が大分切り替わってきたあたりで休憩タイム。(9:30)
久しぶりに振り返ったんですが、マッキンダーズ渓谷の奥に少しだけケニア山が顔を覗かせている感じでした。
望遠レンズで写してこんな感じ。
外界方向にはナニュキの街が見えています。
こんな綺麗な花も咲いてるんですね〜。(種類不明)
さーて、トエンデー!
そして、休憩地点から谷底を離れ右壁をヘつるように登っていきます。
(この登りの前に休憩を取ってたんですね)
谷の上部からの眺めはとても気分爽快です。
方角的にこの平野の向こうにサンブル自然保護区があるのでしょうか。
いやぁ〜、すごい!
富士山の下りもこんな感じでした。
英語版の
Wikipediaによると、ケニア山は富士山と溶岩の組成が似ていて、裾野の方の形はほぼ一緒、そこからかつての標高を逆算すると6000mは超えて
いたんだそうな。
谷の頂上付近にはこんな大きな岩も。
ここなら急な雨でも雨宿りできそうです。
チョゴリアルートでも見かけたGladiolus watsonioides。
ロベリアやセネシオ地帯から少し下ったあたりも想像以上にカラフルな世界です。
しかし、この辺りは標高3500mはあろうかと思うのですが、調子よく登っていると息が切れてきます。
下り一辺倒だと思い込んでいたので少し騙された気分です。
う〜、こんなに辛い坂が現れるとは思っておりませんでした。
(実際は大したことはないです、私が一人でブーたれてるだけです)
ふぅ、やっと登りきりましたか。
見た感じ、どうやらもう登りは無い気がします。
一安心です。
ここで本日2度めの休憩。(10:20)
先程よりも山頂がよく見えています。
ここから見るとレナナピーク(4つある岩山の左から2つ目)の低さが際立っちゃいますね。
角度の問題でしょうが、一番右側のピークよりも低く見えちゃうぐらいです。
そして、ようやく本日の目的地のオールドモーゼスキャンプが見えました。
あと、少しじゃないですか!
(※私の願望がそう思わせただけで実際に歩くとまったく近くありませんでした)
コモパンで軽く燃料補給。
ちょうど本日最初の登りのパーティが我々が休憩中に通過していったんですが、ガイドやポーターはエリックの友人ということで、仲良く情報交換されておりま
した。
さて、残りあと少し、トエンデー!
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