-------------インドネシア ドライブ旅行記(目次)


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部屋から出たら、ドアの前で待機していたジャックさんが「あそこに鳥が居るよ」と、声をかけてきた。







この旅ではただの荷物にしかなってなかった超望遠レンズをやっと使う機会が来た。

(yellow-billed_malkoha (Phaenicophaeus_calyorhynchus))




というわけで、超望遠レンズの試し撮りも済ませたところで、ジャックさんを助手席に乗せて出発した。









タンココ・バトゥアングス自然保護区の入り口までは宿から車で3分。


あっという間に到着した。


ジャックさんの指示に従い、ゲートで二日分の入園料(2000円)を支払った。







自然保護区の中は未舗装路になっていた。










車を走らせていると、早速固有種のクロザルが登場した。(Celebes_crested_macaque、Macaca_nigra)


あとで聞いたら、ここ(入口ゲート付近)で見られたのはラッキーだったらしい。

そこまで個体数が少ないわけじゃないけど、わざわざクロマカウを探す専門のツアーもあるぐらいには貴重だったとか。


あまりにも早く出会えたので、てっきりいつでもどこでも逢えるのかと思って大して観察しなかってけど、そんなことならここでちゃんと見ておけばよかった。

ちなみにこのサル、絶滅危惧種にもかかわらず自撮りで有名になり、その後著作権でもめたという逸話もあったりするぐらい好奇心旺盛で表情豊かな猿で ある。

(サルなのでどれも似た顔に見えるけど、もしかしたら上の写真は良い表情してるし件のサルかも)






駐車場までの道が想像していたより悪路だったけど、アバンザは車高が高いのでまったく問題なしだった。









ゲートから15分ほどでトレッキングルート入口前の駐車場に到着。



イワン君の時と同じようにジャックさんにも「哺乳類でも鳥類でも昆虫でも植物でも何か見かけたら何でも紹介して」と改めて頼んでから出発した。








そして、ジャックさんもイワン君と同じように昆虫から紹介してくれるのであった。










レンズ交換する時に流れでザックを持ってもらったのだが、撮影が終わった後もなぜか返してもらえず、そのままジャックさんが私のザックを運んでくれることになってしまった。


いや、それほど重いもんじゃないし、私はプロのカメラマンじゃないから持ってくれなくても大丈夫なんだけど・・・


と、ちょっとだけ思いつつも、観察や撮影には身軽な方が楽なのは間違いないので、そのまま持ち続けてもらってしまった。


レンズ交換するときもあれこれアシストしてくれ、まるでプロカメラマンが助手を使って撮影しているみたいな気分だった(笑)。







というわけで、気分だけはプロだったのだが、実際にはピンぼけで地味めなチョウの写真を撮ったりしていた。

(自分の自尊心を守るためだけに言い訳を書いておくと、蝶は小さくて遠くてすぐに逃げてしまったからちゃんと撮影できなかったのだ。メモ撮影だからこれで良いのだ)









続いて蜘蛛。

(日本のコガネグモのサイズ)







「ジャックさん、「昆虫も」って言ったけど、やっぱり珍しい鳥とか哺乳類をよろしくお願いします!」


って、内心で少し思ったけど、それは言わずに黙って後ろを付いて歩いて行った。

いや、昆虫でもツノゼミとかナナフシとか大きなカブト、クワガタ、きれいなチョウとかなら大歓迎なんだけどなぁ。


そうそう、スラウェシ島ではドライブしていた時も、ここでも大きな蝶がたくさん飛んでるんだけど、なんせ高いところを高速で飛び回るので、まったく写真に収められなかった。









熱帯地方では良く見られる板根。


実に立派である。








いやぁ、すごい、すごい。


熱帯雨林では落ち葉の腐食が早く、土の層が浅い割に大木が高さを競って育つので、根を板状にして体を支えるべく進化してたのだそうだ。

(という説明はコスタリカかブラジルかケニアでも聞いた気がする)




と、ここで突然ジャックさんが走り始めたので、訳もわからず一緒に走ってついて行った。


「クスクスが地面に居る!」


と、ジャックさんが小声で叫び、立ち止まって指差すのでそちらを見ると、何やら猫ぐらいのサイズの黒い生き物が今まさに木に取り付いて登り初めるところだった。








これがクスクスか!
(クロクスクス、Sulawesi_Bear_cuscus、Ailurops_ursinus)



インドネシアやパプアニューギニア、オーストラリアなんかに分布する有袋類である。


有袋類ということで、いわゆるウォレス線の東側に来ていることを実感する瞬間である。


クスクスは想像していたより動きが速く、私が近くに到着する前に10mぐらいの枝のところまで登ってしまった。


ジャックさんいわく、クスクスが地面にいることは滅多に無く、彼自身15年ガイドをやっていて3回目ぐらいじゃないかとのこと。


これは幸先が良いぞ!








クスクスが樹の実を食べたり、樹の枝を移動したりするのをたっぷり見学させてもらった。









有袋類ってことでコアラとかカンガルーみたいな動物を想像していたのだが、なんというか、、、まったくもって顔は可愛くないし、動きもけっこう速い。


まぁ、かわいいかどうかはともかく、とりあえずリクエストしていた動物がすぐに見られて良かった!




その後もカンムリオウチュウ(Hair-crested_Drongo、Dicrurus_hottentottus) とか、サ サハインコ (Blue-backed_parrot, Tanygnathus_sumatranus)、 アオミミショウビン(Lilac-cheeked_Kingfisher,Cittura_cyanotis) なんかを見せてもらったのだが、なんせ森のなかは暗くて鳥は遠いので、まったく写真に収められなかった。


というか、ジャックさん、なんちゅう目をしてるんだ。


これまで(自分はそれほど鳥好きではないにもかかわらず)鳥専門のガイドツアーはあちらこちらで体験していてコスタリカのヘイナ君とかは凄い目をしてたんだけど、ジャックさんはさらにすごい目を持ってる気が する。(比べるようなもんじゃないし、シチュエーションがそれぞれ違うので比べられないけど)

コスタリカの道路脇の木々と違って、この薄暗いジャングルの中で、動かずにじっと小枝に停まってる鳥を見つけるのは並大抵のことじゃないはず。


ちなみに、ジャックさんは鳥を見つけると小声の早口で「あそこの太い木の下から2番目の枝を左方向、その枝の葉っぱの影」という感じで場所を教えてくれるんだけど、言われた通りに視線を移して探してもさっぱり見つけられない。


見つけられないで困っていると最終的にはレーザーポインターで鳥のすぐ近くを指し示してくれるので見つけることは出来るんだけど、今度は超望遠レンズでフレーム内に収めるのに苦労する始末。


なんせジャングルの中は暗いので、カメラのファインダーを通して覗くとさらに暗くなってしまい、今自分がどこを見てるのかさっぱりわからなくなってしまうのである。


コスタリカで習得した、いったんファインダーから目を離して超望遠でも簡単に見つけられる目立つ場所を確認して、そこから鳥の居る場所へのたどり着き方を暗記してからファインダー内でそれを再現するという方法を試してもここでは駄目だった。


カメラを覗きこんだり目視を繰り返したりしていると、ジャックさんが「Get it?」と、問いかけてくるのだが、「No・・・」としか、答えようがない。


また、しばらくすると、


「Get it?」


「No・・・」


内心かなり焦っているのだが、どうやってもファインダーの中に収められない。


「Get it?」


「No・・・」


うーーーーむ、、、



すると、今度はジャックさんが少し長めにレーザーポインターを照射してファインダーで補足するのをアシストしてくれるのだが、今度は鳥がそれに反応して飛び立ってしまうのだった。


というわけで、結局証拠写真は撮れずじまいだった・・・・



なので、途中から写真撮影は諦めて双眼鏡や目視で観察を楽しむ方針に切り替えた。



ジャックさんが大きな椰子の木の葉っぱの横を通り過ぎた時に突然黒くてソフトボールサイズの何かが真横の葉っぱから「バタバタバタ!」と、飛び出してきて、すぐに飛び去っていった。


ジャックさんがすごい驚いたので、それを見た私もつられて驚いてしまったが、飛び出したのはコウモリ達であった。


というか、椰子の木の裏で寝てるコウモリ、コスタリカでも見たけど、寝てるシーンを見たかったな。


飛び去った葉っぱを確認すると、コウモリが椰子の葉をねぐらにするときにプリンのケースみたいに周りを下向きに折るみたいなので、そうなってるやつを探せば見つけられるのかも。


そんなドッキリイベントもありつつしばらく歩いていると、ジャックさんがこちらを振り返り、「今からセレベスカワセミを探すよ」と宣言した。


とにかく臆病な鳥なので、ジャックさんが指示を出したらすぐに足を止めて静かに待機してほしいと頼まれた。


もちろん了解である。



ジャックさんは口笛でセレベスカワセミの鳴き真似をはじめた。


数回鳴き真似をしてから返事が返ってくるのを静かに待つ。

鳥からの返事がなければ、そのポイントは諦めてしばらく歩いて移動する。

そしてまた口笛を吹いて返事を待つ。



そんな事を何回か繰り返したところで、口笛そっくりの鳴き声がジャングルの奥から微かに聞こえてきた。


なるほど、口笛の鳴き声も本物とかなり似ていたみたいである。



ここでジャックさんは小さなスマホをポケットから取り出してセレベスカワセミの鳴き声が録音されている音声ファイルを最大ボリュームで鳴らし始めた。


ちなみに音声ファイルは自身で録音したものではなく、市販の鳴き声集を利用しているんだそうだ。


音声ファイルの音質はノイズが乗ってるしダイナミックレンジも狭い感じで正直良くないのだが、本物の鳴き声だけあってすぐに返事が返ってきた。


慎重に鳥が鳴いた方向を聞き定めてそちらに向かって歩いて行く。


再びスマホの音声ファイルで呼びかけて、先程よりも大きな鳴き声が聞こえてきたところで、どの辺りから聞こえたかお互いに確認し合い距離を詰めていく。


うーん、この緊張感、たまらん。



途中、明らかに鳴き声が右の方から聞こえてきたり、左の方から聞こえてきたところで、どうやら周囲に2匹以上居ることが判明した。


そこで、近い距離に居そうな個体を探してみることになった。


スマホの音声ファイルを鳴らしてセレベスカワセミの返事を聞きながら距離を詰めていくこと数分、ジャックさんが小声で「そこで止まって」という指示を 出した。


どうやら見つけたようである。


ジャックさんが身を低くしながら手招きをしたので、そーっと近づいていき、指示された場所にまずは立ってみた。


そして、例の小声の早口でセレベレスカワセミがいる場所を説明してくれたのだが、相変わらずどこにいるのかさっぱりわからない。


臆病な鳥だということでレーザーポインターは使えないらしい。


ジャッ クさんが「そこの木の向こう側、ツタ植物の向こうの小枝」と場所を教えてくれるのだが、英語の早口を聞き取るのが大変だし、説明の意味がある 程度わかっても、「そこの木」も「ツタ植物」もその辺にやたらとあるので、どれの事を言ってるのかさっぱりわからない。


結局ジャックさんが一瞬だけレーザーポインターで場所を指し示してくれ、ようやくそこに小さな鳥がいることはわかった。







あれか!



いやぁ、よく見つけるな、こんな遠くに居る小さな鳥。



これまでの経験からどう考えてもまともな撮影は無理な状況だとすぐに理解したので、とりあえず出会った証拠として便利ズーム(望遠端200mm)で証拠写真だけは撮り(上の写真)、じっくり観察して目に焼き付けておこう と双眼鏡を取り出したら、観察する前にすぐにどこかに飛び去ってしまった。



ありゃりゃ。残念。



と、思ったら、ジャックさんはどこに飛び移ったかすでに把握しているらしく、すぐに移動を開始した。



って、この急斜面を降りるの?


と、まじめに躊躇してしまうような急斜面をジャックさんはガンガン下っていく。


セレベスカワセミの鳴き声を追いかけ始めてからすぐにトレッキングコースを外れているので、道なんでどこにも無い。


その辺の木につかまりながら滑落しないように慎重に下っていくのだが、注意していても何度も足を滑らせて滑落しかかり(その辺に生えて る木に掴まって難を逃れた)、さらに熱帯雨林特有の鋭い刺が生えている植物で何度も腕をひっかかれて傷だらけになった。

帰国してから改めて自分の腕や手を見てみたら、先日のグリーンキャニオンでの怪我含めて、切り傷、かさぶた、血豆、植物かぶれ、ついでに日焼けでの皮捲れなど、 まぁ、東京で働く社会人にあるまじき状態になっていて苦笑いしてしまった。


それはともかく、なんとかかんとか急斜面を下りきると、ジャックさんから再び立つ場所を指定されてから観察体制に入った。



今度は先程より少し近かったのですぐにカワセミの居る位置を確認出来た。



まずは双眼鏡でじっくり観察させてもらい、すぐに飛び去る様子が無かったのでレンズを超望遠に切り替えて撮影してみることにした。







お〜、やっぱり綺麗!(セレベスカワセミ、 Sulawesi_dwarf_kingfisher (Ceyx_fallax)


英語の名前から分かる通り、スラウェシ固有種の小さなカワセミである。


日本のカワセミって川で小魚をハンティングしているイメージが強いのだが、川が近くにないので後で気になってジャックさんに聞いたら、このカワセミはジャングルの中に生息して主に昆虫などを食べてい るのだそうな。


カワセミ探しだから川沿いに歩くのかと勝手に想像していたので、なるほどという感じだった。







しっかし、もうちょっと近くて明るかったらなぁ。




しばらく撮影したり観察していたら再びカワセミが飛び去り、我々も移動して追いかけた。


しっかしジャックさん、飛び去って移動した先をあっという間によく見つけるよなぁ。


これには本当に感心させられた。



次のポイントでも撮影に悪戦苦闘する私にジャックさんが「ストロボ使ってみたら?」とアドバイスしてくれた。


「ストロボ使ったら逃げちゃうんじゃないですか?」


と、質問すると、「大丈夫だと思うよ」


とのこと。








というわけで、ストロボ撮影。


なるほど、こんなふうに写るんだ。(背景が真っ暗なのはストロボの光が届かないから)



まぁ、これ以上のクオリティでの撮影は無理だろうと諦め、十分に観察できたし、そろそろ引き返すことにした。



というわけで、まずは崖登りから。








急斜面でも下りに比べて、登りは楽なんだけどね。
(写真は登りきってから振り返ったところ)



登り切って少し歩いたところで大きな鳥がジャックさんが立っていたすぐ横の木から飛び立ち、私の数m先の木の中に飛び込んで停まった。


シルエットだけですぐにわかったのだが翼長1m近くある大型のフクロウだった。








とりあえず証拠写真を撮ろうと思ったのだが、枝葉の中に隠れちゃってて全然ピントが合わせられない。


もたもたしてるうちに、崖の下の方へと飛び去ってしまった。


その飛び去る姿があまりに優雅で美しくて見とれていたため、結局証拠写真は撮らなかった。



ジャックさんが「セレベスメンフクロウ(Sulawesi_masked_owlTyto_rosenbergii)だよ。 本当に久しぶりに見たな。」


と、言ったので、証拠の写真を撮らなかったことを少し悔やんだ。



ここでジャックさんが握手を求めてきたので、セレベスカワセミを見て無事に急斜面を登れたからだと思いながら笑顔で手を握り返した。


これで事前にオーダーしたのに見てない動物は、そんなに探さなくて見られるであろうタルシウス(世界最小のサル)だけである。



いやぁ、今日もツイてるわ。


というか、ジャックさん、すごい優秀!










なんて思いながら歩くこと15分、タルシウスの住んでいる絞め殺しの木のポイントに到着した。

(写真は翌日に別の似たような木を撮影したもの)


そこにはすでに先客グループが来ていて(というか、自然保護区の中で初めて他の人達に出会った)、メンバーはガイド1人に白人のカップル、それに若いアジア人の男性が1名の4人組だった。


彼らによると、この木をねぐらにしているタルシウスが奥に隠れちゃったので、顔を出すのを待ってるということらしい。


というわけで、我々も同じように待機していたら、突然アジア人の男性が日本語で「こんにちわ」と声をかけてきたので、こんな辺鄙でマイナーなところで日本人に会うのかと驚きつつ、「こんにちわ」と挨拶だけは返しておいた。

もちろん、タンココは日本人がまったく来ない場所ってわけじゃないけど、よりによってこんな場所でこんな時期に出会う とは思ってなかった。(日本のまっとうな社会人ならすでに働き始めてるはず)

まぁ、でも日本人同士で何も話さないのもどうかと思ってこちらから改めて話しかけたら、実は彼は日本人じゃなくて現地ガイドのアシスタントで、たまたま知っていた「こんにち わ」という言葉で適当に私に挨拶してみただけらしかった。


いやぁ、驚いたよ。



ちなみに白人カップルはスイスから来たとのこと。


相変わらずのドイツ語文化圏率の高さである。







ちなみに、タルシウスはこの隙間の上の方に隠れているらしく、顔を近づけて上の方を見上げるとお尻だけは見えていた。(この写真には写っていない)



なかなか下に降りてこないのでスイス人カップルと話したりして時間を過ごしていたら、ガイド二人が「降りてきたよ」と合図してくれたので、先にスイス人カップ ルに観察してもらった。



そう言えば、今までジャングルの中では蚊がたくさん飛んでた割には一発も刺されてなかったんだけど、夕方が近づいてきたら急に刺され始めた。

どうやら刺すタイプの蚊が活性化したらしい。

なんか、数箇所ぐらい食らってる気がするので、改めて虫除けのDEETを塗りたくっておいた。



そして、スイス人カップルグループが観察を終えてグループの皆さんも移動してしまったので、改めてこちらもゆっくり観察させてもらった。







スラウェシメガネザル(通称タルシウス)
Spectral_tarsier (Tarsius_tarsier)


世界最小のサルだが、実際に見てみると「最小!」という言葉のイメージよりは少しだけ大きかった。

身長12cm強、体重100g、実際に見た時にどう感じるかは個人差があるとは思うけど、自分の握りこぶしぐらいの大きさを想像していたら一回り大きかった。例えて言うならば軟式野 球ボールサイズを想像していたらソフトボールサイズだったという感じ。



ジャックさんがいつのまにやら捕まえたバッタの足を逃げないように片方ちぎり(私が頼んだわけじゃないけどすまぬ)、こちらかよく見える穴の入り口のところに置いた。



ジャックさんからはタルシウスの動きが手に取るように見えているらしく、「今から食べるよ、3、2、1、Go」




という掛け声と同時に、、、







哀れバッタはタルシウスにお持ち帰りになられてしまった。


ここに来る前にタルシウスの生態について調べてる時にNHKのページで「ダーウィンが来た」の撮影裏話を読んだら、捕食シーンの 撮影でタルシウスの動きが速い上に、いつ捕食するかが読めずに撮影に時間がかかった(1週間費やした)と書いてあったのだが、さすがに彼らもこんなインチ キな方法で撮影するわけにもいかず、しかも移動前から移動後までピントを合わせ続けてハイスピードカメラで撮ったらしいので、えらい苦労したんだろうなぁと感心しな がらこのシーンを見ていた。




これで見たい動物はすべてコンプリート!


実に満足である。








岐路の途中、先程まったく撮影できなかったアオミミショウビン(Lilac-cheeked_Kingfisher,Cittura_cyanotis)に再び出会えた。


近くて明るい場所に居たので、便利ズームで無理せずメモ撮影しておいた。



あとはリスの仲間なんかにも出会ったが、珍しくないだろうと思ってメモ撮影すらしなかったのだが、後で名前を聞いたらCelebes Dwarf_Squirrel (Prosciurillus_murinus) ということで、スラウェシの固有種だった。

どんなけ固有種だらけなんだろう、ここ。








こちらは、別の場所に居たタルシウスくん。




駐車場までどのぐらいの距離だろうと思いながら歩いていたら向こうから団体さんが歩いてきた。


すれ違いざまに団体さんのガイドさんとジャックさんが親しげに挨拶を交わし、ジャックさんから「この人がボビーだよ」と紹介された。

彼が引き連れてきた団体さんは中国から来た人たちで、今日ボビーさんが空港でピックアップして、この後タルシウスだけ観察したら、またマナドに帰る強行軍なんだそうだ。


先ほどのスイス人カップルもそうだったが、タンココを訪問する人は「タルシウスだけ見られれば良い」という人がほとんどらしい。


ボビーさんと握手をして挨拶を済ませ、「今日は何か見られた?」と尋ねられたので、「クスクスにタルシウス、後は(ちょっと自慢気に)セレベスカワセミ」と答えた のだが、「そうか、よかったね」と、あっさりと答えられてしまった。

続いてジャックさんが「あと、セレベスメンフクロウ」と横から付け加えた。

すると、ボビーさんの表情が突然変わり、「え?セレベスメンフクロウ?すごいじゃん。いやぁ、来週セ レベスメンフクロウを探して案内しなきゃならないんだけど、見つけるのにどんなけ苦労するか・・・、いやぁ、良かったね!」

という反応だったので、実は今日のハイライトはセレベスメンフクロウだったのだとようやく理解したのだった。


ボビーさん達と別れた後にジャックさんに改めて聞いたら、目の良いジャックさんですら15年のガイド生活で今日が4回目だと言っていたので、どんなけレアな鳥に出会えたんだ と感じるとともに、ちゃんと証拠写真を撮らなかったことをますます悔やんだのだった。


まぁ、いいや、瞼の奥には焼き付けたし。


というわけで、満足感いっぱいのまま車で宿に戻り、デブリーフィングをするために改めて食堂でジャックさんと落ち合った。


ここでコーラをガラス扉の冷蔵庫から2本取り出し(お代は後精算)、1本はジャックさんにプレゼントした。

プレゼントついでにジャックさんにタブレットを渡して本日見た動物名を直接打ち込んでもらっていたら、突然エラーでシャットダウンされてしまった。


ちょっと心苦しかったけど、「すみません、もう一度最初から入れなおしてもらえますか」と頼んで、全部入れ直してもらった。



その後、本当は先にシャワーを浴びてさっぱりしたかったのだが、そのまま夕食が出てきてしまったので、、、








美味しく頂いた。


家庭料理なのかもしれないが、インドネシアン料理というよりは中華料理という感じだった。


その後、ジャックさんの身の上話や、なぜここでガイドすることになったのか(ガイド自体は他の仕事と比べて特段給料が良いわけじゃないので、好きじゃなきゃ出来ない)、後 はここでの生活のことなんかをあれこれ聞かせてもらった。


なんでもこの宿には年間2000人ぐらいの訪問があり、その大半が8月、9月なんだそうな。


そう言えばウイーレケさんも8月だけは辞めておいたほうが良いと言ったなぁ。


そして何故か話題が私の離婚話になり、スラウェシ島の片隅で延々と当時の事情と今の人生計画を説明させられるはめになった。

まぁ、いい年して独身でふらふらしてるのがインドネシアでは珍しいのだろう。
(インドネシアの出生率は未だ「2」を越えていて、今後しばらく人口ボーナスが続くぐらいの子沢山な国である)


隣のテーブルでは今まで見かけなかった女性2人組が食事をしていたので話しかけてみたところ、彼女たちはポーランドから来た親子(母娘)だった。


彼女たちは明日タルシウスを見て、その後ブナケン島に言ってシュノーケルすると言っていたので、ちょうど逆のコースを辿ってきたということもあってここ数日の写真を見せてあげたら、大いに盛り上がっていた。








そういえば、ここの犬はとにかく人懐っこい。


でも、インドネシアに来て早2週間経つけど、はじめて犬に懐かれた気がする。


なんでこんなに懐かれなかったんだろう?(その理由は明後日判明することになる)




そうこうしているうちに良い時間になったので、ジャックさんと別れて部屋に戻った。








部屋に居たヤモリの赤ちゃん。(成体に比べると動きが遅いので簡単に捕まえられる)


ヤモリは追い詰められると壁から手を離して地面に落下するんだということを初めて知った。


手のひらに載せるためについつい追いかけまわしてしまったのだが、子どもは逃げるための体力がそれほど無いらしく、ぐったりさせてしまった。


ゴメンね。。。







ようやくシャワーを浴びてさっぱりした。(写真は昼間に撮影、天井に半透明のトタン窓があって、外光を取り込めるようになっているのをメモ撮影。チチャッリゾートも同じ構造だった)



シャワーを浴びても、まだ暑かったので、我慢できずにエアコンのスイッチを入れてしまった。


あぁぁぁ、これで1000円アップかぁ。


まぁ、でも久しぶりのエアコンは超気持ちが良いので良しとしよう。



なんて、思いながらベットで横になったら、そのまま23時まで寝落ちしてしまった。


ちょっともったいない時間の過ごし方をしてしまったけど、どうせここは携帯の電波がほとんど入らないしWiFi環境も無くて、することも無いからいいか。


ちなみにジャックさんによると、「宿では携帯の電波が届くか届かないかギリギリの状態だけど、ジャングルでは安定して届くよ」と言っていたのだが、翌日試してみた ら、確かにその通りだった。


一応、最低限メールのチェックだけはしておきたかったので、建物の周囲をスマホの画面を睨みながらウロウロ歩いてアンテナが0本立つところを発見した。(それでも送受信はギリギリ可能)


すると、 なぜか高知県在住の若い女性から「しんこくしょ」と平仮名で書かれたタイトルで「異動自己申告書」なる書類が添付されて送られてきたので、昨今のフィッシング 詐欺も凝ってるなぁと感心しつつ、そのメールは無視して、本日の旅行メモだけ書いてからベッドに潜り込んだ。


おやすみなさい。





本日の走行・歩行ログ




つづく