ケニアドライブ旅行記
その6
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巨大ショッピングモールに向かって歩きはじめると、「タクシー?」と道端に居る運転手のおじさんが声をかけて来るのですが、事前の知識から全員悪徳運転手に見えてしまったので、強い調子で「ノー!」と答えると、「そっか・・・」とシュンとなって引き下がるのを見て、ちょっと悪いことをしてしまったかもと思ってしまいました。(観光客狙いの強盗に変身する悪徳運転手は空港とかに多いのかもしれませんね)




ショッピングモールに入る前にちゃんとしたボディチェックがあって、鞄の中身も確認させられました。
(ナイロビはここ最近テロが多発していてこういう場所はけっこう危ないのです)







さて、まずは年末大ジャンプ恒例の燃料用アルコール探しです。


カジノまで入っているようななんでもありの巨大ショッピングモールですからこれは楽勝で手に入るだろうという読みです。


警備員に薬局の場所を尋ねてから向かうとそこには近代的で品揃えも良さそうな薬局が有りました。これなら手に入りそうです。

店内でアルコールの瓶を探したのですが陳列してなさそうなので従業員に声をかけます。

アルコールを注文すると、出てきたのは消毒用の70%アルコール。(毎回「アルコール」と発音して「?」って顔をされます。英語の発音だとアルク(コ)ホールでしたね)

これじゃ燃料としては使えないので、他に無いか尋ねるとこれしか無いとのこと。

うーむ、ここなら絶対大丈夫だと思ったんですが・・・



ひとまずここは諦め、モール内のナクマット(ケニアのイオンみたいな大手スーパー)に行き、こちらでもアルコールが無いか尋ねると、これまた恒例なんですがお酒を売ってるコーナーに案内されました。


2年前に南アフリカでアルコールの調達にえらい苦労し、あの時も酒屋でアルコール度数95%のスピリタスを入手して事なきを得たのを思い出し、スピリタスが無いか店員に確認した所「取り扱ってない」とのこと。。。(けっこう品揃えのよさそうな酒屋さんだったのですが)


う〜む、これは想定外!


ナイロビ随一ということで、ここ以外のショッピングモールや薬局の場所を事前に調べていなかったので急に焦り始めました。


今日はナイロビで買い物をしたらホテルでのんびり過ごす予定だったはずなのに、明日からの予定は白紙状態、おまけにアルコールも手に入らず、ショッピングモールや薬局の場所も検討がつかない・・・

なんだかんだで既に15時を回っています。ナイロビの夜は治安が悪いのは先刻承知なので、日が落ちる18時までにはなんとしてでも買い物を済ませなければなりません。


薬局探しに向かう前にサファリコム(日本で言うところのDocomo)のショップに行き、アルコールと並んで必須のツールとなる携帯のプリペイドSIMを購入しようとしたのですが、何か店内でお祭りでもやってるのか?ってぐらいの混雑具合で、いつ自分の番が回ってくるかわからない状態です。

機内で読んだ本によると、今ケニアでは空前の携帯・スマホブームだそうです。銀行口座が無くても肉親の間で送金サービスが利用出来るというのもヒットした理由の一つです。なんせ現金を持ち歩くのが危険な国なので。ケニアの人々は都会も田舎も関係なく年収の数分の1の利用費を払ってでも携帯で知り合いと電話したりメールしたりフェースブックしたりするのを楽しみ、送金サービスを活用してるんだそうです。携帯本体を買えない人はSIMカードだけでも買って仲間内で携帯本体を貸し借りするみたいです。


と、知識としては知ってましたが、プリペイドSIMカードの調達に支障をきたすぐらいだとは予想してませんでした。


airtel(日本で言うところのsoftbank)にも顔を出してみましたが、こちらも大混雑状態。

アルコールだけじゃなくプリペイドSIMカードすらも手に入らないままショッピングモールを後にします。

もう、予定が狂いまくりです。



ついでに外はスコールが降っていて、タクシーの運転手やバナナ売なんかをしていた人たちも、皆雨宿りをしてました。

傘を持ってないので小走りで移動します。

ナイロビ市民の方々もコスタリカと一緒で傘を持っている人は少ないみたいです。



もしやと思いつつ駐車させてもらった向かいの小さいショッピングモールにも顔を出します。
(こちらもちゃんとボディチェックが有りました)


薬局で「これがアルコールだよ」と紫色の液体を渡されたのですが、成分が書かれてないので中身は何なのかわからないけれど安かったので(500mlで200KShぐらい)ダメ元でとりあえず一本買っておきました。(というか一本しか売ってませんでした)

さらに酒屋でスピリタス探しをしたのですが、こちらも不発。



一旦先ほどの大型ショッピングモールに戻ってわざわざボディチェックまで受けて中に入り、70%アルコールも念のため買っておきました。(500mlで300KSh)


ついでに本日の夕飯用にファストフード店でハンバーガー1個を購入。オーダーを受けてから調理するタイプでけっこう待たされました。

さらにカフェに移動して明日の食事用にサンドイッチを購入し、支払いの時に店員のお姉さんに「ここと同じぐらいの規模のショッピングモールってどこかにありますか?」と尋ねてみたところ、「あちらの方にあるわよ」と方向で指さされたので、とりあえず「あちらの方」に向かうことにしてみました。



車で「あちらの方向」に適当に走ること3分、、、
(途中、T字路にぶつかり交差点を左折しましたが)






これかな? というショッピングモールに到着しました。(16:10)
(看板とか出てないのでよくわからないのです)







ちゃんとボディチェックはあったのですが、なぜか搬入口(従業員用通路?)みたいなところからモール内に入ることになり、ここもダメかもしれないという気持ちが大きくなってきます。









しかし、中に入ると意外にちゃんとしたショッピングモールで、希望の光りが差し込んできました。


ライフル持って迷彩服を着たガードマンも立っていてなかなか物々しい雰囲気です。







薬局より先に目に入ったのはサファリコムショップ。

相変わらずの混雑なので後回しにします。




モール内の構造が複雑で薬局を見つけられなかったので、先ほどのガードマンさんに薬局の場所を尋ねて教えてもらいました。










こちらが薬局です。

祈るような気持ちで(ケニアでは珍しい)白人のおばさん店員さんにアルコールを売ってないか尋ねてみると、


「売ってるわよ」


と、あっさり返されました。

飛び上がらんばかりに喜んでいると、、、



「でも、とても高いわよ」



と、宣告されます。


高いといってもたかが知れてるだろうと、今後キャンプ生活が続くことを考えて1リットル注文しました。
(50cc×20回分)


95%エタノールはでかいポリタンクで在庫してるらしく、500mlの瓶に小分けにしてくれました。



それを待っている時に


「今回はケニアに何日間滞在するの?」


と、尋ねられたので


「16日間ですよ」


と、自信満々に答えると、


「たったの?」


と、言われてしまったので、「これでも日本人にとっては(以下略)!」と、力を込めて反論しておきました。




瓶を小分けにしてくれたのは良かったのですが、この瓶の蓋に問題があって中に入れたアルコールが横にするとじわじわ漏れてくるということで、、、








結局、在庫用のでかいポリタンクのまま購入させてもらいました。

ポリタンクだと扱いにくくて仕方がないので、漏れるの承知で小さい瓶も念のため1本もらっておきました。



値段はびっくり仰天の5000KSh。

思わず聞き間違いかと思って聞き返してしまいました。


日本で買ったとしても高い酒税払ってその半額ぐらいだと思います。(エタノールは酒税がかかります)

そういえば、今更思い出したのですが南アフリカの薬局で買った95%エタノールは100ccぐらいの小さな瓶に分けてもらって良い値段してたんでした。その時は750mlのスピリタスを入手済みだったので少量を試しに買ったぐらいでしたが、たしかにあれを10本ぐらい買ったらこんな値段になります。



まぁ、背に腹は代えられないのでそのまま5000KSh支払いました。


これでひとまずアルコールを入手できて一安心です。

(そろそろ海外旅行用にガソリンストーブを買ったほうが良いんですかね〜。今回も少し悩んだ末にアルコールストーブにしてしまいましたが、まさかこんなことになるとは・・・)








サファリコムは相変わらずの混雑だったので、先にモール内のスーパーに立ち寄って今後必要になる食料を調達することにしました。

(充実してるポテチコーナー。行動食としていくつか購入)









パンを探していた時で目についた三角形の揚げ物(サモサ)も購入。









水も5リットル購入。これ、全部水です。









こんな感じでだいたい1500KShなり。




後はプリペイドSIMカード購入を残すのみ。


サファリコムショップの混雑具合は相変わらずお話にならない感じでしたが、別フロアにあったAirtelショップが幸い空いていたので、こちらで購入することにしました。






写真はIDEOSを店員のお姉さんに渡して設定してもらってるところです。(右側に写ってる方も従業員の方で仕事が終わって私服に着替えた状態でここで立ち話をしていて、話の成行きからスマホの開設手続きを手伝ってくれました)


二人ともとてもオシャレさんでした。


ちなみにIDEOSはケニアのスマホ市場では45%という驚異的なシェアを誇る人気機種です。(単純に安いからですが)


プリペイド用のSIMカードと1.4Gbyte分ぐらいのデータ通信費用で1000KShぐらいでした。これは安いと思います。
これで天気予報とメールチェックは大抵の場所で出来ます。



いやぁ、思いがけずこのショッピングモールで全部一気に手に入りました!

よかった、よかった。








お腹が空いていたので、早速三角形の揚げ物(サモサ)を駐車場で頂きます。

スパイシーなコロッケみたいで美味しいです!



初っ端から、いったいどうなってしまうんだろうと思っていた今回の旅ですが、買い物ミッションが完了したことで急に楽しめる気がして来ました。


さて、暗くならないうちにホテルに移動しますか。







ナイロビは「実働する日本車博物館」みたいになっていて、私が小学生の頃によく見かけた車から最新の車までなんでも揃ってます。


特にトヨタ車が多く、これは絶対に海外で売ってないでしょというようなマイナーな車種含めてざっと見た感じシェア7〜8割行ってるんじゃないかという勢いです。年末大ジャンプで訪れた国で、ここまで日本車が市場を圧倒している国は初めてです。(NZやAUもすごかったですが)


逆に世界中で飛ぶ鳥を落とす勢いの韓国勢は看板やディーラー含めて今のところ全然見かけていないです。







だいぶん前に読んだ本なのですが、この本の中で著者がアフリカでの最初のビジネスとして日本の中古車をアフリカに持ち込んで大儲けしたのを足がかりにしたという話を思い出しました。


行きの機内で読んだ本にも書かれてたんですが、ケニアには壊れた車を修理をする職人さんも多いらしいですし、ただでさえ壊れにくい中古の日本車が5年落ちで無価値になった後、大量に運び込まれて生活の足として大事に大事に乗られて余生を送っている結果こうなったんだと思います。







写真右、おじさんが売ってるビックリマークの看板がこちらの三角表示板です。

手作り感満点です。


その下にぶら下がっているのはファーストエイドキットと消火器。レンタカーを借りるときにも目視確認させられたので、車への搭載が義務付けられているんだと思います。










スマホナビのお陰で迷うこなくホテルに到着出来ました。(18:00)
(左向こうのちょっとおしゃれなデザインの建物、ナイロビトランジットホテル








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本日の走行ログです。





車をホテルの正面に停めるとすぐにポーターさんが飛んできて荷物を持ってくれる辺り、安ホテルではありますが対応は良さそうです。


そして、受付のお姉さんの対応も明るく丁寧で素晴らしいです。


お姉さんにケニアによく来るのか尋ねられたので、初めての訪問ですと答えると、


「ケニア初めてなの?ようこそ!」


と、満面の笑顔で歓迎されました。


さらに一人でレンタカーで旅をするんだと言ったらすごい驚いてましたが、本日2回めの「アローン?」攻撃を喰らいました。。。


日本では今、実は男の一人旅が静かなブームなのですと説明してもよかったのですがやめておきました。



車は地下に専用の駐車場があるとのことで、これは安心です。


地下の駐車場に車を入れるときは受付のお姉さんの計らいでポーターさんがわざわざ助手席に座ってくれ、正面ドアの反対側、裏路地にある地下駐車場入口まで案内してくれました。

その時に「この辺って治安悪いんですか?」と尋ねてみたところ、「悪くないよ」とのこと。

予約を入れたエクスペディアの利用者評価欄にはこのホテルが治安の悪いところに建ってると何人かに書かれてましたが(あと盗難にあった方も居るみたいです)、ナイロビ市民的にはそれほどでもないみたいです。

確かに周囲には露店がたくさん出ていて歩いている人も多いので、外国人が夜に一人で出歩けるような雰囲気ではありませんが。






部屋の程度も必要十分。


年末海外大ジャンプでは初日からいきなり車中泊で済ますような計画にしてることが多いのですが、ナイロビ周辺の治安を考えて今回はちゃんとホテル泊にしておきました。


これで今晩は安心安全です。



受付のお姉さんから「そんな格好(Tシャツ1枚)で寒くない?」って質問されたのですが、どちらかというと私にとってはまだ蒸し暑い気がします。


ナイロビは標高が高くて(標高1600m、イギリス保護領時代に西洋人向けの冷涼で水が豊富で肥沃な土地として開拓発展、独立後に首都)夜は冷え込むらしいので、なんとも言えない感じです。

ちなみに、平均気温は17度だそうです。





ファストフード店で買ったハンバーガーを温めなおすついでに最初に入手したアルコール(だと言われた紫の液体)が使えるか実験してみました。

これが使えるのなら今後の海外旅行の参考になります。








ちょっと意外だったんですが、紫色の液体は燃料として使えるみたいです。

ただ、ちょっとだけ火力が小さい気はします。


うーむ、これなら5000KSh出す必要は無かったかもしれませんが、それは結果論ですしね。

ネットを使ってラベルに書かれている表記を調べてみたところ、「MEDPHARM」というのイギリスのメーカー名で、下に小さく書かれていた「METHYLATED SPIRIT」というのはエタノールを主成分に飲めないようにメタノールや各種溶剤、染料を混ぜた工業用途のアルコールでした。
つまり、日本の薬局で売ってる燃料用アルコールみたいなものです。



70%アルコールは火は一応つくもののさすがに火力が足りず使えない感じ。しかも私のアルコールストーブは中綿が入ってるタイプなので、最後に燃えない水分が綿に含まれた状態で残ってしまい、これを抜き取るのにえらい苦労しました。

紫の液体も日本の燃料用アルコールと違って全成分が燃えきってない気がするので、これなら箱根金時山で試した綿の入ってないもう一つのアルコールランプのほうが相性は良かったかもしれません。(風に弱くて倒れやすいという理由で持ってこなかったのですが)



ちなみにアルコールストーブの横に写ってる牛のマークの飲み物ですが、中身は完全にヨーグルトでした。

腐ってそうなったのか、元々もヨーグルトだったのか判断がつかず(パッケージにはミルクって書いてあったと思うんですが)、2〜3口飲んだ所で心配になって結局捨ててしまいました。(その後下痢にならなかったので、問題なかったんだと思います)



ちょっと予定外だったのが海外マルチプラグ対応のコンセントが差し込めずに携帯やらスマホの充電が出来なかったこと。まぁ、これは車の中で走りながら充電できるので良しとしましょう。

ちなみに、この時原因を探るためにテレビのコンセントを抜いて形状確認をしたのですが、抜いたコンセントをなぜか元に戻すことができず、とりあえずそのままにしておきました。(理由は数日後に思わぬ場所で判明します)



食事を取り、シャワーも済ませました。




その後、ロンプラに着いてる地図を広げてご破算になってしまった明日からの計画を考え直します。





あれこれ悩んだ結果、、、


当初の予定では(1)マサイマラ→(2)カカメガフォレスト→(3)レイクボゴリア→(4)チョゴリア(ケニア山登山)以下続く


という感じだったのを逆走にして


(3)レイクボゴリア→(2)カカメガフォレスト→(1)マサイマラ→(4)チョゴリア(ケニア山登山)という感じに入れ替え、マサイマラの雨が収まって走れるようになることを期待してみることにしました。



これなら事前に作ったナビゲーションルートがある程度利用できますし、運が良ければマサイマラを諦めなくても済みます。

しかし、スマホで天気予報を調べた感じでは、ここ数日間はちょっと芳しくないみたいです。

まぁ、最悪は諦めるしかなさそうですね。

その時はその時です。



というわけで、ようやく心が落ち着き眠りにつく体制に入りました。


窓は締め切られていますが、ホテルの外から大音量で流している音楽が聞こえてきます。(人によっては気になると思いますが、私は気にならない性格です)




当初の計画では、着いた初日は買い物してホテルに泊まるだけだから楽勝だろうと思ってましたが、やはり初訪問でいろいろ慣れないのと、予定外のイベントがたくさん発生して焦りながら対応しているうちに怒涛の勢いで時間が過ぎ去ってしまいました。


もう、やれやれです。





さて、今日はよく眠れそうです。



今日は天気が今ひとつでしたが、明日からは晴れますように・・・





と、電気を消してしばらくした途端「プイーン」と耳元で蚊の飛ぶ音が。。。


飛び起きて電気をつけて確認すると、やはり蚊が飛んでます。ひとまずその蚊は叩き殺し、速攻でDEET(アメリカ出張時に購入した含有率100%の強力なやつ)を肌の露出部分に塗りたくり、ベッドの上に縛られた状態で吊り下げられていた蚊帳を下ろして蚊取り線香(このために買った巨大な奴、通販で買ったら想像以上にデカくてびっくりしました)に火を付けて、スコーロン(蚊を寄せ付けないテイジンが開発した特殊な繊維で作られた布、型落ち品を通販で安く入手しました)のジャンパーを着込んで防戦体制を整えました。


マラリア予防薬とかは持ってきてないので、唯一の防衛手段は蚊に刺されないことだけです。



では、今度こそおやすみなさい。



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