
いや、しっかし雨が降るか降らないかギリギリのところまで曇ってきちゃいました。
そして、この辺りで確信しました。
どうやらスマホのGPSが壊れたみたいです。
ハードウェア的な故障でしょうか?
GPSチップが熱でイカレタとか・・・
GoogleMapナビの便利さに心酔し、「もう、これ無しで海外は走れない!」ぐらいに思っていたところだったので、心理的なショックが大きいです。
そんなわけで、GPS無しでこれからどうしようかで頭がいっぱいになってしまい、無口なまま走り続けました。
アルトパライーゾ村に戻る方向に少し走ってから、マテウス君の指示で狭い脇道に入り、悪路を4キロほど走ったところで、、、

Vale da Lua(月の谷)の管理事務所に到着しました。(14:30)
マテウス君に言われるままに入場料(10レアル、450円)を支払い、入場者名簿に名前などを記入します。
後からなんとなく気がついたのですが、ヴェアデイロス周辺の観光スポットは先程の国立公園内の2コース以外はほとんど私有地の中にあるらしく、そういうところは土地の所有者に入場料を取られるシステムになってたみたいです。
笑顔のスタッフに見送られ、どんよりとした空と遠くから聞こえてくる雷鳴、そして何よりもスマホのGPSが壊れたことで、浮かない気分のままザックを背負ってコースに入りました。
谷底を見に行くということで、ここも行きが下り、帰りが登りというコースになります。
歩きながら、スマホのGPSの故障にどう対応するかどうかばかり考えてました。
この時点ですぐに思いついた方法は2つ。
1つ目はGPSロガーにBluetooth接続機能があるので、これをスマホにつないで外部GPSとして使用するという方法。
ただし、これは以前試してみてうまく動作しなかった経験があるので、出来るかどうかわかりません。
2つ目はスマホで現在地を知るのは諦めてタブレットにナビをさせるという方法。
ただし、タブレットをダッシュボードに置く手段は無いので、助手席に転がしておくことになります。これはこれで不便です。
はてさて、どうしたもんか。。。

そうこうしているうちにマテウス君が「ビューポイントに着いたよ」と言いながら大きな岩の上に立ったので、私も岩の上に立って渓谷を覗き込みます。
雄大な景色なのですが、あいにくの空模様なのと頭がGPSをどうするかでフル回転している最中だったので残念ながら感動も半減です。

足元にアロエみたいな植物が生えていて、そういえば伊豆や伊豆七島にも生えてるよなぁ、なんてことを思いながら記録撮影しました。
そして、再び谷底へと下っていきます。

到着しました。
うーむ、思っていたよりもスケールが小さい。
うーむ、曇天。
うーむ、GPS故障が気になる。。。
なんか楽しめません。
マテウス君に自分がなんで浮かない顔をしているのか理由を話し、「しばらくスマホを弄ってます」と宣言して景色も見ずに奇岩の上にあぐらをかいて座りこみました。
まずはGPSロガーをポケットから取り出してスマホとのBluetooth接続から試します。
接続自体は5分ぐらいで成功しましたが、問題はアプリと外部GPSとの連携です。
案の定GoogleMapは外部GPSに対応してくれないようで、まったく認識しません。
頼みの綱はOruxmapsです。
設定メニューに外部GPSの項目があるので理屈では出来るはずなのですが、これがなかなかうまく行きません。
あーでもない、こーでもないと設定を弄っていたのですが、結局どうにもなりませんでした。

周囲が明るくなった気がして顔をあげると太陽光が射し始めてました。
光の当たったこの景色を見たらGPS故障のことが小さなことに思えてきて、やっと吹っ切ることができました。
まぁ、タブレットを使えば、ちょっと不便ですがなんとかなりますしね!
私が立ち上がるのと同時にマテウス君が下流の方へ下り始めたので、後ろをついていきます。

おぉ〜、改めてこれはすごい!
下の方は岩のスケールもでかくなってるんですね!

硬い岩なのですが北アルプスの雪渓が溶け始めた時の景色みたいです。
いったいどのぐらいの時間をかけて削りとったのでしょう?

Vale da Lua(月の谷)とはうまいこと命名したもんです。

私が立っている場所から谷底まで5mぐらいあります。
川は急流ですし、落ちたらただじゃすまないでしょう。

下りきったところの淵で若い男性が4名ほど泳いだり昼寝をしたりしていました。
マテウス君が「泳ぐ?」と尋ねてきたので、「もちろん」と答えて短パンとシャツを脱いで淵に飛び込みました。
あぁ〜、気持ち良い!

これは後から淵の上に立って写した写真ですが、淵の上部は幾重もの滝になってました。
滝壺の深さはけっこう深く、足は余裕でつかないぐらいです。
特に対岸側を少し登ったところから上部の滝を眺める景色が私のお気に入りで、そこからしばらく景色を眺めていました。
マテウス君も途中でこちらに泳いできて、二人でしばらく岩の上にボーっと座ってました
なんともまぁ、贅沢な時間の過ごし方です。
水遊びを堪能した後は服を着てから出発する準備を整え、何気なくスマホを立ち上げたら、突然現在地を測位しはじめました!
どうやらGPSロガーとの連携処理に時間がかかっていただけのようでした。
よし、これで最低限Oruxmapsを使って現在地だけはダッシュボード上で確認できます!
あとは、助手席に置いたタブレット端末でGoogleMapナビに音声で案内させればOKです。
これですべて解決!
では、出発しますか。

下ってきた道とは少し違う道を登って管理事務所に戻りました。(15:40)

そして車で悪路を4kmほど走り、GO-239号線でアルトパライーゾ村を目指します。
そう言えばと思い出し、「今日中に送るよ」とメールに書いてあった今週のダイビングの予定のメールが届いているかどうか確認したところ何も来てなかったので、マテウス君に私の携帯を渡して確認の電話をかけてもらいました。
マテウス君がかけたら電話はあっさりとつながり、「すでに送ったはずだけど、届いてないんだったらもう一度送るよ」とのことでした。
念のため1月10日に私の予約が入っていて潜れるかどうか確認してもらったところ、それは大丈夫とのこと。
よかった、これで確実にダイビングが楽しめそうです。

シャパーダの景色を眺めながら(前方左、鯨丘(Whale Hill)です)、マテウス君と「ヴェアデイロスはいつか世界的な観光地になっていくだろうね」という話をしました。
いまでこそ日本人は殆ど誰も知らないでしょうし、ポルトガル語の案内しか無いところを見ると地元の人がちょろっと遊びに来てるだけみたいな場所ですが、世界遺産にも登録されてますし、なにせ景色が素晴らしいので、人気に火がつくのは時間の問題のような気がします。
そして、話題は日本のことに移り、マテウス君の日本のイメージとして「ワーカーホリックな人が多く、自殺率が高い国」と説明するので思わず苦笑してしまいました。
まぁ、心理学専攻ですから、日本のそういうところを知ったんでしょうね。
「私はワーカーホリックと真逆のタイプだから、まず自殺はしないだろうけどね」と、言っておきました。
マテウス君に「今度日本に遊びに来てよ」と声をかけたら、「いつか必ず行くよ」と、答えてくれたので、日本で再会できるのを楽しみにしておきましょう。

さて、アルトパライーゾ村が見えてきました。(16:30)
今日は少し曇りましたが全体的に晴れの天気が続いて良かったです。
そして、こんなところで思い出したかのように腹痛が始まりました。
宿に到着してから受付に顔を出し、すぐにマリーナさんに声掛けしてトイレを借りました。
セーフ!
国立公園のど真ん中でするはめにならなくて良かったです。
それから、本日のガイド料を支払おうと思ったのですが、よくよく考えたらマテウス君に直接払えばよいはずなので、マリーナさんにマテウス君を呼び出してもらって直接150レアル(6750円)を手渡しました。
するとマテウス君が「こんなにもらっていいの!?」という顔をして喜んでいたので、たぶん150レアルというのは正規ガイド向けの料金でマテウス君は普段はこんなにもらってないか、マリーナさんが紹介料で中抜するつもりで彼にもっと少なく伝えていたのかどちらかだったのだと思います。
マテウス君とフェイスブックアカウントの交換をし(彼のスマホは韓国LG社製で、たぶん私のideosと同じぐらいの値段のものです)、フェイスブックアプリですらギリギリの性能でしたが、宿に到着するなりスマホでゲームなんかをしていたので、マテウス君も今どきの若者だなぁって思いました。
それから洗濯物を取り込みました。
スコールは降らなかったらしく、ちゃんと乾いておりました。
あとはネットのつながる今のうちにタブレットのGoogleMapナビで予約をとってあったサルバドールの宿までのルート検索をしておきました。

アルトパライーゾ村(左)からサルバドール(右の海岸沿い)に行くのに、北回りのコース、中央コース、南回りのコースと3つの候補が出てきて、個人的にはブラジル国内を一周回る円を少しでも大きくする目的で一番北周りをしたかったのですが、これだと距離が長すぎるので残念ながらパスしました。
まぁ、どれも大して違わないという話もありますが。
中央コースと南コースの2つについて、マテウス君に道の状況を訪ねてみたのですが、「僕はここから東方面には行ったことがないからわからないよ」とのこと。
まぁ、そんなもんですよね。
直感ですが、道が良さそうなのは南のコースです。
今日これから出発してちょうど良い時間にそこそこの規模の街に入れそうなのは中央コース。
やはり宿の確保が問題になりそうだったのと、南コースはもしかしたらブラジリアからサルバドールに抜けるトレーラーがわんさか走ってるかもしれないと思ったので、最終的に中央コースをチョイスしました。
では、ぼちぼち出発しようかとマテウス君に声をかけたら、「パンがあるから食べて行ったら?」と、食堂に誘われたので、遠慮なく頂いておくことにしました。
マテウス君は食堂スタッフの女性と仲が良いらしく、厨房に入って焼きパン(朝食で出したパンの残りをカリッカリに焼いたもの)を摘んでました。まかない飯ってところでしょうか。
ジュースも出してくれたので、これもありがたくいただきました。
さて、そろそろ行きますか。
マテウス君と握手をして別れ、受付のマリーナさんに声掛けしてから出発しました。

さーて、サルバドールに向けて走りますよ〜。(17:20)

アルトパライーゾ村から北へGO-118号線を国立公園の縁に沿って走っていくわけですが、スマホのOruxmapsによると、現在地の標高は1500mを示しています。

窓を開けて走ると気持ち良い気温です。
景色も気温も最高!

ん?
ちょっと道の状態が悪くなりましたかね?

穴は塞いでありますね。
これなら大丈夫です。

グローブボックスの蓋を開いてそこにタブレットを置いてみましたが、やはり30分に1回ぐらい床に落ちるので、諦めて助手席に置きました。
まぁ、田舎道では音声案内だけ聞こえればなんとかなりますしね。

おーーーーーーっと!!!
珍しく轢き殺されたアルマジロじゃなくて、ちゃんと生きて動いてました。
慌てて車を路肩に停めて、アルマジロが居たあたりにカメラを持って走っていきます。
たぶん道路の2mほど下に広がる牧草地に逃げ込んだんだろうとあたりをつけて降りて行くと、「ガサガサガサ」とアルマジロが逃げていく足音が聞こえてきました。

足音を頼りに追いかけていきます。

人間の本能なのでしょうか、姿が見えなくてもちゃんと追いかけられます。

昔はこうやって小動物を捕まえてたんでしょうね〜。

たまにお尻が見え隠れします。

土手を登り始めたのですが、ここは人間のほうが速かったです。

逆に道路脇みたいな開けた場所ではなかなかのスピードで走ります。
というか、全力で走る後ろ姿がかわいすぎです。
でも、車に轢かれたらまずいので、回りこんで草むらの方へ誘導しました。

体力が尽きたのか走るのを止めたので、前に回り込みます。

アルマジロくんです。(ムツオビアルマジロ、Six-banded Armadillo, Euphractus sexcinctus)
体長は40cmほど。

手で掴んでよいのかわからなかったので触らなかったのですが、お腹がどうなってるのか見てみたかったです。
(全然OKっぽいです)
って、彼にとっては生きるか死ぬかの全力疾走だったわけで、ちょっと申し訳ないことをしてしまいました。
いやぁ〜、でもかわいかったです。

さて、行きますか!
その30へつづく