その34
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ん? なんか目の前に谷があるような・・・・(Liki Valley)
谷ってことは下ってから登るんですよね?
マッキンダーズ渓谷ほど大きくは無いのがせめてもの救い。(右下と左上に小さくこれからすれ違うパーティが写ってます)
谷底の川で泥だらけの靴を軽く洗っていたら、エリックに「この後もまだまだ道は悪いし、小屋で洗ったらいいよ」と言われました。
ごもっともでございます。
今度こそ最後だと思いながら登っていきます。(写真右に下ってくる人)
なんなんでしょうねぇ、この、「下りだと思っていたら実は登りが含まれていた時の辛さ」は。
ふぅ、今度こそ登りは終わりです!
シリモンルートはちゃんと整備されてますね〜。
ヒースと呼ばれる湿地帯を下っていきます。
エリックの言ってたとおり、たまに泥濘んでる場所が登場し結局靴が泥だらけになりました。
そして、大分ガスって来ました。
今日は早めに出て正解でした。
ほとんど使う人は居ないというLiki North Hutとの分岐。
帰国後に写真を見てみたら、確かにこれを使う人はそんなに居ないと思います。
(普通の避難小屋ですね。ミントスハットより小さいみたいです)
エリックから先ほどの分岐から5分ぐらいで目的地に着くと聞いた気がするのですが、すでに10分ぐらい経ってるような。
どうやら聞き間違いだったようです。
着いたか!
と、思ったらあれは気象観測所だそうです。(右上)
なんだかんだとけっこう下ってきたんですね〜。
下界が近くに見えるようになって来ました。
なんか、ここまで来ると今日中に下山してもいいんじゃないかと思えてきます。
(ここからあと9km歩かないと登山ゲートに辿りつけないということは知りませんでした。まだまだけっこうありますね〜)
何かの動物の下顎の骨が落ちてました。
ようやく到着!(12:05)
オールドモーゼスキャンプ(3300m)です。
エリックが言ってたとおりほぼ4時間ぴったしでした。
本日もエリックから小屋で寝ることを勧められたんですが、今日は「景色が」というよりも半ば意地と節約目的でテント泊することにしました。
オールドモーゼスも昨日泊まったシプトンも同じ会社が経営してるらしいのですが、両方共受付がどこにあるのかよくわからないところまでそっくりでした。
こちらはクルマやバイクで下界から荷物を持ってこられるので簡単な売店が併設されているところが大きな違いでしょうか。
エリックに受付の場所を聞きドアを開けると中におじさんがひとり居たので(妙に静かだなと思ったら、この時間にここに居たのは管理人のこのおじさんと我々2人の3人だけでし
た)、早速テント代(400KSh)を払おうと思ったら、またもやお釣りが無いとのこと。
支払いは後回しにして、ひとまず一服入れます。
そういえばエリックが併設の売店の説明をする時にここでビールが1本200KShで売ってると言っていたのを思い出し、まだ飲んだことがなかったタスカービール2本
とテン泊料金を一緒に払ったらもしかしたらお釣りがもらえるんじゃないかと思い付き、エリックに「今からビール飲まない?」と声をかけると、
「Why not!」
と、満面の笑みで返事が返ってきました。
この慣用句を知らなかったので脳内で「なぜノー?、つまりイエス」と訳していたのですが、まさに「いいね!」という意味だったんですね。
というわけで、再び売店に行き、おじさんにテン泊代とビール2本分として1000KShで支払ったら、なぜかお釣りがもらえませんでした。
またもやお釣り不足なのか、それとも忘れてるのかな?と、思ったんですが、おじさんの様子からして「払う必要が無い」という雰囲気でした。(お釣りがなければ「無い」と言ってくれるので)
後でエリックに確認したら、200KShなのはガイド特別価格で我々観光客は1本300KShなのでした。エ
リックいわく「ビジネスだからね」とのこと。
なるほど。
出てきたのは瓶ビールなのに栓抜きがなかったので(回せば外れるタイプじゃないみたいです)、エリックが1本の瓶の栓を利用してもう1本の栓を抜こうとしたの
ですが見事に失敗し、それを見かねたおじさんが栓抜きを出してくれたので、エリックの妙技は見れずじまいでした。
というわけで、乾杯!
って、エリックに乾杯の文化は通じないらしく、ビールを持ってあさっての方向に歩いて行っちゃいました。
もちろん、その後に二人で上の写真でエリックが立っているテン場の芝の上に寝転んでビールを飲みながらお話したんですが。
この時は太陽光線が当たって暖かく、とても気持ちよかったです。
日差しが強く感じたので、何を今更って感じですが日焼け止めを塗ろうとザックの中から取り出したら、一緒に入れていた抗ヒスタミン剤(軟膏)がジップロックの中で爆発してました。さすが標高4000mオーバーの世界です。
そして、たいして強くもないのにビールを勢い良く空けたらけっこう酔っ払いました。(標高3300mですしね)
ここでエリックから「明日、ちゃんとチップ頂戴ね」と、日本人の私からすると「ストレートに言うなぁ」という要望を出されました。(他の方のブログで読んだことは
あるので、そこまで驚きはしませんでしたが)
エリックいわく「良いサービス、イコールたくさんのチップ」とのこと。
そして、「Are you happy?」と確認されたので、「Yes I'm happy.」と答えると、「Good!」と言って納得したようでした。
ちょいと困ったのは「たくさんのチップっていくらなんだ?」ということがわからないことです。
まぁ、それは気持ちで決めることですから、自分の価値観で決めれば良いんでしょうけどね、慣れないもんです。
決める上での何かの基準になるかもと思って、エリックの家族構成やら(若く見えますが、奥さんもお子さんも居ました)、年間何回ガイドをしてるのか尋ねておきました。
その話の成り行きでエリックがキリマンジャロなんかもガイドしていることがわかり、エリックを通して頼めばポーターとかコックを頼まなくても登れるということがわかりました。
いつかキリマンジャロに行くときはエリックに相談してみようかと思っております。
エリックから「フェイスブックのアカウント持ってる?」と確認されたので、「本名で登録してるよ」と答えたら、その場で検索して携帯からフレンド申請を出してくれました。本当にすごい時代になったもんです。
エリックはポーターやコックあわせて300人ほどとフェイスブックで繋がってるんだとか。そこから、彼が判断したメンバーを指名してチームを編成するわけ
ですから、なるほどちゃんとしたヒエラルキーが自動的に組み上がるんだなぁと納得しました。こんな倍率なら指名されたポーターたちもガイドには絶対に逆ら
えないでしょうし。
ちなみにエリックの携帯はサファリコムなのでここでもネットも繋がるみたいですが、エアテルの私の携帯はアンテナが立ってるので音声通話はいけそうですが、ネットはダメでした。その辺の事情もナイロビでの客数の差になってたんじゃないかと思います。
大きな地図で見る
本日の歩行ログです。
さて、私の靴ですが4泊5日の幕営道具を背負って歩くには貧弱すぎますし、靴底が削れて滑りまくりましたし(前にも書きましたが一応ビブラムソールなんで
すが、まったくグリップしませんでした)、ついに片足のソールが靴の先端から剥がれかかってきたので、いよいよ寿命がつきたみたいです。
そんなに履いてませんが、ヤワなんでしょう。
とりあえず靴が必須の行程は明日までなので、そこまで持てば天命を全うしたということにしましょう。
それから、ぼちぼちとテントも張りました。
これまでは風のない所でテントを張っていたのでペグを使ってなかったんですが、ここに来て風が吹いてきたのでペグと石を使って固定しました。
そして、なぜかこんなところでレンタカー代を余分に支払ってしまったんじゃないかと気付いてしまいました。
日本出国前にえらい苦労してお願いしたタンザニアへの国境越え手数料のキャンセルですが、今思い返してみると、キャンセルしてない料金で決済した気がします。
今ここでは確認のしようが無いのですが、車に戻ったらレシートを漁ってみなければなりません。(1000円、2000円だったら気にしなかったかもしれませんが、16000円ほどしたので)
本格的に曇って来ました。
昨日みたいに一雨来るんでしょうか。
時間的にはお昼を回ってるんですが、先ほどビールを飲んだこともあって、それほどお腹が空いてないのでコモパンで済ませます。
エリックが今日も「ヌードル食べる?」と声をかけてくれたのですが、さすがに断っちゃいました。
その後、雷が鳴って雨が降りだしたので一度小屋の中へ退避。
しばらくして止んだので再び外に出ます。
ネズミが居ますね。
可愛いと思うより先に、餌狙いでテントに穴を開けられないか心配になりました。
(実際は大丈夫でしたし、被害報告を見たことが無いので問題ないのかもしれません)
もうちょっと絶景だったら見ていて飽きないと思うんですが、今日はちょいと暇に感じてしまったので珍しい石を探して歩いたりします。
ちょうど、この小屋のあたりが晴れ間と曇天の境目のようです。
外界側は写真のとおり晴れてるんですが、、、
山頂側はこんな感じ。
エリックも暇そうだったのでロンプラを貸してあげたら食い入るように読んでました。
そう言えば、先ほどチップの話しをしたからかどうかはわかりませんが、今日はやたらと「どう、高山病は大丈夫?」とか気にかけて声をかけてくれるのがちょっと微笑ましかったです。内心ではすでにいくら払うか決めてるんですけどね。
写真奥に写ってる二人は先程下から登って来たドイツ人の若いカップル。
なんと二人はガイド無しでシリモンルートを往復するんだとか。
エリックも言ってましたが山頂直下は雪が降ったりガスると想像以上に難易度が上がるルートなので、自分が知ってる限りのアドバイスはしておきました。
彼らは荷物が重たいらしく、「あなたの荷物は何キロですか?」と質問されたので、「今日は食料減ったし水もそれほど持ってなかったので12kgぐ
らいじゃないですかね」と答えると、「そんなに軽いの?羨ましい!」と驚いてました。ちなみに、質問してきた彼のザックはカメラとか抜きで18kgあるん
だとか。それに水を加えたら20kgを超えてくるので、山登りに慣れてないとけっこう辛いんじゃないかと思います。
ウルトラライトウェイト装備がいいよと勧めたら「僕は貧乏なんで装備を買うのは無理です」というので、よくよく聞いてみたら彼女はフリーのジャーナリストで彼はまだ学生さんなんだとか。そりゃぁ、安定したお金は入ってこないですよね。
若いんだから体力で乗り切りましょう!
逆に私がウルトラライトウェイトがいいよと言っておきながらロンプラとさらにもう1冊本を持ち歩いてることが驚かれました。
彼らはロンプラの必要ページ(ケニア山の分ですから2〜3枚でしょうか)を破いて持ってきていたみたいです。
積乱雲がどんどん沸き上がってくる様がいかにも赤道直下の空だなぁという感じがします。
15時過ぎにようやくジェロームさん達が到着。
二人共具合は大分良くなったみたいで何よりです。
二人(特にナディアさん)は我々の行動の何もかもが速いことに驚いてました。
レナナピークアタックの日に「頭痛を抱えながらテントの外に出ると、遥か彼方に我々2人の懐中電灯の明かりが見えたから、「私達、遅れたの
ね・・・」とガイドに言ったら、「そうだ、我々は遅れたのだ」と答えたのよぉ〜」、とナディアさんがエピソードを語ってくれ、ガイド役のもの真似が似てい
たので笑ってしまいました。
二人とあれこれ会話してる中で、明日下山後にどうするのか尋ねられたので、レンタカーを借りていてそれにエリックを乗せてナイロビまで行って、その後近郊の温泉に行くんだという話をしたら、「もしよければナイロビまで乗っけてってくれないか」と頼まれました。
なんでもナニュキからナイロビまでタクシー(マタツではなく)で12000KShかかるらしく、私のレンタカーのガソリン代を払うから乗せて欲しいと頼まれ、「ガソリン代は要らないですし、2人なら乗れるんで大丈夫ですよ」と快諾しました。
エリック曰く、トニーとは9時半にゲートで待ち合わせしようと伝えてあるらしいので、その時間にゲートに来てくれれば問題ないですよと付け加えておきました。
体が冷えてきたので、ちょいとココアでもと思って調理場に行ったんですが、持ってきたライターが前から徐々に調子が悪くなっていたんですが、ついに2本とも点かなくなってしまいました。
仕方なしに、近くで料理していたどこかのパーティーのコックさんが使っていたバーナーから火を分けてもらいました。(ライターからガスは出るのでガスを出しっぱなしにして火だけ借りました)
この後、火をつける度に借りるわけにもいかないのでどうしたもんかと思ったのですが、エリックがタバコを吸うときにマッチを使ってたのを思い出し、売店に行ってマッチが売ってないか確認してみたところ、、、
ありましたよ、サイ印のマッチが。(10KSh)
日本のものと比べると火薬が勢い良く燃えて独特の匂いが鼻につくマッチです。
この箱は気に入ったので、しばらく使いたいなと思っております。(今思えば予備に数個買っておけばよかったです)
その後もエリックやドイツ人カップルとお話したり、ジェロームさん達とお話したり、湧き上がる積乱雲をぼーっと眺めたりして時間を過ごしました。
エリックは私がこの後に行く予定の温泉やツァボ国立保護区にもプライベートで行ったことがあるみたいだったので、いろいろと情報を仕入れておきました。
(ケニアに住んでるエリックが普通にツァボとかマサイ・マラとかに行って、ライオンを見て喜んでる姿がどうしても想像できないんですが、よくよく考えて見ればナイロビみたいな都市部に住んでいるのなら野生動物に対する感覚は日本人と同じですよね)
荷物満載でゲート方面に下っていくバイク。
これがあるお陰でビールやらマッチが簡単に手に入りました。
夕方近くなってきて晴れて来ました。
そして、今日もこの時間になって軽い頭痛を感じました。
やはり数時間後には解消しましたが、3300mまで下ってきたのに、まだ空気が足りないんですね。
あと、時々咳き込むようになりました。
まさか風邪ですかね? そんなに体を冷やしたつもりは無いのですが。
気がつくと、ドイツ人カップル以外にも2〜3パーティほど上がってきていて、到着したときは管理人含めて3人しか居なかった小屋もそれなりに賑やかになって来ました。
偶然かどうかはわからないのですが、そのほとんど全員がドイツ語圏から来た方らしく、小屋の中ではドイツ語が飛び交ってました。
(今日から登る人たちですから、クリスマス・正月以降も長い休みをもらえているということで、休みが長いドイツ人比率が上がったのかもしれません)
そう言えば、昨日到着するなりぶっ倒れていた白人男性パーティがここで休憩を少し取った後、そのまま下って行きました。つまり、今日山頂アタック
してここまで戻ってきて、さらにゲートまで下ったことになります。(言ってたとおり1泊2日もしくは2泊3日ってことですかね?)
大したもんです。
夕飯はいつものカレー。(フリーズドライのグリーンカレー)
今日は昼飯抜きということもあってものすごくお腹が空いており、ここ数日で最高に美味しく感じました。
体が心底求めていたんだと思います。
今日の夕日はこんな感じ。
ジェロームさん達に「やらせ」でもいいから、もっとちゃんとしたポーズを取ってもらえばよかったかもしれません。
(この時ジェロームさんは使い慣れないデジイチの設定をいじり倒し中でした)
この後、星の撮影の仕方を教えて欲しいと頼まれ、自分の知識の範囲で教えてさしあげました。
というわけで、今晩チャンスがあったら1枚ぐらいは撮っておこうと決心しました。
オールドモーゼスキャンプからだと、ケニア山はちょこっとしか見えないですね。
逆にナニュキの灯火が瞬いているのが見えるので、そちらの方が綺麗だったりします。
相変わらず風は吹いてましたが、ダウンの上にカッパを重ね着するという最強装備だったこともあってまったく寒くもなく、心ゆくまで夕焼けを眺めていられました。
その後は小屋の食堂スペースでロンプラやら大地溝帯の本を読みながら時間を潰します。
登って来たパーティーの若い女の子たちは食欲が無いからか、出された美味しそうなご飯を盛大に残していて、「それ、残すんなら頂戴!」って言いたいのを堪えるのが大変でした。
21時頃テントに入り、眠くなるまで本を読んでから寝ました。
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