-------------インドネシア ドライブ旅行記(目次)


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15日目(1月10日(土))




雨が屋根を叩く音で目が覚めた。(4:00)



しばらく雨音に耳を傾けていたが一向に止む気配がないので外に出て様子を確認してみたら、実は雨自体はすでに止んで空には月が見えていて、濡れた葉っぱから雫が落ちてきて屋根を叩いているみたいだった。


チチャッなんかもそうだったが、トタン屋根って雫が当たる音が大げさに鳴るんだよね〜。

すごいスコールでも降り続いてるのかと思っちゃったよ。



そして、昨日の夜から気になっていた若い女性からのメール、改めて中身やメアドを確認してみたら、どう見ても本物っぽかったので、たぶん送り先を手打ちする時にミ スタイプしたんだろうと判断して、ついつい返信してしまった。(もちろんこちらの身の上は一切明かさない形で)


メアドからして職場に届くことになるけど、これを読むのは成人式の連休明けの火曜日だな。


さて、どうなることやら。







そのまま朝6時まで時間を過ごし、ボビーさんの奥さんが早起きして作ってくれたオムレツとパンを食べて出発準備は完了。









なんだ、そんなところに居たんなら、中に入れてあげればよかったよ。(写真は私の部屋の前、部屋に入れちゃ駄目なのかもしれないけど)


本日もジャックさんが案内してくれるということで、二人で昨日と同じように車でタンココ・バトゥアングス自然保護区に向かった。


昨日でだいたい見たかった動物に出会えてしまったということもあって、ちゃんと見られなかったサイチョウ、あとは明るいところでセレベスカワセミを観察する(撮影する)、それといつでもどこでも逢えるかと思ってろく に見てなかったクロマカウにもう一度会ってみたいという3つのリクエストを出しておいた。

自然保護区に入って駐車場に向かう道の途中でボビーさんと一緒にこちらに歩いてくるポーランド人の母娘とすれ違った。

車を停めて二人に話を聞いたら、娘さんが「タルシウスを見たの!」と大喜びしていた。


間髪入れずにボビーさんが「でも1匹だけだけどね」とガイドのプライドもあってか残念そうに一言付け加えたのだが、すぐに娘さんが明るい声で「1匹だけでもすっごくかわいかったから私は十分!」 と、答えていたのには大いに和まされた。


そうそう、旅を楽しむためには何事も前向きに考えないとね!


昨日と同じ駐車場に車を停め、ジャックさんが私のザックを持って行こうとするのを断って自分で担いでから、いざ出発。







まずはトカゲ君。(これは自力で見つけた)



続いて写真は無いんだけどパラワンツカツクリ(Philippine_megapode、Megapodius_cumingii)に遭遇。

地面を歩く鳥で、メモ写真を撮る前に逃げていってしまった。








続いてチャバラショウビン(Green-backed_Kingfisher、Actenoides_monachus)。


この鳥は他の人のブログに頻繁に登場するのを見て簡単に見られるかと思ってたけど、案外2日目まで遭わなかった鳥だった。


セレベスカワセミなんかの3倍ぐらいのサイズの大きなカワセミである。(日本で言うところのヤマセミサイズ)







ジャングルの風景をメモ撮影。


椰子の葉は端っこがノコギリ状になっていて、うかつに半袖で突っ込んで行くと、簡単にスパッと切り傷ができてしまう。








やっとまともな写真が撮れたチョウの仲間。



と、ここで自然保護区のレンジャーさんが何かを観察しているのに遭遇した。

どうやら向こうにクロザルのグループが居るらしく、ジャックさんから「まだ人間とそれほど接触してないグループで現在遠くから観察中とのことで、これ以上近づかないよ うに」と指示された。








というわけで、私もちょっと遠くから観察。(30mぐらい離れている)










うむ、実に人間臭い動き。


地上で過ごすサルの観察は見ていて飽きない。(木の上に居るタイプは枝葉が邪魔で観察しづらいし、グルーミングとかのシーンにもなかなか出会えない)



さて、満足したし、次に行ってみますか。




ジャックさんは昨日私が「何でも紹介してね!」と頼んでいたことを、ちゃんと覚えていてくれ、、、









今日もクモを紹介してくれるのであった。。。



「いや、クモは紹介してくれなくてもいいかな」


とは、言わずに黙って写真を撮る私。



クロマカウも他のサルにグルーミングをしたりして気を遣っていたが、私も多少は気を遣うのである。






午前中のツアーということもあって特にオーダーはしていなかったのだが、夜行性のタルシウスの木に立ち寄ってくれた。


木の中でおとなしくしているところを軽く観察してからセレベスカワセミのポイントへ向けて移動開始したのだが、ちょっと歩いたところで急にちゃんとタルシウスを観察したい欲求が湧き上がり、ジャックさんにお願いして先ほどのタルシウスの木 まで戻ってもらった。

出発する前にタルシウスはオーダーしてなかったのと、少し歩いてから戻る格好になってしまったので、恐る恐るお願いしたら、「Why not!?」と、返された。

これ、ケニア山でエリックにビール奢った時以来久しぶりに聞くセリフだ。

すぐに使えるように覚えておこう。



ちなみに、先ほどの木には少なくとも4匹以上のタルシウスが暮らしていた。


親子も居たけど、残念ながら覗いた瞬間に逃げられたので写真は撮れず。







というわけで、大人しい子をじっくり観察。









タルシウスも表情豊かで見ていて飽きない。









あくびが終わった瞬間。










他の個体は観察しようと近づいただけで穴の上の方へ逃げちゃったのだが、この個体だけはいつまでも付き合ってくれた。









ほぼ180度回転する首。









邪魔してごめんね〜。



よし、満足。

さて、セレベスカワセミを探しに行くか!



(昨日と同じようにスマホに録音された鳴き声ファイルで探索)



・・・・・・



しかし、本日は惨敗だった。



昨日はあっさり見つかったし、報告を受けたボビーさんもそれほど反応してなかったので、もしかしたら簡単に見られるのかもと思っていたのだが、やはりジャックさんが 最初に言っていた、「超プレッシャーだね」という感覚のほうが正解だったらしい。



残るターゲットはサイチョウ。


サイチョウ自体は昨日も何度か目にしていたが、だいたい30mから50mはあろうかという木のてっぺんに居て、けたたましい鳴き声が聞こえた時は飛び去っていく時 だった。


セレベスカワセミに比べれば数が多いので見つけること自体は大変じゃないんだろうけど、ちゃんと観察するとなると別の話なのである。


探し始めてからは想像していた以上に長距離を歩いてようやく観察できそうな場所に停まって居るのをジャックさんが発見した。



ジャックさんが「音を立てないように静かにここまで歩いて来て」と指示を出したので、そーっと、そーっと歩いて移動した。




まずは証拠写真。






便利ズームにて。アカコブサイチョウ(Sulawesi_Red-knobbed_Hornbill、Aceros_cassidix



あの大きさ、翼長は自分の身長ぐらいありそうだな。(と、思って調べたら150cmだった。やはりでかい)








こちらが雌。


我々の気配を感じたからか、すぐに隠れてしまった。








そして雄。


サイチョウは真っ黒なやつをケニアでも見たけど、こちらは世界で一番綺麗なサイチョウと言われてるのも納得の美しさである。


もちろんスラウェシ島の固有種。


いやぁ、ちゃんと見られて良かった。


さらにこの後すぐにカオジロサイチョウ(Sulawesi_Tarictic_Hornbill、Penelopides_exarhatus) にも出会えたのだが、同じサイチョウだと勘違いしていたので写真を撮らなかった。
(後で調べたら半分ぐらいのサイズの地味めなサイチョウだった)



他には青くて綺麗なセレベスクロエリヒタキ、(pale-blue_monarch、 Hypothymis_puella)、昨 日も見かけたアオミミショウビン(Lilac-cheeked_Kingfisher,Cittura_cyanotis)なんか を観察しながら駐車場に戻ってきた。


今日は昨日ほどツイてる日ではなかったけど、今にも降りそうな雨が降らずにもってくれたし、見たかった動物はほぼコンプリートで十分満足できたガイドツアーだった。


あと、ジャックさんのガイディングレベルが非常に高くて、一緒に歩いていて本当に楽しかった。


そう言えば、サイチョウを探してる時に急に腕がピリピリ痛み始めたんだけど、車を運転してる時に水ぶくれが出来はじめた。

これ、大学生の時に北海道の林の中でショウジョウバエを採集してる時に食らったツタウルシの毒みたいなもんだな。


まぁ、こういうのは避けようがないからしょうがないな。



宿に戻ってから(チェックアウト時間は過ぎていたけど)シャワーを使わせてもらい、いつでも出発できる準備を整えた。


昨日と同じようにタブレットに今日見た動物一覧を打ち込んでもらい、あとは精算して出発しようと思ったところでボビーさんと奥さんが食堂にやって来た。


ジャックさんには伝えてあったんだけど、今日はトンダノ経由でトモホンに向かう予定でそろそろ出発したいのだが、ボビーさんはそんな事情を知らないので、「撮った写真を見せてよ」と言 いながら机の上に置いておいたデジイチを手に取り、1枚ずつ丁寧に眺めはじめた。

写ってる動物を見ながらタンココの生物について何か解説してくれるんじゃないかと思ってそのまま待っていたのだが、サイチョウのオスメスを教えてくれたぐらいで、他は特に解説しはくれなかった。

どうやら、本当に私が何を撮影したのか見たかっただけらしい。


そして、「ボクは日本人が大好きでねぇ、なんせすごいいっぱいチップを払ってくれるから」と話が始まって、せっかくの自然保護区探索気分がすっかり覚めてしまった。

なんでも、ここを贔屓にして何度も来ている老齢の日本人カメラマンが居るらしく、その人が毎回すごいチップをくれるもんだから、それを元手に宿の設備を アップグレードしちゃったんだそうな。

確かにお陰様で私はエアコン使って快適に寝られたわけだけど、日本人だからと言ってそのエアコンを使うか使わないかで真剣に悩んだ私にはそんなチップを期待 されても困るのである。(いや、期待してたわけじゃなくて、ただ単にインドネシア人特有のあっけらかんとした性格で事実を話しただけかも知れないけど)
まぁ、どこのどなたか知らないけど、良かれと思ってそんな大金をホイホイ渡したら、誰でも感覚おかしくなっちゃうよなぁと、ちょっと微妙な気分になった。


この時に聞いた話によるとボビーさんはBBCだのナショジオだの日本含めて世界中からやってくるプロカメラマンのガイドをしているらしいので腕は確かだろうし信用も築い てきたんだろうとは思うけど、昔ここを訪れた人のブログを読むと、建物は素朴で「タンココの自然が好き!」という人たちが集まる場所というイメージだったのだが、 今は経済成長著しくお金もある程度入ってくるようになってビジネス(というよりも金儲け)のことで頭がいっぱいになっているみたいだった。これはボビーさんに限らずインドネシアの観光 地で働いている人全般に言える話である。(今思い出してみると、ケニアの観光地もだいたいそんな感じだった) 

その後もロッジ経営の話が延々と続き、これからはダイビング関連に手を広げたいなんてところまで夢は広がっているらしい。
(早く出発したいのになんだかんだと全部話を聞いてる私)


話を聞きながらふとジャックさんを見ると、ボビーさんの横ですごい怒った顔をして「いいから早く出発しなよ」と表情でサインを送っていた。


「そうだね」と、こちらも表情で返事をしてから、「ボビーさん、悪いけどもう出発しなきゃならないんだ」と、強引に話を切り、ジャックさんにガイド料2日分、 ボビーさんに宿泊費を支払った。(合計13000円なり)
もちろんジャックさんにはチップを弾み気味で、ボビーさんには常識の範囲で渡した。


さて、行きますか!


ジャックさん、本当に面白かったよ。

ボビーさん、ロッジ経営の話はともかく、奥さんの料理は美味しかったし、とっても快適に過ごせたよ。いつか、その腕を活かしてスラウェシメンフクロウに会わせてね。


二人に手を振りながら車を発進させた。



つづく