ケニアドライブ旅行記
その14
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保護区の本部(ヘッドクォーター)前に居たAfrican Pied Wagtail (Motacilla aguimp)



このヘッドクォーター前でガイドツアーは終了なのですが、ライチュウさんはゲートまで戻るということだったので一緒にキャンプサイトまで歩き、そこから私が車を出してライチュウさんをゲートまで送り届けました。


その時に気付いたのですが、保護区と近隣の村は一体になっていて、どうやら地元の方々は保護区内の道を生活道路として使用しているみたいでした。
なので、キャンプサイトとゲートを結ぶ道に地元の人らしき人がたくさん歩いてました。


最初夜中にここに到着した時にゲートで寝るのは良くないとレンジャーさんに言われたのはそういった事情もあったのかもしれません。

もちろん地元の方々はこちらから手を振れば振り返してくれるような方々がほとんどなのですが、そういう方ばかりじゃないでしょうしね。



ライチュウさんをゲートで下ろし、お礼を言ってチップを払ってから一旦キャンプサイトに戻ります。







ひとしきり歩いて小腹が減ったのでフリーズドライの牛雑炊とコモパン(今回14個持ち込んでます。ザックがパンパンになった理由の一つです)を焼いて食べました。


管理人さんのシェムさんが居たので、「今日はこのあと雨が降りますかね?」と尋ねてみると、「うん、降ると思うよ」とのこと。

実際に樹間から空を覗いてみると、たしかに厚い雲が流れてきているように見えます。(14:15)


二人がそう言うので雨が降るのは間違いなしです。


では、降り出す前に先ほどの蝶が集まっていたポイントに行っておきますか。


早速車に乗り、先ほどのトレイルの入口に向かいます。



途中、親指大サイズの小さなネズミ(たぶん)が駆け抜けていったのですが、写真には撮れませんでした。







トレイルに入り、これまでなかなか撮れなかった蝶の写真を狙って撮りながら歩いていきます。









撮れるには撮れるのですが、羽を綺麗に開いてるシーンはなかなか撮れませんでした。










日本にも普通にいそうなシオカラトンボの仲間。
Orthetrum caffrumとかでしょうか。






そして、先ほどの糞ポイントまでやって来ました。








遠くから一気に近づいて飛ばしてみました。

この技は一回しか使えません。

(蝶にとっては良い迷惑)








すぐに蝶たちは戻ってきて、同じ事をしても二度と飛び立ちません。









先ほど2匹ほどいたオナガフタオチョウが居なくなって、代わりに綺麗なオオフトオビフタオチョウ(Charaxes castor)が居ました。(一番上に居る派手な蝶)


ここで標本の販売とかしてるんですが、こんなもんを食べてるので腹部が切り取られてますね。










もう、相変わらず飛ぶ気まったく無しです。









人間の汗目的で体に停まる個体も少しだけ居ました。
(目の前に糞があるので、やはりそちらが優先されるようです)








先ほど標識にのところとに居たオレンジの蝶もたくさん。 Forest Leopard Phalanta eurytis



いや〜、満足しました!










まだ雨が降り出すまでに少し時間があるかと思い、車で行ける範囲でカカメガフォレストの奥の方まで探検してみることにしました。









ところがこれが想像以上の悪路です。

(たしかロンプラにも車で奥に行くのは四駆オンリーって書いてあったような気がします)









写真の場所ではないですが、スタック寸前まで行ってしまったので慌てて引き返しました。
(しかし道幅が狭く、Uターンで苦労してけっこう焦りました。なんせ観光客も地元の人も誰も居ない様な場所なので)



今度はゲートに移動し、女性の事務員さんにマサイ・マラの最新情報を確認してもらいました。


事務員さんがマサイ・マラに携帯で電話をかけてくれたまではよかったのですが、相手が出たタイミングで突然その携帯を渡され「後は自分で直接聞いて」と言われてびっくり。

電話に出てみると、「あなたはどのゲートから来るんですか?」と質問され、手元に地図は無いしマサイ・マラのゲートの名前を暗記していたわけでもないのでシドロモドロに・・・

しかも電話越しで聞き取りにくい上に英語が訛っていたので、私の英語力では何を言ってるのかさっぱりわからず、「イエス、イエス、イエス!、センキュウ!」と、相槌を 打って電話を切ってしまいました。


というわけで、正直状況がさっぱりわかりませんでした。(なんとなーく、ダメな場所と良い場所がある雰囲気ではありましたが、、、)


すると、入園手続きをしていた地元のおじさんが横で話を聞いていたらしく、「俺はこの前マサイマラに行ってきたぞ」と声をかけて来ました。


これ幸いと状況を確認してみると、泥濘んでるかどうかは道によるとのこと。


おじさんは最新のサムソンのスマホ(Galaxy Sあたり)をさっと取り出し、GoogleMapで検索してベストな行き方を私に教えてくれようとするのですが、どうにも使いこなしが 中途半端らしく何度もルート検索エラーを繰り返していたので(Google検索とGoogleMapアプリ内での検索ルールの違いを混同していたみたいです)最後 は私がそのスマホを借りて検索しました。


その検索結果を見せてくれながらおじさんが解説してくれます。いわく、西側のゲート(Oloololo、Musiara)に向かう道は石が多くてパンク注意なものの泥濘んではいないけど、東側(Sekenani)はメジャーロードで交通量は多いけど激しくぬ かるんでいるんだ、とのこと。
おじさんのオススメはMusiaraに向かう道で南下し、途中から東に移動してTalekから入るルート。

マサイマラ国立保護区の中も問題なく走れるかどうか訪ねてみると、「2週間前の話だが俺の車でも大丈夫だったぞ」と、ゲート脇に停まっているコンパクトカー(車種 は忘れましたがトヨタのよくあるFF車)を指さします。


これに勇気づけられ、一旦マサイマラに向かうことに決めました。


おじさんにお礼を言うと、「ところで君はいつまで旅してるんだ?」と尋ねられました。


「1月13日にナイロビを発つ予定ですけど」


と、答えると、


「じゃぁ、連絡先を教えておくから帰国するときにぜひ君の車を売って欲しいんだ。可能な限り安くね」


と、言うので、


「いやいや、これはレンタカーなんですよ」


と、答えると、激しくがっかりされておりました。











これで本日やりたかったことはすべて完了したので、一旦キャンプサイトに戻ります。
(右奥のタープとテントは張りっぱなしにされているだけで、誰かが使っているというわけではないみたいでした)


なので、一人っきりのキャンプサイトです。







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本日の行動ログです。





遠くの方で雷の音が鳴り始めたので、そろそろスコールが降りだすみたいです。


その前にシャワーを浴びることにしました。


トイレはボットンながらも臭いもほぼせずに問題なく使用できたのですが、シャワーはアフリカ名物の水シャワーです。

手を使って体を少し水に濡らしてから、、、




「ダーーーー!」




と、叫んで水シャワーを浴びます。

叫ぶのは自然に出るというよりも心臓麻痺対策です。




いや〜さっぱりしました。




さて、いよいよすることが無くなったので蚊取り線香に火を付けて足元に起き、食事用の東屋の椅子に腰掛け、鳥の鳴き声とたまに遠くで鳴る雷の音に耳を傾けます。


普段は慌ただしく移動し続けるばかりなのですが、たまにはこんな時間も良いもんです。



そして、今日は12月31日大晦日。

赤道直下の熱帯雨林で、一人っきりのキャンプサイトで穏やかな年越しを迎えられそうです。

(たまに管理人さん夫妻の赤ちゃんがオギャーって泣くのが小屋の中から聞こえてくるんですが、赤ちゃんの鳴き声は万国共通なんだとこの時は感心してました)




気温は暑くもなく寒くもなく、とても良い気分で時間を過ごせたと思います。



そして16時過ぎ、真上の空は晴れていたのですがついに雨が降って来ました。



さらに17時過ぎに本格的なスコールになり、東屋から一歩も外に出られない状態に。


あっという間に洪水状態になったキャンプサイトを見て、マサイマラに行く決心がぐらついてきます。(ここからマサイ・マラはそれほど遠くありませ ん)


一方で、マサイマラに行きたい気持ちも大きく「行くのを諦める」という決断にはなかなか踏ん切りがつきません。



そこで、マサイマラに行かなくても良い理由を考えてみました。


その1
今年は雨季がまだ明けておらず、あちらでもこんなスコールが毎日降っていて、行ったら泥濘洪水状態かもしれない。万が一スタックしたらシャレにならない


その2
先ほどおじさんから「泥濘んでないよ」と聞いた道は石が尖ってるらしくパンクが心配。パンクしたらサファリを諦め一度街まで戻って修理しなければならない。


その3
マサイ・マラの次の目的地であるケニア山の登山口までが遠い(420km)。予約済みのガイドさんと待ち合わせをしており、何時までに行けばよいのか時間の指定 を受けていないの と、ナイロビ方向へ続く道が泥濘んでることや平日に超渋滞することで有名なナイロビを超えなければならないなど不確定要素が多い


その4
ネコ科の肉食獣が多いのは知っているが(もちろん草食獣も)、珍しくないものを見られても実は嬉しくないんじゃないか?


その5
観光客が多すぎてアニマルハラスメント(ライオンなど人気の動物にサファリカーが集まり、多くの台数で至近距離まで近寄って取り囲んでしまう問題)があるらしい。近く で見たい気持ちは私も同じ、加担してしまいそう。


その6
実は今回のアフリカ旅行で一番見たかったのはヌーの大群。しかし群れは今のシーズン、タンザニアのセレンゲティ側に移動しちゃっており、マサイ・マラでは見ら れない。またいつかシーズン(日本の夏の川渡り)の時に来ればいいじゃないか。



とかなんとか理由をあれこれ思い浮かべつつ、ガイドブックを開いてケニア山近くにあるサンブル国立保護区もなかなか素晴らしいと書いてあるのを見て、「よし、 来て早々マサイ・マラに行っちゃダメと言われたのも何かの縁、サンブル国立保護区に行ってみよう!」と計画変更の決断をしました。

元々サンブル国立保護区は前回の南アフリカ・ナミビアドライブで出会えなかった豹に出会える可能性が高い場所としてチェックしていて、ケニア山下山後 に1泊ぐらいしてみようと考えていました。

なので、芋づる式にケニア山下山後の予定も変わりそうですが、それはあとで考えることにします。


明日の早朝出発して明日中にたどり着ければサンブル国立保護区内で3泊出来ます。


そのぐらい中に居れば何か(特に豹が)見られるでしょう!


早速、ここからサンブルまでどうやって走るかコースを考えます。



昨日走った感じだとAグレードだから走りやすく、Bグレードは穴だらけとかそんなことはく、むしろAグレードの道でもダメなところはダメということがはっき りしました。








大きな地図で見る
サンブルに向かうにはナクルを通過する必要があり、だとすると昨日走ったA1号線の悪路を再び走って戻るより、一旦北上してA104号線を走ったほうが良いんじゃないかと判断。これが吉と出るか凶と出るか。


というか、正直A1号線(上の地図だとB1と表示されているケリチョ経由)はもうコリゴリです。


あと、サンブル近辺についてはレンタカーを借りるときに「治安に問題があるから夜間は走行しちゃダメ」と言われていたので、なんとか明るいうちに到着したいと ころです。

(帰国後に調べてみたら、つい1ヶ月ちょっと前に武装した家畜泥棒集団によって警 察官が42人も殺されるという事件が起こっていたり、ロンプラによると2011年10月に旅行者カップルが強盗の襲撃を受けて(サファリカーの運転手が死亡)、サンブル国立保護区 付近の道路も数日間通行止めにされたということもあったらしいです。そうでなくてもサンブルの北部・エチオピアの国境付近は牛や水を巡って部族間での殺し 合いが後を絶たないエリアではあるということは外務省のページや行きの飛行機で読んだ本から知識として知っては居ました)



だいたい走るコースを決めた所で、夕食の準備を開始します。



そういえば今朝この東屋に来た時に誰か(たぶんツアーのスタッフ)が備え付けのコンセントで携帯の充電をしてたなぁと思い出して、そのコンセントを確認すると一昨日の夜にナイロビのホテル で使うことが出来なかったのと同じ3つ口タイプのコンセントでした。


試しに自分の海外対応プラグを突っ込んでみると、やはり充電することができません。

前回の場合はもしかしたらコンセントに通電してなかったのかもという疑いがあったのですが、今回は誰かが充電に使っていたのでそれはありません。


なんでだろうと思いながらコンセントをよく観察してみると、内部にプラスチックの蓋があることに気が付きました。

その蓋を注視しつつプラグを突っ込んでみると、明らかにそこでブロックされて中に入らないようになってます。


そりゃぁ、通電しないわけです。


では、どうやって蓋を開けるのでしょう?

プラグを強く押しこめば開くわけじゃないのはすぐにわかりました。

もしかして・・・、と思い、車のキーをアースらしき3つめの穴のところに突っ込んでみると、ビンゴ!、蓋が開きました。


なるほど、アース付きの3つ又プラグじゃないとコンセントにさせない仕組みになってたんですね!
イギリス式だそうです)

というわけで、車のキーはそのままアースのところに挿しっぱなしにして蓋を開けておき、プラグを差し込むと問題なく充電が開始されました。

これでスマホを満充電状態 にできます。


このキャンプ場、東屋に蛍光灯はあるし、トイレ・シャワー(水)があるし、充電もできるし、キャンプ場は草でふかふかだし、実はなかなか良い場所なんだと 改めて思いました。





18時を回った所でスコール降る中、車まで走って傘と食材を取り出し、東屋の中で夕食の準備を開始。



と言っても、アルファ米をお湯で戻して、同じくフリーズドライされたカレーをお湯で戻すだけの簡単料理です。



しかし、そこは日本品質のカレーライス、美味しくいただくことが出来ました。



その後、数回停電したのですが、その度に東屋の横にある管理人室からおじさんが出てきてブレーカーを元に戻して復旧させてました。(東屋やトイレの 電気だけでなく、管理人さんが住んでる小屋の電気も全部一斉に落ちます。というかトイレにまで電気がついてたんですね)



食後の暇な時間は今回の旅の唯一の娯楽「裂ける大地 アフリカ大地溝帯の謎」を読んで過ごします。興味のあるテーマだし面白いだろうと思って持ってき たのですが、著者の方には大変申し訳無いのですが、地質学的にも人類学的にもこれだけの興味深いテーマを扱っておきながら読みづらいというか、引き込まれ ないというか・・・・、しかし、この本しか無いので我慢して読み進めます。もちろんこの本から得られた有用な知識は山ほどありました。科学関連書籍で も著者の文章化力が大事なんだなぁと改めて気付かされた本でした。


ただ、この本にも意外なメリットがあって、それは本を開いて数ページ読み進むと速攻で眠たくなるのです。なので、今すぐ眠りたいときはこの本を読むに限ります。(時差ボケも大したこと無く、寝たい時なんてほとんどなかった気がしますが)

あと、読むとすぐに寝ちゃうので、暇つぶしの本を1冊しか持って行かなかったのにページ数の割りには長持ちしたのは良かったです。



というわけで、寝る気も無いのにあっという間に眠くなってしまったので、一度テントに入りました。

雨は小降りになっていたのですが、さすがにあれだけのスコールは防ぎようも無かったらし く、テントの底にいくつか開いていた微細な穴が原因で浸水してました。(ひどくはなかったですが)



20時を過ぎたぐらいの時間なのですが、昨日の車中泊の時と打って変わってけっこう寒いです。

使わなくても大丈夫かと思っていた寝袋を取り出して包まり、本を読み始めると速攻で襲ってくる睡魔が・・・


うーむ、そういえば今日は大晦日。

このままだと去年に引き続き大晦日に寝落ちか!、と、思った時にはなぜか読んでいた本が顔の上に乗っかった状態でした。



本を顔からどけて腕時計を見ます。


・・・・


あけましておめでとうございます。(0:15AM)




ここは国立保護区の真っ只中、私以外には誰も居ないキャンプサイト(管理人さん一家はすぐ側で暮らしてますが)。


たいてい海外の年越しでは近所の誰かが花火を打ち上げたりするもんなんですが、今年はそれもありませんし、静寂の中でテントに水の滴がポタポタと当たる音だけが聞こえている状況です。


テントから外に顔を出すと雨が降り続いていました。


昨日の夜中にここに到着した時は止んでいたので、もしかしたら元旦は天気が悪いんじゃないかという嫌な予感がしつつ、再び眠りに落ちました。



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