ブラジルドライブ旅行記 19

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宿の裏側は牧場が広がっていて野生の動物に会える予感がしなかったので、ルイースおじさんが「メインロード」と呼んでいた宿からトランスパンタネイラロードへと続く6kmの道を歩いてみることにしました。(宿に来るときに走ってきた道で、ワニやらカピバラを観察していた道です)



ここで笑顔のかわいらしい年配の女性とすれ違い、てっきり観光客の方かと思ったのですが、後でルイースおじさんから「僕のお母さん」と紹介を受けました。







周辺にたくさん居たオキナインコ。
Monk Parakeet (Myiopsitta monachus)










あ〜、やっぱり!

道路脇の木陰に実はカピバラがたくさん居たんですね〜。



しかし、これがボケっとしてるように見えて臆病な動物で、私が近づいていくと群れから少し離れたところで見張っている大きな個体(たぶんボス)が「ブォン!」と、姿に似合わない重低音の鳴き声を発っし、それと同時に蜘蛛の子を散らすように皆走って逃げてしまうのでした。









というわけで、わりと遠目からの写真です。



そして、撮影するためにカメラを構えて体の動きを止めるたびに、数発ずつ蚊に刺されてる気がします。








頭上を飛んでいった猛禽類の鳥。
Black-collared Hawk (Busarellus nigricollis)










後ろ姿ですが、うまくピントが合った写真なので掲載。











見たままの名前でアオヅラサギ。
Capped Heron (Pilherodius pileatus)











ミドリヤマセミ (Green Kingfisher、Chloroceryle americana)











アメリカヌマジカの雌。(Marsh deer 、Blastocerus dichotomus)



いやぁ、宿のメインロードは動物がたくさん居ますね〜。


サンドラさんが言ってたとおり、たくさん動物に出会えて幸せです。









こちらの大きな鳥の巣、アフリカで見たシャカイハタオリと同じ共同コロニーのようでたくさんの親鳥たちが出たり入ったりしていました。



大型の鳥が卵を狙って近づいてきたら、5羽ぐらいの親鳥に突かれながら追い払われておりました。










お、あそこの木陰にカピバラの群れが居ますね!


今度は警戒されないように、慎重に近づいてみましょう。









蚊に刺されまくりながら時間をかけて慎重に近づいたにも関わらず3分の2ぐらいは逃げてしまいましたが、残りの子たちは逃げないでその場に残ってくれてました。











なんというか、人間を恐れないというよりも、ただ単に眠かっただけのような気もします。



何にせよ、愛嬌のあるかわいらしい動物です。



カピバラはブラジルでどうしても会いたかった生き物の1つなので、こんな時間を過ごせただけでもパンタナールに来たかいがあったというものです。










子ども(左)が特にかわいいんですよね〜。











さっきは1匹、2匹しか見つけられなかったワニも、よく見ればたくさん居たのでした。











昼近くになって、だいぶん雲が増えてきましたかね。











蜂の巣です。上が完成形で下が作成中。











たくさん居る割には逃げ足が速くてなかなか撮影させてくれないトカゲ君。
Giant Ameiva (Ameiva ameiva)










雨期に入って咲き誇る花々と、あちらこちらで飛び交う蝶たち。











そして道路をのんびりと歩くカピバラ。











メインロードからさらに脇道へと入っていくと、先ほど私の後ろで待っていてくれたピックアップトラックが走り抜けて行きました。


ここの牧場のスタッフさんなんですかね?


写真右に写ってるのはカピバラの群れですが、目もくれず走り去って行きました。











いや、本当にたくさん居ますね〜。

(メインロードを歩き始めてから3グループ目)









Chestnut-bellied Guan (Penelope ochrogaster)あたりでしょうか。











花に集まっていたハチの仲間。











4グループ目。











羽の綺麗なナンベイレンカク。
Wattled Jacana (Jacana jacana)











5グループ目。











主に貝類を食べる鷹の仲間でSnail Kite (Rostrhamus sociabilis)の雄。










先ほどの5グループ目、警戒中のボス。











いたるところに居たオキナインコたち。











飛ぶと羽の色がきれいなんですよね。











たぶんKiskadeeの仲間。











これも、わりとよく見かける鳥です。(Cattle Tyrant、 Machetornis rixosa)





というわけで、あまりに暑いので昼食の開始時間まで少し余裕がありましたが宿に戻ってきてしまいました。









あ、この子か。

ルイースおじさんが言ってた宿の周辺に住み着いてる1mオーバーのオオトカゲです。
Gold tegu、 Tupinambis teguixin


これまた大きさの割に臆病で、さっさとヤブの奥へと逃げていってしまいました。





部屋の扇風機で少し涼み、昼食時間の12時半になったので、ぼちぼち食堂に顔を出しました。




・・・・



ふむ、やはり時間通りには始まりませんね。


まぁ、のんびりした雰囲気の宿だし、そんなもんでしょう。




というわけで、20分遅れの12時50分に昼食がスタートしました。







ルイースさん(奥)と奥様(手前)が誰より真っ先に皿によそっているのを見て、内心で笑ってしまいました。



いろいろアバウトなところがカジュアルで良い感じです。



というか、お客さん私一人なんですが、こんなに豪勢な食事を準備して大丈夫なんでしょうか?








なかなか美味しそうです。


というか、実際に美味しかったです!



食堂の片隅で一人で食べていたところ、ルイースおじさんが「一緒に食べようよ」と声をかけてくれたので、お言葉に甘えてご夫妻と先ほどすれ違ったルイースさんのお母さんと一緒に御飯を頂くことになりました。


奥様のマリーナさんも英語が堪能で、一人旅をしている私に二人ともあれこれ話しかけてくれます。


奥様は歴史が大好きな様子で、「日本って4000年の歴史があるのよね?」と仰るので、「それは中国ですよ。日本は2000年弱ですかね」と、答えたら、「それでもブラジルの4倍はあるわね。うわやましいわ〜」とおっしゃるのでした。


この自国の歴史の長さを羨む感覚は私にはなかなか実感の出来ない部分なんですが、近代になって開拓された国に行くと、たまに言われる話です。(特にアメリカとかで)


話の流れでこの後の行程について質問を受けたので、どんな感じで巡るつもりか話したら、


「だったら、ブラジルの東側には歴史のある街がいくつも残ってるから、ぜひ立ち寄っていきなさいよ。特にオウロ・プレットは素晴らしいわよ」


と、強く勧められました。

私自身はもともと歴史遺産系にはそれほど高い興味関心があるわけではなく、今回も予定にはまったく入れておりませんでしたが、ここで勧められたのも何かの縁、オウロ・プレットはサンパウロに戻る道中で可能な限り時間を割いて立ち寄ってみることにしました。

ちなみにオウロ・プレットは世界遺産にも登録されているので、日本出発の前から名前だけは知ってました。


そして、マリーナさんの歴史の話はまだ続きます。


「日本の映画も見たことあるわよ。えーっと、17世紀か18世紀ぐらいの歴史物で、、、カゲモ・・・」


「影武者?」


「そうそう、クロサワアキラ!」





さすが世界のクロサワ。


と、ここでルイースおじさんが、


「コッポラの娘がだいぶん前に日本を訪問したことがあって、その時に通訳が話す日本語が長くてね〜。彼女が2秒ぐらい話すと、日本人の通訳の女性が2分ぐらい話すんだよ。日本語ってどんなけ長いんだって(笑)」


と、面白おかしくコッポラの娘と日本人通訳が話したシーンを大げさに再現してくれたので、つられて笑いつつ、


「日本語では例えば、朝の挨拶で「おはよう」というカジュアルな言い方もありますし、「おはようございます」みたいな丁寧で長い言い方もあって、後者は長くなるけど相手を敬う気持ちが含まれてるんですよ」


という説明をしたら、えらい感心されました。


と、ここで、私もひとつ気になっていたことを単刀直入に質問してみました。


「二人はどうしてそんなに英語が上手なんですか?」


「そりゃぁ、必要だから勉強したからに決まってるじゃないか」


という、まぁ、考えてみれば当たり前な返事が返ってきました。


とはいえ、ボニートの旅行代理店や各所の宿、エマス国立公園やボンジャルジンなど英語が通じなくて苦労したシーンのほうが多かったので、きっとルイース夫妻はサービス業を営む者としての意識が高かったんだろうなぁとは思いました。


ちなみにルイース一家は100年以上に渡って代々ここで農家(牛の放牧)を営んできていて、奥様も農家の嫁としてここに嫁いできたんだそうな。


その頃(14年前)は本当にここには何も無かったそうで、蚊だけが大量にいる場所だったそうです。(いや、今でも、そんな感じだと思うのですが)

その後、観光客がたくさん来るようになったので、宿泊施設を立て、英語を勉強して、このロッジを経営をはじめて今に至ると。

ルイースさんのお父さんはクイアバに住んでるんだそうです。(まぁ、街のほうが快適ですしね)



そんな話をしながらルイースおじさんはお母さんの顔を撫でまわしてたんですが、その撫で方が日本人なら絶対にしないようなまるで犬の顔を撫でてるみたいで、これがブラジル式の愛情表現なんだろうかと目が釘付けになってしまいました。



午後の行動予定についてルイースさんに相談しているときに判明したのですが、今年は雨期にしては雨が少ないんだそうです。


普段だとこの時期はメインロード以外は冠水していて普通乗用車では走れないとのことです。


しかし、雨が少ないと言ってもメインロード以外の道やトランスパンタネイラロードの奥地は一回雨が降っただけでも状況が激変するから、今日の午後に行くのはおすすめできないという話だったのと、メインロードだけでも十分動物は見られるらしいので、午後はそこを中心に走ってみることにしました。


メインロードで出会える動物を教えてもらったら、なんと宿の周辺でバクが見られるそうで、「コスタリカでも見ましたよ」とタブレットに保存してあった写真を見せたところ、


「コスタリカに居るのとは別の種類なんだよ。耳が白いから見分けられるよ」


とのことでした。


後で調べてみたら、コスタリカで見たのはベアードバクという種類で、
ブラジルに居るのはアメリカバク(ブラジルバク)と種類が違いました。


いずれにせよバクは夜行性なのでナイトドライブの時に改めて狙うつもりです。楽しみが一つ増えました。



食事を終えてぼちぼち出発しようとしたところ、白人グループが食堂に入ってきて、えらい親しげにルイース夫妻と話しをしていたので常連さんかと思ったら、親戚なんだそうな。



これで、お客さん私一人っきりの状態から宿が少し賑やかになりました。




さて、午後のドライブに出かけますか。







ミドリヤマセミ (Green Kingfisher、Chloroceryle americana)









その20へつづく