その17
その16へ戻る
ここからショートカットで名も無き道路に入ります。(14:25)
黄色いアフリカマークの付いた看板が立っていて、この時は気づいてなかったんですが、看板には「Equator」と書かれていて、すなわちここが赤道の直下なんです。
この看板のところには水の入ったバケツが置いてあって、コリオリの力の実験ができるようになってるんだとか
(帰国後に知りました。実際私がここや他で写した赤道看板の写真にもちゃ
んとバケツが写ってました)
うわ、さすがに舗装されてませんね。
これでは時速20kmぐらいしか出せません。
大きな地図で見る
しかし、地図上ではこの名も無きショートカットルートはC76号線まで直線距離にして20kmぐらい、こんなペースで走っても1時間半もあれば抜けられる
計算なので、舗装が確実なB5号線A2号線経由で行くよりは(たぶん50kmぐらい遠回り)速い計算です。
パンクとしかしなければの話ですが。
こんな道ですが、それなりに車も走ってるみたいです。
道の状態も少し良くなってきました。
向こう正面にすごい大平原が見えてます。
すごい!
撮影で車の外に出たら標高2100mで外気温22度なんですが、日差しもあってけっこう暑いです。
さすが赤道直下。
それにしても、スカッと晴れないですね〜。
こんな場所でも携帯の電波が入ったのでネットで天気予報を調べてみたところ、曇りなのは今日までで、明日からはしばらく晴れるらしいので、MTケニア登山含めて良い天気が続いて欲しいもん
です。
前を走っていたバイク(これがまた追い抜かさせてくれないんですよ)が、さらにその前を走っていたロバ車を追い越していきます。
そのロバ車の後ろに付いてびっくり。
なんと運転台に誰も居ません。
まさか無人のまま走ってるのかと思いきや、、、
よく見たら運転台の下にうつ伏せで寝ているおじさんが。。。
おじさんは寝ているわけではなく、一応ロバに指示を出しながら前に進めているようです。
(※あとで写真を見て気がついたんですが、ソファーを運んでいて、座る場所がなくてあそこに寝転んでたんですね)
このロバ車も道を譲ってくれなかったので、抜ける地点が登場するまで10分間ぐらい不思議なロバ車を眺めながら時速10kmで走ってました。
何事もポレポレ(ゆっくりゆっくり)なケニアなのです。
空が明るくなってきて、再び晴れ間が少しずつ広がって来ました。
この道は他所の人がめったに走らないからか、子どもが手を振ってくれる確率がすごい高いです。
ただ、高校生から20歳ぐらいの青年になると、警戒感剥き出しで睨んでいる子がたまにいるのも他の地域と同じです。
道の状態はこんなかんじです。
尖った石が転がっているので、パンクしないことを祈ります。
道路上で放牧してるところでスピードを落として通過し、ヤギの面倒を見ていた男の子に手を振ったら、
「アサンテサーナ」
と、叫んで手を振ってくれたので、言葉だけ覚えておいて後で調べてみたら「ありがとう」という意味だったんですね。
牧畜民族が暮らすエリアのど真ん中。
この辺はこういうシーンにしょっちゅう出くわします。
というか行く手を阻まれます。
ニュージーランドをドライブした時に人生で初めて牛の群れに行く手を阻まれたのを大喜びしていたのが何だったんだろうというぐらいいくらでも居ます。
そして地平線とまっすぐな未舗装路。
年末大ジャンプ恒例のシチュエーションです。
(そういえばコスタリカではあんまり体験しなかったような・・・)
何度も何度も牛とヤギの群れに出会います。
遠くから手を振ってくれた親子。
皆さんが運んでるもので多いのは薪と水。
薪も街の近くだと店で売ってるような綺麗にサイズの揃った薪で、田舎になればなるほど周辺で拾ったんだろうなぁという不揃いな灌木になります。
ガスや水は日本では当たり前のように家まで届きますが、こちらでは自力で取りに行って家まで毎日のように運ばなきゃならないんですよね。
何度も行く手を阻まれるの図。
晴れ間がちょっと増えてきたのがうれしいところです。
道が狭いので避けられる方が先に避けます。
(このトラックは軍人さんを運ぶトラックでした)
よし、C76号線に到着!!
って、こっちも未舗装路だったか!
そういえばCグレードの道を走るのは初めてだったので、舗装してると期待するほうが間違いでした。
ただ、道はけっこう均されている感じで、なかなか走りやすいです。
片側1車線分ぐらいの道幅もありますし。
マタツも走ってます。
しばらく後ろをついて走り、追い越せそうな所で追い越します。
バックミラーを見ると砂煙の中でマタツがライトを付けていました。
砂煙の中だから対向車から目立つようにしてるんでしょうか?
さらにマタツの前に居たトラックも追い抜き、地平線に向けてガンガン走っていきます。
C76号線区間は50km以上はありそうなので、駆け抜けるのに1時間弱はかかりそうです。
ここまで調子よく走っていたのですが、突然車の外から「ビーン、ビーン」という妙な音とともにハンドルにも微かな振動が伝わってきます。
道の状況が変わったというわけでもないし、今までにこんな事は一度もなかったので、何かが異常なのです。
嫌な予感がしつつ車を停めて確認してみると、、、、
やっちまったーーーーー!
これまた年末大ジャンプ恒例のパンクです・・・
こんな急いでいる時に・・・
というか急がば回れを地で行ってしまいました。
では、急いでタイヤ交換しますか。。。
ジャッキが運転席の下に閉まってあると、最初に説明を聞いておいてよかったです。
運転席のドアを開けて椅子の下を覗きこむと、ちゃんとパンタグラフ型のジャッキが置いてありました。
よしよし。
しかし、置いてあるのはジャッキ本体だけです。
えーっと回すためのハンドルとかレンチとかってどこにあるんでしたっけ?
ここで、そういえば車を借りるときにひと通り説明を聞いた中で、工具箱の在り処を教えてもらってなかったんじゃないかという気がして、少しで血の気が引きます。
まさかね・・・
あの時はマサイ・マラに行けないショックで上の空で聞いてましたし、聞き漏らしでしょう・・・
後部ドアを開けると乾かそうと思って座席に引っ掛けていたテントやらシュラフがスペアタイヤの上に落っこちていたのでまずはそれを退けて、工具類が入っていそうな場所を一箇所ずつ確認してみます。
あ! これは・・・、
ファーストエイドキット・・・
あ! これは・・・、
三角表示板・・・
この収納スペースは、、、、
空・・・・
こっちは、、、、
空・・・・
おいおい、嘘でしょ!
と、思ったちょうどその時、先ほど追い越したトラックが走って来ました。
迷うこと無くジャッキを手に持ったまま手を振り(正確にはジャッキを振り)、トラックに停まってもらいます。
ところが、よく見るとトラックはタイヤサイズが全然違っていて、もし工具を借りられたとしても、レンチのサイズが違いそうです。(もしかしたら乗用
車サイズのものも持ってるかもしれませんが)
どうしよう・・・
と、思った所でその前に抜いたマタツが走ってくるのが見えたので、トラックの運転手さん達(3人ぐらい乗ってました)に表情とジェスチャーで謝って
先に行ってもらい、今度はマタツを呼び止めようとすると、マタツはこちらの呼びかけなんか先刻承知という感じで私の前に車を停めると同時に、運転手含めて乗って
たお客さんなど3〜4人の男性が一斉に降りてきて、タイヤ交換作業を開始してくれました。(一人(たぶんコンダクターさん)は手に工具箱を持ってました)
事情を説明して自力でタイヤ交換できなかったんだという話をすると、運転手さんから、
「パッシングしたのに、君止まらずに行っちゃうから」
と、言われました。
なんでも、ケニアでは追い越された車が5回パッシングしたら、「お前の車、タイヤの空気が抜けてるぞ」という合図なんだそうです。
なるほど、それで追い越した時に砂煙の中でライトを点けてたんですね。
なにはともあれ良かったです!
ちょっと気になるのはパンクしてから気づいて止めるまでしばらく走っちゃったので、タイヤが修理可能かどうか・・・
あと、サンブルに日没までに到着は無理かもなぁ・・・
まぁ、「これで旅が終了!」みたいな致命的なトラブルじゃなくてよかったです。
なんてことを考えていると、タイヤを外そうとしていたお兄さんが、
「これ、スペシャルナット使ってるよ」
と、声をかけてきます。
「スペシャルナット?」
「ほら、これ」
指さされたところを見ると、あろうことかレンタカーのRAV4のタイヤには盗難防止用のロックナット(形状が特殊で専用のアダプターを使わないと外せない
ナット)が使われていたのでした。
きっと日本で前のオーナーが付けたのでしょう。
って、どうしよう!
お兄さんは工具箱からモンキレンチを出して外すのにチャレンジしてくれますが、それで簡単に外せたらロックナットでもなんでもありません。
本格的に血の気が引いてきました。
とりあえず思いついたのがレンタカー会社に連絡を入れることだったんですが、さすが牧草地帯のど真ん中、Airtelは余裕で圏外。
おおおーーーパニック!
その18へ