ブラジルドライブ旅行記 24

目次










アナポリスからはBR60号線に入るのですが、さすがに首都に近づいてきただけあって、片側2車線のすばらしい整備具合の道路です。


しかし、これが高速道路っぽい見た目に反して40km制限区間が続くので、何かの間違いかと思ったのですが、速度制限看板には「40」ってちゃんと書いてありますし、延々と取り締まりレーダーとバンプがセットで登場するのでした。


どうなることやらと思っていたのですが、アナポリスからしばらく走ったところで、ようやく100km制限に切り替わりました。



制限速度の切り替わりとレーダー探知機の見落としが怖いので、基本的に誰かの後ろについて走っていたのですが、前を走っていた車がペースを上げたのでついていけなくなり、「誰か抜いてくれないかなぁ」と思いながら、単独で緩い下り坂のカーブを走っている時にネズミ捕りに遭遇しました。(紺色のバンが道端に停まっていて、2人組の警察官がスピードガンでこちらを測ってました)


「こんなところで!」と、思いながらアクセルゆるめて減速を行い、スピードメーターを確認すると100kmちょうど切ったぐらいです。

うーむ、微妙。


(帰国後、何の請求も来ないのでセーフだったみたいです)








ブラジリアまであと30分ぐらいのところでマクドナルド発見。


久しぶりに見た気がします。










その向かいにはキリンのブラジル工場。


地球の反対側まで進出してるんですね〜。









先ほどのネズミ捕りの件があったので、先導車を必ずつけるようにしてブラジリアを目指します。











ものすごく立派な横断歩道です。


ケニアのナイロビにもこんな横断歩道がたくさんありました。











ナビに従いブラジリアの街中へと入って行くと、各社のディーラー集積地みたいな場所があって(写真だと対向車線側にあるのが三菱のディーラー)、もしかしたら、ここにあるんじゃないかと思ったのですが、フォルクスワーゲンはありませんでした。



その後しばらく走っていると、GoogleMapには登録されてない場所ですが反対車線側にフォルクスワーゲンの看板が見えたので、慌ててUターンしま した。
(片側4車線、側道2車線、合計12車線みたいな道ですから、Uターンも専用の場所が用意されています)








フォードとフォルクスワーゲン、あとはヒュンダイの3社が同じ敷地にディーラーを出している場所でした。(12:00)

ものすごく立派な建物で、3社分端から端まで歩いたら10分以上かかると思います。







とりあえず作業ピットっぽい場所に車を停め、近くに居た黒人の若い女性スタッフに声をかけました。


バンパーの状況を見てもらい、スマホの翻訳ソフトを使って部品を買いたいということを伝えたら、ちゃんと伝わりました。



「取り付けはしなくて良いのですか?」


と、質問されたのですが、ここはあえて「取り付けしません」と答えました。


というのも、前回クイアバで直してから数日で再び吹き飛ばしてしまったので、今ここで直しても、またどこかで顎をぶつけて外れてしまうかもしれず、修理自体はサンパウロに到着する寸前にしようと考えたからです。



お姉さんのジェスチャーに従い後ろについて歩いて行くと、新車を販売しているコーナーの中を通過してサービスデスクに到着しました。








唯一一箇所しか無い受付では白人の男性が何やらクレームを入れてる真っ最中で、なかなか私の順番がまわってきません。


若い女性スタッフ(写真右)は親切なことに私と一緒に辛抱強く待ってくれ、10分ぐらいしたところで、二人の話に割り込む形で要件を伝えてくれました。



そして、なにか一言二言受付のスタッフと話したあとに「ついてきて」というジェスチャーをしたので、再び彼女の後ろについて歩いて行きます。


結局、自分の車のところまで再び戻ってきて、そこで何かを伝えようとしたのでスマホの翻訳アプリを立ち上げて直接操作してもらって話を聞いいてみると、「車の写真を撮って、先ほどの男性スタッフに見せればOK」とのことでした。







というわけで、バンパーの部分の写真をスマホのカメラで撮り、再び先ほどのサービスデスクのところに歩いて移動します。



到着するとすぐに、タイミングよくクレームを入れていたおじさんが渋々という感じで立ち上がって行ってしまったので、早速スマホで撮影した写真を男性スタッフのお兄さんに見てもらいました。



お兄さんは慣れた手つきでGoogle翻訳のページをPC画面に出して、


「この車、何年製?」


と、質問してきたので、


「レンタカーなので、わかりません」


と、答えました。


その後、お兄さんは部品発注に使う専用の画面に切り替え、2012年製のVoyageや2013年製のVoyageの各グレードの部品を二人で確認したのですが、結局確証に至ることができなかったので、二人で再び私の車のところまで歩いて直接確認することになりました。
(ディーラーの建物が無駄に大きいので、サービスデスクから車を停めたところまで片道3分ぐらいかかるんですよ、これが)


実車を見てお兄さんが「あぁ、これね」という顔になったので、たぶん確信が持てたのでしょう。


再びサービスデスクまで2人で歩いて戻り、PCの専用ソフトに何やら打ち込んだ後、お兄さんはカウンター奥にある部品庫で働いてるスタッフに部品を頼んでくれました。


というわけで注文はしてもらえましたが、部品が今すぐに手に入るのかはっきりとしていなかったので、PCの翻訳ソフトに「今すぐ入手できますか?」と打ち込むと、「大丈夫だよ」とのこと。



いやぁ、良かった良かった!



正規の値段は26.5レアル、しかも私が頼んでいないにもかかわらず少し値引いてくれ、値段を打ちなおして25レアル(1125円)にしてくれました。

クイアバでは中古部品でしたが、ずいぶん乗せられてたみたいです(笑)(あちらは40レアル)

なるほど、ディーラーで新品買ったほうが安かったですね。

勉強になりました。



「支払いは別の場所で」ということで、彼の後ろについて支払いコーナーに移動します。


なんでもCPF(国民番号)が無いと部品の購入手続きができなかったとのことで、お兄さんが気を利かせて彼自身の番号を使って購入手続きをしてくれたんだそうです。


なので、事務手続き上、彼が部品を買ったということになっていて領収証がもらえなかったのですが、まぁ、これは問題ないでしょう。







しばらくすると、部品庫から梱包材に包まれたパーツが出てきました。

お兄さんが中身を取り出してくれたので確認すると、ピカピカのパーツが出てきました。


「これです!これです!」


取引完了情報をPCに打ち込んでもらい、ようやく朝からすったもんだした部品獲得の旅が終わりました。

部品を手にした時は本当に嬉しかったです。

(今思えばそんなに大騒ぎするようなことじゃないんですが)



お兄さんはシルバさんというお名前で名刺をもらって握手しながら「あなたが親切にしてくれたことは忘れません」と英語で言おうとして、


「I remember your kindness・・・」と言い始めてから、文法間違いに気付いたのですが、とっさになんと言い直したらよいかわからずに詰まってしまいした。


I will always remember your kindness. もしくは、I'll never forget your kindness.が正解なわけですが、、、。あ〜、お礼を言いたいのに伝えられないもどかしさ!

まぁ、でも私の表情で感謝の意は伝わったことでしょう!



車のところに戻るとVoyage号の側に先ほどの若い女性スタッフが立っていたので今しがた獲得した部品を見せて、お礼を言いながら握手してから車に乗り込みました。



昨日の果てしなく続いた長距離運転に本日のネズミ捕り(この時はスピードオーバーしてたと思い込んでました)、そして部品入手で苦労するなど、ここまでいろいろありましたが、これでようやく観光モードに気持ちを切り替えられます。




ディーラーの駐車場でナビの目的地を「カテドラル」にセットしてから出発しました。







はてさて、未来都市ブラジリア、どんなもんなでしょう?









中心部付近に近づいてきました。



※ブラジリアをまったく知らない人向けの簡単な説明
今から50年ほど前に当時の首都だったリオデジャネイロからセラードのど真ん中に人工都市を作って遷都をするという壮大な計画の元に作られた政治を司ることに特化した人工都市です。
将来訪れる自動車社会を見越して車での移動を再優先に街づくりが行われ、オスカー・ニーマイヤーによる先鋭的なデザインの建物が道路脇に整然と並び、まさに1960年代に皆が想像していたであろう未来都市が出来上がったというわけです。
遷都から40年弱後の1987年、都市としては異例とも言える若さで「人類の創造的才能を表現する傑作」、そして20世紀を代表する建物群として世界遺産に登録されました。(都市で世界遺産に登録されるのはほとんど数百年昔のものですし)



事前にOさんからブラジリア中心部の発展具合とそれを取り巻く都市の貧困具合とのコントラストを見てきて欲しいと言われていたのですが、ずいぶん手前から発展した都市を眺めているうちに中心部に入ってしまいました。

これは後ほど読んだ本で事情がわかりました。

ブラジリア完成当初は工事に携わった人々や職探しで集まった人(主に貧困層)が住むファベーラ(スラム)が周辺に出来上がってしまい、そのことが注目を集めたようです。さらに建設費用などの財政負担から来る経済破綻含め、ブラジリアは計画都市の壮大な失敗例として近代史の中で位置づけられていたみたいなのですが、昨今のブラジル経済の躍進に伴い、衛星都市含めて一気に開発・発展が進んで、今ではそういった風景は見られなくなったんだそうです。









さすが首都、近代的なビルが並んでます。


サバナ気候のセラードと言えどもここは標高1000mということで、少しは涼しいのかと思ったのですが、道路脇の温度計で32度とか29度と表示が出ていて、けっこう暑いです。










さて、官公庁の並ぶメインストリートに入りました。








(Wikipediaの衛星画像より)ブラジリアの中心部は飛行機の形で街が設計されてるんですが、今、右の翼から入って機首に向かって走ってるところです。


飛行機の部位ごとに居住区とか官公庁区、ホテルが集まってる場所などがあります。










お〜、これがカテドラルですか!(奥の王冠みたいな建物)



意外に小さいんですね。


もっと巨大な建築物を想像してました。








左右に並んでいるのが省庁のビルだそうです。

(てっきり団地が並んでるのかと思ってました(笑))











というわけで、カテドラル(ブラジリアカトリック教大聖堂)に到着です。(Catedral de Brasilia)(13:20)











ブラジリアを紹介するときに真っ先に出てくる建物で、高さ40mあるらしいのですが、それほど大きくは見えません。


このデザインはキリストが被ったイバラの冠をイメージしているんだそうです。









ありゃ、聖なる建物なのにゴミが散らかってますね・・・











天井は視界いっぱいステンドグラスになっていて圧巻です。

写真の通り、外から見えている地上の王冠部分の中身はすべて空洞になっていて、我々は地下に降りて立っているようなイメージです。

空中に浮かんでる天使はアルミ製だそうです。



ステンドグラスの外側には水が流されているらしく、その気化熱と人の居場所が地下にあるという構成のおかげで、この外気温の中でもエアコン無しでも涼しく保ててるんだとか。


事前の予習でそのことは知っていたのですが、本当に涼しいので、実はエアコンがあるんじゃないかと探してしまいました。(見たところなかったです。50年前にすごい発想ですね!)



カテドラルの中でメモ録音をしていたら声が建物内で綺麗に響くことに気が付き、「ア!、ア!」と一人で大声を出して、反響具合の実験をしてしまいました。




さて、私はキリスト教信者じゃありませんし、次に行ってみますか。








イタマラチ官邸 Palácio do Itamaraty。

外務省、迎賓館といったところでしょうか。

風が吹いてなければ綺麗に水面が反射したんですが、この時は残念ながら風が強く吹いていてご覧のとおりでした。








その斜め向かいが連邦議会(Congresso Nacional)です。

ちょうど飛行機の機首の部分にあたります。


皆さん路駐してます。


というか、路駐できないと各建物の見物は大変です。



警備の人とかもみかけませんし、行政の中心地でありながら、なんか大らかな感じがします。









左側の凸型のドームが上院(Senado Federal)、右側の凹形をした建物が下院(Câmara dos Deputados)だそうで、これらはカテドラルと一緒で蓋みたいなもんで、人間は涼しい地下で会議を行う構造になっているんだとか。







右斜め前に見えているのが最高裁判所です。(Supremo Tribunal Federal)


道路がどん詰まりになってますが、ちょうど機首の右前にあたる部分で、道は左に曲がってます。

(この辺りの道路は全て一方通行です)










写真だけ撮った三権広場。(Praça dos Três Poderes)


飛行機の機首の前にあります。









連邦議会中央のH型のビルには議会事務局が入っていて、高さは28階建。ブラジリアで最も高い建物だそうです。











大統領府(Palácio do Planalto)。

大統領はここで仕事をします。










建物から水が豪快に流れ出ている法務省(Palacio da Justica)。


道路の向かい側に路駐してたんですが、道幅があるし横断歩道は無いし、車もけっこう走ってくるので、こちら側に渡って来るのに一苦労でした。








ちなみに渡った理由はこれ。(法務省の建物を見に来たわけじゃないのです)




ちょうどお腹が減ったところで屋台を発見したので、食料調達に来たのでした。










私が団地と勘違いしていた官庁街(Esplanada dos Ministérios)です。


デザインセンス、50年経った今でもまったく古びてない気がします。









先ほどの屋台で注文してから待つこと5分、ハンバーガーみたいな食べ物が出てきました。


食べる前は美味しそうに見えたんですが、残念ながらそれほど美味しくはなかったです。

揚げた麺とパクチーが入っていてアジアン風味なんですけど、なんか旨味がないんですよね。




あと、とにかく暑い!!





さて、お腹も満たされましたし、見たかった建物群も拝めましたし、そろそろ本日の宿(ヴェアデイロス平原国立公園近く)に向けて走りますか。



スマホナビをセットしてっと・・・

いやぁ、便利ですね。これが無いとブラジリアみたいな立体交差が続く大きな街はとても走れません。




いざ出発。(14:10)







対向車線との間に広場があり、その先にテレビ塔が見えた時(広角レンズなので小さく写ってますが、実際は高さ200m以上あります)、名古屋とか札幌の中心部を思い出しました。









その25へつづく