-------------インドネシア ドライブ旅行記(目次)
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そうこうしている内に、本日ガイドを担当してくれるイワンくんが宿まで迎えに来てくれた。

お互い自己紹介を済ませ、本日のコースの確認をしてから出発した。

化石拾いに引き続きバイク移動。
道中イワンくんとあれこれ話したのだが、彼はサーファー出身だからか、それとも単に若いからかやたらと女性関連の話題が多いので適当に相槌を打つ。
おじさん(私)、もう枯れかかってるんだけどね(笑)
(というか、もしかしたら彼は日本人の常連客をたくさん抱えているらしいので、彼らがそういう話題が好きなので、私もそうかとあわせてくれたのかもしれない)

なるほど、海辺がこれだけ混んでるんだったら、確かにバイクで来たほうが速いな。

程なくチャガールアラム国立公園の入り口に到着した。
周囲にはイワンくんと同じオレンジの制服を着たオフィシャルガイドがたくさん居た。
国立公園の入場料は後でイワン君に払えば良いということで、飲水だけ買って中へ入った。
その時、なんか外人だけすっごい高い値段が表示されているのが見えたのだが気のせいだろうか?(気のせいじゃなかった)
では、レッツゴー!

最初は整備の行き届いた道からスタート。

国立公園に入ってすぐに登場したのが旧日本軍が使用していたという塹壕。
これは囮用だとか。

こちらが本命で、囮の塹壕の様子を見に来たアメリカ兵をここからこっそり出てきて上から攻撃したんだとか。
中を見物した際に実際にこの出入口を使ったのだが、大人一人が頭を低くしてギリギリ通過できる大きさだった。
イワン君曰く、日本人の(アメリカ人に対する)体の小ささを逆手に取った大きさで作られているらしかった。
先日のシンガポールの自然保護区もそうだったけど、南方系にはこの手の史跡がたくさん残ってて、日本人としてはとても複雑な気分になる。
(イワンくんは私に気を遣ったのかどうかはわからないが、「日本人は頭が良い!」という前置きをつけて解説してくれたのだが)
ちなみに、小学生の頃に宇宙戦艦ヤマトから転じで太平洋戦争史を読みあさったことがあり、最近も敗戦の理由に関する本を読んでいたので実に感慨深く見させてもらった。

イワンくんに自分は生物科出身だから植物でも動物でも昆虫でも何でも紹介してよと頼んでおいたので、リクエスト通り植物を丁寧に解説してくれた。
サーファー出身で最初は女の子の話ばかりしてたので大丈夫かいなと内心思っていたのだが、その辺はきちんとしてるみたい。

猿の仲間。
樹の枝をどんどん移動していくので、写真を取るのが案外大変だった。

ガジュマルの仲間。

ガイド無しで歩けるのはここまで。(暑いからか、イワンくんはすでに制服を脱いでいる)
木が切り開かれているのはガイド無しで入りこむ侵入者を見つけやすくするため。
とは言え、常時監視員が立ってるわけではないので、ガイド無しで入っちゃってる子達にも後から出会った。(イワンくんに注意されていた)

シンガポールに引き続きセミを発見。
アブラゼミ以外のセミはなかなか見る機会がないので、これはこれで貴重な体験。

すれ違った子ども達がイワンくんの「勝手に入っちゃ駄目だよ」という注意を軽く聞き流しながら、「水頂戴!」とイワンくんの水を飲み始め、全員が回し飲みをしたので、いっきに空になってしまった。
それでもイワンくんは子どもたちを怒ったり文句を言ったりしないで優しい目で見ていたのが印象的だった。
というか、あと数時間ジャングルの中で行動するのに水が無しってのもかわいそうなので、2本買っておいた水のうちの1本を後からイワンくんにプレゼントし
た。
というわけで、ここで水を飲んだ子どもたちよ、水をあげたのは日本人のおじさんのほうだからね!

というわけで、奥へ進むに連れ大分秘境っぽい雰囲気になってきた。

再びセミ。
鳴き声で存在はある程度わかるにせよ、このセミをすぐに見つけたのはイワンくんお見事。
(遠い・小さい・目立たないの三拍子が揃っていた)

ズンズンと奥へ進む。

枯れてしまったラフレシア。
本来は毒々しい鮮やかな色のはず。
なんでもラフレシア目当てに何十回もここを訪れている日本人のおじさんが居るとかで、パンガンダランでは超有名人なんだとか。
ちなみに、イワン君いわくヨーロピアンは大抵グループで来るけど、日本人は一人で来るパターンが多いとのこと。
確かに俺は一人だしね。
そう言えば、今回の旅ではスメル山の下山時以外に「アローン?」攻撃を食らってない気がするんだけど、インドネシアでは一人旅をする日本人が多いから
かもしれない。

こうなってくると、どこがトレッキングルートだかさっぱりわからない。
国立公園自体迷子になって死ぬような広さじゃないけど、迷わず歩こうと思ったらガイドが必要なのはよくわかる。

変わった花を咲かせていた植物。

こちらはラフレシアの蕾。
この状態になると、後数週間で咲くんだとか。

岬の南端に近づいたところで海が見えてきた。
さっきバイクで移動中に砂浜越しにちょろっと見えていたけど、インド洋をちゃんと見たのは実に久しぶり。

パナンジュン滝(curug pananjung )に到着した。
大学生ぐらいの若い男女のグループが水をかけあったりしてはしゃいでいる。
青春だなぁ。

イワンくんと違ってこちらの撮影中のガイドさんはちゃんと制服を着ていた。
そして、このガイドさんは私のところに寄ってきて、小声で「イワンはビーチボーイ(女ったらし)だからねぇ〜」と話しかけてきたのだが、そんなことは先刻承知である。
まぁ、ガイド同士、軽口を叩けるぐらい仲が良いのはいいことだと思う。
ちなみにイワンくんによると、
「髪の長さは人生の長さに比例するんだ。でも、髪を短くすれば女が寄ってくる。はっきり言って今は(髪が長いから)全然モテ無い。だから明日にでも髪を切りに行きたいんだよね〜」
とのこと。人生の長さより女の子のほうが重要なんだね。(笑)
ちなみに、ここで泳ぐか尋ねられたけど、そんな気分じゃなかったし若者に混じっておっさんが泳ぐ姿も絵にならないので遠慮させてもらった。

続いて少し遠回りしながら先ほどの滝の上に登って来た。

イワンくんは高所恐怖症らしく、私が写真の場所に座っていたら「君はクレイジーだ!」と言われたのだが、ここはそんなに怖く無いと思うよ?
少し休憩するとのことだったので、持ってきたコモパンを二人で仲良く食べた。

滝の上部からの帰り道にて。
ジャングルトレッキング気分満点。

道中で何度も見かけた美しいカラストンボの仲間。

夕方のコウモリ飛翔見物をリクエストしていたからか、コウモリを探しに行くことになった。
いや、私が見たいのはコウモリの「群れ」であって、昼間に数匹停まっているコウモリはそれほど興味が有るわけではなんだけど、それはそれで面白そうなの
で、黙ってついていくことにした。

完全に道無き道を進んでいく。
これはなかなか楽しい。

かつてはジャワ島全体がこんな景色だったんだろうなぁ。

イワンくんが紹介してくれた立派なツタ植物。
どうやら紹介頻度からしてイワンくんはツタ植物が好きらしい。
まぁ、ジャングルはツタ植物が豊富だしね。

このツタは刺だらけ。
写真だと目立たないけど先っぽに鋭い刺が付いていてかなり危険。
これに限らずジャングルには刺の生えている植物が多いのだが、イワンくんがちゃんと事前に注意してくれるので安心して歩けた。

時々立ち止まってコウモリ(たぶんオオコウモリ)を探すイワンくん。

コウモリはなかなか見つからないのだが、代わりにイワンくんが見つけたカエル。

苔だらけのツタ植物。
ジャングルの雰囲気満点。
コスタリカのジャングルを思い出した。

いやぁ、この辺りは神秘的な景色だなぁ。

なんでこんな穴が開くんだろう?
岩の組成(硬さ)の違いと水流の組み合わせだろうか?

お〜、これは美しい滝だ!

これまた美しいイトトンボ。

滝の裏側を通過して行く。

イワンくん、ここが怖くてへっぴり腰になるなんて高所恐怖症重度すぎ(笑)。

たまに足元に居た小さなカニを捕まえてみた。
雨が多いから沢が近くにないのに生きていけるんだろうなぁ。

というわけで、結局コウモリを見つけられないまま国立公園の入口に戻ることになった。
(しまった、こんなことならここの定番のハリネズミとかサソリをちゃんとリクエストしておけばよかった!、と、後から思った)

野生の牛と鹿。

鹿はともかく牛は野生と言われてもまったくありがたみを感じない。

大きなヤスデの亡骸。
このサイズのヤスデは南アフリカでも見たなぁ。

突然手から血を流して痛がりだすイワンくん。

種明かしはこちら。

この植物の葉っぱを手で揉むと、真っ赤な汁が出てきて出血しているように見えるのだ。
上の写真のところでは淡々と書いたけど、最初は本気で心配してしまったよ。
イワンくん、ナイス演技。やるねぇ。

ビーチに出たところで、イワンくんが写真を撮って欲しいとスマホを渡して来たので、かっこ良く写してあげた。
彼も今どきの若者らしく、セルフィー(自撮り)がお気に入りらしい。
(スマホにもすさまじい数のセルフィー写真が収められていた)

国立公園の入口付近には人馴れしたサルがたくさん居て、食べ物なんかを手に持ってると襲われるんだそうな。
この辺りで合流した現地の女の子たちもビビりまくっていた。
その女の子たちと一緒に国立公園出口に向かって歩いていたら、そのうちの一人(サテさんという子)が話しかけてきたので英語で受け答えしていたら、
「日本人なのに英語が話せるんだ」と驚かれた。(言われたのでそのまま書いたけど、もちろんそんなに話せない。でも、彼女からしたら話せるほうらしい)
彼女もかつて日本語を勉強していたらしく「他の言語と違いすぎて、本当に覚えるのが難しかった」とのことだった。
ちなみに一番盛り上がったのがバイクの話で、「ホンダってのは会社を創業した初代の社長の苗字なんだよ」と教えてあげたら、えらい驚かれた。

そうこうしているうちに出入口に到着。
すでにゲートは閉められていたが、ちゃんとゲート脇に脱出用の椅子が置いてあった。
(ゲートを超えてるのがサテさん)
今日はなんだかんだとけっこう歩いたなぁ。
コウモリが飛び立つまでまだ時間があるということで、入口付近の売店でジュースを飲んだりして軽く休憩してからイワンくんのスクーターでビーチへ移動した。
行きに使ったスクーターと違うスクーターだったので理由を聞いたら、目的にあわせていろいろなバイクを使い分けているんだとか。
(なんでも12台持ってると言っていたが、軽い調子で話していたので本当かどうかはわからない)

数分でビーチに到着した。

メッカとは言え、さすがにこの時間までサーフィンをしている人は1人ぐらいだった。

こんな小さな女の子たちでも写真を撮り合うんだねぇ。
その後、イワンくんからコウモリに関するレクチャーを受けた(飛び立つ時間、風の強さによって飛ぶ高さが違う、コースなど)。
レクチャーが終わるとイワンくんは地元の人と井戸端会議
モードに入ってしまったので、ビーチをぶらぶらしながらコウモリが飛んでくるのを待った。

そうこうしているうちに夕焼けタイムに。
うむ、実に綺麗だ。

写真はビーチから国立公園方面を眺めたところ。
写真中央あたりのホテル付近から飛んでくるらしい。

そして、日がどんどん暮れていく。

いやぁ、馬と夕日は絵になるなぁ!
って、いつにになったら飛び立つんだろう?
と、思いながら待っていたら、こんなに暗くなってから現地の人たちが凧揚げを始めた。
これがまた凧に描かれてる絵柄がコウモリに似ていて、非常に紛らわしいのである。
それにしてもコウモリがさっぱり飛んで来ないなぁと思って空をみあげ続けていたら、背後からイワンくんが「飛んできたよ!」と、声を掛けてくれた。
え? どこに?

もしかして、あの1匹ヒラヒラ飛んでる奴?
サイズからしてオオコウモリっぽいけど、小さくても構わないからコウモリの「群れ」が見たかったんだけどなぁ・・・

その後も数匹ずつコウモリがひらひらと飛んでくる。
今日は風が弱いから、残念ながら高いところを飛んでいて、翼長が50cmはありそうなオオコウモリだが小さくしか見えないらしい。

うーむ、なるほど。
たしかにオオコウモリにしてはたくさん飛んでくる。
なるほど、ここでのコウモリの飛翔ってこんな感じだったのか。
私が期待していたのはこういうのだったんだけどなぁ。

なんて思いながらも、オオコウモリがヒラヒラ飛んで行くのを眺めていたら、イワンくんが「捕まえた!」と突然大声で叫んだ。

何事かと思ったら、先程からコウモリ見物の邪魔をするかのように飛んでいた凧とコウモリが絡まりあいながらヒラヒラと落下を始めた。
なんと、この凧揚げ、コウモリ猟だったようである。
そりゃ、邪魔するように(ひっかかるように)飛ばすわけだ。
イワンくんが落下予定地点に向けて歩き始めたので後ろをついて歩いて行くと、イワンくんが振り返って「気をつけて!」と声をかけてきたのだが意味がわか
らずそのまま歩いて行くと、ものの見事にタコ糸にしかけられた針がズボンに引っかかってしまった。
なるほど、そういう仕掛けなのね。
すぐに地元の子ども達が駆け寄ってきて針を器用に外してくれた。

落下したコウモリの所に駆け寄ると、すでに羽を砂に埋められて飛び立てないように押さえつけられていた。

子どもたちはコウモリに砂を掛けたり頭を叩いたりとかしていて、ちょっとかわいそうな光景ではある。

コウモリはライトが眩しいのか、それとも苦しいのか顔をしきりに左右に振っている。
そしてたまにこちらを見つめたりするのだが、顔が可愛いので、つい浦島太郎よろしく助けたい気持ちが湧いてきてしまう。
まぁ、でも、こうやって動物を仕留めて食べるのが人間の性だしね。
きっと日本人がイルカとかクジラを食べているのを同じような気持ちで外国人の方から見られてるんだろうし。
コウモリの群れは見られなかったけど、逆にコウモリ猟のシーンが見られたのはラッキーだったと思う。
というわけで、コウモリ見物は思わぬイベントで終了し、イワンくんのスクーターで宿に戻った。
ここで本日のガイド料を精算をしたのだが、料金はちょっと驚きの8100円だった。(そのうち国立公園の入園料が3000円。外人休日価格、高すぎ!)
スメル山でガイド料の商談をしてなかったら、ふっかけられたと勘違いするところだった。
(たぶん、入園料3000円、バイク1000円、英語の話せるガイド1日4000円といったところ。まぁ妥当な価格ではあるが、昔の旅人のブログを読むと、何もかもがこれより遥
かに安いので、一瞬ぎょっとしてしまう)
明日も値段交渉でぎょっとするのは嫌だったので、グリーンキャニオンの価格を先に尋ねてみたら、全部込み込みで5000円ということだったので、どんな中身かは相変
わらずわかってないまま、まぁ、5000円ならとお願いしておいた。
ガイドは本日と変わらずイワンくんがやってくれるらしい。
それならこちらも安心である。

その後すぐに夕飯の時間になった。
魚のフライはカサゴの唐揚げそっくりな味で美味。
メニューは野菜たっぷりで助かる。
ちなみに奥さん曰く、彼女が子どもだった頃は空を埋め尽くさんばかりのコウモリが飛んでいたそうな。
まぁ、ああやって毎日狩りをしてたら数も減っちゃうよね。
料理が食べ終わってまったり過ごしていたら、私以外に唯一宿泊していた白人カップルが中央のコテージで大音量の音楽を流し始めた。
音量を下げてもらうよう頼むかどうか悩んでいたら、スタールさんがやって来て話し相手になってくれ、我々の話し声で初めてすぐ近くに私が居たこと
に気がついたのか音楽のボリュームを下げてくれたのは助かった。
スタールさんの話を聞いていると彼はなかなかのやり手で、この商売で儲けるためにあれこれ考えて工夫をしているみたいだった。
スタールさんから「Booking.comにレビューを書いて欲しい」とストレートに頼まれた時には「そういうことはしない」と苦笑しながら断ってしまったが、堂々と頼んでくるあた
り、ただ親切にしてくれるだけでなく、なかなか抜け目がないと思う。(その結果、Booking.com上には良い評価がたくさん並んでいて、それが集客につながっているのは容易に想像できる)
スメル山のバークレイさんしかり、イワンくんしかり、スタールさんしかり、観光地で働いている人は1ルピアでも多く稼ぐためにちゃんと商売をしてるなぁと感心
してしまった。(まぁ、そりゃそうか)
ちなみに、奥さんのリスさんは最後まで親切な良い人だった。(日本人の私はこういうがっつかない接客スタイルの方が好みだけど、こればっかりは文化の違いとしか言いようがない)
スタールさんがヨーロピアンカップルの対応に移った後は敷地内のネットに繋がる場所で明日行く予定の温泉をどこにするか決めてから部屋に戻った。
明日は温泉に入った後、ジャカルタのホテルで仮眠を取ったらすぐに早朝の飛行機に乗って飛ぶ計画なので、ここでしっかりと
パッキングを済ませた。
海辺の街ということでちょっとだけ湿気は感じるけど、扇風機で十分しのげる気温ではある。
本当に良い宿だなぁ。
では、寝るか!
本日の走行・歩行ログ
つづく