その39
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車を走らせていると、再び視界の片隅に違和感を感じたので注意深く見てみたところ、、、
遠くにヌーの群れが居ました。
去年の9月に航空チケットを買ってケニアに行くことが決まり、あれこれ調べ始めてから最初に見たいと思ったのがヌーの大群なのですが(時期としては日本の夏なので断念)、ここで小さな群れとは言え見られて嬉し
かったです。
あと、マサイ族のピーターさんより先に見つけたのも。(笑)
というわけで、湯上りさっぱりドライブです。
夕方になって少しずつ気温が下がってきたので、ものすごく気持ちが良いです。
心配していた塩のベタつきですが、それほどでもなく一安心。(海水と違って微生物が少ないんでしょうね)
こんな絶景の中を気分よく車を走らせていると、ピーターさんが充電のためにシフトレバーの脇に置いてあった携帯電話のIDEOSを指さし、「これ、ちょう
だい」と真顔で言うので、返事に窮してしまいました。
これが無いと日本と連絡を取る手段が無くなってしまうということを説明して断ったんですが、いきなり携帯が欲しいと言われて正直びっくりしてしまいまし
た。
(後で知ったんですが、欲しいと思ったらダメ元でくれと頼むのがケニア文化だそうです)
こんな水たまりを越えていきますが、すでに行きにも超えているので怖くもなんともありません。
と、良い気になって走っていたら、いつの間にやらレンズに水滴が付いてしまい、それに気が付かなかったため、この後しばらく水滴付きの写真が続きます。
最初に登場した巨大な水たまりの辺りでピーターさんとお別れです。(ポーズを取ってくれとお願いしたら、こんな写真になりました)
チップの代わりに水の入ったペットボトルをプレゼントしようと後部ドアを開けたところ、椅子の上に先ほど使用したタオルが干してあるのを見て水着が無いことに気が付き、ピーターさんに、
「さっき渡したものだけど」と声をかけると、「これ?」と言いながら飲み干された水のペットボトルを取り出したので、「それじゃなくて、、、えーっと」と水着を
英語でなんと
言うのかとっさに単語が出て来なかったので、絞るジェスチャーをしたところ、ピーターさんも思い出したらしく「あぁ!」と小さな叫び声をあげ、服の袖の中
から
私の水着を取り出しました。(マサイ族の衣装は日本の着物みたいに脇の下に小さな荷物を入れておけるみたいです)
いやぁ、ここで気がついてよかったです。
危うくダイビングを海パン無しでするハメになるところでした。(って、それは無理なので、どこぞで水着を買うことになったと思います)
新しく水を入れたペットボトルをプレゼントしてお礼を言い車に戻ろうとすると、ピーターさんが「ガイド代が欲しいんだけど」と声をかけてきます。
観光地だし、やはりそう来ちゃったかと内心で思いつつ値段を尋ねてみると、「8000KSh」という驚きの価格を言います。思わず聞き間違いかと思って聞き直
してしまいました。
(ケニア全体の平均月収は1万KShは余裕で切ってたはずです、ナイロビ暮らしの上位層(エリック含む)だとその限りではありませんが、日本で言えばいきなり30万円ぐらい請求されたようなもんです)
そりゃぁ、いくらなんでもあんまりだと思いつつ、「そんなには払えないよ」と答えると、「じゃぁ5000!」と下げてきたのですが、正直私の感覚値とは遥
か
かなたに離れているので値下げ交渉をすることはせずに、ガイド代が予めはっきりとしていたエリックに払った額から逆算して妥当と思える金額を財布から取り出し
てピーターさんに渡し、「これが私の
気持ちです」と言いつつ手に握らせました。
ピーターさんはそのお札を見て最初は納得が行かない様子でしたが、あれこれ交渉するつもりもなかったので、もう一度改めてお礼とお別れの挨拶をした時には笑顔で
手を振って見送ってくれました。
まぁ、海外(特にアフリカ)の観光地ですからこういうことになっちゃうのはどうしても仕方がないですね。
彼らの金銭感覚や仕事観を狂わせたのは我々観光客の方ですから。
私以外の誰かがこれまでに数千KSh払ってそれが彼の中で相場になっていたのかもしれません。
いずれにせよ、払う払わないで揉めなかったのがせめてもの救いです。
では、ツァボ目指して走りますか!
前を走るマガディソーダカンパニーの作業員と思わしき人たちが乗ったトラック。
これまたなかなか抜かさせてくれなかったんですが、幅の広い急坂でな
んとか追い抜かしました。
こういう人を荷台に乗せたトラックのすぐ後ろを走ると、視線を浴びまくるのでなかなか気まずいものがあるんですよね。
空を見あげれば立派な入道雲。
熱帯地方ならでは空です。
再びマガディソーダカンパニーの居住エリアに戻って来ました。
舗装路バンザイ!
ゲートの方に曲がる道との交差点の手前にバス停があり、そこでバスを待っていた男性がゲートの方をさかんに指さしています。どうやら私が道を間違わないよ
うに案内してくれてるみたいです。
ジェスチャーでお礼を伝えながら彼らの前を通り過ぎ、ゲートの方へ右折して坂を下りはじめた所でバックミラーに男性が手を振りながら走って追いかけてきて
いるのが見えたので車を停めました。
てっきり、私が道を間違えたのでそれを知らせに来てくれたか何かと思って待っていたら、走ってきた男性は、、、というか、走ってきたのは中学生か高校生ぐらいの男の子
で、「○×▲(たぶん地名)まで乗せて行ってくれませんか?」と、ヒッチハイクの要望を私に伝えたのでした。
「そこまで何キロ?」
と、距離を確認すると20kmぐらいとのこと。
それなら全然問題ないのでOKだよと答えると、いつの間にかもう一人男の子が遠慮がちに後ろに立っていて、「彼は僕よりさらに手前なんだけど一緒に
いい?」と言うので、「もちろん」と答えて、後ろに置いていた荷物や干していた水着とタオルを片付けて、最初に来た子を助手席に、後から来た子を後ろの座
席に招き入れました。
というわけで、思いがけず若い男の子2人を乗せてのドライブです。
ゲートを通過してナイロビ方面に車を走らせながら二人と話をします。
小学生の時から英語で授業を受けているだけあって、はっきり言って私より余裕で英語が話せます。
二人は敷地内にある学校からの帰りでバスを待っていたんだとか。
そして、後ろの子は特徴のある衣装を着て棒(ルング)も持っていたのでそうだとわかったのですが、二人共マサイの子なんだそうです。助手席の子に「どうし
てマサイの衣装を着ないの?」と軽く振ってみたら、照れくさそうに笑いながら答えを濁していたので、どうやらオシャレさんなんだと思います。
後ろの子が、「ねぇ、日本にも塩湖(ソルトレイク)はあるの!?」と、いかにも中学生っぽい(体格は高校生ぐらいでしたが実際のところ何歳だったのでしょ
う)天真爛漫な質問を投げてくるのですが、助手席に座った子は話し方からしてすごく聡明な子で会話の内容もレベルが高く、「僕は日本の○○さん(私は知ら
ない人)をすごく尊敬してるんです。いつか日本に行ってみたいんです」と、言うので、「じゃぁ、たくさん勉強して良い仕事に就いて、お金を稼げるようになっ
たらぜひ日本に遊びに来てよ」と返したら、「はい!必ず!」と、笑顔で答えてくれたので、ぜひそれが実現してくれることを願って止みません。
(ちなみに二人ともアジアの中では日本びいきなんだとか。諸先輩方の努力のおかげで日本はとても好感を持たれていると思います)
そんな会話をぶった切って夕日の写真を写す私なのでした。
一応二人には、「日本ではこんな景色や地平線に沈む夕日は見られないんだよ」と説明したら納得してくれたみたいでした。
最初に後部座席に座っていた子を下ろします。
記念に写真を撮らせてもらったんですが、民族衣装は絵になりますね〜。
その後、しばらく走った所で助手席の子が「また必ずケニアに来てください。僕たちはいつでも歓迎します。では、ここで大丈夫なので下ろしてください」
と、言うので、その言いっぷりに軽く感動しつつ車を道路脇に寄せると、ちょうど道路脇にポツンと1軒だけ建っていた家の敷地から古いピックアップトラックが出てき
て、「あれ、兄なんです」と彼が言うので、その車の運転手に笑顔で挨拶します。
すると、ものすごい不審そうな顔で睨みつけられ思いっきり無視されました。
どうも我々アジア人が20歳前後の
若者からのウケが悪いのは薄々感じてますが、職を奪う外国人(特に中国人)って思われたのでしょうか。
それはともかく、もうひとりの子を下ろして、こちらも記念撮影。
頑張って勉強するんだよ〜!
では、ツァボ国立公園に向けて走りますか!
(残り400km・・・・)
すっかり日も沈み、ナイトドライブになります。
この道は明るい時に一度走ってるので不安は感じないのですが、ナイロビの渋滞だけが気になります。
明るい時もそういう傾向があったんですが、この区間のトラックは私が後ろに着くとすぐに車を路肩に落としてスピードを落としてくれるので、楽に追い抜かすことができました。
追い抜かした後にハザードでお礼を伝えると、ちゃんとパッシングで返事が返ってくる辺り、南アフリカと文化が似ている気がします。(このやり取りが出来たのは
この道だけでした)
一台だけどうしても抜かさせてくれないトラックが居たので、こちらが路肩に落として強引に追い越したら、抜かして戻るときに路肩の縁にタイヤが引っかかっ
て右前輪がスリップしたので、それが原因でパンクするんじゃないかとむちゃくちゃ焦りました。
無理するもんじゃないですね〜。
昼間はジリスやヒヒに出会いましたが、帰りはネズミとディクディクを見かけました。
グレートリフトバレーの頂上付近からナイロビの夜景を眺めたところです。
ちょっと手前の標高2000m付近ではなかなか綺麗な星空が見えていました。
気温も19度まで下がり、窓を開けっ放しで走るとちょっと肌寒いぐらいです。
大きな地図で見る
ここで、改めてスマホで地図を確認してみると、今走っているナイロビに続くC58号線のキセリアンの街から南東へ下
る道があり、かなり遠回りにはなりそうですが、北上すれば最終的にツァボ国立公園やモンバサへ続くA109号線に合流できそうです。これならナイロビ市街を完全に迂
回できます。(帰宅後に調べてみたら30km余分に走る迂回路でした)
この時間なら渋滞は解消されているかもしれませんが、ナイロビの夜間の治安も気になっていたので迂回路を使ってみることにしました。
まずはキセリアンの街で必要最低限の分だけ給油をしておきました。(2000KSh分)
なぜ、満タンにしなかったかと言うと、今後の出費状況を考えると例によって現金が心もとなくなってきたので、1回ぐらいクレジット
カードを使って給油したかったのですが、ここのスタンド(トータル)では使用できなかったからです。
ツァボに向かう幹線道路に出てしまえば大きなガソリンスタンドがあるはずなので、そこならクレジットカードが使えるんじゃないかと思った次第です。
キセリアンの街からlingsieyという道に入ります。
とくにグレード表記がなかったので最悪未舗装路かと思ったのですが、舗装されている上に道の状態もよく、「良い抜け道発見!」と一人で喜びます。
ん? 穴ぼこ?
しかし、一応土で埋められてます。
うううう、そんなに甘くはなかったか・・・・
というわけで、その後も良い状態と穴だらけの状態を繰り返す道を走りつつ、Nairobi - Namangaロードで左折します。
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