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板の間は土足禁止、すっかり泥も乾いたクロックスサンダルを脱いで上がります。



ひとまずレセプションに顔を出してバウチャーを提示してキャンプ許可をもらいます。バウチャーはそのまま回収されました。


受け付け手続きを進めつつ、スタッフさんに明日の延泊が可能かどうかと、もし延泊が無理でも明日の夕方帰りのセスナが手配できないか質問してみました。


というのも、こんなに動物がたくさん居そうな素敵な場所なのに今晩だけ過ごして明日の午前中には「シレーナからラ・レオナ間の苦行とも言える歩き」に出発しなければならないことがもったいないと感じたからです。


最初対応にあたってくれた方(現地の方っぽい人)は私のしょぼい英語が理解できなかったらしく、見かねた白人女性の観光客の方が通訳に入ってくれてなんとか話が出来ました。

最後は若い男性スタッフさん(まさにレンジャーの格好をした方)が対応してくれました。


延泊は予約が埋まっていて不可能、セスナの方はパイロットが今居ない(私がシレーナ川を往復している間に飛び立ってしまった)のでわからないとのこと。



「後でパイロットに聞いといてあげるよ」



と、嬉しい提案をしてくれたので、念の為料金を確認しつつ(たぶん一人80ドルぐらいだったと思うよとのこと)、明日夕方のセスナ手配をお願いしました。(後で調べてみたら5人乗りで400ドルぐらいみたいです)



「シレーナは初めて?じゃぁ、ここの使い方を案内するね」



と、レンジャーさんが受付から出てきて歩き始めたので着いて行きます。



「あれがテントエリア」



なんと!



滑走路含めてこんなに広大な敷地があるのに、こんなテン場のために予約が全然取れなかったわけですね。(入場者数制限という意味合いもあると思います)



テン場の他に山小屋風の宿泊部屋もあります。食事も頼めますので着替えだけ持ってセスナか船に乗ってここまで来るという朝に出会ったファミリーのようなお気軽訪問も可能です。



「あそこが炊事場で、その向こうがトイレとシャワー。それからマットレスは自由に使っていいよ。テントは必ずこの場所に張ってね(完全場所指定)」




ということだったので、、、



指定された場所にマットを敷いて、その上にテントを張りました。



う〜む、これなら自前のマットは必要なかったですね。



(ついでに言うと、夜はそこまで冷え込まないので、シュラフも必要ありませんでした。多少の厚着とシュラフカバーぐらいで十分です。中にはスケスケ丸見えの蚊帳だけで寝ている猛者も居ました)



後はクロックスサンダルの泥を落としてから、一度休憩を入れました。


どうせ、多くの動物達の活動時間は夕方から早朝にかけてでしょうから、今慌てて探しに行ってもしょうがないと判断したからなのと、何よりも普段の登山よりも重いザック担いでの砂浜込みの6時間歩きで足が疲れたからなのですが。


まずは、昨日購入した調理パンの残りを食べ・・・、





それでは足らずにコモパンも頂きました。



これで、ひとまず落ち着きました。



しっかし、足の疲れはともかく、左肩が痛いなぁ。


たぶんザックをまったく腰で支えられていなかったので、重たい荷物をすべて肩で背負っていたんだと思います。左肩だけというのは、たぶんパッキングした時のバランスが悪く、ザックが傾いていたからでしょう。




さて、夕方から動物探して歩くと言っても、どこを歩けば良いのか情報が無さ過ぎるので、レセプションのところに居たレンジャーっぽいイケメンの白人男性に声をかけると、その方はレンジャーではなかったのですが、おすすめのコースなどをいろいろ教えてくれました。


ピューマ(って発音すると通じません、プーマって感じみたいです)の生息地を確認しようと質問してみたら、昨日ピューマを見たというので場所を尋ねてみると、なんと「ラ・レオナの近くで昼の12時頃見たよ」とのこと。



え!? あんなところにピューマ居るの? しかも真昼間に?



と、驚きつつ、天然さんが探していたのはなるほど無駄な努力ではなかったのだと再認識しました。



と、すると、今日は何も考えずに前だけ見て歩いてしまったのは大失敗だったことになります。

明日もセスナで飛んで帰るのが正解かどうかわからなくなってきました。



「今日は何か見たかい?」と、質問されたので、自信満々に珍しいトカゲを見たんだと特徴を伝えてみたところ、



「あぁ、そりゃぁエイノール・コモンだよ」との返事。
Brown Anole (Anolissagrei)


「え?コモン?」(common よく居る、普通種、つまり「よくいるトカゲ」)



「そう、コモン、コモン(笑)」



と、がっくりしている私を見てイケメンさんはおかしそうに笑いつつ、



「コルコバードの動物リスト持ってる? 持ってないんだったらあげるよ」



と、言い残して自分のテントの方に向ったので、てっきりその冊子を取ってきてくれたのかとおもいきやそうではなかったので、どうやら聞き間違いだったんだと思いました。その後、30分ぐらい経ったころに突然現れて、「はい、これあげる」と、カラー印刷された冊子をくれました。(ここのツアー会社が出しているもののようです)


やはり聞き間違いではありませんでした。ありがとうございます。


冊子にはコルコバードを代表する鳥類や哺乳類、爬虫類のリストが100種以上並んでいて、見た動物にチェックを入れられるようになってました。
(もちろん、Anole commonも掲載されていました)



写真は資料室に貼られていた地図です。

ラ・レオナでもらった地図はこれの白黒コピーでした。

(地図左中央のシレーナレンジャーステーション正面の空港、海から繋がってる川に見えませんか?)







こちらはシレーナ周辺の地図。


これなら空港ってわかります。Airstripってちゃんと表記されてますし。しかも「SENDRO」という単語を使わずに「Trail」になってます。この地図なら迷わなかったのに!

なんてことを思いながら地図を眺めていたらレンジャーさんが資料室に入ってきたので、先ほどと同じようにおすすめのコースやピューマに会えそうなポイントを尋ねてみました。



曰くピューマはテリトリーが広く、定期的な行動はしないということでどこで会えるかはまったくわからないということでしたが(そりゃそうですね)、夕方歩くコースであればPAVOトレイルから入ってGuanacasteトレイルからシレーナ川でワニを見て、海辺を覗いてからシレーナトレイルで戻ってくるのが距離も短くておすすめだよとのことでした。

逆にClaroトレイルは距離が長いので、日が落ちていく夕方にはおすすめできないとのことでした。



了解です。



では、足の疲れも充分取れましたし、ぼちぼち出かけるとしますか! (15:45)



お、さっそくハナグマがお出ましですか。幸先いいですね!



ロスパトスまで23kmって出ているところが入り口ですね。









お〜、ハキリアリの行進です。

ラ・セルバでも何回か見ましたが、群れ好きの私にはここの方が数倍密度が濃くて見ていて楽しかったです。






オグロキヌバネドリです。Slaty-tailed Trogon(Trogonmassena



ここからレンジャーさんおすすめのGuanacasteトレイルにまっすぐ向かってしまうと明るいうちに一周できてしまいそうだったので、怪我の功名では無いですが先程すでに探索済みのシレーナトレイルを暗くなってから歩くのが良いと判断して、他のトレイルにも少し顔を出して見ることにしました。
(19時以降は外を出歩いてはダメなルールだったはずなので、日が沈んでから19時までが勝負です)



まずはEspavelesトレイルに入っていくと、(日本人かもしれない先ほどであった)アジア人カップルとガイドの組み合わせのグループが歩いてきたので、挨拶だけしてすれ違おうとした所、ガイドさんが「何か見ましたか?」と質問してきたので、「特に何も見てません。あなたは?」と返すと、「いや、こちらも」とのこと。


やはり(大物の)野生動物に出会うのは「コスタリカ最後の秘境と言われるコルコバードのさらに再奥地に位置するシレーナ」と言えども大変なんだなぁと再認識しつつ、アジア人カップルと会釈してすれ違ってから先に進みます。



しかし、ガイドさんがすでに探しながら何も見つけられずに歩いてきた道でピューマに出会える気がしなかったので、一旦引き返して今度はPavoトレイルに入ってみることにしました。


Pavoトレイルは小川(2〜3mぐらいの川幅)を何本も渡らせられるのと、ぬかるみがやたらと多くてどうにもペースを稼げません。ここを歩くんであれば長靴必須だと思います。


しばらく歩くと、たぶん23km先のロスパトスから歩いてきたであろう疲れ果てた表情の白人カップルとすれ違ったので、「途中で何か見ましたか?」と尋ねてみたところ、「ペッカリー(ヘソイノシシ)ぐらいですかね」とのこと。



う〜む、動物探しは甘くは無さそうですね。



シレーナについては南アフリカのカラハリトランスファーNPぐらいの動物密度をイメージしていましたが、やはりアフリカは特別だったみたいです。(向こうは木もほとんど生えてませんから視界も抜けてますし、アフリカはそもそも特殊ですよね)




19時に帰れるように時計とにらめっこしつつ、Guanacasteトレイルへと進んでいきます。




シレーナ川(河口より上流位置)に到着しました。


レンジャーさんのアドバイスに従いワニをすこし探してみたのですが、見当たりませんでした。


帰国後に「No Nadar」の意味を調べてみたところ、「泳ぐな」という意味でした。そりゃそうだ(笑)



同じ方向に向かって歩いていた白人の男女3人グループと抜きつ抜かれつしつつ、コースを進んでいきます。
(最終的に彼らは河口の方には出ないで、まっすぐレンジャーステーションの方に戻られたみたいでした)



夕陽のタイミングにあわせてシレーナ川の河口付近に出てきたのですが、時すでに遅し。太陽は雲の中に沈んだ後でした。(17:40)


(ペリカンの編隊が見られて、これはこれで満足だったのですが)





シレーナ川の方からガイド付きの若者グループが歩いてきたので、ガイドさんに「何か見ましたか?」と質問しようとしたところ、私が質問しようとした気配を察知したからか、ガイドさんは急に向きを変えて私を避けるように歩いてジャングルの中へ続くトレイルの方へと入っていってしまいました。


彼らが河口付近に何か見たのかわからなかったので、仕方なしに私もシレーナ川付近をチェックするために浜辺を歩くことにしました。




って、満潮に近づくとこんなに砂浜のエリアが減るんだ!


昼間はなんてことなかった砂浜はほとんど波に洗われるエリアに切り替わっていて、なんとか波を避けて川べりまで進むと、そこには昼間見た時とは全然川幅が違うシレーナ川が暗闇の中に怖いぐらいの迫力で横たわっていました。



たしか満潮時間は19時ぐらいだったはず。ということは、まだまだ潮位が上がりそうで、帰れなくなったらまずいと判断して、そこで何かを探したりすることはせずにすぐに引き返しました。





さて、すっかり暗くなってきたのでここからが本番です。(18:00)



ジャガーやピューマが生息するまだ一度も歩いたことがない道を暗くなってから一人で進むのは怖すぎますが、ここは昼間に歩いているので、すくなくとも道に迷うかもという恐怖感はありません。






登山用のヘッデンを灯し、動物を探しながらゆっくりと進んでいきます。







しばらく進むと、30mほど先のところにトレイルの脇から何か巨大でずんぐりむっくりした生き物がゆっくりと出てきました。どう見てもネコ科の動物ではありません。





こんなところで牛を放牧してるんでしたっけ?




いや、こんなところに牛なんて居ないよな。




姿形は鹿って感じでも無いし、豚やイノシシにしては大きすぎるし・・・





その動物はトレイルを私と同じ方向に歩いて行くのでお尻だけ見えていたのですが、私のほうが若干ペースが早いので、徐々に距離が縮まっていきました。




その動物が足を止めて、振り返るようにこちらを見た時に、特徴的な鼻面を見てようやくわかりました。




バクだ!!(ベアードバク、Baird's Tapir (Tapirusbairdii))


シレーナはバクに出会えることで有名な場所なのですが、私はピューマに会いたいとばかり考えていたので、鼻面を見るまでバクの存在をすっかり忘れていました。




バクってあんなにでかいんだ!


(子牛より一回りでかいサイズで、Wikiペディアによると、体長180-250cm。肩高100-120cm。体重150-300kgです)





そのまましばらくバクとトレイルを一緒に歩きました。




やがて、トレイルから外れて脇の草むらに入っていったので、そのまま遠くに行ってしまうのかとおもいきや、、、









トレイル脇で普通に食事を始めたので、ゆっくりと観察させてもらいます。







私が1m以内に近づいても、特に反応するわけでもなく、無心に草を食べていました。



そして、仲間か子どもに合図するためか、時折「ピー!」っと甲高い声で鳴くのでした。



バクは目の前でしばらく草を食べた後、森の奥へと消えて行きました。





いやぁ、びっくりしました。




そして、このぐらいのサイズの動物に出会うとやはり嬉しいものですね。




野生動物なのに人間に対して擦れてないのも良いです。(ダイビングに似てますね、この感覚は)




到着時にレンジャーステーションの場所を勘違いしたことや、先程ガイドさんに質問を避けられたことやらいろいろなことが重なってタイミングよく出会えたわけですから、本当に何が起こるかわからないものです。
(私の場合は「バクに会いたい!」って、期待していなかったのが良かったのでしょう)




そして、結局残念ながらピューマには出会えませんでしたが、ものすごい満足感と共にレンジャーステーションに戻って来ました。(18:45)







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本日の歩行ログです。




テン場(というかテント小屋)に行くと、私の隣のテントのご年配の白人のおじさんが話しかけてきました。


「何か見られましたか?」と質問をされたので、待ってましたとばかりに先ほど写した写真を見せます。(単にバクを英語で何と言うかわからなかっただけなのですが)


おじさんは「良かったですね〜」と、自分のことのように喜んでくれました。そして「私はサンフランシスコから来ました。あなたはどこから来たのですか?」「何日間ぐらいの旅なのですか?」「この後はどこに行くのですか?」などなど、いろいろ質問されつつ、「名乗り遅れましたが、私はアランと申します」と手を差し出してきたので、「ぎんがめです」と答えつつ握手しました。


「ぎんがめさんは英語が上手ですね」


と、恒例のお世辞を言われたので(私もカタコトの日本語を話す外人さんに同じ事をよく言ってるので人のことは言えないのですが)


「いえいえ」


と、謙遜ではなく正直に答えつつ(実際、会話が成立していたのはアランさんが丁寧かつゆっくりと話しかけてくれたからですが)


「ところで、アランさんは食事はもう食べられたのですか?」


と、質問すると、


「いや、ちょうど今から料理をしようと思ってたところなんですよ」


とのことだったので、


「私はこれからシャワーを浴びて、それから料理をしようと思ってます」


と、答えつつ着替えなどをザックから取り出す準備に入った所、


「では、良いシャワーを」


と、言いながらアランさんが料理セットを持って歩き始めたので、


「アランさんも良い食事を」


と、返してからシャワールームに向かいました。


シャワーといっても温かいお湯が出るわけではないので、半分気合で体を洗い、調理場でささっと料理を済ませました。


けっこう蚊が飛んでくるので、これまた日本から持参した蚊取り線香に火をつけて足元に置いておきました。


今日もすでに何発か刺されましたが、すっかりコスタリカの蚊に耐性が出来たからか、一日も経たずに腫れが引くようになりました。


ラ・セルバで刺されたところもほとんど気にならなくなってました。



今晩の料理はスパゲティにレトルトの豚肉。



とても美味しくいただきました。



食べ終わってからテントに戻り、なんとなく横になったら速攻で眠りに落ちてしまい、気がついたら21時ぐらいでした。



テントは開けっ放しにしていたのですが、蚊取り線香をテントの入り口(外)で炊いていたので助かりました。



すでに施設内は消灯されて真っ暗になっていたので、ヘッデンを持って洗面所に行って歯を磨き、軽く明日の下調べでもと思ってノートPCを開いてはみたのですが、波状攻撃で襲ってくる睡魔には勝てそうになかったので、PCは閉じてそのまま眠りにつきました。







12月31日(土)





眠りから覚めて時計を見ると、朝の3時でした。


この旅が始まってからこんなに熟睡したのははじめてです。



時差ボケが解消されてきたから、、、一昨日・昨日の行動がハードで疲れていたから、、、マットが気持ちよかったなどなどいろいろ理由はあると思いますが、ぐっすりと寝られたことにとても満足しました。





周囲はとにかく静かです。




昨日の21時時点でもそうでしたが、皆常識人なのか、トイレに行く人も明らかに音を立てないように気を使って動いている様子が伝わってきました。(日本の夏山のほうがもっとうるさいです)


トイレに行こうと静かに中庭を歩いていると足元を何かが駆け抜けていきました。




ネズミです。



なるほど、テントサイトですら高床になっているのはこういう理由だったんですね。

(翌朝確認したら、滑走路の端でテントを張っているグループも居ましたが、あれは予約をとった上ならあそこに張るのは個人の自由ということだそうです)



トイレを済ませてテントに戻り、蚊が入らないように最小限の開口部から四つん這いで入ろうとしたところ、足を入れるときにテントが「ボン!」という破裂音を発しました。


何事かと思ってテントを確認してみると、入り口の対角線にあるポールが一箇所折れていました。


どうやらマットレスを敷いてあるせいで、入り口から入るときにテントが変形しすぎてポールのテンション限界を超えて折れてしまったようなのです。

まぁ、やってしまったことは仕方が無いので、ひとまずそのままにしておきました。
(幸いテントが破れたりひしゃげるということも無さそうだったので)


ノートPCを開いて事前にダウンロードしておいたホームページで改めてコルコバード情報を読み返してみます。

すると、来る前に読んだだけでは今ひとつわからなかったことも、一度現地に来ると何が書いてあったのかよくわかります。


また、書いてあるニュアンスからして昨晩バクに出会えただけでもラッキーだったと思わないとダメなんだと痛感しました。



シレーナではとんぼ返りせずにちゃんと目の良いガイドを雇って数日過ごすのが正解だと思います。




4時を回ったところで空腹を感じてきたので、厨房に行って朝食の準備を開始しました。





準備と言ってもコモパンを網で焼くだけなのですが、これが美味しいのです。

糖分がわりに練乳をかけて、あとは肉代わりのプロテインを飲んで朝食完了です。



他の皆さんも起きてきたので、ぼちぼちと出発の準備をしていると、白人の女性が静寂を切り裂くような悲鳴を上げつつ、何やら畳みかけのテントと自分の手を気にしながら困った様子でうろうろしていたので声をかけてみました。


するとどうやらテントにハチが紛れ込んでいたらしく、畳んでいるときに指を刺されたのだとか。

ハチはどうやら自力で追い出したらしいので、「薬ありますけど必要ですか?」と質問すると、「ぜひ」とのことだったので、持ってきていた抗ヒスタミン剤を塗ってあげました。(本当はポインズンリムーバも購入して持ち込む予定だったんですが、事前に入手できなかったんですよね)


その後、自分のテントのポールを予備のものと交換して組み直したり、早朝に歩くコースを考えたり、出発の準備やらをしているうちに午前5時を回ってしまい、少しずつ明るくなってきたのと同時にホエザルが鳴き始めたので慌てて出発しました。


と、こんなタイミングで昨日わざわざ購入した(トイ・ストーリーもどきの)傘を紛失していたことに気がついたのですが、一度レンジャーステーションに戻って探しても見つからなかったので、たぶん昨日どこかで落としたのだろうと判断し、まったく出番すらなかった傘ですが、誰かに拾われて活用されてるのだろうと信じで諦めることにしました。 とほほ・・・




空は半分曇ってる感じで、昨日の朝みたいにうろこ雲に覆われています。

あと、湿度が高いからか薄っすらとガスっていて、夜露で草が濡れています。




まずは朝日を拝むために昨日の逆周りで最初にシレーナ川の河口を目指すことにしました。



激しく動きまわる猿の仲間は簡単に見つけられるのですが、早朝だからといって動物が山ほどいるわけではないみたいです。


(シレーナ周辺の猿はかなり高い木の枝に居るので、見つけられはしますが観察&撮影は容易では無いです)






シレーナ川河口周辺の海に出ました。



雲に覆われていて日の出も何も無い感じです。






双眼鏡を使って砂浜を何か歩いていないか確認したのですが、特に何も見つかりませんでした。





さて、これから気温が上がるまでの時間が肉食動物と出会うチャンスのはずです。



気合を入れて探してみますか!





と、今歩いてきたトレイルに戻ろうとしたところ、記憶に無いでかい石がトレイルの真ん中に置かれているのが目に入りました。



あれ? あんなところに石なんてあったっけ?




入る道を間違えたかな。




ん?




違う、、、



バクだ!



なんと、昨日に引き続き二度目の遭遇です。








しかも、今回はこちらに向かって植物を食べながら歩いてきます。



そのままこちらも動かずに歩いてくるのを待っていると、そのまま目の前の草むらに入り、木ノ葉を食べ始めました。




1mぐらいの距離で観察させてもらいます。

(広角レンズで写しているので小さく写ってますが、やはり巨大な生き物です)





昨日は暗くてよく見えなかった部分もありましたが、今日はじっくりと観察できます。







バクも私に興味を示したのかさらに近寄ってきたので、あまりの突然な行動と迫力に思わず私が立ち上がってしまい、バクもそれに驚いたのかそれ以上は近づいて来ませんでした。
(慌てて写した写真なので、ピントが生殖器の方にあっています。狙ってそうしたわけではありません)


もし、そのままにしていたら、バクと鼻先のふれあいが出来たかと思うと、しまったなと後悔しました。

(十分に触れる距離ですが自分から手を出すのは私の中ではルール違反ですし、場合によっては反撃される可能性もありますからやめておきました)



先程までヌタ場で遊んでいたからか足元は泥だらけ、生殖器も頻繁に伸びたり縮んだりします。








最初に伸びたのに気がついた時は、ちょっとだけ焦りました(笑)







さすが草食動物、食欲旺盛なのか一心不乱に食べています。





鼻先は象のように器用に動かせるらしく、そこを使って草を根こそぎ食べてました。





歯もなかなか立派なので、噛まれたらただごとでは済みそうもないですね。

ジャガーや4m級のワニはバクを襲うこともあるらしいのですが、鋭い爪による反撃もあって、そうそう簡単には捕食できないのだとか。



十分に観察させてもらったので、「ありがとね」と日本語で声をかけると、その声に反応したからバクもゆっくりと森の奥へと歩いて行ってしまいました。






つづく