2013年スイストレッキング&ドライブ旅行記
その1
旅の計画と準備
ケニア旅行の準備に追われていた去年のクリスマス直前、クレジットカードを積極活用することで日々の生活で勝手に貯まっていたマイレージを使用して、2013年お盆のチケットが取れるかどうか思い付きで確認してみたら、どこの便でも案外簡単に取れそうだったので、何も考えずに「お盆にスイスに行ってみよう!」ぐらいの感覚で往復チケットを確保してしまったのが旅のきっかけです。
昔からスイスの峠道をドライブしてみたいという夢がありましたし、スイスなら日本のアルプス縦走の代わりにトレッキングも楽しめそうです。
その後は怒涛のケニア旅行に突入し、その後は旅行記を書いたり久米島に行ったり隠岐諸島を旅したり東北や北海道に行ったりと日々が過ぎ去っていき、あっという間に8月になりました。
スイスについては先輩諸氏による現地情報が豊富にあり、これがうれしいのを通り越して選ぶのが困るぐらいの量で、峠を走る用のレンタカーとそれに伴う最低限のホテルの予約を入れた後はたいして調べもしないまま月日が過ぎ去ってしまいました。列車も氷河特急とか以外は座席予約なしで乗れるみたいですし。
出発日が近づいてくる中、重い腰を上げてトレッキングコースを調べてるうちに、トレッキング用にも車があったほうが便利かと思って峠走り用とは別日程でもう一台レンタカーの予約を入れ、あとはAmazonで適当に購入したガイドブックをレンタル自炊スペースでJPGデータにし、参考になりそうなWebサイトと一緒にタブレットに放り込んで事前準備完了ということにしました。
8月10日(土) Day1
出発時間ギリギリまで現地情報を漁ってはタブレットに放り込む作業を続け、昼過ぎに自宅を出発。
ケニアのときの教訓を元に荷物の準備やパッキングなど今回は余裕を持った行動を心がけております。
あまりにも暑いので、いつもは駅まで徒歩で行くところをバスを使うことにしました。
同じことを考えている人が多いからか、マイナー路線のバスもえらい混んでました。
駅のプラットフォームですら暑いので、日暮里駅のホームでお茶を購入。

って、なんだこりゃ! 「すっきり系」全部売り切れ!
仕方なしに人気が無かったのであろう缶コーヒーを渋々購入。
プラットホームの位置の関係でジリジリ焼けるような日差しを浴び、むせ返るような気温の中、列車の到着をじっと待っていると掃除道具を両手に持ったおばちゃんが満面の笑みで話しかけてきます。
「今日は暑いねぇ」
みたいなセリフが来るのかと思いきや、
「お兄ちゃん、そこ並ぶ場所じゃないよ」
とのこと。
どうやら私は「通常の特急」のところに立っていたみたいで、スカイライナーはちゃんと専用の登場位置がわかりやすくサインが出てて皆さんそこに並んでました。
そこはいかにも日本人らしく、100名以上の人が整然とドアが到着する予定の場所でスカイライナー待ちをしていて、並ぶ場所を間違えて立っていたのは私一人というこっ恥ずかしい状況。
まぁ、暑いですからね、頭がぼーっとしてたんでしょう!(笑)
いつも酷い目に遭う出発時の事件といえばこのぐらいで、あとは順調に成田空港に到着し、発見手続きを終えるとすぐにビジネスクラス用(ユナイテッド)のラウンジへ。
今回マイレージ報奨チケットでの申し込みだったので当然全便エコノミーだと思っていたのですが、行きの便は何故かビジネスクラスだったので、ビジネスクラス用ラウンジが使えたのでした。(発券手続きも並んでるエコノミークラスを横目にすぐに終えられるかと思ったら、プレミアムゴールドとかファーストクラスならともかく、普通のビジネスクラスぐらいだとお盆はえらい混んでるんですね)
ラウンジではここぞとばかりにお金持ちな人達に混ざってジュース飲んだりタブレットをWifiでつないでスイス情報を調べたりしながら時間を過ごします。
もう間もなく出発というタイミングでスイスが朝を迎えて天気予報が更新され、だいたいの感じで立てていた行動計画を変更せざるを得なくなってしまいました。
どうしたもんかと思いつつ機内へ移動。

おーーー、前の席に足が届かない!
さすがビジネスクラス。
写真に写っている靴は前回のアフリカ旅行でホテルで働いていた女性(の息子さん)にあげてしまったトレッキングシューズの代わりに買ったもので、今回初投入です。
慣らしのために、ここ数日日常使いしてましたが、さて活躍してくれるかどうか。
濡れた時のグリップ力低下が半端無いので、今回のトレッキングでも無理は禁物です。

さすが全日空は5つ星の航空会社、料理も接客もすばらしいです。
持ってくるのを忘れていたスリッパをもらえたのも助かりました。
いや〜快適! エコノミークラスも長距離便はこれぐらいだったらいいのに〜!
しかし、目的地はお隣北京空港。
あっという間に到着してしまいました。(20:00)
そして、北京からスイス(チューリッヒ)に飛ぶ便は翌朝6時半出発。
(という「つなぎの悪さ」から余っていたチケットでした)

わざわざ出入国手続きをしてホテルに泊まるほどの時間は無いと判断し、ビジネスクラス用ラウンジで一晩過ごさせてもらいました。(空港内の簡易宿泊施設は満室なり。1週間前ぐらいにネットで予約開始なのですぐに抑えないと無理っぽいです)
このラウンジももちろんネットが使えるのですが申請にパスポートが必要なので、端末固有ID(マックアドレス)と住所氏名などの個人特定情報を中国政府(?)に伝えた状態でネットを使用することになります。つまり、私がどんなサイトを見ているかが中国政府に筒抜け状態なのですが、まぁスイス情報ぐらいしか見ないので気にしないことにしました。
天気予報を再確認するとやはり計画を変更した方がよさそうだったので、仮決めで抑えていた宿をキャンセルし、晴れそうな場所の中で行きたい場所を探したりして時間を過ごしました。
普段旅の計画立案にはロンプラを頼りにするのですが、今回はトレッキングとドライブしかしないつもりだったのでロンプラは買っておらず、いわゆる普通の観光ガイドブックはデジタル化された「地球の歩き方」のみという状態です。
というわけで、地球の歩き方を参考に大枠の計画を立てていくのですが、こりゃぁもしかしたら日本人だらけの場所ばかりに行くことになっちゃうかもしれないなぁと思いつつ、まぁ、スイスだからどこに行っても日本人だらけだよね、、、と、この時は思ってました。
北京空港、空調抑えてるからかなんか暑いです。
座ってるだけで汗ばんでくるので、クーラーらしき機械から風が送られてくる場所に移動してちょうど良いぐらいでした。
ある程度計画を立て終わって深夜0時を過ぎたのでソファーで(口開けて)寝てたら、夜中に誰かに肩を叩かれて起こされました。
目を開けると若い男性の清掃スタッフが顔を覗き込むように立っていて、「もう営業終了だよ」と言われましたが、チケットを取り出して朝6時半の便に乗るんだと伝えたら「じゃぁ、寝てていいよ」と、そのまま放っておいてくれました。(ラウンジの照明はすべて消されてましたし、ここで寝てるのは私一人でした)
8月11日(日) Day2
朝5時頃目覚めると、すでにラウンジの営業は再開されていて、数人の方(当然皆さん金持ち風な方)が新聞読みながらコーヒー飲んだりしてます。
私も早速軽く朝食をとり、搭乗開始時刻にあわせてゲートに向かいます。

北京からはスイス航空の飛行機になります。
ニュースで聞いていたとおり、すごい大気汚染で視界がほとんど無いのには驚きました。
そして、何事も無くほぼ定刻通りに飛行機は出発。(6:20)

トラベルセットはこんな缶ケースに入ってました。
ANAはスリッパが便利でしたが、この缶ケースもいろいろ使えそうです。

北京で調理された食事はどんなもんだろうと思っていたのですが、さすがビジネスクラス、予想以上に美味しかったです。

なんとステーキまで出ます。
(しかも美味しい)
いやはや、ビジネスクラスを使える人はこんなに快適に旅をしてるんだなぁとつくづく思い知らされました。
機内ではタブレットに放り込んでおいたスイス情報を読んだりして時間を過ごしました。
10時間ほどのフライトでほぼ定刻通りにチューリッヒ空港に到着。(11:30)
入国審査で日本人は顔パスと聞いてましたが、案外あれこれ質問を受けて(というか、友好的な会話をして)から入国。
すぐに最低限のお金をATMから引き出し、レンタカー事務所に出向いて手続きをすると、「フォードとルノー、どちらが良い?」と質問されたので、、、

即答でルノーを選択。
というわけで、今回のトレッキング期間中はこのルノーメガーヌに乗ることに決定しました。
(たしか立花さんがプライベートで乗っていた車だったはずです)

あれ? オートマ?
安いコンパクトカーをMTで申し込んでいたはずなのですが、えらいゆったりサイズのAT車になっちゃいました。
パーキングブレーキも電動だし、なんかえらいフル装備の新しい車です。
センターコンソールの上にはカーナビらしきものも付いているのですが、オプションで申し込まなかったからか時計と温度しか映らないので家でナビファイルを準備しておいたスマホを窓ガラスにセットして準備完了。
いざ出発!(12:20)
ん? このエンジン音・・・
そして、トルフクフルな車だなぁと思ったら、ディーゼル車でした。
さすがヨーロッパ。
早速アウトバーン(有料自動車道、ただし料金は車ごとに年単位で払ってあるので私が都度都度払う必要はなく、そのことを示すステッカーが窓ガラスに貼られてます)に入ったのですが、相次ぐ分岐と案内看板のわかりづらさで早速道を間違えてしまい、Uターンする為に高速を降りるはめに・・・

降りたら降りたで一方通行やら右左折禁止などもあって、もとの道に戻るのにえらい手間取りました。
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そして、せっかくアウトバーンに乗り直したのに、もう一回分岐の方向を間違えてあさっての方向に走ったときはかなりがっくり来ました。
(Googleストリートビューで予習ができるので、バーチャルドライブを事前にしておくことをおすすめします)

なんとかかんとかようやくナビルートの上に乗りました。
正面の建物はアウトバーンのサービスエリアです。
アウトバーンの制限速度は120km、100km、80km、60kmの区間が有り、ドイツみたいに無制限の場所はありません。
あと、けっこう頻繁に制限速度が切り替わり、皆さんそれにあわせてきっちり減速・加速して法定速度を守っています。
120kmペースでガンガン走れると思って計画を立てていると、かなり予定が狂うと思います。
(渋滞抜きでアベレージで90kmぐらいでしょうか)

あ、馬だ!
プライベートで馬を運ぶんですね。(この牽引車を数台みかけました)
しかし、なんか変だなぁ、、、ツェルマット(本日の目的地でチューリッヒの南方向)に向かうのにチューリッヒからこんなに西に走るんだっけ?
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と、思ってナビを広域に変えて全体ルートを確認してみたら、チューリッヒからまっすぐ南下するつもりが、この車を返す日に時間が余った時用に予備で準備していた超遠回りルートを間違えてセットしていたのでした。
今日はツェルマットに(私にしては超高級)ホテルの予約を2食付きで抑えていて遅刻する訳にはいかないのに、、、
感覚ではチューリッヒ市街での道迷い含めて1時間ぐらいのロス。
これなら、まだ間に合うかなレベルで済んだのは不幸中の幸いでした。
しかし、これ以上のんびりは出来ません。

進路を変更してスイスの南部に進むに連れ、都市から田園、さらに山岳へと周囲の風景が切り替わっていきます。

いやぁ〜、すごいすごい!
川の侵食によるV字谷なんでしょうが(もしかしたら氷河のU字かも)、周囲の山々がえらい急峻で高さもあり、迫力満点です。
ニュージーランドのフィヨルド地形を思い出しました。

お昼もとっくに過ぎて盛大にガスってますが、これはこれで美しいものです。
というか、スイスも北アルプスみたいに10時ぐらいからガスるんですかね?

って、こんなところで渋滞?
げげげ、これは予想外。
あとちょっとでアウトバーン降りるのに、、、

と、思ったら5分ほどで降りる車線だけは先に進むことが出来ました。
どうやら交通量調整で信号待ちさせてるみたいです。
(アンデルマット手前、ゴッダルト峠のトンネルのところ)

下道に入りましたが、こちらは氷河に削られたU字谷のようで、これまた迫力満点!
(14:30)
交通量が予想以上に多いのが玉に瑕ですが、下道で制限速度は80km、遅い車に塞がれてもだいたい60km以上で流れているので、それほどイライラしたりはしないです。
それよりも周りの絶景が気になってしょうがない状態です。
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そして、道は次第に山岳地帯へ、、、、

いや〜、すごいすごい!

自転車やバイクもたくさん走ってます。
皆さん移動目的ではなく景色の良い道路を走ることを楽しまれているみたいです。

急峻な山間の道を登りきってからは、谷底の道を進んでいきます。

当初乗る予定だったツェルマット方面に向かう列車が踏切を通過していきます。
スイスで列車に乗ることは「世界の車窓から」を見て以来の憧れだったんですが、割引切符とかを使っても案外料金が高くてレンタカー借りるのと大差ないんですよね。
時刻表に縛られるのが嫌で、結局今回はレンタカーにしてしまいました。
トレッキングが縦走メインだったら列車とバスの旅にしていたと思います。

お、赤NA!
ロードスターに限らずオープンカー比率はかなり高いです。
ニュージーランドもそうでしたが、この景色ですからね。オープンカーじゃないと損なぐらいの勢いです。

「世界の車窓・・・」を楽しんでる方々と並走。
展望の良さは列車よりも自動車の前座席のほうが上のはず。

あ〜、ヨーロッパに来たんだなぁという気分にさせてくれる建物。

さて、いよいよ本日の移動行程の中で一番楽しみにしていたフルカ峠(Furka Pass)を越えるために登り始めます。
下道に降りてからもけっこうな交通量だったのですが、フルカ峠をカートレイン(車を載せてトンネルの中を行く列車、フェリーの列車版)で越える人が多いからか、急に道路が空いてきたので快適に走れそうです。

周囲の山々に万年雪が見えています。
スイスは北緯45度から47度に位置していて、北海道の稚内が北緯45度ですから、スイスの南と北海道の北が同じぐらいの緯度ってことになります。
そこに3000mとか4000mオーバーの山があって、2000m越えの峠道があるわけですから、本州で言えば4000mとか5000mの山があるところで標高3000mのところを走ってる感覚なんでしょうね。
(※北海道の大雪山系(2000m級)と本州の北アルプス(3000m級)が植生や環境が似ていると言われています)
もう実際森林限界も超えてますし、北アルプスで登山してる時と変わらない景色です。
乗鞍スカイラインを延々と走っている感じです。

展望スペースに車を停めて、登って来た道を見下ろせばご覧のとおり。
噂通りガードレールはありません。
制限速度は80kmですが、実際に80kmでガンガン走ってるのはバイクぐらいです。(フランスだと皆80kmで走るんですけどね。お国柄だと思います)
日本には無いタイプの道なので、ドライブ好きな皆さんにはぜひ体験してもらいたい峠道です。
景色を楽しんでから前後に車が居ないタイミングで発進します。

ここからは絶景の中を自分のペースで走ります。
ヤッホー!

ヤッホー!(1)

ヤッホー!(2)

ヤッホー!(3)

ヤッホー!(4)

峠道の途中にはホテル(かつての巡礼者向けホスピス)がポツポツと建っていて、レストランも営業しているので、どこも車がたくさん停まっています。

ヤッホー!(5)

峠のホテルその2

ヤッホー!(6)

ヤッホー!(7)

滝の周りにも車がたくさん停まってました。
ここがトレッキングルートの起点になっているのかもしれません。

ヤッホー!(8)

ヤッホー!(9)

ヤッホー!(10)

ヤッホー!(11)

峠の頂上(標高2,436メートル)すこし過ぎたところから登ってきた道の反対側を見下ろしたところです。(15:15)
フルカ峠の画像検索をすると大抵ここからの眺めの写真が出てきます。
(逆に言うと、それ以外の写真があまり出てこないので、ここまでの景色が私には驚きでした)

下り道をアップで。
奥のクネクネ道はグリムセル峠という別の峠道です。

では、さっそく下って行きましょう!

ヤッホー!(12)

改めてルノーメガーヌです。
フランス車らしく素直で正確なハンドリングとディーゼルエンジンが生み出す強力なトルクのお陰でとても楽に走ることが出来ました。
ただ、ATの制御が洗練されてないからか(もしかしたらターボ車だったかも)出だしでそっとアクセルを踏むと今ひとつ加速せず、踏み増しするとドカンとトルクが出て急発進ということはしょっちゅうありました。
慣れの問題だとは思いますが、私は最後までこれだけは慣れませんでした。

ガイドブックなんかに出ていたホテルベルヴェデーレ(hotel belvedere)がありました。
知らずに素通りしちゃいましたが、ここから歩いて降りるとローヌ氷河が見られるらしいです。

ヤッホー!(13)

ヤッホー!(14)
向こう正面、先ほどのホテルベルヴェデーレです。

ヤッホー!(15)

下りきりました。
その2へつづく