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ちなみに、マイコーさんはよく言えばクール、サービス業としてはかなり無表情でぶっきらぼうに話します。(懇切丁寧だったヘイナ君とは真逆。でも鳥や生き物を見つけるスピードは互角といった感じです)





こちらはトカゲ君。
頬ずりしたいぐらいかわいかったです。




そして、歩けば歩くほど心の奥底から沸き起こってくる得も言われぬ不安感。



高確率で見られるよと紹介されたセルバベルデロッジまで来て、雨上がりにプライベートガイド状態と言い訳できないぐらいの好条件の中、ものの見事に外す自分の将来が予想できてしまい、前を行くマイコーさんが足元を探すように足をとめる度に心の中で「今度こそ」と、祈ります。




しかし、祈りは届かずマイコーさんは何も語らずに再び歩き始めます。




そんな不安で頭がいっぱいになった数回目の立ち止まりの時、マイコーさんが無表情のまま黙ってトレイル脇の木の根もとを指さします。






そこに目をやると、腐葉土の上に違和感ありまくりなエメラルドグリーンの生き物が・・・








居たーーーーーーーーーー!!
マダラヤドクガエル(Green and Black Poison Dart Frog、Dendrobates auratus


って、思っていたよりでかいんですね。
(写真の個体は日本のトノサマガエルぐらいのサイズです)


いや〜、コスタリカに来たらこれを見たかったんですよ!!!


大喜びで写真を撮っている私をマイコーさんは無表情のまま見つめていたような気がしますが、内心でどう思っていたかは想像できません。


ヤドクガエルは撮っている最中に奥のほうに飛んて行ってしまったので、マイコーさんは特に何かを語ることもせずに歩き始めたので、私も付いていきます。




すると、20mほど先に、また別の個体が居ました。(2匹ほど。先ほどのよりは大分小さく3cmぐらいの大きさ)


コスタリカに到着してから12日間も会いたいと想い続けてきたのに、この数分間で急に有難味が減ってしまったのですが、(マイコーさんの無表情の理由もなんとなくわかった気がします)、とりあえず心配しなくてもたくさん居る雰囲気です。



というか、こうなると、イチゴヤドクガエルも見ておきたくなります。(2種類のうちどちらが見たい?と、聞かれたらマダラヤドクガエルの方でしたが)








イチゴヤドクガエルは赤いヤドクガエルなのですが、これは赤いきのこ。
(ワイングラスマッシュルームとかそんな名前だったと思います)









マイコーさんが指差し、最初何んだろう?と思ったのですが、よく見たらクツワムシか何かの仲間でした。(ワークステルグラスホッパーというような名前だったとボイスメモに録音されてました)



しばらく行った所で、マイコーさんが


「懐中電灯持ってる?」


と、聞いてきたのでウエストポーチに入れっぱなしにしていたのを取り出して差し出すと、それを使って頭上の葉っぱを下から照らしています。



なんだろうと思って覗いて見てみると、、、、







あ! コウモリだ!
Tent-making Bat (Uroderma bilobatum









この大きな葉っぱの下で寝ているシーン、他の方のブログとかで見ていて、私も見てみたかったんですよ。

う〜ん、カワイイ!




「良いライトだね」



と、言いながらライトを返されました。

このライトの良さがわかるとは、マイコーさん、さすがですね!(笑)







再びマダラヤドクガエル。
こちらは2cmぐらいと見る度に小さいサイズになっていきます。
(最初のトノサマガエルサイズの個体だけが異様に大きかったみたいです)





突然マイコーさんが地面に居た何かを捕まえようと追いかけたのですが、どうやら見失った様子。


後で聞いたら、「ブルージーンズ(今探しているイチゴヤドクガエルの別称)」だったということで、ちょっとがっかりしました。

野生のヤドクガエルは毒が多少強いらしいので、素手で捕まえて良いのかどうかわかりませんが、そういえばヘイナ君も手で捕まえようとしてました。



まぁ、一匹居たということは、この辺にたくさん居る気がするので、たぶん大丈夫でしょう。
(マダラヤドクガエルを見られたことで、急に強気になってきました)







マイコーさんが「ちょっとそこで待ってて」と言い残して、樹齢400年を超えるという巨大なアーモンドの大木の周りを巡回し始めます。



そして、何やら手招きするので近づいていくと、、、








居ました! イチゴヤドクガエルです!
Strawberry poison-dartfrog、(Dendrobates pumilio

見ての通り、青いジーンズを履いているようなルックスです。



やったーーー、目標コンプリート! (私にしては非常に珍しい)



上の個体はちょっと遠いところに居て、撮影直後に飛んで逃げてしまったのですが、、、








二匹目は自分で見つけました。

(マイコーさんも、すでに別の個体を見つけていてくれました)

イチゴヤドクガエルは想像通りの大きさ(2cmあるか無いか)のカエルでした。





うむ、大満足です!



そして、欲を言えばあとはツノゼミ。




マイコーさんは両方のヤドクガエルを見せられて内心安心したのか、「ここは誰に紹介されて知ったの?」というような、ちょっと砕けた感じの質問を投げかけてきました。

最初は無表情でつっけんどんな物言いだったのですが、だんだん喜怒哀楽を顔に出すようになってきましたし、そのほうがこちらも気楽に話せて助かります。


「ゴジツアーズさんですよ」


と、質問に答えると、


「そうなんだ。カセさんはよく知ってるよ」


とのこと。


それなら、最初にカセさんの名前を出せば、最初から笑顔の対応になりましたかね?(笑)
(生物を見つけるスピードや解説内容などガイドとしてのサービスレベルは全然低くないですが)









光を反射してとても美しい色をしていました。









こちらは何かの幼虫とマダラヤドクガエルのツーショット。


リロビッツと言っていたのをボイスレコーダーに記録してあったのですが、帰国後に調べてみたら「larva」(幼虫、ラロバ)と言っていたのを聞き間違えたんだと思います。








いつカエルが登場してもすぐに撮影できるように望遠レンズをつけっぱなしにしていたのですが、ひとまず両方のヤドクガエルが記録できたので、ここでレンズを切り替えて、ようやくトレイルの様子がわかる写真を撮りました。



マイコーさんもヤドクガエル探索から本来のガイドにモードを切り替えたみたいで、視線の行き先が地面から頭上水平方向に切り替わりました。







早速、見つけ難い所に居る鳥たちを見つけて、どんどんスコープで見せてくれます。
Red-billed Pigeon(Patagioenas flavirostris







Slaty-tailed Trogon (Trogon massena)のメス。









これなんかは凄まじくわかりにくい場所にいて、スコープとカメラのファインダーを何度も見比べて、やっと写真に収めました。(名前のメモを録ってませんでした)



マイコーさんが、


「ラ・セルバでのガイドは誰だったの?」


と、質問してきたので、


「ヘイナさんですよ」


と、答えると、


「ヘイナ・・・、ヘイナ・・・」


と、記憶を辿る感じだったので、


「3カ月前に入った新人さんみたいですよ。」


と、追加情報を出すと、


「あぁ、思い出した。あの背の低い子ね。」


と、そこで会話が途切れたのですが、やはり誰のガイドを受けて、それに対して私がどんな感想を持ったかは気になるものなのでしょうか。







ベニバナトケイソウの仲間。(Red passion flower(Passiflora coccinea))








バレットアント(Bullet ant、 Paraponera clavata

刺されたら(銃で撃たれたぐらい痛くて)危険だよと紹介されたそばから、大きさ比較のために指を側に置いて撮影していたら、


「おいおい、何考えてるんだよ!」(Are you crazy!?)


と、言われたので、


「今朝はタランチュラの横に手を置いて撮影していたんですよ」


と、笑いながら答えたら、マイコーさんは半分笑いながら呆れたというポーズをしていました。







本日一番ミニサイズのマダラヤドクガエル。


たぶんオタマジャクシから変体したばかりだと思います。



この個体を見た時に何も考えずに、


「マダラヤドクガエルのオタマジャクシもこんな色なんですか?」


と、質問したら、


「いや、普通の黒だよ」


と、よくよく考えてみれば当たり前の答えが帰ってきて、バカ丸出でした・・・
(いや、世界の何処かに成体と同じカラーリングのオタマジャクシが居てもおかしくはない!、、、、居ないか、、、)






再びトカゲ君。







ハキリアリの大行進。

これまで見た中で、一番立派な行列でした。


そういえば、ハキリアリのコロニーの写真をまだ撮ってなかったなぁと思って、「撮りたいんですが」とマイコーさんにお願いしてみたところ、


「巣はここから1kmぐらいに先にあるから、ちょっと無理だね」


とのこと。

700万匹という数といい、行列の長さといい、スケールが違います。







ツノゼミを探している時に見つけた線虫みたいな生き物。











お〜、こりゃまた立派なハキリアリの行進です。

何度見ても見飽きません。









ハキリアリ(横方向)とグンタイアリ(縦方向)が葉っぱを利用して立体交差してました。

お互い無闇矢鱈と干渉しあわないようにしてるんですね。









再びトカゲ君。
 Brown Anole Family








これ、不思議だなぁと思って、マイコーさんに理由を尋ねたら、「葉が若くてまだ丸まってる時に幼虫がまっすぐ突き抜けるように葉を囓ったからだよ」と教えてもらい、なるほど!と膝を打ちました。







トレイル周辺の熱帯雨林の様子。








咲いていた花。








というわけで、再び橋をわたって集合場所のレストランまで戻って来ました。(10:30)




レストラン前の花壇にハチドリが居たので撮影しようとカメラを向け、シャッターを切ったまさにその瞬間に飛び去ってしまいました。


シャッター音のタイミングから状況を察したマイコーさんが笑いながら、



「行っちゃったね、でも、(駐車場に続く)この先の花壇にもよくハチドリが来るから、探してみたら」


と、慰めてくれました。




さて、ヤドクガエルをきちっと見せてくれたし、それ以外のガイディングもとても良かったので、残っていた小銭全部を取り出し、


「ごめんなさい、帰国寸前でこれしか無いんだけど」


と、チップで渡して、お別れしました。(マイコーさんはそれでも喜んでくれました)


セルバベルデロッジのガイドツアーもラ・セルバと並んでなかなかオススメですよ。




というわけで、花壇を(ハチドリではなくどちらかというとツノゼミを)探しながら駐車場へと歩いて行きます。








カメムシの仲間ですかね。









花だけ見ても、なんの種類なのかさっぱりわかりません。



ツノゼミの居場所を西田さんに質問するときに、どんな植物にくっついているのかまでセットで質問しておけばよかったです。

(一応、道路脇の太陽光の当たるようなところに生えている草木に住み着いているとは返信メールに書かれていたので、それを参考に探してはいましたが)








バッタ君。









こちらはかわいいトカゲ君。

というわけで、ガイドツアーが終わってからは特にツノゼミを集中的に探していたお陰で、いろいろな生物を発見しながら駐車場に戻って来ました。



朝に挨拶したおじさんが、「楽しめたかい?」と、声をかけてきたので、



「はい、とても」



と、答えてトランクに荷物を放り込みながら、ジムニーの真後ろに生えていた潅木を念のためツノゼミが居ないか探してみました。








ん?







居たーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!









(素早く逃げるような虫じゃないですが)慌てて一度車に仕舞った望遠レンズに交換して、写真を撮り始めます。


西田さんのページでも紹介されている、バラノトゲツノゼミ(Umbonia crassicornis)の仲間だと思います。








よく見ないと、本当に植物の刺にしか見えません。


見事な擬態です。


もしかしたら、今まで視界に入っていたのに見逃していたのかもしれません。





駐車場のおじさんは、一人大興奮して写真を撮りまくっている私の行動が理解出来ないのか、(一応、そこにお目当ての昆虫が居ることは伝えたのですが)、しばらく唖然として眺めていた後、「あそこにも居るぞ」と遠くを指さしつつ、こっちに来いと言うので、ツノゼミが他にも居るのかと思って付いて行きます。








駐車場から出てすぐの場所で立ち止まって遠くを指さすので、その方向を凝視してみます。








う〜ん、あれはグリーンイグアナですね!(写真中央、樹の枝の上)


おじさん、親切にありがとう!


でも、今はツノゼミに出会えたことで頭の中がいっぱいなんです。



というわけで、グリーンイグアナの写真をとりあえず撮影してから、、、







再び先ほどの木に戻ってツノゼミの写真を撮ったり、たまにちょっとずつ動くこの不思議な虫の生態を興味深く観察していたのでした。



一応、周辺の他の木も探してみたのですが、少なくとも駐車場にはこれと同じ種類の木が無く、他の木にはツノゼミは取り付いていないようでした。









こちらはおじさんが教えてくれた毛虫です。



おじさん、今は毛虫にも興味はないのですよ、実は。










ツノゼミを見つけたら絶対に使ってやろうと日本からわざわざ持ってきた「虫の目レンズ」もここで使っておきます。
(虫の目レンズをつけている標準ズームレンズが、万が一メインのレンズを壊したときのピンチヒッターの役割も果たしています)









虫の目レンズは危うく一度も使うこと無く太平洋横断だけで役目を終えるところでした、って使い慣れてないので見事にピンぼけですね〜。














最初、二種類居るのかと思ったら、雄と雌だったみたいです。











これはたぶん子どもたちです。

たしか、ツノゼミはちゃんと子育てもするはずです。(この種類がするかどうかはわかりませんが)


その他にもアリとの共生とかツノの形のバリエーションとか、何かと謎が多いこの愛くるしい昆虫に出会うことがコスタリカについて調べたやりたいことの中でもかなり上位にランクされていた項目だったので、この帰国寸前というタイミングでの出会いはほんとうに嬉しかったです。



駐車場のおじさんにお礼を言うと、手を差し出してきたので固く握手をして別れました。



つづく