-------------インドネシア ドライブ旅行記(目次)
-------------前のページに戻る
11日目(1月6日(火))
スマホの目覚ましで朝3時に無理やり起床した。
今回の旅でスメル山の深夜アタック以来、久しぶりに目覚ましを使って起きた気がする。
レンタカー屋のおじさんにモーニングコールの意味も兼ねて電話してみるも、相変わらず出てくれない。
なんかすごく嫌な予感がするけど、大丈夫だよね、おじさん?
3時半にホテルのフロントに頼んでおいたモーニングコールサービス(従業員がドアをノックしてくれる)が来て、その後すぐにホテルを出発した。

国内線のターミナル「1A-2」には4時前に迷うこと無く到着できたが、やはりAVISのおじさんは来ていなかった。
そして、何回こちらからコールしても電話にも出てくれない。
仕方がないので先に飛行機のチェックインを済ませておくことにして、まずは車を有料パーキングに移動させた。

2384km走行。
9日間も乗っていたのに、たったこれだけしか走れなかった。
アバンザ、なかなか走りもナチュラルで便利で良い車だったと思う。
駐車場から空港建屋に歩きながらおじさんに電話をかけたら、おじさんがようやく電話に出てくれた。
開口一番、のんびりした口調で「あ〜、そう言えば今日だったね〜」とのたまった時にはさすがに苦笑を禁じ得なかったのだが、とりあえず連絡がとれて一安心である。
「あと、12分(今思えば20分だったかも)ぐらいで行くよ〜」と言っていたのだが、本当にその時間で着くか怪しいので先にライオンエアー(インドネシア含むアジアローカルのLCC)のカウンターに出向い
てチェックインを済ませておいた。
その後、おじさんを出迎えるために空港の外に出ようと思ったら、空港建屋の入り口と出口が全然別の場所にあるという作りになっているのに気が付かず(セキュリティ上の理由だと思う)、空港から出るためにえらいさまよい歩いてしまった。
アバンザを停めた場所で時計とにらめっこしながら待っていたのだが、案の定おじさんが言っていた12分はとっくの昔に過ぎてしまい、これ以上待てないギリギリまで
粘ったのだが来る気配が無かったので、鍵を車の中に放置して飛行機に乗ることにした。

空港でトランシーバー持って私の名前を連呼しているスタッフを見たのは人生で2回目である。(1回目は二十歳前後の頃、飛行機に乗り慣れて無くて、搭乗時刻と出発時刻
を勘違いしていた時)
迷惑かけて申し訳ない!
もちろん私のせいで飛行機の出発が遅れるほどには遅くはなかったと思うのだが(なんせチケットに書かれている搭乗時刻を超えてはいないのである)、皆さんす
でに着席済みで(インドネシアの人、真面目というか我先系なのでこういう時は動きが早いんだった)、皆さんからの視線を全身に浴びつつ着席した。
電話のショートメッセージでおじさんに「車はパーキング1Bの正面、看板の近く」とメッセージを打ち、携帯の電源を切ろうと思ったまさにその瞬間おじさんから電話がかかって
きた。
もうすでに機内だし一瞬とらずに携帯の電源を切ろうかと思ったが、まだ飛行機は動き始めてないのと、案件が案件なので電話に出た。
「鍵はどこだっけ?」と開口一番おじさんが例ののんびりとした口調で質問してきたので、「車の中。あと他に問題あったらメールで」とだけ小声で伝えて電話
を切り、電源を落とした。
その後、おじさんからは何も連絡が来ないので問題なく返却できたはずである。
いやぁ、やれやれである。

というわけで、私のドタバタとは関係なく飛行機は定時に出発した。
まだ日の出前なのでジャカルタの夜景を眺めながらフライトである。
横の席に座ったお兄さんはとても感じの良い方で、お互いに気を使いながら気分よくフライト時間を過ごすことが出来た。
これから向かうスラウェシ島のマナドまでは行きが4時間、帰りは2時間のフライト。
チケットを取るときにちゃんと確認していなかったのだが、たぶん行きの便は途中どこかの都市に立ち寄って行くスケジュールなのだろうと思った。

3時間ほどのフライトで途中立ち寄りの空港に着陸した。
窓の外は大雨だったので、「いやぁ、ここがマナドじゃなくてよかった」と思いながら窓の外を眺めていたら、空港建物にデカデカと「MANADO」の看板
文字が見えてきた。
まさかと思いつつ、隣の親切なお兄さんに「ここってマナドですか?」と質問すると、なんで君はそんな質問をするんだろうという微妙な表情を浮かべつつ「そ
うだけど?」と、答えられた。
「でも、今ってまだ8時ですよね?」と質問を重ねると、「あぁ、時差があるからね。今はもう9時だよ」とのこと。
そっか、時差があるから行きが4時間で帰りが2時間だったんだ!
って、ことは、、、、ここマナドは大雨だったのか・・・・
天気予報ではここまで雨が酷くなるって言ってなかったんだけどなぁ・・・
がっかり。。。
まぁ、ダイビングは雨でも問題なくできるからいいけど、浅いサンゴ礁なんかのポイントは晴れてるほうが断然気分がいいので、せめて午後からでも晴れてほし
いなぁ。
そんな事を思いながら地方都市ならではの小ぢんまりとした空港建物で荷物をピックアップした。
これから行くブナケン島のダイブリゾートまでは公共交通機関を使うと便数が少ないせいで1日無駄にしてしまうので、素直に送迎サービスを依頼してあった。
なので、まずは送迎の人を探した。
(送迎のお値段は観光客価格でバカ高、片道35ユーロ。複数人でシェアできれば良いのだが、オフ期の平日なので仕方なく一人で全額負担となっていた)

空港の外に出ると同時にタクシーの運転手がわんさか駆け寄ってきて「タクシー?」と声をかけてくるのを無視しながら待っていると、「チチャッ?」と、私が
予約しているダイビングリゾートの名前で声をかけてきた男性が居たので頷いて答えた。
とりあえず、高い金を払うだけあって送迎の人に出会えてしまえば、あとは自動でダイビングサービスまで行けちゃうので一安心ではある。

十二分すぎるほどに見慣れた内装のこの車は昨日まで借りてたレンタカーと同じ型のアバンザ、そして運転手は港までの送迎担当のスティーブンさん。
歳は20代前半とのこと。(堂々としてるので、
もっと上かと思った)
なんと奥さんは日本人(同い年)だということで、片言の日本語(「スミマセン」とか「ドウモ」レベル)を話せるみたいだった。
もちろん普段の会話はお互い英語で、聞けば高校を卒業した後に専門学校で経済学と英語を勉強してたんだとか。
理由はもちろん少しでも給料を上げるため。
確かにこれまで観光地でガイドを頼む時、英語が話せるか話せないかで料金が倍ぐらい違っていたので、それを目的に学費が高い(らしい)のにもかかわらず若者が英語
を学びたがるのはよくわかる。
しかし、中流家庭が増えた今の時代、専門学校で英語を学ぶ学生が増えてライバルも多いので、英語を学んだからといって安泰ではないのだという話を興味深
く聞かせてもらった。
ちなみにスティーブンさんは大の車好きで、道中大いに車の話で盛り上がった。
彼の感覚(たぶんインドネシアの若者の感覚を代表してると言っても良さそう)によると、トヨタやダイハツは安い車を出す庶民のブランド、ホンダとダッツン(日
産)、マツダなんかはトヨタと同じスペックでも値段が断然高いので、その車が好きじゃなきゃ買えないプレミアブランドなんだそうな。
(トヨタは間違いなくインドネシアに進出して現地生産してるけど、他の日本メーカーはまだ進出してなくて関税でも掛けられてるんかな?まぁ、トヨタはコストカットが得意だし、そういう面も価格差につながってるのだろう)
彼が所有する車はこのトヨタアバンザなわけだが、彼いわくアバンザが好きで買ったわけではなく、コストパフォーマンスを考えたらこれしか買えなかったとのこと。(アバン
ザが安いと言ってもインドネシアで160万円ぐらいするらしい。そりゃ高いわ)
「もちろん、これは日本車だし良い車なんだけどね〜」と、言いつつ、対向車線をハリアー(日本ではすでに前のモデル)が走ってきたりすると、「ワォ!ハリアーだ
よ!はぁぁぁぁぁぁ、超かっちょいい!!!いつか乗りたいなぁ〜!」と、本気で欲しがるのであった。
ちなみに彼の感覚ではアルファードもめちゃくちゃかっちょいいのだそうな。
(しかし、こんなに車のことを詳しいのに私が乗ってるロードスターのことは最新型含めてあまり知らないみたいだった。まぁ、ジャワ島を9日間走ってるのに1台も見か
けなかったしね)
そんな話をしながら何気なくスマホでメールをチェックしていたら「それ、どこのメーカー?」と尋ねられたので、「GoogleのネクサスだけどLG製だ
よ」と、答えたら、「うぉおおおおおお、LG!超クール!そんなの高くて買えないよ」と羨ましがられた。
そういう感覚なんだなぁと、この時代に自分が日本に生まれたこと(Googleネクサスを買える経済圏に住んでいること)に思いを馳せたのだった。
空港から港への道中、助手席から交通状況を観察していて思ったのだが、スラウェシ島はジャワ島に比べると全体的に皆さんの運転がおとなしい気がする。
スティーブンにその事を確認すると「その通り!」とのこと。
やはり、人口が集中してるジャワ島は特別だったんだなぁ。

車好き、スマホ好きということで話題に尽きること無く盛り上がっている間に都市部の渋滞を避けて裏道を駆使して港に到着した。
しかし、タイミングをあわせて待ってるはずの船が来てないということで、港でしばらく待ちぼうけするはめになった。
スティーブンさんから送迎の代金は別会計でと言われたので、言い値の1500円と道中楽しかった分のチップを払ってお別れした。
港のスタッフ(?)らしき人の指示で船の到着を待っていると、横に立っていたヨーロピアングループの一人が声をかけてきた。
「ブナケン島までの船をチャーターしてるの?」
「そうですよ」
「幾ら払うの?」
「空港からの送迎も込みで35ユーロです」
「なるほど。もしよかったら一緒に乗せてくれないかな?人数割り分のお金を払うから」
と、提案され、もちろんこちらは大歓迎なので「OKだよ」と即答すると、港のスタッフ(?)らしきお兄さんが「君たち(ヨーロピアングループ)とこの人(私)のリゾートは互いにかなり離れた場所にあるから一緒の船に乗ることは出来ないよ」と、あっさり却下されてしまった。
うーん、残念。

とまぁ、こんな感じでしばらく待っていたら、ようやく迎えの船がやってきた。
港と言えども小型船用の桟橋なんかは無いので、砂浜から直接海に入って船に乗り込むことになる。
(砂浜メインの南の島ではよくある)

私が乗りこむ前から船に乗っていたこのおじいさん、船のクルーかと思いきや「すまんのう、同乗させてもらっちゃって。あと、タバコを吸わせてもらうな」と、タバコをふ
かし始めた。
って、おじいさん、誰?
と、思っていたら、我々が乗った船は出発するとすぐに港の奥に停泊していた中型の客船に横付けし、おじいさんは荷物をそちらに移して「邪魔したな」と挨拶して行ってしまった。
どうやら、私がチャーターした船に便乗して自分が乗る客船まで移動させてもらっていただけらしい。
いろいろフリーダム!

とまぁ、何がなんだかよくわからない状態のまま船は港を出発した。
クルーは10代後半ぐらいの若者と小学生ぐらいの男の子の2人組。
水深の浅いところでは小さい男の子が船首に立って船がサンゴに乗り上げないように見張るのだが、途中から雨が強くなってきて、いくら赤道直下とは言え太陽
光線の無い中で時速50km以上は出てそうな船の船首で風と雨水を被り続けて寒そうだったので(実際震えていた)、火山灰対策で購入した100円のカッパ
を取り出して彼に渡した。

どうやら気に入ってくれたみたいで何より。
後から脱いで返そうとしたので、「それ、あげるよ」とジェスチャーで伝えたら、まずは船頭の兄貴分に目で確認をし、兄貴分が黙って頷いたことでもらえるとわかったらしく、えらい喜んでくれた。
自分にとってもこの後使い道が無かったので、ちょうど良かった。

というわけで、雨降りの中、波に揺られること40分、ブナケン島のチチャッリゾート(Cicak Senang Resort)前に到着した。
リゾートの敷地に内に入るとバルコニーに腰掛けていた40歳前後の白人女性が声をかけてきた。
どうやらこの女性がメールでやりとりしていたリゾートのオーナーらしく、私と挨拶した後にビーチに降りてきて船頭のお兄さんにお金を支払っていた。
(私には後ほどスティーブンに払った残りの25ユーロが請求される流れ)
「ここ最近でこんなに雨が降った日は今日ぐらいじゃないかしら。あなたアンラッキーね」
と、開口一番言われてしまった。
なるほど、ブナケン島だと雨期と言ってもそこまで雨は降らないということか。

チチャッリゾートは海沿いの斜面を利用して拵えられていて、各コテージ(6部屋ぐらい)はそれぞれ十分に離れた場所に配置されていた。
なので、各コテージのバルコニーからはからは何にも邪魔されず海を見下
ろすことが出来るようになっている。
逆に言うと、レセプションから離れた場所にあるコテージへは、かなりの高さまで登っていかなければたどり着けない配置になっている。
写真で私の荷物を担いで前を歩いてるのは、ポーターのドルフィー君。(何回か「ドルフィンじゃないの?と確認したのだが、ドルフィーであってるそうだ)
ちなみに、階段とコテージの組み合わせの景色が全部そっくりで、滞在中に2回ほど間違えて手前のコテージに入ろうとしてしまった。
(ちゃんと、何個目のコテージか数えながら登らなければならない。周囲の景色をちゃんと見てれば違いはわかるんだけど)

部屋はこんな感じで実にシンプル。
お値段は3食込みで1泊5000円。(ヨーロピアン向けの長期滞在宿で、たぶんブナケン島としては最安値の部類のはず)
エアコンは
もちろん無し。
昼間は晴れてないと電気が来ないので(昼はソーラー発電らしい)扇風機すら回せないけど、逆に曇っていればそこまで暑くないので問題なさそう。
ダイビングは午後からということだったので、午前中はのんびりと過ごすことにした。
ところで、電気が来ないのはいいんだけど、水も夜まで出ないのかね?
と、思ってレセプションまで戻ってオーナーの女性(ウイーレケさん)に尋ねてみたら、どうやらドルフィーが私のコテージの貯水槽に水をいれるのを忘れていただけだった。
(というわけで、ドルフィーはウイーレケさんにガッツリ怒られていて、ちょいとかわいそうだった)
どうやらお客さんは私以外にはスイス人の老夫婦のみらしい。
彼らはダイビングをしないとのことだったので、このリゾートに併設のゲッコ(ヤモリ)ダイビングセンターのお客さんは私一人ということになる。
明日までは私一人の状態が続くということだったので、とりあえず事前情報で知っていたバラクーダポイントとタンジュンコピというポイント(ともに大物系で
初心者お断りになりそうなポイント)をリクエストしてみたところ、ウイーレケさん曰く「私はバラクーダポイントでバラクーダを一度も見たことがないし、今
日みたいに風が強いと船を出せないからたぶん明日も無理よ」とのこと。
インドネシアのダイビングでバラクーダの群れを見るのを楽しみにしていたので、この答えにはショックを隠せなかったのだが、「もし、風が弱かったら行けますよね?」と確認す
ると、「行けるけど、追加でお金が必要よ」とのことだった。
ここのホームページには遠征費用は10ユーロぐらいって書かれていたので、そんなもんかと思いつつ念のため値段を確認すると、それは最低催行人数が集まった時の話で、「あなた一人でチャー
ターするなら60ユーロ払って」と言われて、一瞬怯みかけてしまった。
でも、よくよく考えてみればここでのダイビングは1本25ユーロ、2本で50ユーロ、それに船のチャーター代を足しても110ユーロで、実はこれでも
伊豆の神子元で2本潜るよりもまだ安いのである。
というわけで、「バラクーダを一度も見たことがない」という発言は気になったものの、他の人のダイビングログで見たという記録を読んだ記憶があったので、追加のお金は
払うから風が弱かったらぜひ連れてってほしいということと、こういう南のリゾートで初心者と一緒にならないことは珍しいので、もし、そこに行けなくても流れが強くて魚がたくさん群れてる海に連
れてってもらえるようにリクエストしておいた。
その後、ダイビングガイドのジミーと名乗る30代ぐらいの男性が挨拶に来てくれ、彼の案内でレンタルギア(1日10ユーロ)のフィッティングを済ませた。
彼の対応は懇切丁寧でいかにもアジアっぽいホスピタリティ溢れる感じであった。
去年のブラジルとえらい違うなと思った。
(いや、ブラジルも常連のお客さんはえらい親切だったが)

続いてランチタイム。
メニューはカレーライス。
これは旨い!
まだ一食しか食べてないけど、このクオリティなら長期滞在も問題無さそう。
隣の席に座ったスイス人老夫婦に挨拶し、「一昨年スイスに行ったんですよ」と説明しながらタブレットに入れてあるスイス旅行の時のマッターホルンの写真を見せたら、
「頂上には登った?」
と質問されたので、冗談半分で聞かれたのかと思いつつ
「まさか。手前のトレッキングコースから眺めただけですよ」
と、答えたら、
「あら、私達は登ったわよ」
と、真顔で返され、
「本当ですか!?」
と、驚きの声をあげたら
「あら、私達はスイス人よ。」
と、さも当たり前かのようにすらっと答えられたのには恐れいった。
いや、いくらなんでもスイス人全員がマッターホルンの頂上に立った経験があるとは思えないのだが、それにしてもすごい話である。
つづく